BCP策定の手順|災害時や緊急時にしっかり機能させるためのポイントを解説!

BCP策定の手順と機能させるポイント

企業が地震・集中豪雨といった自然災害や非常事態に直面した場合に事業への損害を最小限に抑えるため、さまざまなリスクを想定しBCP対策を日頃から準備しておくことが重要です。この記事ではBCP策定の目的と必要性、自社内でプラン策定を行う手順、及びBCP対策として用意しておきたい備蓄品リストをご紹介します。BCPの準備や見直しの参考になれば幸いです。

BCP(事業継続計画)って何?

BCPとは

BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、企業が緊急事態に直面した場合に発生しうる損害を低減し、中核事業の継続もしくは早期復旧の実現に必要な対応を取りまとめた計画のことです。

・BCPの目的

企業の事業拠点や生産設備などの稼働率を大きく低下しうる事態が発生した場合に、中核事業の継続もしくは早期復旧を実現することがBCP対策を行う主な目的です。

BCP対策を実施していない企業が一時的な操業停止に追い込まれた場合、操業再開が遅れることで事業規模の縮小、廃業などを招くリスクが高くなります。

その点、BCP対策を実施している企業では緊急時においても中核事業を継続でき、業績への影響低減や、企業の信頼性担保といった効果が見込めます。市場関係者や株主からの信頼を維持するためにも、適切なBCP対策を行うことは業種を問わず重要な施策であるといえます。

・BCPの必要性

BCPは国内外で広まっている取り組みです。国内では2005年8月に内閣府から「事業継続ガイドライン第一版」、2009年2月に厚生労働省から「新型インフルエンザ対策ガイドライン」といったBCPにまつわるガイドラインが公表されています。これらのガイドラインには、災害や事故などが生じても企業の重要業務を継続して行うことや早期復旧が推奨されています。

BCP対策は2011年に発生した東日本大震災により、被災の影響で操業停止を余儀なくされた企業が多数発生したことから、その重要性がより強く意識されるようなりました。

その一方で策定したプランが不十分だったり、内容が現状の業務体制に即していなかったりと、BCP対策が機能しなかった例が一定数見受けられました。BCP対策を立てる際は、目的や優先順位、具体的な運用方法などを明確化し、現状に合わせてプランの見直しを行うことが有効です。

BCP策定の事例

BCP策定の事例

実際にBCP策定を検討するにあたって、どのような対応が適切なのでしょうか。ここではBCP策定に取り組んでいる企業の事例を業種別にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

・【某製造業のBCP事例】

バネの製造販売を行う某製造業者では、自然災害への対応として従業員の安全確保、安否確認用システム導入、非常電源の確保といったBCP対策が実施されています。さらに社屋や機械設備の防災対策に加えて、災害発生時に県外の企業へ応援を依頼できるように相互応援協定を締結しています。

こうしたBCP策定・対応を行なっていたことにより、停電が発生した際には、復旧までの間に非常電源を活用し中核事業を継続できたとのことです。

・【某建設業のBCP事例】

公共工事を主に手掛ける某建設業者では、自然災害への対応を想定し従業員の安全確保、主要取引先リスト保存、作業現場の早期復旧に向けた協力企業との連携といったBCP対策が実施されています。継続的な取り組みとしては、社内での月1回訓練や年1回の施策見直しを実施しています。

・【某卸売業のBCP事例】

食品容器や包装資材などの卸売を手掛ける某卸売業者は、東日本大震災の報道特集をきっかけにBCP策定を実施した企業です。自然災害への対応を想定した年2回の防災訓練、代替生産を依頼可能な協力企業との協定締結といったBCP対策を実施しています。

実際に機械設備の故障が発生した際には、協力企業に代替生産を依頼することで納期遅れを防止できたようです。

BCP策定の手順

BCP作成手順

【BCP策定の手順】

  1. 1.BCP対策の運用チームを作る
  2. 2.BCP策定の目的を設定する
  3. 3.災害時に想定されるリスクを洗い出す
  4. 4.リスク回避の優先順位をつける
  5. 5.リスクを回避するための具体策を考える
  6. 6.全社員に周知する

設備故障や自然災害などに対応できる体制を構築するには、有効なBCPを策定することが第一歩です。自社でBCP対策を考える際は、運用チームの整備からBCP策定、社内共有までを段階的に進めていくことが一般的です。

・BCP対策の運用チームを作る

まずは社内での連携や情報共有を目的として、BCP対策の運用チームを編成することから始めます。BCP対策は総務部に割り振られるケースが一般的ですが、全部署に関係する施策であるため、各部署から1名ずつ担当者を割り当てたチーム編成をおすすめします。その方が部署連携も取りやすい上に、BCP対策の内容を社内全体に周知徹底しやすくなるでしょう。

・BCP策定の目的を設定する

策定するBCPがどのような事態に対応する計画かを明確にすることが大切です。例えば生産設備の故障と従業員の安全確保では、要求される対応が異なります。

生産設備の故障であれば在庫保管場所の分散、安全確保であれば建物の耐震化など、目的を明確にすることで対策を考えやすくなります。また緊急事態が発生した場合にも、スムーズな対応が行いやすくなるでしょう。

・災害時に想定されるリスクを洗い出す

災害時に機能するBCPを策定するには、自然災害や火災、大規模停電など想定される災害によって起こりうる問題の洗い出しが必要です。例えば地震による被害を想定する場合、主要なオフィスや生産拠点などが被災した際に生じうる被害を想定しBCPを策定します。生産設備の破損や輸送ルートの停止、生産停止による金銭的損失など、さまざまな方面に対する影響を想定してBCP対策を検討すると良いでしょう。

BCP対策の運用チーム内で具体的な被害想定が困難な場合、各部門の責任者もしくは現場社員などからBCP対策に関する聞き込みを行うのも有効です。社内状況を幅広く把握することで各部門の持つ役割が明確になり、災害発生時にスムーズな対応が行いやすくなるでしょう。

・リスク回避の優先順位をつける

BCP策定を行う際は、リスクの種類別に優先順位を設定することが重要です。災害発生時に想定される全てのリスクを回避するのは現実的ではないため、特に影響が大きいと考えられる箇所から検討しましょう。

災害発生時には人員、物資などが通常時より制限がかかりやすいため、初動対応としては目的に応じて優先的に対応する業務を決めることが適切です。一般的には人命への影響、取引先との関係性、売上などが優先的な業務として考えられます。

・リスクを回避するための具体策を考える

災害発生時の復旧を滞りなく行うには、リスクを回避するための具体策をあらかじめ設定しておくことが大切です。

中小企業庁が公表しているチェックリストでは、人的資源・設備・資金・体制・情報などの観点で対応策の検討が推奨されています。それぞれの観点で考えられる具体策は以下の通りです。

人的資源

■ 支援到着まで社員の健康や安全を守れるか
■ 社員が勤務中・勤務外などの想定元、連絡手段を確保しているか
■ 定期的な対応訓練を実施しているか

設備

■ 自社の建物は耐震対策しているか
■ 電気や水道などのライフラインが途絶えたときの対策はできているか
■ 台風や洪水に対応できる設備が整えられているか

資金

■ 災害時融資予約・BCP対応支援ローンなどを契約しているか
■ 加入する保険について専門家に相談しているか
■ 復旧まで対応できるキャッシュフローを確保しているか

体制

■ 緊急事態に際して継続・復旧する事業の優先順位付けをしているか
■ 取引先や同業他社との相互支援体制が構築できているか
■ 経営者が指揮管理を行えない場合の代理体制を準備できているか

情報

■ 別拠点やクラウドなどに重要情報のバックアップが済んでいるか
■ 取引先・公共機関などへの緊急連絡先リストを準備しているか
■ 業務システムが故障した場合の代替策を準備できているか

・全社員に周知する

自社のBCP策定が完了した後は、PDFもしくは紙媒体などによる社内共有を行いましょう。BCPの内容が共有されていないことで初動対応に失敗した事例もあります。社内共有の方法は災害対応マニュアルの作成や、定期的な対応訓練、勉強会の開催などが挙げられます。

特に複数の部門で分担して対応する場合は、各部門の従業員が対策内容を理解していることが前提になります。緊急時における対応方法を普段から共有しておくことで、災害などの発生時に効率的な対応が見込めます。

BCPをしっかり機能させるポイント

BCPをしっかりと機能させるポイント

BCPを緊急時にしっかりと機能させるには、策定後も継続的な改善や社内共有が重要です。有効なBCPを策定するポイントを具体的にご紹介します。

・継続的な見直し・改善

BCPは幅広い局面に対応した作成が望ましいものの、最初からあらゆるリスクに対応できるよう作成するのは困難です。BCPは継続的な見直しによって精度向上が図れるため、定期的な対応訓練や情報共有などを通して計画見直し、更新を行うことが重要です

災害対策として一般的な地震対策以外にも、近年被害の多い集中豪雨や台風など異常気象も想定するとなお良いでしょう。

中小企業庁による「中小企業BCP策定運用指針」では、自社の組織体制や取引先に大きな変更があったり、中核事業に変更があったりした場合などには、BCP更新が望ましいと記されています。こういた変更がない場合でも、1年ごとに見直すと良いでしょう。

・社員全員に周知・教育する

策定したBCPが適切に機能するには、社内への周知徹底および定期的な対応訓練の実施が重要です。継続的な施策として従業員にBCP対応のマニュアルや、従業員携帯カード(連絡情報や初動対応方法が記載されたカード)を配布すると良いでしょう。

BCP対策として用意しておきたい備蓄品リスト

BCPとして用意しておく備蓄品リスト

災害対応向けの備蓄品は中核業務の維持や従業員の安全対策として、日ごろから備えておくことが推奨されています。ここでは、BCP対策で用意しておきたい備蓄品をご紹介します。

BCP対策として用意しておきたい備蓄品リスト

  • ポータブル電源
  • ・照明器具(ろうそく、ランタンなど)
  • ・非常持ち出し袋
  • ・保存食および浄水器
  • ・救急セット
  • ・携帯トイレ
  • ・カセットコンロおよびカセットボンベ

・ポータブル電源がBCP対策におすすめの理由

ポータブル電源は一定量の電力を蓄えている電池で、電子機器を稼働させる非常用電源として活用できます。産業用製品は大容量タイプであることが一般的で、停電時に必要な電力を補うツールとして効果を発揮します。

BCP対策においては、通信機器の維持および中核事業の継続などに用いる電力調達を目的にポータブル電源が用いられます。

ポータブル電源の活用シーン
・停電時もパソコンやスマホが使える
・コンセントやUSBが必要な設備に使用できる

ポータブル電源を導入することで、停電時においてもパソコンやスマートフォンなどを継続的に稼働させる電力を供給できるため、停電復旧までの期間中も滞りなく業務を行いやすいといったメリットがあります。

・BCP対策におすすめのポータブル電源

BCP対策におすすめのポータブル電源

BCP対策における停電対応ツールとして「Jackery Solar Generator 1500 ポータブル電源 ソーラーパネル セット」をおすすめします。こちらの商品は蓄電容量約1,500Whのポータブル電源とソーラーパネルがセットになっており、蓄電池を充電して繰り返し使用できることが特徴です。

約1,500Whの大容量を備えており、1回のフル充電でスマートフォンを約74回、ノートパソコンを約16回フル充電できます。ポータブル電源はコンセント又はシガーソケット、ソーラーパネルによる充電に対応しています。停電によって電力供給が困難な状況でも、日中にソーラーパネルから給電することで問題なく電力を利用できます。

ソーラーパネルは普段は電気代を節約しながら充電でき、災害時は確実な充電方法として利用できる、といったように、状況に応じて使いやすいのがメリットです。

まとめ

非常時に機能しやすいBCPを策定するには、具体的な対応方針を決めた上で事前案の準備、社内への周知徹底などを通常時から進めておくことが重要です。BCP策定後も停電やサプライチェーンの麻痺など複数の事態に対応できるよう、継続的な見直しが必要です。BCP対策として備蓄品の準備を進める際には、Jackeryのポータブル電源をぜひご検討ください。