デザインで変わる防災意識。進化する防災グッズに注目!

一昔前と比べて、防災グッズがおしゃれになっていることを皆さんはご存知でしょうか? 「こわい」「面倒くさい」「かたくるしい」・・・「災害に備える」ということに対して、どうしても多くの人が感じてしまうマイナスなイメージ。それらを打ち破るための要素の一つとして、「デザイン」という切り口が注目され始めています。今回のコラムでは、「防災×デザイン」の可能性について触れていきます。

日本は「災害大国」として、世界的にも知られています。大雨のニュースも頻繁に目にするかと思いますが、地震に関しても「世界のどこかでマグニチュード6.0以上の地震が起きた場合、その五回に一回は日本周辺で起きている」という発表もあるほどです。

では、そんな災害が起きやすい国に見合った防災を、私たちは備えているのか。例えば、防災グッズを揃えるだけでも、いざという時に悲しい思いをしなくてすむ確率は上がります。しかし、頭では分かっていても、多くの人がなかなか備えられていない現状があります。

私は仕事柄、防災に関する意見をヒアリングする機会があります。防災講演の会場や、街中のインタビュー。今までたくさんの「備えない理由」を伺ってきました。面倒くさいから。お金がかかるから。労力的な部分に関する回答が多いですが、中にはデザインについて言及する人もいます。そのいくつかを引用しながら、防災グッズに関する素敵な取り組みについて紹介していきます。

インテリアになじむおしゃれな防災グッズたち

「悪目立ちするんですよね、インテリア的に。消火器なんて赤過ぎでしょ!」

この意見は、「悪目立ち」というキーワードと、消火器に対する謎の怒り・・・。40代くらいの男性からいただいた、心に残っている回答の一つです。ここまで強気な発言ではなくても、「防災グッズはインテリアの邪魔になる」という意見はよく耳にします。

消火器が赤い点については「注意を引く色だから」「炎を連想させるから」などの真っ当な由来がありますが、この赤が「怖い」「見慣れてしまっている」といったマイナスイメージにもつながっているのかもしれません。

しかし、最近では、お部屋のインテリアによくなじむおしゃれな消火器も年々増加傾向にあります。例えば、株式会社 初田製作所さんでは「クマさん消火器」などを中心に、かわいい一般家庭用消火機器も取り揃えています。赤の補色である緑で仕上げたパステルカラー。黄色いクマさん型のシェイプ。「防災のかたくるしさ」なんて全然伝わってきませんよね。見た目がかわいいだけで、備えることに対するハードルはグンと下がるものなのだと思います。

それこそ、クマのぬいぐるみのような防災リュックなんかも見かけることがあります。お子さんがいる家庭では、そういったかわいい防災グッズで統一するのも一計かもしれません。

また、悪目立ちの代表格と言えば、「突っ張り棒」も忘れてはいけません。家具と天井の間にかませる転倒防止固定ポールですが、設置を嫌がる人は多い印象があります。

こちらに関しても、さまざまなカラーリングの突っ張り棒があります。平安伸銅工業の突っ張り棒は、オーソドックスな白のほかにマットブラックも展開しており、2020年グッドデザイン賞を受賞しています。大災害が起きた瞬間に命を落とさないためにも、家具の固定はとても重要な防災対策の一つです。インテリア面が気になる人は、ぜひ家具の風合いに合った突っ張り棒を探してみてください。

「防災グッズって無機質というか、テンション下がるんですよね」

こちらは20代の女性からの言葉です。その時の悲しそうな表情は、今でもよく覚えています。災害は人の生死が関係する以上、どうしても暗い気持ちが入り混じってしまうところはあるかもしれません。

こわいから。やらなきゃいけないから。私たちは漠然としたイメージで防災をしようとしがちです。けれど、その一方で、誰のために防災をするのか。具体的にイメージすることで、温かい気持ちも湧き上がってくるのも事実だと思います。

例えば、私には「友人の引っ越し祝いなどで非常食をプレゼントする」という習慣があります。友人たちにはおおむね喜んでもらえているはずですが、「防災グッズにストーリーを吹き込む」という自分なりのデザインなのです。そこに無機質なものは、一つもありません。そういった「心理的な防災デザイン」も非常に有効だと私は考えています。

防災をもっと近くに。「贈る」という選択肢も

少しずつでも、防災グッズを贈る習慣が浸透していけばいいのにな。そんなことを願って止まない毎日ですが、最近、個人的に注目している取り組みがあります。株式会社KOKUAさんが2020年12月に販売を始めた防災カタログギフト「LIFEGIFT」です。

結婚式の引き出物などでもらう機会もあるカタログギフトですが、LIFEGIFTには厳選された防災グッズが掲載されています。避難時のパーソナルスペースづくりに活用できるテントや、普段使いしながら緊急時には包帯や三角巾として使える今治製の防災タオルなど、この冊子をプレゼントされた人は自分が欲しいものを選ぶことができます。

生活の中になじむようなデザンばかりですので、贈る側も、受け取る側も、優しい気持ちになることは間違いありません。まだリリースされて間もないサービスですが、さまざまなお祝いやコミュニケーションシーンで「温かい形で防災が顔を出す」という素晴らしい仕組みだと思います。

以上のように、デザイン性の高い防災グッズは確実に出回り始めています。その一方で、「いちデザインとして、有名なデザインの賞を獲るほど優れているか」となると、数えるほどないのが現状でもあります。

持っているとうれしい。デザインが広げる防災への思い

そういった意味では、世界的なデザインの賞である「Red Dot Award」を複数回受賞しているジャクリポータブル電源は、間違いなく「防災×デザイン」を代表する存在の一つだと言えます。

引き立て効果のある黒が、オレンジの鮮やかさを演出しているジャクリのポータブル電源。肌触りの良さが伝わってくる質感からも優しさを感じます。こういったオシャレなデザインが、備えることに対する心理的な抵抗感をぬぐってくれるのは、ここまでに述べた通りです。「手に入れた時にテンションが上がるか」が一つの基準になるかと思いますが、そういった防災グッズが増えていくことは、防災の裾野が広がっていくことにつながっていくはずです。

防災に根付いているネガティブなイメージを打破するには、「デザインと共に進んでいく道」も、紛れもなく一つの正攻法。くまさん消火器、LIFEGIFT、ジャクリのポータブル電源。これからも「防災×デザイン」という角度からも、私たちに防災の大切さを伝えていってほしい限りです。

かわいい防災グッズ。かっこいい防災グッズ。インテリアになじむ自然さ。ぬくもりを感じる形。デザインという武器を片手に今、防災グッズは進化しています。

これから春を迎えることで、家族や友人の中に、生活環境が変わる人もきっといるかと思います。温かい気持ちを込めて、おしゃれな防災グッズをプレゼントしてみるのはいかがでしょうか。


著者プロフィール

小川光一(おがわこういち)
1987年東京生まれ。作家、映画監督。

国内外を問わず、防災教育や国際支援を中心に活動。日本唯一の「映画を作ることができる防災専門家」として、全47都道府県で講演実績がある。2016年に執筆した防災対策本『いつ大災害が起きても家族で生き延びる』は日本・韓国の二カ国にて出版されている。日本防災士機構認定防災士/認定NPO法人 桜ライン311理事ほか。現在、著書「太陽のパトロール~親子で一緒に考える防災児童文学~」が発売中。

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2 コメント


  • あるこ

    おしゃれな防災が増えてるなんて知らなかった!久々に面白い防災記事を読んだ気がします。来月も楽しみにしています。


  • とがわはつえ

    防災用電源として素晴らしい製品だと思い個人用として購入しました。キャンプは一切しません。もし公式で医療用の機器との互換性が実証済みであれば、公表していただき、もっと周囲に紹介しつつ、行政の助成金にも声をあげていきたいです。多くの人が停電の恐怖とも日々戦っています。例えば、在宅酸素濃縮器や在宅用人工呼吸器、吸引器です。ガソリンを使う発電機では電圧の不安定から故障のリスクがあり推奨されていませんので、こちらの製品に期待しております。訪問看護師の立場で非常に興味深いです。是非ともご回答お願い致します。


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