外で食べるご飯を多くの人に楽しんでほしい そとご飯スタイリスト 風森美絵
雑誌、テレビ、ウェブメディアなどで人気のアウトドアフードコーディネーター、風森美絵さん。
キャンプや車中泊がメディアで取り上げられる機会が増えるにつれて、キャンプで楽しむ料理を紹介するシーンも増加してきた。
そんな中で読者、視聴者、ユーザーに合わせてアウトドアで楽しむ食事を提案し、そこに沿える食器やテーブルまで美しく整えるのが、「そとご飯スタイリスト」の風森美絵さんだ。
春は、夏や冬に比べて快適に過ごせるので、キャンプを気軽に楽しめるベストシーズンです。
今年こそキャンプデビューをしたいと思っている人向けにキャンプの始め方についてまとめてみました。
料理人時代の経験を活かしてアウトドア料理を提案
どんな過ごし方をするのかを決めよう
アウトドア、料理の知識はもちろん、アート的な感性も必要になる専門性の高い仕事だが、風森さんはいかにしてこの分野で活動の幅を広げていったのだろうか。そのいきさつと仕事へのこだわりに迫った。
もともとアーティストとして絵画や作品を作ってきた風森さん。
昔からキャンプや料理にも興味がああったという。そんな彼女がなぜ「外ごはんスタイリスト」としてさまざまなメディアで引っ張りだこの存在となったのだろうか。そのいきさつを聞いてみた。
「今の職業をやる前は調理師をしていて、調理師免許も取得していました。外でごはんを食べるのがすごく好きで、キャンプで一人でごはんを作って楽しんでいたんですが、そうしたところアウトドアブームが到来しました。
そのブームを察知したメディアの方々が、キャンプでごはんを作れる女性を探したんじゃないかと思うんです。私は当時ブログで外ごはんを発信していたんですが、それを見て声をかけていただいたのが、今の仕事のきっかけですね」
最初にアウトドア人気が出始めた10年ほど前は、レシピづくりの依頼が多かったが、イタリアンで4年、割烹で1年やったコックの経験が生き、レシピのレパートリーの豊富さ、テーマ性のあるスタイリングで常にプラスアルファの提案をしていたことで、仕事は少しずつ増えていった。
現在はアウトドアクッキング協会会長も務める彼女に仕事でのこだわりを聞いてみた。
「見ている人が現実に再現できることと、見栄えの良いファンタジックな料理のギリギリの線を狙うことがこだわりですね。思い切りファンタジックにすると、見た目は良いのですが作られたものになってしまい、日常から遠いところになってしまいます。そうではなくて、誰にでもできるような、ちょっとしたアイデアを提供することを大事にしていますね」
初めてキャンプする時に悩んでしまうのが道具をどうするか。お店に足を運んだり、インターネットで検索をしてみても、たくさんあるキャンプグッズを前に迷ってしまう人も多いのでは。
キャンプはどんな過ごし方をするのかで道具も変わってきます。まずは過ごし方をどうするのかを考えてみましょう。
・日帰りキャンプ(デイキャンプ)
テント泊をしない日帰りのデイキャンプがしたいなら、寝るための道具類は必要ありません。明るいうちに撤収するならランタンなどの照明も必要ないでしょう。春のデイキャンプならテーブルやチェア、焚火台、調理に必要なアイテムなどがあれば十分楽しめます。
・1泊してみたい
キャンプで朝を迎える心地良さはキャンプの醍醐味のひとつ。デイキャンプの道具に加えて、テントや寒さをしのげるシュラフ(寝袋)、照明器具や焚き火道具があれば春の1泊キャンプなら楽しめるはず。ただ春キャンプでも夜や朝は冷え込みこともあるので、服装で調節できるように温かい服も用意しておきましょう。
・ソロキャンプやファミリーキャンプがしたい
人数が変わっても必要になる道具に変化はありません。人数分揃える、またアイテムはファミリーキャンプ向け、大人数向けのものを選びましょう。ソロキャンプなら、必要最低限の道具でシンプルに済ませることもできます。
・自然の中で本とコーヒーを楽しみたい
コーヒーが大好きだから自然の中で味わいたい、という人もいるでしょう。その場合はアウトドア用のコーヒーグッズを見てみてはいかがでしょうか。焚火を使って豆から炒るなど、いつもと違った楽しみ方もできます。また、本を読みたい人はチェアにこだわってみるのも大事。日差しが強くなった時に備えて、タープを用意すると、日よけに加えて目線を防ぎプライベートな空間にすることができます。
このようにどんな過ごし方をしたいのかによって必要な道具は変わります。全部を買いそろえると思うとハードルが高いですが、家にあるものを有効活用しながら、やりたいキャンプに合わせて道具を揃えていきましょう。
外で食べるご飯をもっと多くの人に楽しんでほしい
初めてのキャンプ場の選び方と
予約の方法
実際に彼女が料理&スタイリングしてくれたセットの一例がこちらだ。
テーマは『大人の休日』。男性女性問わず、大人2名を想定し、ステーキをメインにズッキーニとポテトのハーブソテーとフルーツを添えている。
さらに背景に電飾を配置することで、全体の雰囲気をより華やかでオシャレものにしている。
この電飾を演出するためにはポータブル電源「Jackeryポータブル電源1500」がとても重宝するため、撮影には必ず持っていくという。
「今までだと、発電機を使ったり、車を近くに寄せて、エンジンをかけて電源を引っ張っていたんですけど、それだと音が出てしまうんです。ムービーの撮影の場合は、風の音だったり、虫の音だったり、自然の音を生かしたいので、音が出ないポータブル電源は必須ですね」
どんな過ごし方がしたいかを決めたら、次にキャンプ場を決めましょう。ここではキャンプ場の選び方と予約方法について解説します。
キャンプ場選びにおいても、どんなキャンプをしたいのかに合わせて選ぶようにしましょう。
・ロケーションで選ぶ
木々に囲まれた山の中の環境なのか、海を眺めたい、絶景ポイントが良い、など自分のやりたいことを考慮しながらキャンプ場選びを進めましょう。
・自宅からの距離で選ぶ
初めてのキャンプでは予定通りいかないことが当たり前。テントの設営に思っていたよりも時間がかかってしまうことも。そのため時間に余裕をもっておけるように、自宅から1時間から2時間以内の距離にあるキャンプ場を選んでおくことおすすめします。
キャンプ場の種類を
把握しよう
オートキャンプ場
車をテントサイトの隣りに泊めることができるので、駐車場からサイトまで重たいものを運ぶ大変さを軽減することができます。
区画サイト
一区画が線や目印などで区切られているキャンプ場。隣同士があまりに近すぎるとプライベート感が出ない場合があります。キャンプ場の口コミなどで確認しましょう。
フリーサイト
区画が無く、エリア内で自由にテントを張ることができます。トップシーズンは近すぎることも。ただ区画が無い分、人数が多い時には区画に区切られることがないため、おすすめです。
電源サイト
家庭用と同じAC電源が使えるため、電気毛布やサーキュレーターなどを使用して快適に過ごすことができます。
コテージ・バンガロー
屋根付きの小屋に泊まることができます。寝具やエアコンが付いているケースもあり、道具を用意することなく、気軽に宿泊が楽しめます。
グランピング
最近増えているのが宿泊+食事の付いたグランピング施設。常設のテントの場合もあれば、豪華なホテルの一室のようになっている施設も。食事も付いているため、手ぶらで楽しむことができます。
上記を参考に、どんなキャンプ場にするのかを決めたら、キャンプの予約サイトなどを利用する、あるいは電話で予約を行いましょう。直前にキャンセルを行うと、キャンセル料が発生することもあるため、事前にキャンセルの条件を確認しておきましょう。
キャンプ場を利用する流れと
後片付け
キャンプ場の利用は、ホテルを利用する場合と同じようにチェックインとチェックアウトをします。そのため、最初に訪れた際は、必ず受付でチェックインを行いましょう。チェックインを済ませたら、テントサイトへと移動します。
場所が指定されておらず、自分で選べる場合は以下の内容を元に場所を選ぶと良いでしょう。
・春キャンプは日当たりが良くて風通しがいい場所
・地面に凹凸が少なく平らで水はけが良い場所
・他のサイトと気にならない程度の距離がある場所
・車や人の動きが頻繁ではない場所
・トイレや水回り施設から遠すぎず、それでいて近くない場所
・川の中州、崖の下、くぼ地は危険なので避ける
後片づけもしっかりと
キャンプ場がホテルなどと異なるのは、しっかりと後片付けする必要があることです。キャンプ場はホテルではなく、あくまで自然の一部です。きれいに元通りに戻して気持ちよく帰りましょう。
・ゴミが出ないように燃やせるもの、洗って再利用できるものを準備する
・油の処理はオイルポットに入れたり固めたり、正しく行うこと
・天然成分の洗剤を使って環境保護しましょう
・焚火の薪は灰になるまで燃やし、キャンプ場の指定の場所に処理するか、持ち帰るようにしましょう。時間的にすべて灰にできなかった場合は「火消し壺」に入れて持ち帰りましょう。
まとめ
春は気候的にも過ごしやすく、アウトドアを楽しむにはピッタリです。キャンプに必要な道具も冬よりは減り、さまざまなキャンプアイテムをそろえる必要もありません。温かい日は川遊びを楽しめたり、木々や川などの自然を眺めているだけでワクワクする季節です。
そんな春だからこそ、初めてのキャンプデビューにぜひトライしてみましょう。
また、撮影では意外な場面でポータブル電源を使うことがあるという。
「番組に出演する時にドライヤーを持っていきました。暑い時期に外で料理をすると、とても汗をかくので、ドライヤーで汗を乾かしたり、髪を整えたりしていました。それから私は全体のスタイリングを行なう時に、布を多く使うんですが、ポータブル電源があれば、家で使っているアイロンが現場でも使えるのでいいですね」
日夜、アウトドアでの料理とスタイリングを探求し続けている風森さん。最後にその魅力について聞いてみた。
「リビングで食べるごはんを、お庭とかベランダとか、ちょっと外に持ち出すだけで、同じごはんを食べたとしても、非日常感というか、特別感を味わえて、美味しく感じる気がします。また焚火や炭火を使った料理ができるのも外ならではの魅力です。まずはピクニックやデイキャンプからでもぜひ気軽に試してほしいです」
一人でも多くの人に、アウトドアで食べる食事の魅力を知ってもらえるよう、風森さんはおいしい料理の提案はもちろん非日常の空間づくりのために、これからもアイデアを紡ぎ出していく。
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