ポータブル電源に内蔵されているリチウムイオン二次電池とは
かつて乾電池は使い終わったら捨てるものでしたが、充電すれば繰り返し使える「リチウムイオン二次電池」がパソコンやスマホに搭載されたことで「充電」という行為が我々の生活の中ですっかり定着してきました。ポータブル電源にも搭載されている、リチウムイオン二次電池とは一体どんな電池なのでしょうか。
リチウムイオン二次電池は化学電池
リチウムイオン二次電池は化学電池
電池には大きく分けて化学電池と物理電池があります。化学電池とは化学反応から電気を取り出す電池で、物理電池とは運動エネルギーや光のエネルギーと言った物理エネルギーを電気に変換します。
化学電池は乾電池や燃料電池などが該当します。一方の物理電池には、太陽電池や原子力電池などがあります。太陽電池は光を直接電気に変換できるため、ソーラーパネルに使用されます。
原子力電池は通常の方法では電気が得られない、特殊な環境で使用されており、代表的な用途はボイジャーを始めとした宇宙探査機に使用されています。
リチウムイオン二次電池は、前者の化学電池に属しており、正極活性物質にアルカリ金属であるリチウム合金が使用されているため、リチウムイオン電池と呼ばれています。
使い切りの一次電池と繰り返し使える二次電池
使い切りの一次電池と
繰り返し使える二次電池
電池は充電ができないタイプと充電ができるタイプに分けられ、充電ができないタイプは一次電池、充電ができるタイプは二次電池と呼ばれています。
電池は使用用途に応じて適切なタイプが選択されていますが、化学電池の方が使いやすく汎用性が高いので身の回りに使用されている電池は化学電池が多くなっています。
身の回りの化学電池には、カメラやパソコン、スマホ、ドローンに使われているリチウムイオン二次電池、リモコンなどに使用されるマンガン電池にアルカリ電池、自動車のバッテリーに使用される鉛バッテリーなどがあります。
ここで、なぜ高性能なリチウムイオン二次電池があるのに、未だにマンガン乾電池や鉛バッテリーが使用されているのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
これにはいくつか理由がありますが、リチウムイオン二次電池が高価なことと、公称電圧が3.7Vと高いことなどが挙げられます。
一次電池であるマンガン乾電池の公称電圧は1.5Vです。時計やおもちゃを動かす程度の用途にはこの安価な一次電池のマンガン乾電池の方が適しており、高価なリチウムイオン二次電池ではオーバースペックになってしまいます。
なお、自動車に使用されている鉛バッテリーは、リチウムイオン二次電池と置き換え可能ですが、鉛バッテリーは安価な上に古くから使用されているので信頼性が高く、リチウムイオン二次電池への置き換えは進んでいません。
一方で、電気自動車には沢山のリチウムイオン二次電池がすでに搭載されていますので、鉛バッテリーを使用する必要はありません。
このため、電気自動車化が進み、リチウムイオン二次電池が自動車バッテリーの標準となれば鉛バッテリーからリチウムイオン二次電気に置き換わって行くと考えられます。
リチウムイオン二次電池の特徴
リチウムイオン二次電池の特徴
リチウムイオン二次電池は従来の二次電池と比較してエネルギー密度が高い、公称電圧が高い、急速充放電が可能、長寿命などの特徴があります。
エネルギー密度とは単位体積もしくは重量当たりに蓄えられているエネルギー量を言いますが、電池の場合は電力量を指しています。このため、他の電池に比べて小型で大量の電気を充電できるうえに、軽量な電池となります。
公称電圧とは通常使用した際の目安とされる電圧ですが、この公称電圧が3.7Vと高いために、少数のセルを直列に接続させると高電圧が得られます。
また充電の際には大電流で一気に充電できる上に、放電の際も安定して大きな電流を流すことができます。これらの特徴から、リチウムイオン二次電池は小型であるにもかかわらず、消費電力の高い機器類の長時間使用が可能な電池となっています。
これらの他にも長寿命であることもリチウムイオン二次電池の特筆すべき特徴だと言えます。二次電池は充電と放電を繰り返すと劣化してしまい、当初持っていた性能が次第に低下していきます。
リチウムイオン二次電池も例外ではなく、充放電を繰り返すにつれて低下してしまいますが、この低下の速度が他の二次電池に比べてゆっくりであることから「長寿命」と呼ばれています。
また、他のタイプの二次電池に見られるメモリー効果がないことから、継ぎ足し充電の際に電圧低下が起こらず安定した放電を続けられます。これらに加えて充放電の効率が高いことも長寿命の要因となっています。
リチウムイオン二次電池を
使用する際に気を付ける点
リチウムイオン二次電池を使用する際に気を付ける点
リチウムイオン二次電池は非常に高性能で、従来の二次電池を凌駕する存在となっていますが、一方で使い方を間違えると寿命が短くなります。
スマートフォンを購入した後、電源を入れると充電量は60%程度となっていますが、これは充電量を節約した訳ではなく、リチウムイオン二次電池を保護するためにあえて、この充電量にしているのです。
リチウムイオン二次電池に最もダメージが入る状態は、満充電と過放電、つまり充電を完了したにもかかわらず充電し続けることと、逆に完全に放電してしまうことです。これらの満充電と過放電は両者ともに電極にダメージが入ってしまい、一度ダメージが入ってしまうと、もう元の状態には戻りません。
このため、リチウムイオン二次電池を使用している機器類には満充電と過放電を防ぐための保護回路が組み込まれていて電池を保護していますが、充電器に繋いだままや、充電が切れた状態で長期間放置して置くと少なからず満充電と過放電の状態になってしまい、電池にダメージが入ってしまいます。
このため、充電が終わるとこまめに充電器から切り離すことや、普段あまり使用しないスマートフォンなどは電気が切れる前に充電するようにすることが望ましいです。
もう一つの劣化要因は温度です。リチウムイオン二次電池は高温に弱く、45℃以上になると劣化が進み電池が膨張しまうこともあります。例えば、夏場の炎天下で直射日光の当たる車内に放置してしまうとリチウムイオン二次電池が45℃以上になってしまう可能性が高く劣化は避けられません。このため、夏場や高温になるキッチンなどでの使用の際には気を付ける必要があります。
リチウムイオン二次電池を使用する際のこれらの注意点はポータブル電源を使用する際にも当てはまります。これらの点に留意することで、安全に長く使用することができるのです。
まとめ
まとめ
リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度、公称電圧、充放電性能、寿命などの面で既存の二次電池をはるかに凌ぐ性能をもった電池です。しかし、満充電や過放電、高温に弱く使い方を間違えると劣化しやすいために、高温にならないように気を付けて使用する必要があります。
ちなみにJackeryのポータブル電源は、バッテリーマネジメントシステムを搭載し、過充電や過放電を自動で保護する機能があります。ポータブル電源を選ぶ際は、値段や容量だけでなく、こうしたバッテリーの保護機能なども確認したうえで、購入することをおすすめします。
コメント