日常生活と避難生活のどちらにも有効、ポータブル電源&ソーラーパネルでお手軽に防災対策

9月1日は「防災の日」。大きな災害を経験したり節目を迎えたりするたびに、私たちの防災意識は高まる。一方で時が経てば、その意識が薄まるのも確か。常に危機感を持つことはもちろん大事だが、意識しなくても災害への対策になるような日常生活の習慣や自宅の備えがあれば、いざという時にも頼りになる。普段から準備できる防災対策について、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんに話を聞いた。

災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さん
災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さん

和田隆昌(わだ・たかまさ)さん

災害危機管理アドバイザー。アウトドア雑誌の編集者として数々の自然災害現場を取材。防災士の資格を取得後、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの被災地で得たノウハウを、企業や自治体の防災対策に生かす活動を行っている。講演会、雑誌記事の構成・執筆、テレビ出演など多数。著書に『【最新版】中高年のための 「読む防災」』(ワニブックス)がある。

年々増加傾向が続く豪雨災害

年々増加傾向が続く豪雨災害

近年、夏から秋にかけて豪雨災害が多く発生している。今年も台風シーズンには広域的な被害が危惧され、日本全国で備えが求められている。

気象庁の観測データでも、滝のような強い雨の降る頻度が年々増加していることがわかる。1時間に50mm以上の降水量が発生する回数は、最近10年間(2012~2021年)の年間平均が327回。1976~1985年の平均226回に比べると、約1.4倍に増加している。

年々増加傾向が続く豪雨災害

棒グラフ(緑)は各年の年間発生回数を示す(全国のアメダスによる観測地を1,300地点あたりに換算した値)。太線(青)は5年移動平均値、直線(赤)は長期変化傾向(この期間の平均的な変化傾向)を示す。出典:気象庁ホームページ

和田さんは「これは日本付近の海水温の上昇とともに増えている、大気中の水蒸気量と関係している可能性が高いと言われています。豪雨が増加していることに加え、山間部の住宅地が開発されていることも関係して、土砂災害も増加傾向にあります」と説明する。

昨年7月に静岡県熱海市で起こった土石流災害のように、豪雨から複合的な被害へとつながっていく可能性もある。「周辺の海水温の上昇が続くと、豪雨による災害はもっと増えるでしょう」と和田さんは語る。

「自宅避難」に備えるポイントは?

「自宅避難」に備えるポイントは?

和田さんの印象に残っている災害が、2019年9月に関東で多大な被害を及ぼした台風15号。千葉県内では最大64万戸が停電し、厳しい残暑のなかで2週間以上にわたりエアコンなしの生活を強いられた人もいた。先進国の中でも停電が非常に少なく、電気が当たり前に使えることに慣れている日本人にとって、長期間の停電は生活へのダメージが大きいことを象徴する災害だった。

当時のことを「何度も現地を訪れましたが、避難所では皆さん大変苦労されていました。熱中症で搬送された方も多かったと聞いています。水や食料は備蓄や配給などで一定期間しのげますが、家庭の電気が止まってしまうと、明かりもなく、通信や情報の収集ができなくなるので、避難所などへ移動せざるをえません」と和田さんは振り返る。

コロナ禍で感染症対策などが求められる現在、状況は少し変わった。災害の種類や規模によっては、避難所よりも自宅に待機すべき事態が増えることが想定される。「インフラが回復するのを自宅で待つ『自宅避難』ができる準備をしておくべき」と和田さん。

「自宅避難」の備えについて、和田さんは「水や食料の一定の備蓄」「明かりや情報収集のための電源確保」などのポイントを挙げる。

災害のことを忘れても、防災に役立つ日常生活の知恵を

災害のことを忘れても、防災に役立つ日常生活の知恵を

2011年の東日本大震災以降、防災に関して考える機会が多くなった。和田さんは講演など防災関連の活動をしている中で、常日頃から防災に対して意識を持つことの難しさを実感しているという。

災害のことを忘れても、防災に役立つ日常生活の知恵を
災害のことを忘れても、防災に役立つ日常生活の知恵を

「防災意識というものは災害発生直後には一時的に高まるものの、平穏期が長くなると著しく低下してしまうものです。災害のことを普段から考えたくない、忘れないとやっていられないというのは、ある意味では人間の防衛本能とも言えますし、仕方がないことなのかもしれません」

そこで、和田さんが提唱するのが、いざという時の防災にも役立てられるような「日常生活の知恵」。アウトドアの知識や節約のアイデアなどを普段の生活に取り入れることで、万一災害に遭った際のサバイバル術も、自然に実践できるというものだ。

災害時に「ポータブル電源」「ソーラーパネル」を活用

災害時に「ポータブル電源」「ソーラーパネル」を活用

災害時に電源を確保する方法として、存在感を増しているのがリチウムイオン充電池を使った「ポータブル電源」だ。手軽に充電ができて、よく使う家電製品に電力を供給できることから、人気も拡大。一般家庭はもちろん、事業継続計画のために利用する企業や、被災者への貸し出し用に準備する自治体など、全国で導入の動きが進んでいる。

ポータブル電源は、和田さんがキーワードに挙げた「自宅避難」「日常生活の知恵」という2つの観点から見ても、防災に役立つアイテムだと言える。緊急時に電力のインフラが途切れた際には必要最低限の電源を確保できるだけでなく、日常生活にも取り入れることができるからだ。

さらに、Jackery(ジャクリ)の製品のように、ソーラーパネルとセットにして使えるポータブル電源が登場。太陽光発電でつくった電力を充電することで、ポータブル電源に残された電力を切らすことなく、長期間の避難生活にも利用の幅が広がった。

災害時に「ポータブル電源」「ソーラーパネル」を活用
災害時に「ポータブル電源」「ソーラーパネル」を活用

自分に必要な電化製品を見極めよう

自分に必要な電化製品を見極めよう

災害時に必要となる電力は、まずは夜間の照明と、連絡や情報収集の手段となる携帯電話・スマートフォンへの充電。季節によっては暑さや寒さをしのぐために、扇風機や電気毛布も使いたいところだ。人によっては、小型冷蔵庫やノートパソコンなどが必要になってくる場合もあるだろう。

ポータブル電源の選び方について、和田さんは「Jackeryの場合、バリエーションが多いのが特長です。どんな家電をどの程度使用するかを考えて、自分に必要な容量のものを選ぶと良いでしょう」とアドバイスする。

Jackeryのポータブル電源(2022年8月現在)の定格出力は200~2200Wで、使いたい電化製品の消費電力が目安となる。各製品の電力容量は240~2160Whで、容量が大きいほど長く電気を使用することができる。

賢い使い方のヒントとして和田さんが教えてくれたのが、USBから給電する電化製品だ。ポータブル電源からUSB出力でスマホなどを充電できるだけでなく、さまざまな便利な製品も利用できる。水が蒸発する際の気化熱で空気を冷やす「冷風機」は、和田さん自身が今年の夏にエアコン工事の際に助けられて、その後もエアコンと併用しているという。消費電力が低く、ポータブル電源の電力をこまめに使って暑さをしのぐには打ってつけのアイテムだ。

使いたい電気製品の「消費電力(W)」を確認する>>

ポータブル電源の普段使いで節電意識も向上

ポータブル電源の普段使いで節電意識も向上

「いざという時に使えない防災用品は役に立たない」と和田さんは主張する。防災グッズが家の奥で眠っていてはもったいないのと同様に、ポータブル電源も常に充電されていることが重要だ。だからこそ、ポータブル電源を普段から使いこなすことが、災害時にも活用するための秘けつとなる。

「コンセントのない場所でのホームワークやベランダ、庭の照明など、月に最低一度は使用することをおすすめします。日常的に使用することで、緊急時に充電不足で使えないことを防いでくれます。また、キャンプの際にも照明や音楽などのさまざまな使い方ができ、容量によっては小型のクーラーボックス、炊飯器、コーヒーメーカーにも使用できます」

どうしてもポータブル電源の残り容量が心配な人にとっては、ソーラーパネルが希望の光となる。発電できる電力の量は天候などに左右されるが、避難生活の途中で充電できるという安心感は心強い。

電力は好きなだけ使えるわけではない。ポータブル電源を普段使いすることによって、災害に遭う前にその現実に気づいたり、節電の意識が芽生えたりすることもあるだろう。そして普段から日常的に節電を意識することができれば、万一の避難生活も乗り切りやすくなるはずだ。

近い将来、一家に一台の時代が来るかもしれないポータブル電源。我が家ならではの使い方を考えてみてはいかがだろうか?

 

オールインワンの太陽光発電システム「Jackery Solar Generator」

オールインワンの太陽光発電システム「Jackery Solar Generator」

Jackeryポータブル電源とソーラーパネルがセットになった「Jackery Solar Generator」。ソーラーパネルが屋外で太陽光を吸収することで発電し、ポータブル電源にケーブルを接続することで充電が可能です。災害時の備えやアウトドアでの電化製品使用など、さまざまなシーンで活用できるセットです。

オールインワンの太陽光発電システム「Jackery Solar Generator」

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