備蓄から寒さ対策まで!今からできる5つの冬防災

冬シーズンが到来しました。皆さんは「冬」と聞いて、どんな災害を思い浮かべますか?

春夏秋冬が鮮やかな日本では、季節特有の災害というものがあります。その中でも、真っ先に挙げられるのが「雪害」です。雪景色や雪だるま、スキーやスノーボード・・・雪という存在は、私たちにとって楽しいものというイメージが強いですが、その一方で、雪害によって命を落とす人が毎年いることも事実です。

また、災害によって「停電」が引き起こされた際には、特に苦しい状況に追い込まれるのが冬などの寒い季節になります。異常気象も増えている中で、雪や寒さに対して備える必要性は上がってきていると言われています。今回は「防災×冬」をテーマに、私たちが備えておくべきことをご紹介いたします。

備蓄から寒さ対策まで!今からできる5つの冬防災

日本は世界を代表する豪雪国

雪による災害と聞いても、地域によってはピンと来ない人も多いかもしれません。しかし、私も大人になってから知って驚きましたが、日本は「平地における積雪量」や「山岳部における積雪高」など、多くの世界記録を保持しているのです。

また、シベリアからの季節風や太平洋沖合の南岸低気圧など、大雪を降らせる要素も多くあり、日本の国土には「豪雪地帯」に指定されている土地が多くあります。日本はまぎれもなく「世界を代表する豪雪国」の一つなのです。そして、その雪があまりに降り過ぎた場合、災害へと発展することになります。

雪害は、主に3種類あります。「除雪中の事故」「雪道での事故」「雪崩による事故」です。一年中降るわけではないので、頻度が少ない災害であることは事実ですが、過去20年の自然災害による死者数の内訳を見ると、雪害が最も犠牲者を出している年もあります。油断してはいけない災害の一つであることは間違いないですし、いつかその被害が自分に及んでしまう前に、できる限りの備えはしておくべきだと思います。

日本は世界を代表する豪雪国

停電や感染症の問題も! さまざまな冬に備える

冬に気を付けるべきものは雪害だけではありません。大雪に限らず、台風や地震によっても引き起こされる「停電」にも注意が必要です。寒い時期の停電は、暖房器具が使えなくなり、備えが不十分な場合には命に関わる危険性があるからです。

ほかにも、冬は空気が乾燥しているので、インフルエンザを中心に「感染症」の危険性も増します。避難所生活や停電生活なども重なった場合、衛生状態も悪化することになるので、災害時における感染症対策にはより力を入れる必要があります。

今までのコラムでも再三にわたってお話ししてきましたが、防災にはキリがありません。冬でも同じことが言えますが、今回は「停電・感染症・雪害から命を守るために」という視点で5つの備え方をピックアップしました。もし備えていないものがあれば、ぜひ参考にしてみてください。

  1. ジャクリ製品
  2. ローリングストック法
  3. スコップ
  4. ニットキャップ
  5. 雪崩(なだれ)に対する知識
停電や感染症の問題も! さまざまな冬に備える

①ジャクリ製品

まず、桁違いの防災力で私たちを助けてくれるものとして、ポータブル電源の存在があります。大雪は停電を招きやすく、その際に上手に暖を取ることができなければ、命の危険に晒されることになります。また、雪に限らずですが、未曾有の大災害が起きようものなら、ライフライン復旧まで持久戦となることは必至です。それが真冬だったらと思うと、ゾッとします。そんな時こそ、ジャクリ製品ほど心強いものはなく、圧倒的なパワーを発揮してくれます。

ジャクリ製品は安全性に優れている上で、溜めておいた大量の電力を少しずつ使っていくことができます。最近では、小さな電力でしっかりと暖が取れる「充電式カイロ」などが発売されていますが、そういった寒さ対策グッズとセットで揃えておくことをおすすめします。

②ローリングストック法

大雪はライフラインを壊すだけでなく、地域によっては移動ルートを封鎖してしまう場合があります。その際には、手元の食料のみによる生活を余儀なくされますので、備蓄品は非常に重要になります。

今までの備蓄では、日頃使用しないものを特別に準備する傾向があり、「久々に非常食をチェックしたら賞味期限が切れていた」なんて話もよく耳にしました。しかし、最近では「ローリングストック法」という考え方が広まりつつあります。

日頃からよく食べるものを多めにストックしておく。それを定期的に食べる。食べた分を補充する。これらを繰り返すことを、ローリングストック法といいます。この方法であれば、缶詰や乾パンではなく、自分や家族が純粋に好きな食料を、そのまま災害時に食べることができるので、ストレス緩和の効果もあります。

また、ローリングストック法は食料だけに留まらず、生活用品などにも応用することができます。例えば、マスクやアルコール消毒液なども、使用しながら常にストックもある状態を維持しておくことで、入手困難な状況になっても問題ないので、立派な感染症対策になるのです。

③スコップ

ドアから出られなくなったり、雪の重さで屋根が壊れたり、大雪によって居住地が脅かされるケースもあります。地域によっては縁がない道具ですが、雪かきをするアイテムとしてスコップが1個あるだけでも状況は大きく変わりますので、あるに越したことはない防災グッズだと思います。

なお、大雪における一番の死亡原因は、除雪中と言われています。その中でも非常に多いのが屋根からの転落です。命綱やヘルメットを着用すること、地面への強打を防ぐために建物の周りの雪を先に除雪しないことなど、ポイントを抑えて作業する必要があります。

④ニットキャップ

雪道で転びそうになった経験は多くの人がしたことがあると思いますが、やはり大雪時にも気を付けなくてはいけないことの一つです。

滑りにくいクツを用意しておくことや、歩く時はできるだけ歩幅を小さくしてペンギン歩きをすることも大切ですが、ニットキャップを被ることもおすすめします。

これは地震に関する話でも出てくることですが、防災の原則として「まずは頭部を守る」は常に最優先にするべきポイントです。寒さ対策の意味でも、転倒時の衝撃を和らげる意味でも、ニットキャップは心強い防災アイテムと言われています。

⑤雪崩に対する知識

大雪時には「雪崩」が起きる可能性もあります。国土交通省のデータによると、雪崩の危険個所に指定されている場所は、国内になんと約2万カ所。レジャーなども含め、雪が積もっている斜面に近付く機会がある人は、雪崩の性質などについてもしっかりと理解しておく必要があります。

まず、雪崩はスピードが非常に早く、人間が走って逃げきれる速度ではありません。短期間で大量に雪が積もった時にはそもそも近付かないことも大事ですし、積雪した斜面に「しわ」「ひび」「こぶ」などが見られた場合はすぐにその場から離れるようにしてください。

また、万が一、雪崩に巻き込まれてしまった場合は「雪の中で泳いで浮上する」「荷物を外す」「雪が止まりそうになった時、両手で口の前に空間を作る」などの行動を取るようにしてください。特に、両手で口の前に息ができる空間を作れるかどうかで生存時間は大きく変わると言われています。

冬の防災への備え

年末の大掃除も防災チャンス

毎年12月1日~12月7日は「雪崩防災週間」として設定されており、本格的な冬シーズンを前に、雪崩に関連する知識の普及啓発が促進されています。

冬ならではの災害や影響について想像を膨らませること、しっかりと備えておくことは、雪崩防災週間と同じように本格的な冬が始まる前にこそ大切です。

また、防災をするタイミングとして、「大掃除のついでに」という声もよく聞きます。日頃からコツコツ防災をすることがベストではありますが、なかなか踏み出せなかった人は、この年末に何か一つでも備えを増やすことで、より気持ちよく新年を迎えられるかもしれません。

今回は「防災×冬」をテーマに、5つの備えについてお話しました。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。やるべきことはほかにもたくさんありますが、この防災コラムが、皆さんの冬防災に少しでも活かされることを願っております。


著者プロフィール

小川光一(おがわこういち)

小川光一(おがわこういち)
1987年東京生まれ。作家、映画監督。

国内外を問わず、防災教育や国際支援を中心に活動。日本唯一の「映画を作ることができる防災専門家」として、全47都道府県で講演実績がある。2016年に執筆した防災対策本『いつ大災害が起きても家族で生き延びる』は日本・韓国の二カ国にて出版されている。日本防災士機構認定防災士/認定NPO法人 桜ライン311理事ほか。現在、著書「太陽のパトロール~親子で一緒に考える防災児童文学~」が発売中。


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