キャンプギアを活用したアウトドア防災のススメ
地震や台風といった自然災害が多い日本において、防災グッズを用意しておくことは、もはや当たり前になっています。その防災グッズに、キャンプギアを取り入れてみてはいかがでしょうか。屋外での活動のために作られた、タフなキャンプギアは災害時にも役立つアイテムばかりです。
災害時の避難は2パターンが想定される
普段からできる台風対策
地震や台風といった災害が起こると、電気、水道、ガス、交通機関、道路などのライフラインが遮断されます。復旧の目安として「電気で6日、水道で30日、ガス(都市ガス)で55日」とされており、避難生活が始まると長期間いつもと違う生活を送ることになります。
電気、水、ガスが使えないと、普段使用している家電やアイテムも自由に使えなくなり、できることが限られてしまいます。そんな時に役立つのがキャンプギアです。
まず、災害が起きた場合、大きく分けて、自宅に滞在する「在宅避難」か「避難所」に移動して生活するという2つのパターンがあります。それぞれの避難場所に合わせて活用できるキャンプギアを紹介します。
在宅避難で役立つキャンプギア
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在宅避難では、居住空間と寝具が確保できているので水の確保と調理ができることが重要となります。電気、ガスが使えなくなり、調理ができなくなった時に、キャンプ用のバーナーを利用して温かい物が用意できると安心できます。
水の確保のため給水車に向かう際にも、キャンプで使用する軽量な給水ボトルを利用することで、家の中のペットボトルなどを集めるよりも効率的に水を確保することできます。
それ以外に役立つアイテムを以下にまとめました。
利用イメージで最適なモデルを考える
名前 | 用途 |
ガスバーナー・コンロ |
どこでもガス缶で加熱調理できる |
リュック |
大量の水を運べる。物資の運搬の際にも役立つ |
ヘッドライト・ランタン |
ヘッドライトは両手が使え災害時に便利。ランタンは懐中電灯よりも広範囲を照らすことができる。 |
レインウエア |
悪天候時でも両手が空くため物を運搬しやすい |
屋外・避難所で役立つキャンプギア
台風が接近! こんなことに注意して
次に避難所で生活する場合におすすめのアイテムです。在宅避難で紹介した物に加えて寝具や生活空間を確保するものが必要になります。避難所が混雑して利用できない場合やプライバシーの確保のために屋外や車の中で過ごす方法もあります。
それぞれのパターンで役立つキャンプギアを用途と共に以下の表にまとめました。
名前 | 用途 |
テント |
屋外で安心して過ごすための生活空間とプライバシーの確保。 |
タープ |
屋外で屋根代わりに使用し生活スペースを広げる。 |
寝袋 |
床や地面からの冷気をシャットアウトし体温を逃がさない。就寝時以外でも同様に役立つ。 |
スリーピングマット |
悪天候時でも両手が空くため物を運搬しやすい |
テーブル・イス |
食事や日中過ごす空間の確保 |
季節別の災害時に役立つアイテム
雷が落ちたらどうなる?家でできる雷対策
災害は必ずしも快適な季節に起こるわけではありません。そのため、季節ごとの対策も必要となります。
夏の災害対策に役立つアイテム
夏の避難生活では、虫対策としてアウトドアでも利用される「天然のハッカ油」が便利です。
ハッカ油に含まれるメントールが蚊やハエなどを寄せ付けない効果をもっているため、虫よけ効果があります。さらに、ハッカ油を水で薄めて体にふりかけるとスーッとする冷感効果や、さわやかな香りで暑くジメジメした時に気分をスッキリさせてくれます。
冬の災害対策に役立つアイテム
一方で冬場の衣類はかさばるため、避難所に大量に持っていくことができず、着替えが少ないため非常に困ります。そのような時に役立つのが「アウトドア用の高機能インナー」です。保温性が高く、速乾性があるため洗濯した後も乾きやすく非常に機能的です。
菌の繁殖を防ぐものや汗のにおいを緩和する効果があるものがあり、数日同じインナーを着るしかない場合でも、不快感を軽減することができます。
閉鎖的な空間で不便な生活が続くとメンタル面にも不調が起こります。環境の変化に対応するためにさまざまなものを利用し、できるだけ快適に生活することが重要です。
キャンプに行くことが避難生活のトレーニングにつながる
まとめ
非常時にキャンプギアをスムーズに使用できるようになるために、休日のレジャーでキャンプに行くことをおすすめします。
道具の便利さは、必要な時に使ってみて初めて実感できるものです。今回紹介したキャンプギアは、ほんの一部です。災害時に役立つキャンプギアは無数にあると言ってもいいでしょう。色々なアイテムを実際に使いながら、自分に合った使いやすいアイテムを見つけておきましょう。
また、キャンプは避難生活の練習の場としても活用できます。屋外で生活し天候の変化や季節の違いによる気温の違いを肌で感じることができ、いざ避難生活が始まったときでも、すばやく環境の変化に対応する力が身につきます。
ロープでタープを設営したり、物を固定する技術である「ロープワーク」を覚えれば、ブルーシートを使って屋根やシェルターを作ることが可能になります。楽しみながら防災に役立つスキルを得るために、キャンプは有効な手段です。
停電時に役立つポータブル電源とソーラーパネル
ここまで様々なキャンプギアを紹介してきましたが、現在、キャンプ場などで見かけることが増えてきたポータブル電源とソーラーパネルも災害時に役立つアイテムです。
ポータブル電源とソーラーパネルがあれば避難生活におけるあらゆる不便が解消されます。IH調理機やホットプレートなどの調理器具や扇風機、電気毛布といった体温調節に役立つ家電が使用できるうえ、太陽光で発電できるため、ガス缶とは違い継続的にエネルギーを保ち続けることができます。
あらゆる物資が不足する中で、太陽光で継続的に電力が得られることはとても心強く、被災して疲弊した精神を再び前向きにしてくれます。
まとめ
キャンプギアはレジャーだけではなく災害時に転用できることをお伝えしてきました。道具を選ぶ際の目安として防災時に活用できるか、という視点も含めて選択するといざという時にとても役立ちます。
また、キャンプで覚えられるロープワークや自然の中で過ごすために覚えるサバイバル知識は災害にも必ず役立つものです。
ぜひ、この記事を参考にキャンプギアに触れる機会を持ち、防災について考えてみてはいかがでしょうか。
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