防災士の資格とは?
民間団体である日本防災士機構が、2003年から主催する資格が防災士です。近年、国内外で災害が多発していることから、防災士資格への国民の関心が高まり、受験者数は年々増加しています。2024年2月時点では、全国で280,985人が防災士の認定を受けています。
日本防災士機構が掲げる、防災士の基本理念は、以下の3つです。
自助 |
共助 |
協働 |
・自分の命は自分で守る ・日頃から災害に備える ・絶えずスキルアップする |
・地域や職場と協力する ・防災訓練を実施する ・リーダーシップを発揮する |
・各機関が連携する ・災害に強い町を作る ・被災地救援を行う |
防災士の資格を取得する3つのメリット
防災士になることで、大規模災害が発生した際に自分や家族の命を守る術が身に付きます。また、救助の輪を広げていけるのも大きなメリットです。防災士の資格を取得するメリットを紹介します。
防災に関する正しい知識が身につく
災害国家である日本では、いつ大規模災害に巻き込まれるか分かりません。防災士の資格を取得することで、以下のような防災に関する正しい知識が身に付きます。
・個人の平常時の対策
・個人の災害発生時の対応
・ライフラインの被害想定
・地域の防災活動
・災害が発生するしくみ
・災害に関する情報の取得方法
・応急処置の基本
大規模な地震や津波が発生した際には、初動の誤りが命取りになります。自助の基本理念に則り、まずは自分の命を守れる知識と技能を身につけましょう。
災害時に人々を安全な方向に導ける
防災士の資格取得で得た知識・技能によって、大規模災害が発生した際に、周囲の人々を安全な方向に導くことが可能です。防災士になることで、特別な権利が得られたり、義務が発生することはありません。
しかし、防災士は防災に関するエキスパートになった証でもあるので、避難時や避難生活において、リーダーシップを発揮できます。正しい行動指針を示すことで、救助の輪は広がっていき、より多くの命が守れるでしょう。
防災訓練・防災教育を開催できる
職場や地域の自治体と協力して、防災訓練や防災教育を開催できます。防災において、災害が発生した後の行動だけでなく、日頃の備えも重要です。防災士が防災訓練や防災教育を通じて、正しい知識・技能を市民に指南することで、防災意識の啓発に繋がります。
現在では、多くの自治体で防災士の養成が「災害に強い町づくり」に有効であると認められています。地域の防災活動のリーダーとして、防災士が任命されることも少なくありません。職場や自治体と連携し、地域の市民を災害から守る活動にぜひ参加してみてください。
防災士になるには?資格の取り方
防災士資格を取得するためには、一般的に以下の4つのステップが必要です。消防士や警察官の現職及びOBの方は、特例制度で取得する方法もあります。
1|防災士養成研修講座を受講する
2日以上の日程で開催される集合研修「防災士養成研修講座」を受講します。日本防災士機構が定めたガイドラインに沿った以下の6章(21講目)構成のうち、12講目以上の履修が必要です。履修しなかった講目は、レポートの提出が求められます。
・第1章 災害発生のしくみ
・第2章 災害に関する情報
・第3章 公的機関や企業等の災害対策
・第4章 自助
・第5章 共助
・第6章 防災士制度
防災士養成研修講座は、全国の都道府県・市区町村・大学等教育機関・民間法人で開催しているので、お近くの研修機関を探してみてください。
2|防災士資格取得試験に合格する
防災士養成研修講座の最終日には、日本防災士機構が実施する「防災士資格取得試験」を受けます。3択で30問が出題され、80%以上の正答で合格です。試験結果は、おおよそ2週間後に日本防災士機構から発送されます。
万が一、不合格だったとしても、受講費はかからずに再受験できますので、ご安心ください。ただし、年度が変わっての再受験は、新しい教本の再購入が必須である場合があります。
3|救急救命講習を受講する
続いて、全国の自治体、地域消防署などが開催している救急救命講習を受講します。認証登録申請時に5年以内に発行された修了証である必要があるので、防災士養成研修講座の前に受講していても問題ありません。
普通救命講習Ⅰと同等の内容であり、心肺蘇生法やAED等に関する知識・技能を習得します。救急救命講習は、団体によっては数か月先まで受講予約が埋まっている可能性があるので、早めに予約しておくと良いでしょう。
4|申請&防災士証の交付
最後に、防災士認証登録の事務手続きを行います。上記の3項目を修了した者のみが、日本防災士機構に「防災士認証登録申請」が可能です(申請料5,000円)。日本防災士機構認証委員会が資格審査を行い、申請の翌月末までに防災士登録台帳に氏名が登録されます。
防災士になった証として、日本防災士機構から「防災士認証状」「防災士証」が交付され、晴れて防災士の仲間入りを果たすのです。
防災士がおすすめする防災グッズ7選
これから防災士の資格を取得しようと考えている方もそうでない方も、以下の7つの防災グッズを備蓄しておくことで、大規模災害が起きた時に役立ちます。いつ起きるか分からない災害に備えて、今のうちから準備しておきましょう。
飲料水
農林水産省や東京消防庁が定めているガイドラインによると、1人1日当たり1Lの飲料水が必要になり、調理などで使う水も含めると3L必要です。災害時は最低でも1週間分の水を確保することが推奨されているので、1人当たり21Lの水を備蓄しておきましょう。
また、災害が起きると飲料水以外にも生活用水が必要です。手を洗ったり、シャワーを浴びたりと日常生活では多くの生活用水を使っています。1人1日当たり10〜20Lの水道水を生活用水用として別に確保しておくのがおすすめです。
食料
災害が発生してから通信や交通といったライフラインが復旧するまでに、約3日かかります。それから物資の援助が始まるので、最低でも3日〜4日分の非常食を備蓄しておきましょう。健康を維持するためには、1日に約2,000kcalが必要です。
以下のような非常食をまんべんなく揃えて、栄養バランスを整えましょう。
・レトルト食品(カレー、スープなど)
・カップ麺
・乾パン
・缶詰(野菜、フルーツ、魚など)
・パックご飯
非常食の保存期間は5年以上あると安心です。災害時にはゴミの回収が止まるので、できるだけゴミがかさばらないパウチタイプを選ぶと良いでしょう。
救急セット
災害時には医療機関が混雑するので、すぐに治療を受けられない可能性があります。救急セットを用意しておき、災害で負傷した際には応急処置を行いましょう。救急セットの中身として、以下の内容品を入れておくのがおすすめです。
・三角巾
・伸縮包帯
・マスク
・ピンセット
・はさみ
・体温計
・消毒液
・絆創膏
・滅菌ガーゼ
救急セットは、セット販売もされているので、ぜひ利用してみてください。
ポータブル電源
災害でライフラインが断たれたとしても、電気の供給を可能にするアイテムがポータブル電源です。ポータブル電源とは、大量の電気をバッテリーに溜め込み、災害時などのコンセントから電気の供給ができない状況でも、電化製品を稼働させられる機器を指します。防災士として、防災対策を呼びかける際にも重要になるアイテムでしょう。
災害時に使用するポータブル電源は、Jackery製がおすすめです。Jackeryのポータブル電源は、創業から11年間で世界販売台数300万台を突破した実績を誇り、自然放電の少なさや、高い安全性を備えています。純正の高い変換効率を誇るソーラーパネルからの蓄電も可能です。防災対策としておすすめの機種を紹介します。
Jackery Solar Generator 600 plus
容量632Wh・定格出力800Wの.ポータブル電源と100Wのソーラーパネルをセットにした製品です。10.95kgという軽量さとコンパクトさを兼ね備えているため、防災リュックに積めて避難し、避難所で即座に取り出して太陽光発電ができます。
AC電源に常に接続していても、バッテリー寿命に影響はないので、災害が起きてすぐに使用できるのも大きなメリットです。 耐衝撃性・耐火性・防水性・防塵性を備えているので、災害時の如何なる環境下でも正常に稼働します。
Jackery Solar Generator 1000 Plus
Jackery ポータブル電源 1000 PlusとJackery SolarSaga 100W ソーラーパネルをセットにした製品です。AC出力やUSB出力などの計8つの多彩なポートから、消費電力の高い家電にも電気を供給できます。5kWhまで拡張できるので、家族の人数が多い方も安心です。
リン酸鉄リチウムイオン電池を採用しているため、防災グッズとして10年以上も活躍します。ソーラーパネルは、IBCセル技術により高い変換効率で太陽光発電が可能です。
携帯ラジオ
災害で送電設備に障害が起きた場合、電気の供給が止まります。スマホを充電することもできないので、情報収集や外部への連絡手段が断たれる恐れがあるのです。そのため、災害時に素早く情報収集できるFM対応の携帯ラジオを用意しておきましょう。
ハンドルを回して発電する手回しタイプにすると、電気の供給が途絶えても心配いりません。携帯ラジオには、SOS機能やライト機能、モバイルバッテリー機能などが搭載している機種もあるので、探してみてください。
現金
普段、現金を持ち歩かないキャッシュレス化を行っている方は、注意が必要です。災害で電気が通っていないと、クレジットカードやQR決済などのキャッシュレス決済が使えません。非常用に2万円ほどの現金を、小銭も混ぜて準備しておきましょう。
簡易トイレ
災害で断水していると、トイレを流せません。そのまま便を放置していると、悪臭を放ち、不衛生です。そのため、持ち歩いて避難所でも使用できる簡易トイレを用意しておきましょう。簡易トイレは、以下のポイントを踏まえて選ぶのがおすすめです。
・防臭力が高い
・凝固速度が速い
・ゴミがコンパクトにまとまるか
防災士の資格に関するよくある質問
これから防災士を目指そうと考えている方が、抱えやすい疑問を紹介します。就職や費用に関わる内容なので、参考にしてみてください。
防災士の資格が有利になる就職先は?
防災士の資格を取得したからといって、就職に有利になることは基本的にはありません。しかし、防災関連の仕事に就く場合には、資格を取得していることがプラスに働く可能性もあります。防災士は全国で28万人を超える登録者がいる、注目度の高い資格です。
特に、地方自治体は防災士への期待度が高く、公費を使って防災士の養成に取り組む自治体が約4800を超えています。防災士の資格を持っておくことで、自治体が主催する防災訓練や防災教育の講師や職員に採用されるかもしれません。
防災士の資格取得にかかる費用は?
防災士資格を取得するためには、以下の4項目の費用が必要です。
項目 |
費用 |
防災士教本代 |
4,000円 |
防災士養成研修講座受講費 |
※研修機関ごとに異なる |
防災士資格取得試験受験料 |
3,000円 |
防災士認証登録料 |
5,000円 |
※防災士養成研修講座の参加費は、各研修期間によって異なるので、主催者に確認しましょう。50,000円程の価格設定がされている場合がほとんどです。
防災士になると何ができる?
「自宅」「職場」「地域」の3つの分野で、防災への取り組みが行えるようになります。防災士の基本理念「自助」に則り、まずは自分の命を守れるようになるでしょう。そして、職場や地域と連携することで、防災のための備えを市民に呼びかけ、災害発生時にはリーダーシップを発揮して、市民を安全な方向へと導きます。
防災士は自ら動くことが大前提です。防災士の資格を取得したら、自主防災組織や自治体との話し合いを通して、地域防災力の向上に努めましょう。
まとめ|防災士の資格にはメリットがたくさんある
防災士の資格を取得することで、防災に関する正しい知識と技能が身に付き、職場や地域と連携して、市民の防災力向上に寄与できるようになるというメリットがあります。いつ起きるか分からない災害に備えて、防災士の資格取得と併せて、この記事で紹介した防災グッズを準備しておきましょう。