停電時の病院を支える!非常用電源について詳しく解説

停電時の病院を支える!非常用電源について詳しく解説

もし停電や予期せぬ事態が起きて病院内の医療機器や電気製品が使えなくなったら、その時重症で入院してる身内がいたら、と考えるとものすごく不安になりますよね。その時に活躍するのが、自家用発電設備で貯めていた電気で電力を供給する非常用電源です。非常用電源があれば停電時でも一時的に防災設備、保安設備、医療機器に電気を供給できるため、不測の事態に対する備えとなります。

そこで当記事では、病院に停電時の病院を支える非常用電源の種類、法律、自家用発電設備とUPSの種類などについて詳しく解説していきます。ぜひ、最後までご覧ください。

病院に非常用電源が必要な理由

非常用電源とは、地震や津波、落雷などの災害により通常の一般商用電源が停止した場合に、自動的に自家発電機を稼働させ発電をおこなう電源装置です。停電などの緊急時のみに一時的に稼働するもので、防災設備、保安設備、医療機器などに電力を供給します。

地震や台風などの自然災害、発電所などの故障や停電はいつ、どのような場所で起こるかわかりません。病院や医療機関では電気を利用する設備が多いため、非常用電源を用意する必要があります。ここでは、病院や医療機関で非常用電源を用意する必要性を詳しく紹介します。

●医療機器に影響が出る

停電が発生すると、診療に使用する医療機器、電子機器がすべて使用できなくなります。

診察をするための個人情報が入っているパソコンや、人工呼吸器、麻酔器、分娩吸引器、出産用の呼吸器、心拍数モニターなどのすべての電動機器が停止されます。

手術中であっても、適切な予防措置がなければ、必要な電力や機械の供給がすべて利用できなくなり、救われるはずだった患者の命を救えない可能性が高くなります。

医療機器が使えなくなることは絶対にあってはならないのです。

●保管している薬品、医薬品に影響が出る

地震などの災害により停電が発生した場合、復旧までにどれくらいの時間がかかるかを予測することは困難です。

また停電が起きてしまうと薬品を保管する医薬品冷蔵庫が使えなくなります。薬品冷蔵庫には、冷蔵保存を必要とする抗体医薬品やワクチンが入っているため使えない薬品がでてきます。

もしもの時のために非常用電源を備えていなければ、処方しなければならない薬がすぐに利用できなくなってしまうのです。

●入院中の患者に影響が出る

停電により電気設備が使用できなくなると、体調が悪い人に必要な検査や治療、薬の処方ができなくなります。そのため、定期的な健康診断で回復する人や持病のある人、入院治療を受けている人では十分な対応ができず、症状が悪化する可能性があります。

また、空調を制御できなくなるため、夏場であれば熱中症、冬場であれば風邪などで体調を悪化させる人が増えてくるかもしれません。

迅速な応急処置ができないと、2週間で退院予定のはずが、1ヶ月先に延期してしまうケースも出てくるでしょう。そうなると患者側は少しでも早く家族のもとへ帰りたくても、予定通りに帰れなくなってしまう場合も想定されます。

非常用電源に関する法律を詳しく解説

非常用電源に関する法律

非常用電源に関する法律には以下のようなものがあります。

●電気事業法

電気事業法は、電気事業の運営の適正化及び合理化並びに電気設備の建設、保守及び運用に関する規制を定める法律です。幅広い人々に電力を供給し、電気の安全を確保することを目的としています。

電気事業法では、常用・非常用を問わず発電機はすべて「電気工作物」として扱われます。適切な条件で運転、維持、管理するために、設置者は安全基準を必ず遵守する必要があります。

●建築基準法

建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備、用途などについて最低限の基準を定めた法律です。建物の安全を確保することにより、人の生命、健康、財産を保護し、公共の福祉を増進することを目的としています。

建築基準法によれば、建物の所有者、施設管理者、使用者は、建物の位置、構造、建築設備を常に法令に適合した状態に保つ義務があり、政法で定めたものを除き高さ31メートルを超える建築物や不特定多数の人が出入りする特殊建築物などに、非常用電源の設置を義務付けています。

施工は一級建築士、二級建築士、建築検査員、エレベーター検査員、消防設備検査員などの有資格者が行う必要があり、非常用電源設備は建築基準法により消防法の基準に適合する必要があります。

●消防法

消防法とは、火災の予防・警戒・鎮圧や、災害等による傷病者の搬送を適切に行うため、建築物などについて防火・消防上必要な規制を定めた法律です。

消防法により、消火設備は常に確実に作動しなければなりません。そのため、防火義務の対象となる建物で延べ面積が1,000平方メートル以上の場合は、消火設備と同時に発電機などのエネルギー源を設置する必要があります。

2018年6月からは年に1回エンジンをふかしてエンジンを試運転すると加点されるようになり、これらの点検は、消防設備点検の資格を有する技術者と第一種自家発電設備の専門技術者の資格を有する技術者が実施する必要があります。

また、病院、学校、旅館、高齢者福祉施設、映画館などといった特定防火対象物において、スプリンクラーや消火栓、防煙設備などの設置が必須になります。

病院で使える非常用電源の種類とその特徴

病院で使える非常用電源の種類とその特徴

病院で使える非常用電源は電力供給の違いにより「一般非常電源」「特別非常電源」「無停電非常電源」の3つに分けられます。それぞれについて詳しく解説していきます。

①一般非常電源

一般非常電源とは、商用電源が停止した時に40秒以内に電力供給を回復し、電気を使う医療機器などに電力を供給する電源のことを指します。自動火災設備や非常用エレベーターなどに利用され、連続稼働時間は10時間以上です。

電力の供給が止まると困りますが、直接人命に関わる機器には繋がっていません。また一般的なプラグ差し込み口と区別しやすいように、病院では一般非常電源の色は赤色に指定されています。

②特別非常電源

特別非常電源は、商用電源が停止した際40秒以内に電気が供給され、電気を使う医療機器などに電力を供給する電源のことを指します。輸液ポンプや心電計、脳波計といった患者の容態や処置をする時に、特に重要度が高い機器に電気を供給する役割を担っています。 

こちらも一般非常用電源と同様に、プラグの差し込み口の色は赤色に指定されています。

③無停電非常電源

無停電非常電源は、商用電源が停電などによって供給が途絶えたときに、蓄えておいた電力から自動で給電切り替えを行い、電気を使う医療機器などに絶えず電力を供給し続ける電源のことを指します。

人工心肺装置や人工呼吸器などの、停止すれば患者の命に直結するような重要かつ緊急度の高い機器に電気を供給しています。

生命維持に関わりますので、プラグの差し込み口の色は他の電源と区別しやすいように緑色に指定されています。

自家用発電設備とUPSの種類

自家用発電設備とUPSの種類

この章では、企業や家庭において、自発的に発電するための自家用発電設備とUPSの種類についてをご紹介します。

●ディーゼルエンジン型自家用発電設備

ディーゼルエンジン型自家用発電設備とは、ガスの爆発による熱エネルギーをピストン往復運動に変換させ、クランク軸で回転運動にすることで電力を作る仕組みです。

ディーゼルエンジン型自家用発電設備は、その名の通り軽油でエンジンを稼働させています。発電機の種類は、小型機種であれば20kVA〜、大型機種であれば〜1,000kVAと幅広い種類の非常用発電機があります。天然ガスタービン型と比べると燃焼の際の黒煙の放出され、運転時の振動や騒音が大きくなる点が特徴です。

価格は比較的安く、多くの企業でも導入されている傾向にありますが、ディーゼルエンジン式は冷却装置も設置しなければならないので、その分の敷地の広さが必要になります。

●天然ガスタービン型自家用発電設備

天然ガスタービン型自家用発電設備とは、ガスと圧縮機で空気を高温高圧にさせ、その空気でタービンを回転させたエネルギーで電力をつくる仕組みです。

ディーゼルエンジン式に比べると機器の価格は高くなりますが、機体そのものは小さいものが多く、給気や排気風量が多くなる一方で、黒煙ならびに振動や騒音が少ないのが特徴です。

給排気容量が多いため、500kVAを超えるような大型施設に向いていますが、大きな排気ダクトや給気用のガラリの設置が必要となります。そのため建物によっては大規模工事を要することもあります。

●蓄電池

蓄電池は万が一災害や予期せぬ事態で停電がおきた際に、蓄えていた電力が非常用の電源となり蓄えが無くなるまで家電用電力に使うことが可能です。

蓄電池を導入する事で、太陽から自家発電をすることで、停電時といった万が一の備えにもなりますし電気料金を下げられるメリットがあります。

一方で、蓄電池の設置費用がかかることはもちろんのこと、電池なので消耗したり、設置するにあたってスペースを取るといったことも考慮しなければなりません。それでも蓄電池が普及している理由として、電気料金が安くなったり太陽光発電との相性が良いため注目を集めています。

●太陽光発電設備

近年、脱炭素社会の実現に向け、太陽光発電が注目されています。東京では、2025年4月から太陽光発電の設置が義務化される予定があり、今後ますます注目されることは間違いありません。

太陽光発電設備を設置するメリットとしては、売電収入を獲得できたり、環境にやさしいエコなエネルギーである点が挙げられます。

デメリットとしては、初期費用が高かったり、発電量が季節や天気によって左右される点などが挙げられます。

●無停電電源装置(UPS)

UPSとは、Uninterruptible Power Supplyの略で「中断されることのない電源」という意味があります。無停電電源装置(UPS)と非常用発電機には明確な違いがあります。

無停電電源装置(UPS)は停電が起こった際に時に自動で蓄電池からの供給に切り替わるので、電気を切れ目なく使い続けることができます。ただし、一般的なバックアップにかかる時間は5分〜10分程度なので長時間の停電には向いていません。発電機が作動するまでの繋ぎとして利用するのがおすすめです。

非常用発電機は停電が起こってから発電を開始しますが、発電するまでに1分ほどかかってしまい、その間はあらゆる電子機器が停止してしまいます。発電機が作動できない時間帯をUPSでまかなったり、ガソリンや軽油といった燃料があれば発電が続けられるため長時間の停電には有効です。

●医療用UPS

医療用UPSは通常のUPSと比べると、特に安全性がしっかりと保証されています。病院では人工呼吸器、人工心肺装置、人工透析器などの、一瞬たりとも稼働を止めることが許されない機器に特化した電源装置です。

医療用UPSは一般用UPSとは違い、人命にかかわる機器への接続が可能で、ICUや手術室への設置が可能です。また、医療機関を対象とした安全規格「UL1778」と「UL6060-1」という安全規格を取得しており、接地漏れ電流と外装漏れ電流のどちらも安全規格をクリアしています。

非常用電源として活躍する「Jackery Solar Generator」

非常用電源として活躍する「Jackery Solar Generator」

Jackery Solar Generator はポータブル電源とソーラーパネルがセットになった太陽光発電できる製品です。設置工事や複雑なメンテナンスなどが不要で、ソーラーパネルを光の当たる場所に広げてケーブルでポータブル電源と接続するだけで、すぐに太陽光発電と蓄電ができます。

事前にポータブル電源に貯めた電力を使い切っても、太陽光発電によりポータブル電源に充電できるので、長期間の停電もご安心いただけます。

台風・地震などの災害時に停電が起きた場合の防災用品として、冷蔵庫・冷暖房器具・パソコンなどに給電することができ、LEDライトなどによる灯りも確保できます。コンパクトで設計されているため、停電した場合、病院内で自由に電力を持ち運びできるので、とても便利です。

Plusシリーズの場合、突然停電になった場合でも電力供給をポータブル電源に20ms(0.020秒)以内に切り替えることで、中断のない電力供給を実現しました。(※Jackeryポータブル電源を医療機器や重要な業務機器への使用はお控えください。

Jackeryポータブル電源は、過充電や過放電を防止するBMSシステムを搭載し、特許取得済みのマルチダクト設計による高冷却効率、耐衝撃設計、耐火素材を採用することで高い安全性を実現。なおJackery全シリーズが、一般社団法人防災安全協会の定める防災製品等推奨品認証を取得しています。

●非常用電源おすすめ一覧

Jackery Solar Generator 2000 Plus

容量:2,042Wh(最大12kwhまで)
定格出力:3000W
フル充電:最速2時間

Jackery Solar Generator 1000 Plus

容量:1,264Wh(最大5kWhまで)
定格出力:2000W
フル充電:最速2時間

Jackery Solar Generator 300 Plus 100W

容量:288Wh
定格出力:300W
フル充電:最速4.6時間

Jackery Solar Generator 2000 Pro

容量:2160Wh
定格出力:2200W
フル充電:7.5時間

通常価格:¥285,000(税込)

Jackery Solar Generator 1500

容量:1,534.68Wh
定格出力:1800W
フル充電:11時間

通常価格:¥206,210(税込)

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Jackery Solar Generator 2000 Pro

容量:2,160Wh
定格出力:2200W
フル充電:最速2.5時間

Jackery Solar Generator 1500 Pro

容量:1,512Wh
定格出力:1800W
フル充電:最速2時間

Jackery Solar Generator 1000 Pro 100w

容量:1,002Wh
定格出力:1000W
フル充電:最速5.5時間

Jackery Solar Generator 1000 Pro 200W

容量:1,002Wh
定格出力:1000W

フル充電:最速1.8時間

Jackery Solar Generator 1000 Pro 80W

容量:1,002Wh
定格出力:1000W

フル充電:最速1.8時間

Jackery Solar Generator 1500

容量:1,534Wh
定格出力:1800W

フル充電:最速5.5時間

Jackery Solar Generator 1000

容量:1002Wh
定格出力:1000W

フル充電:最速10時間

Jackery Solar Generator 708

容量:708Wh
定格出力:500W

フル充電:11時間

Jackery Solar Generator 400

容量:403Wh
定格出力:200W
フル充電:7.5時間

Jackery Solar Generator 3000 Pro

容量:3,024Wh
定格出力:3000W
フル充電:最速3時間

注意喚起:Jackeryポータブル電源を次のような機器では、絶対に使用しないでください。万が一使用中に給電ができなくなった場合、命にかかわる被害が想定されます。
・医療機器や使用上、生命に関わる機器
・社会的、公共的に重要な機器など
・重要な事業用機器など
なお、心臓にペースメーカーを装着している方は使用しない 。

まとめ

病院や医療施設では電気を使用する施設が多く、停電が発生するとあらゆる電子機器が使用できなくなります。

特に災害時の病院は、傷病者の収容・搬送体制を迅速に整える必要があります。停電時でも非常用電源が利用できるため、多くの中小規模の病院や診療所では電子機器を活用した治療や診断が可能です。


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