オール電化の電気代はどれだけ上がる?今こそ行いたい節約の方法を教えます
燃料費などのコストアップに伴い、電力会社が次々と電気料金の値上げを申請しています。オール電化の家庭にとって、これから電気代がどれだけアップするかという点は気になることでしょう。年間で数万円から数十万円の値上げになると、家計全体の支出を見直す必要に迫られるかもしれません。
この記事では北陸電力を例にとり、オール電化の電気代はどれだけアップするのかを試算します。また電気代を節約する方法はさまざまです。どのような方法を取れば節約できるか、確認していきましょう。
オール電化は電気代の高さが悩みの種
オール電化は、電気代の高さが悩みの種です。なぜ電気代が高くなってしまうのか、オール電化の電気代が高い原因を3つの項目に分けて解説していきましょう。
熱源はすべて電気でまかなうため、電気代が高くなる
オール電化は一般の家庭と異なり、熱源はすべて電気でまかなう必要があります。ガス代や灯油代がいらない一方で、月々の電気代は高くなります。
関西電力ではオール電化メニュー「はぴeみる電」の契約者における、世帯ごとに毎月かかる電気代を公表しています。2020年から2021年の金額を、以下に示しました。
世帯構成 |
電気料金 |
単身 |
11,415円 |
2人 |
14,303円 |
3人 |
15,873円 |
4人以上 |
17,738円 |
この金額は、ガスや灯油などを使う他の家庭よりも高くなっています。総務省統計局が公表した「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要」によると、二人以上の世帯における2021年に支払った電気代の平均額は月々10,317円でした。
加えて2022年以降は燃料費調整額の上昇などにより、電気代が大幅にアップしています。電気代の高さを実感した方も、多いのではないでしょうか。
冬季は暖房にかかる費用が大きく上昇する
電気代は、季節によって大きく変動する料金です。資源エネルギー庁では寒冷地にお住まいの場合、冬季の電気代が月10万円を超えるケースがあると報じています。
このような家庭では、ひと月に3,000~5,000kWhの電力を消費しています。その内訳は、以下のとおり特徴的です。
l 約7割は、蓄熱暖房機による暖房
l 約2割は、電気温水器を使った給湯
平均的な家庭の消費電力量は、およそ400kWhといわれています。調理や照明に必要な電力は年間を通して大きく変わらないことを考えると、大幅に増えた電力は暖房に関するものということがおわかりいただけるでしょう。暖房だけで数万円の電気代を要することは、負担の大きさを実感する理由の一つです。
電気料金の改定により、さらに電気代がアップする
燃料費調整額のアップに加えて、電力各社は相次いで値上げを申請しています。申請が認められれば、電気料金はさらに上がるでしょう。どのくらい上がるのか、次の章で確認していきます。
相次ぐ電気料金の値上げ申請。オール電化の電気代はどれだけ上がる?
ここからは北陸電力が申請した値上げ内容を例にして、オール電化の家庭で使う電気代がどれだけ上がるかみていきましょう。規制料金と自由料金それぞれについて、シミュレーションを交えて解説します。
規制料金の場合
オール電化のご家庭では、契約アンペアが60Aを超える場合も多いです。このため従量電灯Bでなく、従量電灯Cをご契約の方も多いのではないでしょうか。
ここでは北陸電力の「従量電灯C:10kVA」を契約中の方を例に、新旧の電気料金を比較していきましょう。基本料金や電力量料金は、以下のとおりです。なお2022年11月30日時点の料金は、燃料費調整額を含みます。
項目 |
2022年11月30日時点の料金 |
新料金 |
基本料金(10kVA) |
2,420円 |
3,025円 |
電力量料金(最初の120kWhまで) |
19.61円/kWh |
30.20円/kWh |
電力量料金(120kWh超300kWhまで) |
23.50円/kWh |
36.75円/kWh |
電力量料金(300kWh超) |
25.21円/kWh |
39.65円/kWh |
1月における電気使用量が3,000kWhの場合、北陸電力「電気料金影響額シミュレーション」による毎月の電気使用量や電気料金は以下のとおりとなります。なお2023年4月から10月までの料金は、国による電気料金軽減措置適用後の金額です。
月 |
電気使用量 |
2022年11月30日時点の料金 |
新料金 |
1月 |
3,000kWh |
87,365円 |
130,669円 |
2月 |
2,711kWh |
79,081円 |
118,212円 |
3月 |
2,244kWh |
73,149円 |
109,290円 |
4月 |
2,253kWh |
65,955円 |
82,701円 |
5月 |
2,012kWh |
59,048円 |
74,001円 |
6月 |
1,795kWh |
52,829円 |
66,167円 |
7月 |
1,910kWh |
56,125円 |
70,319円 |
8月 |
2,271kWh |
66,471円 |
83,351円 |
9月 |
2,167kWh |
63,491円 |
79,597円 |
10月 |
1,915kWh |
56,268円 |
77,202円 |
11月 |
2,044kWh |
59,965円 |
89,464円 |
12月 |
2,352kWh |
68,793円 |
102,739円 |
冬季の電気料金は、月10万円を超えるようになります。また月額平均でみても、これまでは65,711円だった電気料金が90,309円にアップします。年間で30万円もの上昇は、家計に大きな影響を与えることでしょう。
自由料金の場合
北陸電力の場合、従量電灯に相当する自由料金は「従量電灯ネクスト」です。従量電灯Cに相当する基本料金と電力量料金を確認していきましょう。
項目 |
2023年3月までの料金 |
2023年4月以降の料金 |
基本料金(10kVA) |
2,420円 |
3,025円 |
電力量料金(最初の120kWhまで) |
17.84円/kWh |
30.20円/kWh |
電力量料金(120kWh超300kWhまで) |
21.73円/kWh |
36.75円/kWh |
電力量料金(300kWh超) |
23.44円/kWh |
39.65円/kWh |
1月の電気使用量が3,000kWhの場合、北陸電力「電気料金影響額シミュレーション」による毎月の電気使用量や電気料金は以下のとおりです。なお2023年4月から10月までの料金は、国による電気料金軽減措置適用後の金額です。
月 |
電気使用量 |
2023年3月までの料金 |
2023年4月以降の料金 |
1月 |
3,000kWh |
111,030円 |
130,669円 |
2月 |
2,711kWh |
100,472円 |
118,212円 |
3月 |
2,504kWh |
92,910円 |
109,290円 |
4月 |
2,253kWh |
83,741円 |
82,701円 |
5月 |
2,012kWh |
74,938円 |
74,001円 |
6月 |
1,795kWh |
67,010円 |
66,167円 |
7月 |
1,910kWh |
71,212円 |
70,319円 |
8月 |
2,271kWh |
84,398円 |
83,351円 |
9月 |
2,167kWh |
80,600円 |
79,597円 |
10月 |
1,915kWh |
71,394円 |
77,202円 |
11月 |
2,044kWh |
76,106円 |
89,464円 |
12月 |
2,352kWh |
87,358円 |
102,739円 |
月額平均でみると、これまでは83,430円だった電気料金が90,309円にアップします。年間で8万円もの上昇は、家計にとって小さいものではありません。1月や2月だけでなく、初冬にあたる12月や早春にあたる3月の電気代も10万円を超えることに、頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
ところでオール電化の家庭では、エコキュートをお使いの場合も多いでしょう。深夜に電気を使うとお得な料金プランを契約している場合もよくあります。ここでは代表的なプランとして「くつろぎナイト12」を取り上げ、基本料金と電力量料金を確認していきましょう。
項目 |
2023年3月までの料金 |
2023年4月以降の料金 |
基本料金(10kVAまで) |
1,650円 |
2,255円 |
電力量料金(平日8時~20時) |
25.06円/kWh |
39.80円/kWh |
電力量料金(土休日および5月1日~5日、12月30日~1月4日までの8時~20時) |
19.63円/kWh |
33.73円/kWh |
電力量料金(20時~翌朝8時) |
12.50円/kWh |
26.91円/kWh |
北陸電力「電気料金影響額シミュレーション」の活用にあたり、1月の8時から20時までは1200kWh(平日・土休日とも600kWhずつ)、20時から翌朝8時までは1800kWh使ったと仮定します。蓄熱式電気暖房器も使う場合、毎月の電気使用量や電気料金は以下のとおりです。また2023年4月から10月までの料金は、国による電気料金軽減措置適用後の金額です。
月 |
電気使用量 |
2023年3月までの料金 |
2023年4月以降の料金 |
1月 |
3,000kWh |
90,234円 |
105,161円 |
2月 |
2,731kWh |
82,468円 |
96,200円 |
3月 |
2,348kWh |
70,777円 |
82,662円 |
4月 |
1,838kWh |
55,533円 |
52,110円 |
5月 |
1,299kWh |
40,372円 |
38,096円 |
6月 |
775kWh |
25,939円 |
24,867円 |
7月 |
782kWh |
28,474円 |
25,585円 |
8月 |
985kWh |
37,458円 |
32,027円 |
9月 |
905kWh |
34,685円 |
29,627円 |
10月 |
771kWh |
27,396円 |
27,785円 |
11月 |
1,144kWh |
36,479円 |
42,589円 |
12月 |
1,780kWh |
54,968円 |
64,139円 |
月額平均でみると、これまでは48,731円だった電気料金が51,737円にアップします。特に12月から3月にかけて10,000円~15,000円上昇することは、家計にとって大きな負担となるでしょう。
オール電化の電気代を抑えたい!8つの節電方法をご紹介
ますます上がり続ける電気代。少しでも安く抑えたいと、誰もが考えていることでしょう。オール電化の電気代を抑える方法は、大きく8つに分けられます。さまざまな方法で電気代を下げられますから、今日からあなたに合った方法をぜひお試しください。
関連人気記事:電気代の節約方法&便利アイテム15選!お得に楽しみながら節電しよう
ポータブル電源やソーラーパネルを使う
ポータブル電源と持ち運び型ソーラーパネルを使うことで、初期投資額を抑えながら太陽光を使った発電を行えます。電力会社から購入する電力量を抑えられるでしょう。例えば毎日1.5kWhの電力をソーラーパネルで発電すれば1年間で547.5kWh、21,708円の電気代を節約できます。
また「くつろぎナイト12」では、日中と深夜の料金単価に大きな差があります。コンセントから充電する場合は時間帯を工夫することで、電気代を抑えることが可能です。
詳細は、以下の記事をご参照ください。
関連人気記事:省エネ対策に有効な方法とは?ポータブル電源が役立つ理由も解説
ヒートポンプ機器を使う
最近の電気温水器やエアコンには、空気中の熱を使って温める「ヒートポンプ」を使った製品があります。東京電力エナジーパートナーの試算によると、ヒートポンプ対応の機器を使うことで大きな電気料金の削減が見込めます。
l エコキュート(ヒートポンプ給湯器)は、電気温水器に比べて約75%の削減
l ヒートポンプを用いたエアコンは、蓄熱式床暖房に比べて約72%の削減
暖房や温水の利用状況によっては、ヒートポンプ式の機器に交換しただけで電気代が3分の1になる可能性もあります。電気代の低減に有効な方法の一つといえるでしょう。
自宅の断熱性能を高める
家は断熱性能により、夏の暑さや冬の寒さの影響度合いが変わります。断熱性能が低い家は、夏の冷房費用や冬の暖房費用がかさんでしまうことでしょう。
断熱性能を高めることにより、夏の暑い空気や冬の冷気による室温への影響を抑えられ、電気代も抑制できます。代表的な方法の一つに、窓際にカーテンを設置することが挙げられます。電気代の高騰にお悩みの方は、実践してみてはいかがでしょうか。
電力会社やプランを変更する
より安価な電力会社やプランへの変更は、電気代を節約する代表的な方法です。見直す方法は3種類あります。それぞれの特徴と注意点を確認していきましょう。
・電力会社を乗り換える
電気料金は、会社によりさまざまです。より安い料金を求めて、電力会社を乗り換えることは一つの方法です。
テレビCMやインターネットで話題になっている会社が、必ずしも安いとは限りません。電気料金比較サイトなどを活用し、あなたに合った会社に申込むとよいでしょう。会社によっては短