机上訓練とは?災害図上訓練との違いや期待できるメリットを解説

更新日:
シェア

机上訓練は、災害や緊急事態に備える方法のひとつとして注目されている訓練方法です。「机上訓練とは具体的に何をするのか?」「災害図上訓練との違いは何か?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

 

本記事では、机上訓練の概要や災害図上訓練との違いについて解説します。実施によって得られるメリットや効果的な実施方法も紹介しますので、参考にして訓練に取り組んでみてください。

目次
もっと見る

1.机上訓練とは?図上訓練(DIG)との違いも解説

 

机上訓練と図上訓練は、それぞれ定義や考え方が異なります。両者の違いを解説しますので、具体的なイメージをつけるうえでの参考にしましょう。

机上訓練(きじょうくんれん)|感染症や地震などのシナリオに沿って対応策を検討する

机上訓練は、災害発生時にどう対応すべきかを話し合う訓練です。事業継続計画(BCP)の内容を理解し、緊急事態発生時の動きを予めシミュレーションするために行われます。 

病院や訪問看護ステーション、リハビリ施設を含む医療施設では、主に下記の内容について話し合います。 

感染症拡大時における医療サービスの提供方法

地震発生時における患者の避難誘導

緊急事態発生時の情報伝達・指揮命令系統の確認 

机上訓練は、地図やツールを使った具体的なアクションではなく、シナリオに沿ったそれぞれの役割分担や連携体制を決めるために行われるものです。ワークショップ形式で手軽に実施できるため、多くの企業や自治体で幅広く取り入れられています。

図上訓練(ずじょうくんれん)|地図を使って実際の動きを確認する

図上訓練(DIG:Disaster Imagination Game)は、緊急事態発生時に施設や地域の地図を使って具体的な動きを確認する訓練です。机上訓練とは異なり、災害発生時や感染症拡大時に「それぞれが実際にどう動くか」を実践形式でシミュレーションします。 

医療施設においては、図上訓練において下記の内容が実施されるケースが多いです。 

災害発生時の避難経路確保

非常事態時の医療物資運搬ルートの確認

利用者の安否確認フロー

従業員間の連絡体制など 

図上訓練は、シナリオ作成や机上訓練で得た学びを実践し、新たな課題を発見するために行われます。災害時に潜む潜在的な課題を見える化し、事前に対策を行うのに有効な手法です。

2.机上訓練を行うメリット

 

企業防災でポータブル電源の使い道

机上訓練を行うメリットは、主に下記のとおりです。 

BCPの対応手順を事前に確認・整理できる

災害発生時の行動を体験できる

低コストかつ安全に訓練を実施できる

防災に対する社員の当事者意識を高められる 

それぞれのメリットを具体的に解説します。机上訓練を行うべき理由を頭の中に入れておきましょう。

BCPの対応手順を事前に確認・整理できる

机上訓練を行うと、BCP(事業継続計画)に記載された対応手順を現場レベルで確認・整理できます。BCPを一言で表すと「非常時でも事業を止めないための計画」です。 

災害発生時には想定外の事態が発生することも多いため、訓練の中で可能なかぎり多くの課題や改善箇所を洗い出すことが大切です。特に医療施設では、身体が不自由な患者への対応や医療物資の確保に向けた動きを決めておく必要があります。

日々の業務フローやシフトに沿った従業員の導線を明確にしておくことで、緊急事態発生時の動きをイメージしやすくなります。図上訓練に向けて、具体的な対応手順や想定される問題を書面に書き起こしましょう。

災害発生時の行動を体験できる

机上訓練を通して、実際に災害が起きたときの動き方を頭の中でシミュレーションできます。非常事態時に想定される下記の「二次災害」が発生したとき、現実的に実行可能な範囲で対処方法を決めることが可能です。

津波の発生

停電・通信障害の発生

感染症拡大時の外出制限・患者の隔離対応など 

机上訓練では、関係者一人ひとりが当事者意識を持って話し合いに参加することが大切です。「自分ならどうするか」を考えるだけでなく、話し合いの場で意見を共有しましょう。管理職の方には、従業員の方々から集めた意見を率先してまとめ、作業の優先順位付けや連携方法を決める役割が求められます。

低コストかつ安全に訓練を実施できる

机上訓練の大きなメリットとして、低コストかつ安全に訓練を実施できる点が挙げられます。資材や作業スペースを必要とする図上訓練とは異なり、会議室やPC(または筆記用具)があれば実施可能です。 

危険を伴う動作もないため、実践的な訓練へ向けた習慣付けの第一歩として組織内へ取り入れられます。業務の合間や定例会議の一環として机上訓練を定期的に実施しましょう。

防災に対する社員の当事者意識を高められる

机上訓練に参加することで、職員一人ひとりが災害発生時における自分の役割や責任を明確に認識しやすくなります。誰かがやってくれるという他人任せの姿勢を改め、自分ごととして防災に取り組む意識を育てることが大切です。 

特に医療施設では、異なる職種の方々が連携して非常時の対応を行う必要があります。部署の垣根を超えた協力体制が確立できるよう、机上訓練を定期的な意見交換の場として活用しましょう。

関連人気記事:BCP訓練完全ガイド!進め方の基本と5つの成功事例を紹介

3.机上訓練を効果的に行うためのポイント

 

机上訓練を効果的に行うためには、以下4つのポイントを意識しましょう。 

明確な目的とゴールを設定する

BCP訓練の意味や目的を従業員に伝えておく

具体的なシナリオを設定する

必要な道具を揃えておく 

それぞれのポイントにおける具体的な行動方法も紹介します。

明確な目的とゴールを設定する

机上訓練を行う前に、まずは明確な目的とゴールを設定する必要があります。「何のために実施するのか」「訓練後に何ができていれば成功か」を言語化しましょう。 

机上訓練の目的は、具体的であればあるほど内容を深掘りしやすくなります。下記のように「〇〇発生時に〇〇を〇〇する」といったフォーマットにしたがって、対応策を決めることが大切です。 

地震発生時の避難体制を確認する

感染症拡大時の対応方針を決める

停電発生時の連絡手段・フローを明確にする 

机上訓練の目的が曖昧なまま議論を進めてしまうと、単なる話し合いで終わってしまい、実務に活かせません。管理職の方は事前に目的を共有し、ゴールのイメージを関係者全員に伝える準備をしましょう。

BCP訓練の意味や目的を従業員に伝えておく

BCP訓練の意味や目的は、管理職だけが知っていても意味がありません。「なぜ今この訓練が必要なのか」「自分たちにどんな影響があるのか」を従業員に伝えることが大切です。 

過去に起きた災害事例や、施設におけるリスクを例に挙げながら説明すると従業員の当事者意識が芽生えやすくなります。参加者全員が目的を理解した上で議論に取り組み、より多くの課題や改善点を洗い出すことが大切です。

具体的なシナリオを設定する

机上訓練をより効果的に行うためには、具体的なシナリオの想定が欠かせません。緊急時に想定される被害のシナリオが明確であれば、一人ひとりの役割や作業の優先順位も明確にしやすくなります。下記のように、緊急事態発生時に想定される被害を含めた状況をイメージしてみてください。 

洪水の影響で一部の道路が封鎖された

感染症拡大により従業員の出社率を制限された

落雷によるコンセントの故障で設備への給電が行えなくなった 

施設の規模や業務内容に即したリアルなシナリオを準備し、組織全体で慌てず冷静に対処できる体制を整えましょう。 

落雷や停電対策には、ポータブル電源がおすすめです。ポータブル電源とは、持ち運び可能なバッテリー式の電源装置を指します。コンセントが使えないときもスマホやパソコンへ給電できるほか、止めてはいけない装置を稼働し続けられるのが大きなメリットです。

必要な道具を揃えておく

机上訓練を効率よく行うためには、予め必要な道具を揃えておく必要があります。設定したシナリオをもとに、それぞれの対応において「何が必要か」を明確にしましょう。 

地震や落雷の発生時には電気に関する設備、感染症拡大時にはオンラインでの連絡ツールやデバイスが必要になります。参加者一人ひとりの居住地や通勤方法も把握したうえで、全体的な安全確保と事業の継続へ向けた施策を考えることが大切です。

関連人気記事:企業が取り組むべき災害対策5選!BCPや2つの防災義務についても解説

4.災害対策・BCP対策にはJackery(ジャクリ)のポータブル電源を活用しよう

 

災害へ向けたBCPの整備や実際の訓練には、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源がおすすめです。Jackery(ジャクリ)のポータブル電源があると、主に下記の状況における端末への電力供給を効率よく行えます。 

停電時の通信機器や医療機器への電力供給

訓練時に使用するパソコンやプロジェクターへの給電

避難所や臨時拠点における給電体制の確保 

災害発生時に電力の供給が止まってしまうと、スマホやPCの充電ができなくなります。バッテリーの減り具合によっては、BCPで策定した流れ通りの連携が行えないリスクも高まるでしょう。 

Jackery(ジャクリ)のポータブル電源があれば停電発生時も通信機器への給電がスムーズに行えるほか、医療用機器などの動作も確保できます。実際の訓練においても、屋外や会議室など電源供給が難しい場所におけるデバイス使用時に活躍するアイテムです。 

Jackery(ジャクリ)は、2012年にアメリカ・カリフォルニアで創業以来、アウトドアや防災、非常時の電力確保に貢献する製品を展開している企業です。2019年より日本法人を構えており、国内の正規販売やアフターサポートを行っています。 

軽量・コンパクトな設計で持ち運びやすいJackery(ジャクリ)のポータブル電源を、BCP対策の一環として取り入れてはいかがでしょうか。

もっと多くの商品を見る

 

5.机上訓練に関してよくある質問

 

最後に、机上訓練に関してよくある下記の質問へ回答します。 

BCPの図上訓練と机上訓練以外にどんな訓練がある?

机上訓練のワークショップ型とロールプレイング型の違いは?

BCPの訓練は年に何回行う必要がある? 

机上訓練やBCPへの知見を深めるため、それぞれの質問に対する回答に目を通しておきましょう。

BCPの図上訓練と机上訓練以外にどんな訓練がある?

BCP対策として活用される訓練には、図上訓練や机上訓練のほかに下記の訓練があります。 

実動訓練|実際に身体を動かして緊急時の対応を行う訓練

ロールプレイ訓練|参加者がそれぞれ役割を演じながら対応を模擬的に体験する訓練

通信訓練|電話や無線、安否確認ツールを使って連絡手段の確認・実施を行う訓練 

上記の訓練を目的や施設のリスクに応じて組み合わせると、より実践的かつ多角的なBCP対策を行いやすくなります。

机上訓練のワークショップ型とロールプレイング型の違いは?

机上訓練には大きく分けて「ワークショップ型」と「ロールプレイング型」があります。両者における主な違いをまとめると「議論か擬似体験か」です。 

ワークショップ型は、参加者全員で課題を共有し、対応策や連携方法について意見交換を行う形式です。議論を通じて役割分担を明確にしたり、BCPの内容を現場に合わせて再整理したりするのに適しています。 

ロールプレイング型は、参加者が実際の役割を演じながら、状況に応じた判断や行動を模擬体験する訓練です。時間経過や状況の変化を盛り込むことで、臨場感のある実践的なシミュレーションを行えます。

BCPの訓練は年に何回行う必要がある?

BCPの訓練は年2回以上行うのが理想的ですが、最低でも年に1回は実施すべきです。特に患者や利用者の命に関わる医療機関や福祉施設では、年に2回以上行うことが推奨されています。 

夏は台風、冬は大雪や停電といった季節ごとに異なるシナリオを設定し、一年を通じた備えを強化する必要があります。 

また、BCPは一度策定して終わりではなく、従業員の入れ替わりや設備の入れ替えに応じて定期的に見直すことが大切です。毎回の訓練を通じてBCPの実効性を確認し、改善点があれば都度アップデートする体制が求められます。

まとめ

 

机上訓練は、想定されるシナリオに沿って災害時の対応方法を議論し、一人ひとりの役割や連携を整理するために行われます。地図や図を用いて状況を視覚化する図上訓練とは異なり、より手軽かつ低コストで実施できるのが大きなメリットです。 

机上訓練を定期的に実施することで、BCP(事業継続計画)の実効性を確認したり、防災意識を高めたりする効果が期待できます。想定される状況に応じて他の訓練と組み合わせ、BCP対策の多角化や質の向上に繋げていきましょう。

関連人気記事
#article-new .table-content .artcile-h2:before{ display: none !important; }