蓄電池購入は失敗例が多い!失敗しない方法やポータブル電源との比較も紹介
近年の電気料金の高騰による節電対策や、災害などによる停電対策として家庭用蓄電池が人気となっています。しかし、実は蓄電池を購入して失敗する人が多いことをご存知でしょうか?この記事では、家庭用蓄電池を購入する際に失敗しない方法や、ポータブル電源との比較などをご紹介します。
蓄電池を購入して失敗した例
家庭用蓄電池を購入して失敗したという例は、どのようなケースがあるのでしょうか。
具体的な例として、おもに次の4つがあります。
・悪徳業者のボッタクリに遭った
・設置場所を誤った
・節電効果が得られなかった
・補助金を活用しなかった
それぞれの詳細を見てみましょう。
①悪徳業者のボッタクリに遭った
蓄電池の購入で失敗する例として多いのが、悪徳業者のボッタクリに遭ってしまうケースです。なぜなら、蓄電池の必要性が世に広まってブームとなっている現在、さまざまな業者が参入しており、中には実績のない怪しげな業者も存在するからです。
実際にユーザーがどんな業者から蓄電池を購入したのかを表すデータがあり、最も多いのがハウスメーカーからの購入で、およそ半数を占めます。
2番目に多い業者はユーザーの年代によって異なりますが、20~40代の若い世代では訪問販売業者からの購入がハウスメーカーに次いで多くなっています。
参考:エネがえる
訪問販売業者の中には悪徳業者も多く、相場より高額で契約してしまうなど、ボッタクリの被害に遭ってしまうユーザーも少なくないのです。
②設置場所を誤った
蓄電池を設置するときの失敗例として意外に多いのが、設置場所を誤ることです。なぜなら、ユーザーは蓄電池の容量などスペックばかりに興味が向いてしまい、設置する場所のことまで気が回らないケースが多いからです。
気が利く業者なら、ユーザーが気付かなくても教えてくれることがありますが、蓄電池の取り扱いにあまり慣れていない業者もまだまだ多く存在します。
設置場所の失敗例としては、多くの熱が発生する蓄電池を直射日光の当たる場所に設置してしまって、機器の寿命を縮めてしまうケースです。
また、ユーザーが思っていた以上に蓄電池が大きかったために、通行の邪魔になるケースもあります。
③節電効果が得られなかった
節電の効果を期待して蓄電池を導入する方が多いですが、設置する家の電力事情によっては思うような節電効果が得られない場合があります。
例えば、太陽光発電がすでに設置されているとして、発電した電力のほとんどを自家消費する場合は、電気が余らないために蓄電池に電気を貯めることができません。
また、夜間電力が安いプランで契約している場合は、夜間電力を蓄電池に貯めることによって節電効果が得られますが、日夜の電気料金が定額のプランならば節電になりません。
➃補助金を活用しなかった
蓄電池を導入するときに、国や自治体から補助金を受け取れることがありますが、この制度を知らないまま蓄電池を購入してしまうと大きな出費になります。なぜなら、蓄電池の補助金は国と自治体の制度を併用することができるため、該当者であれば数十万円もの補助金が受け取れるからです。
国や自治体は積極的に蓄電池の導入をサポートしているのに、そのことを知らないまま蓄電池を購入してしまうユーザーも少なくはなく、購入してから気付くケースもあるのです。
蓄電池の購入で失敗しない5つの方法
家庭用蓄電池を購入する際に、失敗を防ぐ方法は、おもに次の5つがあります。
・信頼できる業者を選ぶ
・相見積もりを取る
・自身の電力プランを確認する
・補助金を活用する
・適切な場所に設置する
以下で、それぞれの特徴を順に解説します。
①信頼できる業者を選ぶ
蓄電池の購入で失敗しないための最も重要なポイントは、信頼できる業者を選ぶことです。
信頼できる業者かどうかを見極めるポイントは、おもに次の4つがあります。
・販売実績や経験年数
・蓄電池の専門業者
・業者の社会的信用度
・地域での評判
まず、販売実績と経験年数は必ず確認しましょう。業者の担当者に面会する前に、公式ホームページなどでも確認することができます。
蓄電池の専門業者はまだ多くはありませんが、購入後の相談がしやすく、一定の信頼は得られます。
大手のハウスメーカー直営店であれば、社会的信用度が高いうえに、保証期間が充実しているなどのメリットもあります。
地域密着型の販売店も、手厚いアフターサービスを受けられる可能性があるので、地域での評判も参考にするとよいでしょう。
②相見積もりを取る
蓄電池の購入で失敗しないためには、複数の業者から相見積もりを取ることをおすすめします。
なぜなら、たとえ信頼できそうな業者が見つかったとしても、一つの業者の価格だけでは契約の良し悪しを客観視することが難しいからです。
また、複数の業者から相見積もりを取ることによって、値引き交渉に応じてくれる可能性もあります。
蓄電池は非常に高価な買い物になるので、相場より高く買ってしまわないためにも相見積もりを取って、後悔のない契約をしましょう。
③自身の電力プランを確認する
蓄電池を購入する方は、節電効果を期待して購入することが多いのですが、重要になってくるのが自身の契約している電力プランです。
節電効果が高いのは、夜間電力が安いプランに加入している方が夜間のうちに蓄電池に充電しておき、昼間に蓄電池の電力を使用するというケースです。
昼夜の電気料金が同じ場合は、この方法では節電効果が得られないので注意しましょう。
プランを変更できるならば、変更することによって節電効果が得られる可能性がありますが、変更できない場合でも太陽光発電を利用して節電する方法があります。
蓄電池を導入して節電効果が得られるかどうかは、実際にどのくらいの金額が節約できるのかを事前にシミュレーションしておくとよいでしょう。
➃補助金を活用する
蓄電池の購入を検討しているならば、まずは補助金が活用できるかどうかを調べましょう。補助金には、国が支給するものと自治体が支給するものがあります。2023年度の、国からの補助金の概要は下表のとおりです。
補助金 |
こどもエコすまい 支援事業 |
DER補助金 |
DR補助金 |
金額 |
64,000円 / 戸 |
上限60万円 / 戸 |
上限60万円 / 戸 |
条件 |
子育て世帯 または若者夫婦世帯 |
蓄電池を新規導入し、電力を管理・制御する事業者と連携して実証実験に協力すること |
電力を管理・制御する事業者と連携し、電力の需給バランスに対応すること |
管轄機関 |
国からの3つの補助金は、併用することができないので注意しましょう。ただし、自治体から支給される補助金との併用は可能です。
自治体から支給される補助金は、各自治体によって金額や条件などさまざまなので、役所に問い合わせるか、公式ホームページで確認して下さい。
蓄電池を購入する際には、契約する前に自身が補助金の対象者になっているかどうかを必ず確認しておきましょう。
⑤適切な場所に設置する
蓄電池の設置で失敗しないためには、適切な場所に設置することが必要です。
なぜなら、蓄電池はかなりの大きさと重量があるうえに、電気の配線工事なども必要なため、一度設置してからの場所変更は難しいからです。
蓄電池を適切な場所に設置するためには、購入の契約をする前に必ず業者に設置場所の相談をしましょう。
相談する際には実際に設置場所の候補を見てもらい、いくつかの候補を絞って、それぞれの場所のメリットとデメリットを把握したうえで比較検討することをおすすめします。販売業者と施工業者が異なる場合でも、慌てて購入せずに、施工業者とも設置場所の相談をしておけば安心です。
蓄電池とポータブル電源の比較
家庭用蓄電池として近年ポータブル電源も注目されています。ポータブル電源とは、コンパクトで持ち運びできるポータブル蓄電池のことで、災害やキャンプ、車中泊、日常節電等で幅広く活躍できるポータブル蓄電池です。用途によっては蓄電池よりポータブル電源の方がおすすめします。
ここでは、蓄電池とポータブル電源を比較してみます。
蓄電池とポータブル電源には、それぞれ次のような違いがあります。
・蓄電池はポータブル電源より大容量
・蓄電池はポータブル電源より高価
・ポータブル電源は持ち運びが可能
・接続可能な太陽光発電の出力の差
以下で、それぞれの詳細を順に解説します。
●蓄電池はポータブル電源より大容量
蓄電池は、ポータブル電源よりもはるかに大きな容量を持っています。蓄電池は家庭用の小型モデルでも4kWh程度の容量があり、大型のモデルは10kWhを超えます。
一方でポータブル電源は、最も容量の大きなモデルでも2kWh~3KWhぐらいで蓄電池より容量が小さいですが、「Jackeryポータブル電源2000Plus」は、拡張バッテリーを使用すれば12kWhまで拡張が可能、「Jackeryポータブル電源1000Plus」は最大5KWhまで拡張できます。
●蓄電池はポータブル電源より高価
蓄電池は、ポータブル電源よりもはるかに高価な設備です。具体的には、小型のモデルでも約100万円かかり、大型のモデルは200万円を大きく超えるものもあります。
一方でポータブル電源は、最も小型のモデルは約2万円から購入可能で、トップクラスのモデルでも約30万円と、比較的安価に購入できます。なお、設置工事がいらないです。
●ポータブル電源は持ち運びが可能
蓄電池は固定式のため移動はできませんが、ポータブル電源は好きな場所へ持ち運ぶことができるので、電源のない場所でも気軽に電力が使えます。
ただし、ポータブル電源でも航空機への持ち込みはできないので注意しましょう。
●接続可能な太陽光発電の出力の差
接続できるソーラーパネルの出力には、両者の間に大きな差があります。
ポータブル電源では最大でも1,200W程度ですが、蓄電池は住宅の屋根などに設置された太陽光発電に接続できるので、約4〜7kWの出力のソーラーパネルと接続できます。
ちなみに、住宅用太陽光発電には出力10kW未満という規定があり、10kW以上になると産業用太陽光発電という分類になります。
ゆえに、住宅用太陽光発電の出力は最大でも10kW未満で、実際には大きくても7kW程度までの出力がほとんどです。
これらの内容をまとめると、家庭用蓄電池とポータブル電源の比較は、以下のとおりです。
|
家庭用蓄電池 |
ポータブル電源 |
容量 |
約4kWh~約17kWh |
約200Wh~約2,000Wh |
価格 |
約100万円~約250万円 |
約2万円~約30万円 |
設置場所 |
固定 |
持ち運びが可能 |
接続できるソーラーパネル |
約4kW~10kW未満 |
200W〜1,200W |
蓄電池よりもポータブル電源を選ぶメリット
蓄電池よりもポータブル電源を選ぶメリットは、おもに次の4つがあります。
・価格が安い
・持ち運びができる
・生活スタイルに合ったモデルを選べる
・活用シーンが蓄電池より幅広い
以下で、それぞれの詳細を順に解説します。
①価格が安い
先述のように、ポータブル電源は蓄電池と比べてはるかに安価で入手することができます。
最も高価なモデルでも30万円弱で購入できるので、蓄電池の能力を持て余す可能性があるとお考えの場合は、ポータブル電源が有効な選択肢となるでしょう。
②設置工事が不要で、持ち運びができる
ポータブル電源の魅力は、何と言っても好きな場所へ持ち運びができることです。
自宅での非常用電源としてももちろん活用できますが、キャンプや車中泊などのレジャー用や、災害時の避難所生活でも大活躍します。
③生活スタイルに合ったモデルを選べる
ポータブル電源には、超小型のコンパクトなモデルから、連泊も可能なほどの大容量を備えたモデルまで幅広く用意されているので、自身の生活スタイルに合わせて選べます。
価格が安いので、目的に合わせて複数台を所有することもできるでしょう。
➃ポータブル電源の活用シーンが蓄電池より幅広い
ポータブル電源は、蓄電池よりも幅広い活用シーンがあります。具体的には、おもに次の4つです。
・ソーラーパネルと併用して太陽光発電できるので、家庭の節電になる
・停電時の非常用電源として使える
・車中泊・キャンプ・釣りなどのアウトドアシーンで使える
・DIYや庭造りなど電源のない場所でAC電源を使える
このようにポータブル電源には幅広い活用シーンがあるので、蓄電池よりもコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。
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まとめ
蓄電池を購入して失敗する人の中には、能力を持て余してしまって費用対効果が得られないケースが少なからずあります。蓄電池の購入を事前に検討していて、オーバースペックだと感じた場合には、ポータブル電源が有効な選択肢になるでしょう。
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