東京で太陽光パネルの設置が義務化!制度の詳しい内容やメリット・デメリットを解説
「2025年から東京で太陽光パネルの設置が義務化される」という話を聞いて、詳しい情報が気になっている方が多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、2025年からスタートする太陽光パネル設置義務化制度の内容や、義務化が始まる理由について詳しく解説していきます。東京都に今後家を建てようと思っている方も、純粋に制度の内容が気になっている方もぜひ読んでみてください。
2025年から東京で太陽光パネルの設置が義務化!制度の内容は?
2022年12月、東京都の新築戸建て住宅に対し、太陽光パネルの設置を義務付ける制度を含んだ条例が成立しました。詳しくは記事の後半で説明しますが、2050年の脱炭素化実現を目指すことなどが主な制度制定の理由です。これから施行される制度の内容を、東京都環境局がリリースする資料の情報をベースに詳しく見ていきましょう。
●太陽光パネルの設置義務化は2025年4月からスタート
太陽光パネルの設置義務化は2025年4月からスタートとなります。条例が改正した2022年12月から義務化までの約2年間は「準備・周知期間」として設置されています。設置義務化のタイミングまでに、補助金をはじめとする補助施策を拡充していく予定です。
●太陽光パネルが義務化されるのは大手住宅メーカーの施工住宅のみ
太陽光パネルの設置が義務化されるのは、大手住宅メーカーの施工住宅のみです。具体的には都内への年間供給延床面積が合計20,000㎡以上の事業者で、都内大手住宅メーカー約50社のみが対象となる見込みとなっています。
多くの人が勘違いしていますが、太陽光パネルの義務化はすべての人・すべての事業者が対象となるわけではありません。CO2削減目標の達成において、現時点では大手住宅メーカーのみへの制度適用で十分と判断されています。中小住宅メーカーで家を建てる人や、その住宅メーカーには義務が課せられないのでぜひ押さえておきましょう。
ただし本制度により太陽光パネルの設置が増えない場合は、制度対象者の見直しもあると記載されています。都内に家を建てる予定のある方は、制度開始後の動向をチェックしておくのがおすすめです。
●延床面積2,000㎡未満の中小規模新築建物が対象
太陽光パネル義務化の対象となる建築物は、延床面積が2,000㎡未満の「中小規模新築建物」です。既存の物件リフォームなどは含まれず、あくまで「2025年4月以降に建てる建物」が対象となります。具体的には大半の住宅と一部の会社事務所等が含まれる形となるでしょう。
なぜ「延床面積2,000㎡未満」に絞られているかというと、すでに延床面積2,000平方メートル以上の大規模新築建物を対象とした「建築物環境計画書制度」が運用されているからです。この制度では設置義務ではないものの「太陽光パネルの設置に関する検討をしなければならない」という内容が含まれています。今回の条例改正により、すべての規模の新築物件に太陽光パネルの設置義務または検討義務が課されることとなりました。
参考:東京都環境局「東京都建築物環境計画書制度」
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●立地条件によっては設置しない判断も可能
今回の制度は「設置義務」という言い方をしていますが、日当たりが悪く太陽光パネル設置のメリットが見込めない場合などは、設置しない判断も可能としています。日当たりの悪い住宅は当然発電量も少なくなってしまい、設置費用を回収できない可能性が非常に高いためです。
また屋根の面積が20㎡未満の場合は、住宅用の2kW太陽光パネルの設置がそもそも困難なため、設置義務が免除されます。つまり実際に太陽光パネルを設置するかどうかは、立地条件や住宅の形状等を踏まえて判断することとなるでしょう。
●罰則はないが事業者名の公表は示唆されている
今回の太陽光パネル設置義務に違反した場合の罰則は特に設定されていません。違反が見つかっても、あくまで東京都が事業者に対し指導・助言をするにとどまるようです。
とはいえ東京都は2030年までに新築戸建ての6割へ太陽光パネルを設置するのを目標としており、違反する業者ばかりになれば目標は達成できません。そのため設置数の増加がほとんどみられない場合は、都は事業者名の公表も検討に入れるとしています。
太陽光パネルの義務化が始まる理由
太陽光パネルの義務化が始める理由は下記の4つです。
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・2030年までに新築戸建ての6割に太陽光パネル設置が目標
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・2050年までの都内住宅の脱炭素化を目指す
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・ニューヨークなど海外でも設置義務化が始まっている
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・賛成が過半数、若者は約8割が賛成派だった
それぞれ見ていきましょう。
理由①:2030年までに新築戸建ての6割に太陽光パネル設置が目標
厚生労働省は2050年のカーボンニュートラル(二酸化炭素を排出量と吸収量が均衡となる社会)を目指しており、そのうちの1つの取り組みとして「2030年までに新築戸建ての6割に太陽光パネル設置する」ことを挙げました。都内のCO2排出量の割合を見ると、全体の32.3%が家庭から排出されているのが分かります。
引用元:東京都環境局「太陽光パネル設置 解体新書 Q&A」
この部分を再生可能エネルギーに置き換えられれば、住宅におけるCO2排出量(1次エネルギー消費量)は現在の5%減になるとみられています。実現すれば、都内全体のCO2排出量減に大きな効果が期待できるでしょう。
理由②:2050年までの都内住宅の脱炭素化を目指す
同じく厚生労働省が掲げているのは、2050年までの「都内脱炭素化」実現です。脱炭素社会は日本国内のみの話ではなく、世界120以上の国・地域が目標として掲げています。
つまり国を挙げて脱炭素化に取り組まなければいけない中で、まずは日本の首都である東京が率先して脱炭素化に取り組む姿勢を見せるのがポイントでしょう。いずれは東京だけでなく、全国的に太陽光パネル設置の流れが始まるとみられます。
理由③:ニューヨークなど海外でも設置義務化が始まっている
2019年のニューヨークをはじめ、海外でも太陽光パネルの設置義務化がスタートしています。ニューヨークでは新築または大規模な屋根修繕を行う際に、太陽光パネル設置か緑化のどちらかを施すのが義務化されました。
他にもカリフォルニア州全域やドイツの複数の州政府において、続々と太陽光パネルを義務化する動きが進んできています。今後も脱炭素社会・カーボンニュートラルを目指す諸国で義務化の流れが進むのは間違いなく、日本も積極的に取り組む姿勢を見せる必要があるでしょう。
参考:環境省「海外諸都市における太陽光発電義務化の動向【概要】」
理由④:賛成が過半数、若者は約8割が賛成派だった
東京都では2022年5月~6月にかけての1か月間、太陽光パネルの設置義務化に関するパブリックコメントを募集していました。その結果は賛成56%、反対41%となっており、大差ではないものの賛成過半数となっています。
注目すべきは若者の意見。20代未満は86%、20代は77%が賛成となっており、設置によるコストの増加よりも、地球環境や自分たちの将来を考えた活動を評価していると分かるでしょう。日本の未来のためにも、再生可能エネルギーの普及は急務です。
参考:東京都環境局「パブリックコメント」
太陽光パネル義務化のメリット・デメリット
改めて、太陽光パネルの義務化によるメリット・デメリットを見ていきましょう。
●太陽光パネル義務化のメリット
太陽光パネル義務化によるメリットは、下記5つが考えられます。
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・売電による収入が得られる
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・補助金を使って安く導入できる
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・停電時にも家電が使える
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・CO2の排出量が減る
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・再生可能エネルギーの普及が進む
個人レベルでは売電による収入が得られる点や、停電時にも家電が動かせる防災面におけるメリットがあるでしょう。また義務化により太陽光パネルの導入補助金がスタートする見込みで、一定期間は安く導入できるとみられます。
社会における最大のメリットはCO2の排出量が減り、脱炭素社会・カーボンニュートラルの実現へ近づく点。かねてから課題となっている再生可能エネルギーの普及も、強制的に進んでいくでしょう。
●太陽光パネル義務化のデメリット
太陽光パネル義務化によるデメリットは、下記の4つが考えられます。
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・初期費用と定期的なメンテナンスが必要
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・売電価格の下落により回収できないリスクがある
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・再エネ賦課金が高くなる
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・住宅価格が高騰してしまう
太陽光パネルは設置に初期費用がかかり、設置後も定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスの頻度は明確に決まっていませんが、4年に1度が目安とされています。
また太陽光パネルで発電した電気は「売電」して収入を得られますが、この時の「売電価格」が供給過多で下落していき、設置費用を回収できない可能性が考えられます。また電力会社が電気を買い取る際のお金は、国民の電気代に上乗せされる「再エネ賦課金」から徴収されているため、太陽光パネルが普及すればさらなる増額もあり得るでしょう。
さらに、太陽光パネルの設置に伴い住宅建設にかかる総費用が増加するので、住宅価格の極端な高騰も懸念されており注意が必要です。
東京に家を建てるなら太陽光パネル義務化後すぐがおすすめ
もしこれから東京に家を建てるなら、太陽光パネル義務化後すぐをおすすめします。その理由について見ていきましょう。
①住宅価格が高騰する可能性が高い
太陽光パネルの設置が義務化されると、機器代や設置費用の分住宅価格が上がります。東京都内全体でこの流れが発生するので、住宅価格の相場は徐々に高騰していくでしょう。さらに施工業者の数も足りなくなると予想されるため、取り合いになれば価格のつり上げもあり得ます。そのため、住宅の価格が上がる前の「太陽光パネル義務化直後」が最適なタイミングといえるでしょう。
ご参考になるブロクサイト:イツキのブログ
イツキのブログは、一条工務店の家づくりを中心に、注文住宅のポイントを紹介しています。興味のある方はぜひご覧下さい。
②FIT売電価格は下落が予想される
国が一定価格で電気を買い取ることを保証する「FIT制度」の売電価格は、徐々に下落すると予想されます。太陽光パネルを設置する人が増えればトータルの売電量も当然増えるため、供給過剰となり売電価格を下げざるを得ないからです。実際に太陽光発電が普及するにつれて売電価格は下落しており、2013年に38円だったのが2023年には16円となりました。
※資源エネルギー庁資料などを基に当社作成
今後も売電価格は下がり続ける見込みとなっているので、早期に家を立ててしまえば初期費用をペイできる可能性が高くなるでしょう。
③補助金の打ち切りが考えられる
太陽光パネルの設置義務化とあわせて、導入時に使える補助金がスタートする見込みとなっています。しかしあくまで補助金は新制度を促進するためのものであり、ある程度設置が進めば打ち切られてしまう可能性が非常に高いです。補助金が打ち切られる前に、早めに家を立ててしまうのが得策でしょう。
設置工事不要で簡単に太陽光パネルを自宅に導入する方法
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・炊飯器
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・冷蔵庫
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・扇風機
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・圧力鍋
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・ホットプレート など
万が一の災害の際の非常用電源として活躍するのはもちろん、普段使いすれば節電にも役立ちます。太陽光パネルもポータブル電源も持ち運びができるので、キャンプなどの用途で活用してもOK。ぜひ気になる方は詳細をチェックしてみてください。
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まとめ
2025年から東京都で太陽光パネルの設置が義務化され、一般の住宅をはじめとする「延床面積2,000㎡未満の中小規模新築建物」が対象となります。2050年を目安とする「脱炭素化」や「カーボンニュートラル」の実現のための第一歩として行われる取り組みです。
東京に家を建てたいなら、徐々に住宅価格が高騰する可能性が高いので設置義務化直後がおすすめ。またこの記事を読んで太陽光発電に興味が出た方は、ぜひ「Jackery Solar Generator」の購入も検討してみてください。
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