東京湾に津波が来たらどうなる?想定被害や危険エリア・対策方法を紹介

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「東京湾に津波が来たらどれくらい危険?助かる方法はある?」と心配な方も多いのではないでしょうか。南海トラフ巨大地震や首都直下地震が発生した場合、東京湾内でも最大で3〜4m規模の津波発生が見込まれます。

 

この記事では、東京湾に津波が来た場合の想定被害や危険エリアを解説します。地震対策の方法もチェックし、命を守るための準備を始めましょう。

目次
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1.東京湾に津波が来たらどうなる?想定される被害を解説

もし東京湾に津波が来た場合、起こりうる被害を下記のとおり解説します。 

都心部の広範囲に渡る地域で浸水被害が発生する

交通インフラに乱れが生じる

湾岸エリアの施設に大規模な被害が出る

停電や断水など二次災害が起こる 

東京湾の津波により「どこまでの範囲で何が起きるか」を事前に把握しましょう。

都心部の広範囲に渡る地域で浸水被害が発生する

東京湾に津波が到達した場合、下記など低地エリアでは広範囲にわたる浸水被害が想定されます。 

江東区

江戸川区

中央区

港区など 

特に荒川や多摩川の河川流域では津波が川を遡上し、市街地まで被害が及ぶ危険性が高いです。たとえ想定される津波の高さは最大2〜3メートル程度でも、標高が低い地域では浸水や住宅地の「孤立」が発生します。ここでいう「孤立」とは、大規模な災害などによる道路の浸水や寸断で外部からの救助が困難になり、人の移動や物資の流通が不可能または困難になる状態のことです。 

とくにオフィスビルや商業施設など人口密集地域での被害は大きく、避難が遅れれば多くの人々の命が危険にさらされるでしょう。

交通インフラに乱れが生じる

津波が東京湾を襲った場合、首都圏の交通インフラは大きな混乱に見舞われます。湾岸エリアを通る首都高速道路は浸水による通行止めが予想されるため、物流や救援物資の輸送への影響は避けられません。 

JR在来線や地下鉄も冠水や施設損傷により突如運休になるリスクが高く、帰宅困難者が大量に発生する恐れがあります。新幹線や飛行機が運行しなくなり、首都圏への移動を含む旅行やビジネスに影響が生じる可能性も高いです。

湾岸エリアの施設に大規模な被害が出る

東京の湾岸エリアには下記の施設が集中しており、津波による被害リスクが非常に高いです。 

石油コンビナート

発電所

物流拠点

商業施設など 

特に日本有数の物流拠点である東京港は、多数のコンテナターミナルや倉庫を備える施設です。津波による浸水が発生すると、物流機能が大幅に低下する恐れがあります。 

また羽田空港は東京湾に面しているほか、滑走路の一部が標高数メートルと低いです。津波により滑走路が浸水した場合、飛行機の運航スケジュールに影響が生じてしまいます。 

日本のインフラを支える施設の被害は、首都圏の経済活動全体に大きな影響を及ぼすでしょう。

停電や断水など二次災害が起こる

津波により浸水やインフラ設備の損傷が起こると、停電や断水などのライフラインに障害が発生する可能性が高まります。変電所や送電設備が冠水した場合、長時間の停電は避けられません。 

停電によりコンセントが使えなくなると、冷暖房設備や家電を使えない状況が続いてしまいます。スマホを充電できず、地震や津波に関するニュースをリアルタイムで受け取れなくなる可能性も高いです。 

水道設備の損傷による断水が続けば、飲料水や生活用水が不足する自体となるでしょう。

関連人気記事:首都直下型地震は津波の心配がある?到達時間と範囲からわかる危険度と対策

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2.南海トラフ地震で東京湾に津波が来た場合の危険エリア

南海トラフ地震で東京湾に津波が来た場合、危険エリアは下記のとおりです。 

危険エリア

理由

東京都江戸川区

東京湾から流れ込む津波の影響を受けやすく、標高が低いため浸水リスクが高い

東京都多摩市

津波が川を遡上し、川沿いの住宅地や工場地帯に大きな浸水被害が及ぶ危険性がある

神奈川県横浜市

東京湾に面した低地が多いため津波の直撃を受けやすい。

みなとみらい地区や鶴見区の工業地帯の浸水被害が想定される

神奈川県川崎市

石油コンビナートや工業施設が集中しており、津波被害により二次災害(火災や爆発など)につながる恐れがある

南海トラフ地震で東京湾に津波が到達した場合、東京や神奈川などの沿岸部エリアにおける大規模な浸水被害が想定されます。特に標高の低い地域では津波の遡上や河川の氾濫リスクがあり、住宅地や工業地帯へ大きな影響を及ぼす可能性が高いです。

3.東京湾で過去に発生した津波事例

東京湾で過去に発生した津波事例

過去に東京湾では、下記3つの地震に伴い大きな津波が発生しています。 

元禄地震

関東大震災

東日本大震災 

それぞれの地震で発生した津波の高さや、発生した被害に目を通しましょう。

元禄地震(1703年)|東京湾内で高さ2mの津波が発生

1703年12月31日の元禄地震は、房総半島南端から相模湾沖にかけてのプレート境界で発生。マグニチュード8.2〜8.4と推定される巨大地震で、東京湾沿岸でも2メートルに達する津波が記録されました。 

参考:地質調査総合センター「南関東沿岸の地殻上下変動から推定した1703年元禄関東地震と1923年大正関東地震の断層モデル 

江戸湾周辺では、船舶の転覆や河川の逆流による浸水被害が発生。死者は房総半島と三浦半島を中心に一万人を超え、沿岸部の村落が壊滅的被害を受けた記録も残されています。 

参考:千葉県公式ページ「元禄地震とは」

関東大震災(1923年)|静岡県熱海市で最大遡上高12mの津波を観測

1923年9月1日に発生した関東大震災は、マグニチュード7.9の巨大地震です。震源地は神奈川県相模湾の北西部で、最大遡上高12mの津波が発生しました。 

参考:内閣府 防災情報のページ 

東京湾では1〜2メートル規模の津波が到達。江戸川・荒川流域で一部浸水被害が記録されています。 

参考:自由民主党 伊藤まさひろ公式ページ「東京湾内でも安心できない津波被害」 

地震直後の強風が原因で発生した火災による二次被害も大きく、東京市街地を中心に約10万5,000人が犠牲になりました。 

参考:内閣府「防災情報のページ」

東日本大震災(2011年)|東京湾で1.5mを超える津波が発生

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、マグニチュード9.0と日本観測史上最大級の巨大地震です。震源地は東北地方太平洋沖で、最大遡上高40.5mの津波が東北沿岸で記録されています。 

参考:内閣府「防災情報のページ」 

東京湾内でも1.5m以上の津波が観測され、港湾施設の一部で浸水や係留船舶の損傷が発生。江東区や千葉県浦安市など標高が低い地域では、道路の液状化による二次被害も発生しました。 

参考:日本自然災害学会「東京湾ウォーターフロントにおける液状化被害」

関連人気記事:東日本大震災の津波高さは最大どれくらい?今後の地震対策のポイントも解説

4.東京湾に津波が来たら取るべき行動

東京湾に津波が来たら取るべき行動

もし東京湾に津波が来たら、迷わずすぐに下記の行動を取ってください。 

すぐに海岸や河川から離れる

高台に避難する

高台が遠い場合は頑丈なビル・タワーの上の階に避難する 

それぞれ理由や行動のコツを紹介します。急な津波から命を守るための動き方を知っておきましょう。

すぐに海岸や河川から離れる

東京湾に津波が来る可能性があると分かったら、すぐに海岸や河川から離れましょう。津波は地震後数分から数十分で到達することがあるため、海の様子を確認する時間はありません。 

特に東京湾沿岸は埋立地が多いため、江東区や江戸川区では水が一気に押し寄せる危険があります。さらに荒川や多摩川など大きな河川では津波が遡上し、内陸部まで浸水する可能性が高いです。 

避難の際は、車ではなく徒歩で移動するのが鉄則です。道路の渋滞や浸水リスクを回避しつつ、できるだけ迅速に安全な方向へ移動しましょう。

高台に避難する

津波から命を守る方法は、とにかく高台に避難することです。標高10m以上の高台を目安に、安全性の高い場所を事前に把握しておきましょう。 

職場や学校など生活拠点ごとに複数の避難経路を決めておくと、津波発生後すぐに「避難のゴール地点」がどこか判断できます。夜間や悪天候時の避難も考慮し、懐中電灯や防災用ライトを非常用バッグに入れておきましょう。

高台が遠い場合は頑丈なビル・タワーの上の階に避難する

高台が近くにない場合は、頑丈なビルや津波避難タワーの上階へ避難してください。東京湾沿岸には、津波避難ビルや避難タワーに指定されている建物が多くあります。 

例として品川区では、大津波警報が発表された場合に避難できる施設としてRC・SRC構造の3階以上の建物が「津波避難施設」として指定されています。 

参考:品川区公式サイト 

避難先の建物を選ぶ際は、鉄筋コンクリート造など構造的に強固なものを選びましょう。事前に最寄りの津波避難ビルがどこか把握しておくと、いざというときに迷わず移動できます。

関連人気記事:津波注意報発令!命を守るために取るべき行動と防災対策を徹底解説

5.津波による避難や停電に備えてJackery(ジャクリ)のポータブル電源を用意しよう

津波による避難や停電に備えてJackery(ジャクリ)のポータブル電源を用意しよう

津波発生時には停電や避難所生活が長引く可能性が高いため、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源を備えておくと安心です。コンセントのない場所でもスマホやラジオなど情報収集機器を充電できるため、最新の避難情報を得られます。小型ヒーターや冷蔵庫などの非常用家電も使用できるため、夏や冬の過酷な避難所生活における強い味方となるでしょう。 

全世界で累計500万台の販売実績を誇るJackery(ジャクリ)のポータブル電源は、防災製品等推奨品マークを取得しています。津波や地震など大規模な災害に備えて、非常用バッグに加えておきましょう。

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6.東京湾の津波に関してよくある質問

最後に、東京湾の津波に関してよくある下記の質問へ回答します。

東京湾に津波が来ないのはなぜ?

東京湾は外洋に面した太平洋と異なり、房総半島・三浦半島に囲まれた地形をしているからです。たとえ大きな地震が発生しても、津波のエネルギーが直接湾内に入りにくい構造になっています。 

また東京湾は湾口が狭いため、外洋からの津波は湾口付近で一部反射・減衰する傾向があるのも事実です。東日本大震災の際も、東京湾内で発生した津波は最大1.5m前後の規模にとどまりました。 

参考:品川区公式サイト「過去の津波記録」 

ただし湾外で巨大地震が発生した場合、湾口を通過した津波が河川を遡上し、浸水を引き起こす可能性があります。

南海トラフ地震が発生したら東京湾で津波が30mに達する可能性はある?

30m級の津波が東京湾を直撃するリスクは極めて低いです。房総半島と三浦半島に囲まれた「閉鎖性の高い湾」であるため、外洋からの津波エネルギーが大幅に減衰されます。 

南海トラフ由来の津波が東京湾に到達した場合でも、高さは最大でも2〜3m程度とされています。ただし、2〜3mの津波は家屋を押し流し、人命に重大な危険を及ぼすほど強力であることを覚えておきましょう。

南海トラフ地震が来たら、東京湾の千葉県側にも津波が来ますか?

南海トラフ地震が来た場合、東京湾の千葉県側にも津波が到達する可能性があります。太平洋沿岸全域で津波が予測されており、東京湾内でも津波の遡上や湾内反射が想定されます。 

特に千葉県の下記エリアは埋立地が多く標高が低いため、浸水被害のリスクが高い地域です。 

浦安市

市川市

船橋市など 

千葉県湾岸部に住む方は、津波の発生に備えて避難ビルや避難タワーの位置を事前に確認しておきましょう。

東京湾に津波が来る可能性はどのくらいですか?

東京湾に津波が到達する可能性は低いものの、決してゼロではありません。東日本大震災では、東京湾内でも最大1.5m程度の津波が観測されました。 

参考:品川区公式サイト「過去の津波記録」 

例え1.5m規模の津波でも、標高の低い埋立地や河川沿いが広範囲にわたって浸水するリスクがあります。「東京湾は津波が来ないから安全」と過信せず、ハザードマップで避難経路を確認しておきましょう。

まとめ

東京湾は比較的津波リスクが低い場所ではあるものの、過去には1〜2m程度の津波が数回発生しています。津波の威力は膨大であり、たとえ50cm程度の高さでも成人男性を歩行困難にする力を持っています。 

参考:海上保安庁公式サイト 

今後東京湾に津波が来たら、すぐに海岸や河川から離れて高台に避難してください。高台が遠い場合は、建物の3階以上に避難する必要があります。 

また地震や津波発生時には、長期間の停電が発生する可能性が高いです。防災グッズには、コンセントなしで冷暖房器具や調理器具を動かせるJackery(ジャクリ)のポータブル電源を用意しましょう。

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