1.リチウムイオン電池とはどんな電池?仕組みや種類・メリット・デメリットを解説
リチウムイオン電池とは、リチウムイオンの移動によって充電と放電を行う二次電池(充電できる電池)です。さっそく、仕組みや特徴を解説していきます。
●リチウムイオン電池の仕組み
リチウムイオン電池の仕組みは、リチウムイオンの移動に基づいています。充電時にはリチウムイオンがプラス極からマイナス極へ移動し、放電時には逆方向に移動します。この過程で電子も電線を通って移動し、電気エネルギーを生み出すのです。
以下に、リチウムイオン電池を構成するパーツと、その材料(物質)をまとめました。
項目 |
使われる物質等 |
正極材 |
リチウム化合物 電池の種類により素材が異なる |
負極材 |
炭素化合物。黒鉛を使う場合が多い |
電解液 |
有機溶媒 (エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなど) |
セパレーター |
ポリエチレン、ポリプロピレンなど |
外装 |
ステンレス、アルミニウムなど |
電池の内部には、リチウム化合物を使った正極材(プラス極)と炭素化合物の負極材(マイナス極)があります。そして両極の間にはセパレーターと呼ばれる隔壁があり、有機溶媒の電解液が染み込んでいます。
●リチウムイオン電池の特徴|メリットとデメリット
リチウムイオン電池には、他の電池にはない特徴やメリットがあります。その特性を知ることで、より効果的に使いこなせるようになるでしょう。
①小型で大容量・高出力:同じサイズの他の電池と比べて2〜3倍のエネルギーを蓄えられる
②自己放電が少ない:月に1〜5%程度と低く、長期保管にも向いている
③メモリー効果がない:半分使った状態から充電しても性能が落ちない
④環境への影響が比較的少ない:鉛などの有害物質を含まない電池が多い
⑤充電回数が多い:種類によって500回~4,000回程度の充放電が可能
一方でリチウムイオン電池には以下のデメリット・注意点があります。
● 過充電・過放電に弱い:満充電や電池切れの状態が続くと劣化が加速する
● 高温環境に弱い:40℃を超える環境では劣化が進みやすい(ただし、最新の「リン酸鉄系リチウムイオン電池」は比較的暑さに強い)
● 衝撃に弱い:強い衝撃を与えると内部がショートして発火の危険性がある
● 経年劣化する:使わなくても容量が減少していく
ただし、Jackery「ポータブル電源」のように、過充電や過放電を抑えたり、高温・衝撃に強くしたりする仕組みを導入したリチウムイオン電池も増えてきました。デメリットを解消したリチウムイオン電池なら、より長く安全に使えます。
●リチウムイオン電池の種類
リチウムイオン電池には、正極材(プラス極)の材質によって主に「三元系」と「リン酸鉄」の2種類があります。以下のとおり、それぞれ特徴が異なるため、用途に応じて選ぶことが大切です。
種類 |
三元系リチウムイオン電池 |
リン酸鉄リチウムイオン電池 |
正極材 |
ニッケル・マンガン・コバルト |
リチウム・鉄・リン |
温度特性 |
低温・高温に弱い |
45℃の高温でも充電可能 |
寿命 |
500回程度の充放電 |
1,000〜4,000回と非常に長い |
安全性 |
やや低い |
発火リスクが低く安全性が高い |
サイズ・重量 |
軽量・コンパクト |
三元系に比べるとやや重い |
用途例 |
・スマホなどのモバイル機器 ・電動工具のバッテリーなど |
・大型蓄電池 ・充電式の産業用機器など |
三元系リチウムイオン電池は軽量・コンパクトで出力が大きい一方、リン酸鉄は耐久性と安全性に優れています。最近ではリン酸鉄でも軽量・コンパクトを実現したリチウムイオン電池も増え、より使い勝手が向上してきました。
また、リチウムイオン電池は形状も多様。円筒形や角形、ラミネート型(パウチ型)、ピン型などが多数です。用途に応じて使い分けられ、さまざまな電子機器に組み込まれています。
形状 |
特徴 |
使われる機器の例 |
円筒形 |
乾電池と似たような形状。電解液は液体の状態で封入される。外装は金属製 |
ノートパソコン、家電、電動工具など |
角形 |
平らな四角形の形状。電解液は液体の状態で封入される。外装は金属製が多い |
スマートフォン、デジタルカメラ、ゲーム機など |
ラミネート型(パウチ型) |
平らな四角形の形状。電解液はゲル状または固体の物質に染み込ませた状態で封入。外装はラミネートフィルム |
ドローン、電動バイク、無人搬送車など |
ピン型 |
幅3.5mm、長さ2cm程度と小型。外装はステンレスなどの金属製 |
補聴器、ワイヤレスイヤホン、リストバンド端末など |
機器のサイズや形に応じて、適切な形状を選べることはリチウムイオン電池の強みです。
●リチウムイオン電池は何に使われている?製品例
リチウムイオン電池は、家電でも産業用でも幅広く使われています。代表的な製品を、以下に挙げました。
・スマートフォン
・ノートパソコン
・電動工具
・電気自動車
・ドローン
なかでもポータブル電源は、代表的な製品です。
2.リチウムイオン電池とその他電池を比較
家電をはじめとした電気機器では、リチウムイオン電池以外にも多種多様な電池が使われます。しかし電池の性能は、どれも同じではありません。ここからはよく使われる4つの電池を取り上げ、リチウムイオン電池との違いを確認します。
●リチウム一次電池との違い
リチウム一次電池とは、プラス極とマイナス極をセパレーターで分離した電池です。プラス極には二酸化マンガンまたはフッ化黒鉛など、マイナス極にはリチウムが使われています。公称電圧は3ボルトで、リチウムイオン電池の3.2ボルト~3.7ボルトよりもやや低めです。
リチウム一次電池とリチウムイオン電池との違いは、使い切りかどうか、また充電や放電の仕組みにあります。リチウム一次電池は、使い切りの電池です。充電を繰り返すとリチウムがマイナス極に不均一に積もり、やがてショートにつながるおそれがあるため、繰り返しの使用には不向きです。
一方でリチウムイオン電池は繰り返し使用でき、リチウムイオンの移動により充電や放電が行われます。リチウム一次電池のように、充電を繰り返してもマイナス極にリチウムが積もる心配がなく、ショートのリスクが少ないことは特長に挙げられます。
●アルカリ乾電池との違い
アルカリ乾電池はプラス極に二酸化マンガン、マイナス極に亜鉛、電解液に水酸化カリウムを使った、使い切りの電池です。一方でリチウムイオン電池は繰り返し使用でき、電解液も有機溶媒であり水は使われていません。
電圧も異なります。アルカリ乾電池の公称電圧は1.5ボルトに対して、リチウムイオン電池は3.2ボルト~3.7ボルトです。同じサイズならリチウムイオン電池のほうが、アルカリ乾電池よりもパワーは大きくなります。
またアルカリ乾電池は電解液に水が使われているため、氷点下の環境では性能が著しく低下します。リチウムイオン電池も低温による性能の低下はありますが、使えなくなるほどではありません。
●鉛蓄電池との違い
鉛蓄電池はプラス極に酸化鉛、マイナス極に鉛、電解液に希硫酸を使った、繰り返し使用できる電池です。大きな電流や長時間使える安定性を持ち、自動車のバッテリーなどで使われています。
鉛蓄電池は充電中に水素ガスと酸素ガスが発生するため、火気厳禁です。また自然放電も起こしやすい電池です。このため定期的に水を補給するとともに、電池を使っていない場合でも1カ月から3カ月に1回充電を行わなければなりません。
リチウムイオン電池は途中で液体を補給する必要はなく、むしろ水濡れに注意が必要な電池です。また自然放電しにくいことも特徴に挙げられます。
●ニッケル水素電池との違い
ニッケル水素電池はプラス極に水酸化ニッケル、マイナス極に水素吸蔵合金、電解液に水酸化カリウム水溶液を使用した、繰り返し使用できる電池です。乾電池タイプの充電式電池は、このタイプが多いです。
ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の違いとして、電池のパワーと電解液が挙げられます。公称電圧はニッケル水素電池が1.2ボルトですが、リチウムイオン電池は3.2ボルト~3.7ボルトと高くなっています。リチウムイオン電池ならより小さいサイズで大きなパワーを出せるというわけです。
一方でリチウムイオン電池の電解液は、有機溶媒です。衝撃を加えたり穴を開けたりすると、発煙や火災につながります。ニッケル水素電池の電解液も強アルカリですから、漏れれば人体に悪影響がありますが、より注意して取り扱う必要がある電池はリチウムイオン電池です。
3.リチウムイオン電池の寿命|長く使う方法も解説
リチウムイオン電池の寿命は、使い方や保管方法によって大きく変わります。一般的に三元系リチウムイオン電池の寿命は500回~1,000回程度、リン酸鉄リチウムイオン電池は2,000〜6,000回程度の充放電が可能です。
以下の方法を試せば、リチウムイオン電池の寿命をより長くできる可能性があります。
● 20〜80%の充電範囲で使う:満充電や完全放電を避ける
● こまめに充電する:電池残量が20〜30%になったら充電を始める
● 極端な低温・高温・多湿を避ける:風通しが良く、日が当たらない場所で保管する
つまり「バッテリーへの負担を減らす」よう心掛ければOKです。負担がかかる「充電のし過ぎ」「残量0での放置」は避けて、室温程度の空間で保管すると良いでしょう。
参考記事:リチウムイオン電池の寿命はどのぐらい?確認方法や寿命を伸ばす6つのコツも解説
リチウムイオン電池が膨らむのは、内部でガスが発生している危険な状態のサインです。この状態を放置すると最悪の場合、発火や爆発につながる可能性があります。リチウムイオン電池が膨張の主な原因は以下のとおりです。
● 過充電や過放電
● 高温環境での使用や保管
● 物理的な衝撃や損傷
リチウムイオン電池の膨張を防ぐためには、充電のし過ぎや残量0での放置を避け、室温程度の空間で保管するのがポイント。つまり、寿命を延ばすコツとほとんど同じです。また、落とす危険のある高い位置に置かないなど、物理的な衝撃を加えないための保管方法にも注意してみてください。
関連記事:電池が液漏れしたらどうすればいい?発生する原因や対処法を詳しく解説
リチウムイオン電池は一般のゴミとして捨てることができません。適切な廃棄方法を知り、環境保護と安全に配慮しましょう。リチウムイオン電池の主な回収場所は以下のとおりです。
● 家電量販店(回収ボックス・回収サービス)
● スーパー・ホームセンター(回収ボックス)
● 市区町村の回収拠点(リサイクルセンターなど)
● 製造メーカーによる回収
● 産業廃棄物業者(不用品回収業者)への依頼
回収してもらう前に、リチウムイオン電池はショート防止のため端子部分をセロハンテープなどで絶縁しておきましょう。できるだけ放電させておくとより安全ですが、完全放電は不要で、ある程度使い切った状態で問題ありません。
なお、当社Jackery(ジャクリ)のリチウムイオン電池「ポータブル電源」は、無料回収サービスを行っています。使わなくなったときの廃棄方法を気にする必要がないので、気軽に試してみてください。
参考記事:リチウムイオン電池の廃棄方法は?電池種類別の捨て方と注意点を解説
リチウムイオン電池に関するさまざまな疑問と、その回答をまとめています。
①「リチウムイオン電池回収ボックス」ってどこにあるの?
リチウムイオン電池の回収ボックスは主に以下の場所に設置されています:
● 家電量販店:ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機など
● ホームセンター:コーナン、カインズ、DCMなど
● スーパーマーケット:イオン、イトーヨーカドーなど
● 市区町村の公共施設:役所、リサイクルセンターなど
※店舗・施設により回収ボックスを設置していないこともあるので、行く前にお問い合わせください
回収ボックスは店舗の入口付近や、リサイクルコーナーに設置されていることが多いです。また、一般社団法人JBRCでは全国数千か所以上の協力店に回収ボックスを設置。公式サイトで最寄りの回収場所を検索できるサービスも提供しています。
参考:JBRC
②リチウムイオン電池って充電できるの?
リチウムイオン電池は充電できる「二次電池」です。注意点として、「リチウム電池」と呼ばれるものには、「リチウムイオン電池(充電式の二次電池)」と「リチウム一次電池(使い捨てタイプ)」の2種類があります。コイン電池などのリチウム一次電池は充電できませんので、混同しないよう注意してください。
③飛行機にリチウムイオン電池の持ち込み制限があるって本当?
飛行機にリチウムイオン電池を持ち込む際には、以下のとおり制限があります。
● 機内持ち込み:容量100Wh以下は制限なく持ち込み可能。100Wh超160Wh以下は1個まで。160Wh超は持ち込みNG。
● 預け荷物:電池単体の預け入れは原則禁止(機器に内蔵した状態は可能な場合もあり)
※航空会社や路線によって細かい規定が異なるため、搭乗前に確認することをおすすめします。
飛行機旅行や出張の際に便利なのが「Jackery Explorer 100 Plus」です。容量99Whと持ち込み制限(100Wh)をギリギリクリアしており、制限なく飛行機に持ち込めます。手のひらサイズながらスマホを5回以上、ノートパソコンを3回程度充電できるので、旅行や出張のお供にいかがでしょうか。
関連記事:飛行機内にバッテリーを持ち込みたい!航空会社別のルールやおすすめのバッテリー
④iPhoneのバッテリーもリチウムイオン電池なの?
iPhoneを含むほとんどのスマホはリチウムイオン電池搭載です。一般的なリチウムイオン電池と同じく、使い方によって寿命が変わります。充電し過ぎや充電0での放置を避ける、極端な高温・低温環境を避けるなど、基本的なケアが寿命を延ばすポイントです。
7.キャンプや防災で大活躍!リチウムイオン電池はJackery(ジャクリ)がおすすめ
大容量のリチウムイオン電池を搭載した「ポータブル電源」をご存じでしょうか?ポータブル電源とは、大容量のリチウムイオン電池を内蔵し、AC電源(コンセント)やUSB端子などから電気を取り出せる製品です。
電源のない場所でも家電を使えるようにしてくれる便利なアイテムで、以下のようなシーンで活躍します。
● キャンプや車中泊でスマホ充電やランタン、小型家電の電源に
● 災害時の停電でスマホや照明、冷蔵庫などを数日間使用可能
● DIYや現場作業のような「外にコンセントがほしい」シーンでも電源確保
● 大容量・高出力のモデルなら電子レンジやエアコンなど消費電力の大きい家電も稼働◎
● ソーラーパネルと組み合わせれば長期間の停電や連泊のキャンプ・車中泊でも大活躍。普段使いで節電にも
ポータブル電源を選ぶなら、世界累計販売台数500万台以上を誇る「Jackery(ジャクリ)」がおすすめです。防災製品等推奨品マーク取得の高い安全性と、10年以上使えるリン酸鉄リチウムイオン電池採用の長寿命で、安心してお使いいただけます。「ポータブル電源無料回収」のサービスも用意しているため、将来捨てる必要が出てきたときでも、処分に迷う心配はありません。
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まとめ:電池の特徴を知り、生活に長く役立つ製品を選ぼう
リチウムイオン電池は長持ちして扱いやすい工夫がされた電池ですが、オールマイティーではありません。電池の特徴を把握することでより長く使えるとともに、コストパフォーマンスの良い製品を選べます。
Jackeryのポータブル電源も三元系に加えて、リン酸鉄リチウムイオン電池を使った製品を発売開始しました。三元系とリン酸鉄は特徴が異なります。「電池の特徴を知るなんて面倒」と思わず、積極的に知識を得ましょう。あなたの使い方に合った製品を選ぶことで、生活に長く役立つポータブル電源を使えます。
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