1.ポータブル電源の車内放置はNG!その理由を解説
引用元:国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター「リチウムイオン電池の劣化挙動調査」
そもそもリチウムイオンバッテリーの最高許容温度は45℃と規定されており、ポータブル電源を車内に長時間放置すると、高温により膨張や異常発熱、故障、発火のリスクが高まります。
2.ポータブル電源は春夏秋冬関係なく車内放置してはいけない
夏は高温になるので、ポータブル電源をはじめ電子機器を車内に置くのは良くない、というのはイメージできるのではないでしょうか。では春・秋・冬は車内に放置しても良いのかというと、一概にOKというわけではありません。春・秋・冬のポータブル電源の車内放置の可否についてそれぞれ解説します。
●夏はポータブル電源の耐久温度を簡単に超えるので完全にNG
真夏の車内は50度近くの高温になりポータブル電源の耐久温度を簡単に超えるため、完全にNGです。
高温の車内に放置すると、充電能力が低下したり、電池の寿命が短縮したりとバッテリーの劣化に繋がります。また高温の影響で異常発熱の恐れもあるため、ポータブル電源を夏場の車内に放置することは推奨しません。
●春・秋も基本的にNG
春・秋のポータブル電源の車内放置は、基本的にNGと考えておいたほうが良いでしょう。なぜなら、春・秋も想像以上に車内の温度が上がるからです。日本自動車連盟(JAF)が4月に行ったテスト結果では、最高気温23.3℃の環境下でも車内温度は48.7℃にまで上昇しました。
引用元:日本自動車連盟「春の車内温度(JAFユーザーテスト)」
ダッシュボード付近に至っては、なんと70℃以上にまで温度が上昇しました。20℃以上の気温で、直射日光が当たる場合は、ほぼ間違いなくポータブル電源を劣化させてしまいます。基本的に車内放置はせず、もし放置する場合は「曇りまたは雨で、気温が10℃台」の日だけにするのが無難です。
●冬は-10℃を下回らなければOK
冬はというと、基本的に-10℃を下回らなければ車内放置しても問題はないでしょう。当社「Jackery(ジャクリ)」の製品を含め、ほとんどのポータブル電源の保管温度は-10℃までで設計されています。
反対にいえば、-10℃を下回るほどの極寒な場合は、ポータブル電源を長期間車内に放置すると、バッテリー劣化して容量が減少したり、充電できなくなるリスクがあるので、やめましょう。特に北海道・東北・北陸など寒い地域では車内放置は避けたほうが無難です。いずれの場合も、できればポータブル電源は自宅で保管してください。
3.ポータブル電源の本体に影響を与えない3つの保管ポイント
ポータブル電源は、基本的に車内ではなく自宅で保管しましょう。ただし自宅で保管するにしても、3つのポイントがあります。
・直射日光を当てない
・風通しの良いところに置く
・60~80%の容量で保管する
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
①直射日光を当てない
ポータブル電源は直射日光の当たる位置に置かないようにしましょう。直射日光が当たると、内部の温度が徐々に上がっていきます。日光が当たっていない部分は冷たくても、直射している部分や内部は灼熱状態になっているケースも少なくありません。
内部の温度が上がれば劣化のスピードが速まるので、ポータブル電源の寿命を縮めてしまいます。そのため、日当たりの良い窓際、ベランダ、庭など直射日光の当たる場所に置くのは避けましょう。
②風通しの良いところに置く
ポータブル電源に限らず電子機器全般にいえることですが、なるべく風通しの良いところに置きましょう。湿気がある環境での保管は、金属類の腐食・腐敗による劣化を起こすリスクがあります。最悪の場合は使えなくなってしまうので注意が必要です。たとえば、下記のような風通しの良い場所をおすすめします。
・エアコンのある部屋
・リビングの隅
・本棚などの上
また、防災のためにポータブル電源を持っておく場合は、押入れに保管しようと考えてしまいがちです。しかしほとんど開けない押入れの中は湿気がたまりやすいので、ポータブル電源に使われた金属類が腐敗・腐食を起こしてしまう可能性があるので要注意です。
また、自宅の庭やベランダなどは、風通しは良いですが、直射日光で劣化する可能性があるのはもちろん、雨風やチリ・ホコリが中に入ってしまい、機器のどこかが故障してしまう可能性がありますので、ベランダや庭に長期間放置するのはやめておきましょう。
③60~80%の容量で保管する
ポータブル電源は60~80%の容量で保管しましょう。国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センターのリチウムイオンバッテリー劣化試験結果によれば、容量90%~100%の状態で保管すると劣化が速いと分かっています。
引用元:国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター「リチウムイオン電池の劣化挙動調査」
また充電が完全に0の状態での保管も劣化につながります。ポータブル電源は使わなくても6ヶ月に20%ほどのペースで自己放電してしまうので、2~3ヶ月に1度は60~80%まで充電しておきましょう。
4.どうしても一時的に車内放置したい時の5つの対策
「車内放置はNG」とはいったものの、状況によっては車内にポータブル電源置かざるを得ないシーンはあるでしょう。ポータブル電源をどうしても一時的に車内放置したい場合は、下記5つの対策をするのがおすすめです。
・サンシェードを取り付ける
・ソフトクーラーボックスに入れる
・専用のケースに入れる
・窓を数㎝開ける
・ポータブルクーラーを動かす
ただし、あくまで「どうしても」の場合であり、対策をしたとしても車内放置は劣化・異常発熱のリスクが高いため推奨しません。やむを得ない場合にのみ活用しましょう。
対策①:サンシェードを取り付ける
日光が中に入らないよう、窓にサンシェードを取り付けましょう。日本自動車連盟(JAF)が気温35度の環境下で、4時間の温度変化を測定するテストをした結果、サンシェードを取り付けなかった車の最終的な平均温度が47℃だったのに対し、取り付けた車は45℃と2℃下がりました。
引用元:日本自動車連盟「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」
最終的な差は微々たるものですが、上記のグラフからサンシェードを取り付けたら温度の上昇スピードを抑制できたのが分かります。他の対策とあわせてぜひ行いましょう。
対策②:ソフトクーラーボックスに入れる
ごく一時的な車内放置であれば、ソフトクーラーボックスに入れる対策が効果的です。クーラーボックスには断熱材が入っているので、車内の温度が上がってもボックス内の温度をしばらく維持できます。ハードクーラーボックスでも問題はありませんが、幅を取るのでソフトのほうが良いでしょう。
対策③:専用のケースに入れる
ポータブル電源に専用のケースがある場合は、そちらに入れるのがおすすめです。たとえばJackeryの場合は、断熱性のある専用ケースを用意しています。ポータブル電源とあわせてぜひ購入しておきましょう。
対策④:窓を数㎝開ける
窓を数㎝開けておけば、車内の温度が大きく下がります。「対策①:サンシェードを取り付ける」でも紹介したJAFのテストでは、3cmの窓開けにより車内温度が5℃下がりました。
引用元:日本自動車連盟「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」
少しの窓開けでも車内の空気がある程度循環するので、外気温に近い温度を維持できます。サンシェードの取り付けとあわせて行えば、6~7℃ほど車内温度を下げられるでしょう。
対策⑤:ポータブルクーラーを動かす
ポータブル電源にポータブルクーラーを接続して、車内で動作させる方法もあります。自らの電力で車内の温度を下げる荒業ですが、車のエアコンをつけるのに近い効果が得られるでしょう。
ただし充電が切れてしまうと、車内はふたたび炎天下に包まれてしまいます。フル充電した状態で、あくまで短時間の車内放置にとどめておきましょう。また繰り返しになりますが、そもそも車内放置は推奨されていないので、可能であれば行わないのが得策です。
5.耐熱性に優れたリン酸鉄リチウムのポータブル電源がおすすめ!
従来のポータブル電源に使われている「三元系リチウムイオンバッテリー」の原料は、ニッケル・コバルト・マンガンなどの「レアメタル」です。実はこのレアメタル、220℃を超えると熱分解を起こしてしまい、劣化や異常発熱を起こすリスクがありました。
それに対して、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの原料である「リン酸鉄」は結合が非常に強く、約600℃まで熱分解を起こしません。耐久温度が従来製品より高いです。つまりリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用したポータブル電源は、従来製品より耐熱性が優れているのでおすすめです。
しかしバッテリーの安全性が高いのは明らかですが、それ以外の機構については従来と大きな変化はありません。実質的に耐久出来るのは「+ 5℃」程度でしょう。あくまで車内放置は非推奨である点は押さえておいてください。
6.耐久性の高いリン酸鉄リチウムイオンポータブル電源5選
耐熱性に優れたリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載しているポータブル電源であれば、高温環境でも効率的に作動します。
最新リン酸鉄リチウムイオンバッテリー搭載のモデルなら、人気ブランドJackery(ジャクリ)のポータブル電源がおすすめです。無料の長期保証や無償の修理・回収サービスなど、さまざまなサポートが完備されています。また世界中で400万台以上の業界トップの販売実績を誇り、多くのユーザーが愛用している製品です。
ここでは10年間以上使えるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載したポータブル電源とソーラーパネルがセットになった4モデルを紹介します。ソーラーパネルとセットでそろえることで、出先で電力切れになっても繰り返し充電して使うことが可能です。予算や用途に合ったモデルを見つけてみてください。
●Jackery Solar Generator 2000 New ポータブル電源 ソーラーパネル セット
大容量ながら本体が業界同クラスで最小と最軽量を実現、車内に積み込んでも場所を取りません。また緊急時でもすばやく取り出せて、しっかりグリップできるハンドル付きなので簡単に持ち運べます。
●Jackery Solar Generator 1000 New 100W ポータブル電源 ソーラーパネル
新しい定番モデルJackery ポータブル電源 1000 NewとJackery SolarSaga 100がセットの商品になりました。発売初日にAmazon売れ筋ランキング1位を獲得し、「第6回防災グッズ大賞2024」防災部門の優秀賞を受賞できました。
静音レベルが22dB以下で睡眠の邪魔にならないほど静かなので、車中泊やキャンプ、防災におすすめのポータブル電源です。
●Jackery Solar Generator 600 Plus 100 Prime ポータブル電源 セット
中容量モデルJackery ポータブル電源 600PlusとJackery SolarSaga 100 Primeがセットになりました。ソーラーパネルは車のルーフキャリアに取り付け可能です。長距離の車中泊や万が一の車避難の際にも活躍します。
●Jackery Solar Generator 240 New 100W ポータブル電源 ソーラーパネル
リュックに入るコンパクトなポータブル電源 240 NewとJackery SolarSaga 100W ソーラーパネルを組み合わせたセット商品です。ソーラーパネルは折りたたみ式で収納も便利、かつ直接スマホやiPadにソーラー充電できるので、キャンプや車中泊・災害時などどこでも持ち運んで活用できる優れモノです。
●Jackery Solar Generator 100 Plus 40 Mini ポータブル電源 ソーラーパネル
手のひらサイズに収まるJackery Explorer 100 Plusとタブレットに折りたためるJackery SolarSaga 40 Mini ソーラーパネルがセットになりました。手のひらに乗るほどのコンパクト設計ですが、耐火性や耐衝撃テストをクリアしているため、車内・屋外どこでも安心して活用できるポータブルバッテリーです。
まとめ
ポータブル電源の車内放置は基本的にNGです。「曇り・雨で気温が10度台」「-10℃以下にならない」といった環境下であれば保管しても問題はありませんが、リスクを考えると自宅で保管したほうが良いでしょう。
自宅で保管するにしても、直射日光を避け風通しの良い場所に置くのがポイント。またフル充電・充電0の状態で長期保管すると劣化してしまうので、60~80%ほどの容量をキープするよう注意してください。どうしても持ち出しが多く車内放置が増えてしまう人は、若干ですが高温耐久できる「リン酸鉄リチウムイオンポータブル電源」を購入するのもおすすめです。
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