ポータブル電源の車内放置はNG!どうしても一時的に車内放置したい時5つの対策を解説

ポータブル電源の車内放置はNG!どうやって保管すればいい?どうしても一時的に放置したい時の対策も紹介

ポータブル電源の車内放置はダメ?」アウトドアや車中泊で頻繁に持ち出す方は特に、ポータブル電源を車内に放置しておきたいと思ったことがあるのではないでしょうか。

残念ながら、ポータブル電源の車内放置は基本的にNGです。今回は車内放置がNGな理由やポータブル電源の保管方法、どうしても一時的に車内放置したいときの対策について詳しく解説します。この記事を読めば、安全にポータブル電源を保管できるでしょう。

ポータブル電源の車内放置はNG!その理由とは?

ポータブル電源は、高温の車内に放置してはいけません。夏はもちろん、春や秋でも直射日光が当たれば車内温度は40℃を越えてしまいます。ポータブル電源に使われている「リチウムイオンバッテリー」は、高温の環境下で急激に劣化が進むので注意が必要です。

国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センターのリチウムイオンバッテリー劣化試験結果によれば、400日間放置すると40℃で6%、60℃で20%以上の劣化を引き起こすと分かりました。

リチウムイオンバッテリー劣化試験結果

引用元:国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター「リチウムイオン電池の劣化挙動調査

そもそもリチウムイオンバッテリーの最高許容温度は45℃と規定されており、高温下で放置するのは推奨された行為ではありません異常発熱を起こすリスクもあるので、ポータブル電源の車内放置は避けましょう

春・秋・冬ならポータブル電源を車内放置してもいい?

夏は高温になるので、ポータブル電源をはじめ電子機器を車内に置くのは良くない、というのはイメージできるのではないでしょうか。では春・秋・冬は車内に放置しても良いのかというと、一概にOKというわけではありません。春・秋・冬のポータブル電源の車内放置の可否についてそれぞれ解説します。

春・秋は基本的にNG

春・秋のポータブル電源の車内放置は、基本的にNGと考えておいたほうが良いでしょう。なぜなら、春・秋も想像以上に車内の温度が上がるからです。日本自動車連盟(JAF)が4月に行ったテスト結果では、最高気温23.3℃の環境下でも車内温度は48.7℃にまで上昇しました。

春の車内温度

引用元:日本自動車連盟「春の車内温度(JAFユーザーテスト)

ダッシュボード付近に至っては、なんと70℃以上にまで温度が上昇しました。20℃以上の気温で、直射日光が当たる場合は、ほぼ間違いなくポータブル電源を劣化させてしまいます。基本的に車内放置はせずもし放置する場合は「曇りまたは雨で、気温が10℃台」の日だけにするのが無難です

冬は-10℃を下回らなければOK

冬はというと、基本的に-10℃を下回らなければ車内放置しても問題はないでしょう。当社「Jackery(ジャクリ)」の製品を含め、ほとんどのポータブル電源の保管温度は-10℃までで設計されています。

参考:Jackeryポータブル電源2000Pro

反対にいえば、-10℃を下回るほどの極寒な場合は、ポータブル電源を車内放置するのはやめましょう。特に北海道・東北・北陸など寒い地域では避けたほうが無難です。いずれの場合も、できればポータブル電源は自宅で保管してください。

ポータブル電源はどうやって保管すればいい?

ポータブル電源は、基本的に車内ではなく自宅で保管しましょう。ただし自宅で保管するにしても、3つほどポイントがあります。

・直射日光を当てない

・風通しの良いところに置く

・60~80%の容量で保管する

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

保管のポイント①:直射日光を当てない

ポータブル電源は直射日光の当たる位置に置かないようにしましょう。直射日光が当たると、内部の温度が徐々に上がっていきます。日光が当たっていない部分は冷たくても、直射している部分や内部は灼熱状態になっているケースも少なくありません。

内部の温度が上がれば劣化のスピードが速まるので、ポータブル電源の寿命を縮めてしまいます。後ほど詳しく解説しますが、窓際など直射日光の当たる場所に置くのは避けましょう。

保管のポイント②:風通しの良いところに置く

ポータブル電源に限らず電子機器全般にいえることですが、なるべく風通しの良いところに置きましょう。湿気がある環境での保管は、金属類の腐食・腐敗による劣化を起こすリスクがあります。最悪の場合は使えなくなってしまうので注意が必要です。たとえば、下記のような風通しの良い場所をおすすめします。

・エアコンのある部屋

・リビングの隅

・本棚などの上

適切な風通しのいい場所に保管して、ポータブル電源の無用な劣化を防ぎましょう。

保管のポイント③:60~80%の容量で保管する

ポータブル電源は60~80%の容量で保管しましょう。国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センターのリチウムイオンバッテリー劣化試験結果によれば、容量90%~100%の状態で放置すると劣化が速いと分かっています。

リチウムイオンバッテリー劣化試験結果

引用元:国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター「リチウムイオン電池の劣化挙動調査

また充電が完全に0の状態での保管も劣化につながります。ポータブル電源は使わなくても6ヶ月に20%ほどのペースで自己放電してしまうので、2~3ヶ月に1度は60~80%まで充電しておきましょう。

【車内放置以外も注意】ポータブル電源を保管してはいけない場所

【車内放置以外も注意】ポータブル電源を保管してはいけない場所

ポータブル電源は車内放置せず自宅に保管する場合の場所にも注意が必要です。下記のような場所は避けて保管しましょう。

・日当たりの良い窓際

・ベランダ・庭

・ほとんど開けない押入れ

それぞれ理由を解説します。

保管してはいけない場所①:日当たりの良い窓際

日当たりの良い窓際にポータブル電源を置くのは避けましょう。「保管のポイント①:直射日光を当てない」で解説したように、ポータブル電源は直射日光により劣化し、寿命が縮んでしまう可能性があります。

保管してはいけない場所②:ベランダ・庭

ベランダや庭に置くのもNGです。直射日光で劣化する可能性があるのはもちろん、雨風やチリ・ホコリが中に入ってしまい、機構のどこかが故障してしまう可能性があります。使用する際はもちろん外に出して良いですが、日常的にベランダや庭で保管するのはやめておきましょう。

保管してはいけない場所③:ほとんど開けない押入れ

防災のためにポータブル電源を持っておく場合は、押入れに保管しようと考えてしまいがちです。しかしほとんど開けない押入れの中は湿気がたまりやすいので、ポータブル電源に使われた金属類が腐敗・腐食を起こしてしまう可能性があります。大事な時に使えなくなってしまうリスクがあるので、風通しのいい場所に置きましょう。

ポータブル電源をどうしても一時的に車内放置したいときの5つの対策

「車内放置はNG」とはいったものの、状況によっては車内にポータブル電源置かざるを得ないシーンはあるでしょう。ポータブル電源をどうしても一時的に車内放置したい場合は、下記5つの対策をするのがおすすめです。

・サンシェードを取り付ける

・ソフトクーラーボックスに入れる

・専用のケースに入れる

・窓を数㎝開ける

・ポータブルクーラーを動かす

ただし、あくまで「どうしても」の場合であり、対策をしたとしても車内放置は劣化・異常発熱のリスクが高いため推奨しません。やむを得ない場合にのみ活用しましょう。

対策①:サンシェードを取り付ける

日光が中に入らないよう、窓にサンシェードを取り付けましょう。日本自動車連盟(JAF)が気温35度の環境下で、4時間の温度変化を測定するテストをした結果、サンシェードを取り付けなかった車の最終的な平均温度が47℃だったのに対し、取り付けた車は45℃と2℃下がりました。

真夏の車内温度

引用元:日本自動車連盟「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)

最終的な差は微々たるものですが、上記のグラフからサンシェードを取り付けたら温度の上昇スピードを抑制できたのが分かります。他の対策とあわせてぜひ行いましょう。

対策②:ソフトクーラーボックスに入れる

ごく一時的な車内放置であれば、ソフトクーラーボックスに入れる対策が効果的です。クーラーボックスには断熱材が入っているので、車内の温度が上がってもボックス内の温度をしばらく維持できます。ハードクーラーボックスでも問題はありませんが、幅を取るのでソフトのほうが良いでしょう。

対策③:専用のケースに入れる

ポータブル電源に専用のケースがある場合は、そちらに入れるのがおすすめです。たとえばJackeryの場合は、断熱性のある専用ケースを用意しています。ポータブル電源とあわせてぜひ購入しておきましょう。

対策④:窓を数㎝開ける

窓を数㎝開けておけば、車内の温度が大きく下がります。「対策①:サンシェードを取り付ける」でも紹介したJAFのテストでは、3cmの窓開けにより車内温度が5℃下がりました。

真夏の車内温度

引用元:日本自動車連盟「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)

少しの窓開けでも車内の空気がある程度循環するので、外気温に近い温度を維持できます。サンシェードの取り付けとあわせて行えば、6~7℃ほど車内温度を下げられるでしょう。

対策⑤:ポータブルクーラーを動かす

ポータブル電源にポータブルクーラーを接続して、車内で動作させる方法もあります。自らの電力で車内の温度を下げる荒業ですが、車のエアコンをつけるのに近い効果が得られるでしょう。

ただし充電が切れてしまうと、車内はふたたび炎天下に包まれてしまいます。フル充電した状態で、あくまで短時間の車内放置にとどめておきましょう。また繰り返しになりますが、そもそも車内放置は推奨されていないので、可能であれば行わないのが得策です。

ポータブル電源の車内放置が多い人はリン酸鉄リチウムイオンバッテリー採用のポータブル電源がおすすめ

ポータブル電源の車内放置が多い人はリン酸鉄リチウムイオンバッテリー採用のポータブル電源がおすすめ

ポータブル電源をどうしても車内放置してしまう機会が多い人は、最近増えてきている「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」を採用した製品を選ぶのもおすすめです。リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、基本的な仕組みは従来製品と変わりません。しかしニッケル・コバルト・マンガンなどのレアメタルを使用せず、普遍的なリン酸鉄(FePO4)を用いています。まずはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの詳しいメリットを紹介します。

●リン酸鉄リチウムイオン式ポータブル電源のメリット

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのメリットとして、耐久温度が従来製品より高い点が挙げられます。従来のポータブル電源に使われている「三元系リチウムイオンバッテリー」の原料は、ニッケル・コバルト・マンガンなどの「レアメタル」です。実はこのレアメタル、220℃を超えると熱分解を起こしてしまい、劣化や異常発熱を起こすリスクがありました。

それに対して、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの原料である「リン酸鉄」は結合が非常に強く、約600℃まで熱分解を起こしません。つまりリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用したポータブル電源は、従来製品より耐熱性が優れています

しかしバッテリーの安全性が高いのは明らかですが、それ以外の機構については従来と大きな変化はありません。実質的に耐久出来るのは「+ 5℃」程度でしょう。あくまで車内放置は非推奨である点は押さえておいてください

●10年以上使えるJackeryのリン酸鉄リチウムイオンバッテリー式ポータブル電源

10年以上使えるJackeryのリン酸鉄リチウムイオンバッテリー式ポータブル電源

Jackeryのポータブル電源は、これまで三元系リチウムイオンバッテリー式の製品のみを販売していました。今回、ついにリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用した「Jackeryポータブル電源2000Plus」をリリースしました。

Jackeryポータブル電源2000Plusは、これまで最大2,200Wだった定格出力を3,000Wにまで増大。基本容量は2,042Whと大きく変わりませんが、拡張により最大12,000Whという従来ではありえない大容量も実現可能です。

耐熱性については、従来よりも「+5℃」を実現しました。車内放置はこれまで同様に推奨しませんが、ある程度の高温環境でも劣化のリスクなく使用できるでしょう。特に真夏のアウトドアや車中泊を考えている人は、ぜひ「Jackeryポータブル電源2000Plus」の購入・乗り換えを検討してみてください。

製品名 Jackery ポータブル電源 2000 Plus

容量

2042.8Wh(最大24kWhまで拡張可能)

定格出力

3000W/正弦波(最大瞬間出力:6000W)

出力ポート数

ACⅹ5、DCⅹ1、USBⅹ4

充電時間

AC充電:2時間
ソーラー充電:最速2時間
シガーアダプター:25時間

保管温度

1年間:0℃~25℃;3ヶ月:0℃~45℃;1ヶ月:-20℃~45℃

寿命/サイクル数

約4000回サイクル
※4,000回サイクル放充電後も工場出荷時の容量の70%以上をキープできます。

保証期間

5年間

まとめ

ポータブル電源の車内放置は基本的にNGです。「曇り・雨で気温が10度台」「-10℃以下にならない」といった環境下であれば保管しても問題はありませんが、リスクを考えると自宅で保管したほうが良いでしょう。

自宅で保管するにしても、直射日光を避け風通しの良い場所に置くのがポイント。またフル充電・充電0の状態で長期保管すると劣化してしまうので、60~80%ほどの容量をキープするよう注意してください。どうしても持ち出しが多く車内放置が増えてしまう人は、若干ですが高温耐久できる「Jackeryポータブル電源2000Plus」を購入するのもおすすめです。


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