1.エアコンを「普通の延長コード」につなぐのは危険!

結論から言うと、エアコンを普通の延長コードに接続するのは、火災などの危険性があるためおすすめしません。なぜエアコンと普通の延長コードの組み合わせが危険なのか、詳しく見ていきましょう。
●そもそも、エアコンのコンセントは「エアコン専用」に用意されたもの
一般家庭のエアコン用コンセントは、通常の壁コンセントとは異なり、エアコン専用に設計されています。エアコン用コンセントの特徴は以下のとおり。
・通常のコンセントよりも太い電線が使われている
・専用の分岐ブレーカーが設置されている
エアコンは大きな電力を必要とするため、ほかの家電に影響されない専用の配線やコンセントが必要です。これにより、エアコンの大きな電力需要にも、安全に対応できる設計になっています。
●普通の延長コードは発火のリスクが高い
一般的な延長コードは、スマホの充電器やテレビなど、比較的消費電力の小さい家電製品を想定して作られています。しかし、エアコンは最大で1500W前後の大きな電力を消費する家電です。とくに、起動時にはより大きな電力を必要とします。
普通の延長コードにエアコンをつなぐと、過負荷によりコードが発熱して被覆が溶けたり、最悪の場合は発火したりするリスクも。そのため、スーパーやホームセンターなどで市販されているような「普通の延長コード」は基本的に使うべきではありません。
●できれば「エアコンの位置変更」か「コンセント延長工事」を検討しよう
エアコンの設置位置に悩んでいるときの、安全な選択肢は以下の2つです。
・ エアコンの位置変更:既存のエアコン専用コンセントの位置に合わせてエアコンを設置する
・ コンセント移設(増設)工事:電気工事士に依頼して、エアコン専用コンセントを希望の位置に移設する
長期間エアコンを使用する予定がある場合は、初期費用がかかっても工事で対応するのが安全です。
すでにエアコン設置予定の部屋に専用コンセントがあり、移設するだけなら5,000円程度で対応してもらえます。一方で専用コンセントを1から増設する場合は、10,000円~30,000円ほどの費用がかかります。
●位置変更・増設NGなら「エアコン用延長コード」を使う
賃貸住宅などで位置変更や工事が難しい場合は、「エアコン専用の延長コード」を使用する選択肢もあります。エアコン用延長コードは一般的な延長コードよりも太いケーブルを使用しており、エアコンの大きな電力にも対応します。
エアコン用延長コードを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
● 定格15A~20A(1,500W~2,000W)対応であること
● できるだけ太めのケーブルを使用していること
● 安全規格(PSE)マークがついていること

▲PSEマーク
引用:日本品質保証機構
ただし、あくまでエアコン用延長コードはやむを得ないケースで使うものです。
長期間の使用を考えている場合、位置変更や工事ができないか、大家や管理会社に相談してみてください。
●窓用エアコンなら普通の延長コードを使っても問題ない
小型の窓用エアコン(ウィンドウタイプ)の場合は、消費電力が比較的小さいため、高品質な通常の延長コードでも使用可能なケースがあります。
ただし、窓用エアコンでも以下の点に注意が必要です。
・ 延長コードの定格(W)がエアコンの消費電力以上であること
・ 短い距離の延長にとどめること
・ ほかの家電を同じ延長コードにつながないこと(いわゆる「タコ足配線」にしない)
窓用エアコンでも機種によっては消費電力が大きいので、必ず製品の仕様を確認してください。
関連記事:エアコンが停電で使えない!復旧後にやるべきこと・トラブルの対処法を解説
2.エアコン用延長コード使用時の5つの注意点
安全のため、エアコン用延長コードを使用する場合は以下のポイントを必ず守ってください。
①必ず「エアコン専用」のコンセントから電源を引く
エアコン用延長コードを使用する場合でも、必ずエアコン専用コンセントから電源を取る必要があります。通常の壁コンセントは15Aまでの電流しか流せないよう設計されており、エアコンの大きな電力には対応していません。
万が一、通常の壁コンセントから延長コードを使ってエアコンを動かすと、コンセント部分が発熱して火災の原因になる可能性があります。
②「20A」のエアコンは「20A対応」の延長コードしか使えない
エアコンの種類によっては、20A(アンペア)の電流が必要なものもあります。20Aのエアコンを使用する場合は、必ず20A対応のエアコン用延長コードを選ばなければいけません。
15Aの延長コードで20Aのエアコンを使用すると、コードの許容量を超えてしまい発熱や発火の危険性が高まります。エアコン本体のラベルやカタログなどで必要な電流(A)を確認し、適した延長コードを選びましょう。
③「200V」のエアコンは「200V用延長コード」しか使えない
一般家庭用エアコンの多くは100Vで動作しますが、大型タイプや業務用では200Vの電源を必要とするものもあります。200Vのエアコンを使用する場合は、必ず200V対応のエアコン用延長コードを選んでください。
200V用のコンセントと100V用のコンセントは形状が異なり、誤って接続することはできないようになっています。しかし、無理に接続しようとすると故障や火災の原因になるため、必ず200V用延長コードを用意しましょう。
④ほこり防止・高耐久の延長コードを使う
エアコンは長時間使用する家電です。以下の機能がある高耐久のエアコンの延長コードを選んでください。
・ ほこり防止シャッター:ほこりの侵入を防ぎ、トラッキング現象(ほこりが原因の発火)を防止
・ 高耐熱性能:コードの被覆が高温に耐えられるもの
・ 屈曲に強い構造:コードの折れや断線に強いもの
また、プラグやコンセント部分にほこりがたまっていないか、異常な発熱がないか定期的にチェックする習慣をつけるとより安全に使えます。
⑤電気知識に不安のある人はエアコンメーカーや電気工事会社に相談する
ここまで解説してきたとおり、すべてのエアコンにすべての延長コードが対応しているわけではありません。W数をはじめとした規格に対応した延長コード選びが必要です。
そのため、ご自分で「間違いなくこのエアコンにはこの延長コードが使える」と判断できない方は、必ずエアコンメーカーやお近くの電気工事会社に相談してください。回答によっては、延長コードではなく専用コンセントの増設なども検討しましょう。
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3.エアコン用延長コードのおすすめ3選
ここでは、エアコン用延長コードのおすすめ商品を3つ紹介します。ただし、ご紹介する延長コードが自分のエアコンに使えるかどうかは、必ずエアコンメーカーに問い合わせて確認してください。
①【100V一般エアコン用】正和電工 高ワット用L型プラグ延長コード 1個口 2m T-22PKL

引用:Amazon
一般的な100Vエアコン用として使える高品質な延長コードです。太めのケーブルを採用しており、エアコンの大きな電力にもしっかり耐久。L型プラグを採用しているため、家具と壁の隙間が狭い場所でも使いやすい設計になっています。2mケーブルのため、比較的短い距離でエアコン用コンセントから延長したい場合におすすめです。
②【100V一般エアコン用】KOZUMUWAN 電源タップ ACアダプタ用電源延長コード 1個口 1~10m

引用:Amazon
0.1mから10mまで必要な長さから選べる便利な延長コード。太めのケーブルを使用し、さらに二重被覆でコードの強度を上げています。エアコンの設置位置が専用コンセントから離れており、長距離の延長が必要な場合におすすめです。ただし、長いコードほど抵抗が大きくなり電力ロスが発生するため、可能な限り短いものを選びましょう。
③【20A・200Vエアコン用】Panasonic 接地15A·20A兼用200V器具用延長コード 1個口 3m WH4931WP

引用:Amazon
200V電源のエアコンに対応した高品質な延長コードです。15Aと20Aの両方に対応し、大型エアコンや業務用エアコンにも使用できます。太いコードは耐熱性と耐久性に優れており、長期間の使用にも耐えられる設計です。また、アース線付きで、より安全に使えます。200V電源のエアコンや高出力の業務用エアコンに使うなら、この延長コードを選ぶと良いでしょう。
4.「Jackeryポータブル電源」あれば停電時もエアコンが使える!

エアコンの電源確保に悩むなら、もうひとつの選択肢として「Jackeryポータブル電源」があります。ポータブル電源とは、大容量のバッテリーを搭載した持ち運べる電源です。
高い出力を持つポータブル電源なら、大きな電力を消費するエアコンも安全に使えます。蓄電式のため、充電しておけば停電時にもエアコンを動かすことが可能です。以下で使用例を紹介します。
● 真夏・真冬の停電時に熱中症・低体温症対策としてエアコンを動かす
● キャンプや車中泊で小型のエアコンやポータブルクーラーを使って快適に過ごす
● キャンピングカー用のエアコンの電源として使う
また、スマホやパソコンの充電はもちろん、電子レンジや炊飯器のような調理器具など、さまざまな家電にも対応。非常用電源として大活躍し、家族の安心を守ってくれます。
Jackeryのポータブル電源は防災安全協会の「防災製品等推奨品」認定も受けており、安全性もお墨付きです。台風などで停電が多い地域に住んでいる方や、これから来る「南海トラフ地震」にも備えておきたい方は、Jackeryポータブル電源を導入してみてください。
関連記事:【メーカーが解説】ポータブル電源でエアコンは動かせる!メリットや選び方、おすすめの機種まで
5.エアコン 延長コードに関するよくある質問(Q&A)
エアコンの延長コードに関するよくある質問と、その回答をまとめました。
①エアコンの延長コードは法律で禁止されていますか?
エアコンの延長コードは法律で明確に禁止されているわけではありません。ただし、企業において不適切な延長コードの使用で火災などの事故が発生した場合、電気設備技術基準や消防法などの安全基準に違反する可能性があります。
また、HITACHIをはじめとしたエアコンメーカーは、延長コードの使用を推奨していません。延長コードの使用によって故障した場合、メーカー保証が適用されないこともあります。
参考:HITACHI「コンセントまで電源プラグが届かないので、延長コードを使用したいです。」
安全面を考慮し、できればエアコンの位置変更やコンセントの移設・増設を検討してください。どうしても必要な場合は、お使いのエアコンの電流(A)・消費電力(W)に対応する延長コードを選びましょう。
②エアコン用延長コードはヤマダ電機に売っている?
ヤマダ電機などの大手家電量販店では、一般的にエアコン用延長コードを取り扱っています。ただし「エアコン用」と記載されているわけではないので、お使いのエアコンの電流(A)・消費電力(W)に対応する延長コードを自分で選ばなければいけません。
家電量販店のスタッフは、あなたのエアコンに合った延長コードの選び方についてアドバイスしてくれることもあります。どの延長コードを選ぶか迷ったら、スタッフに相談してみてください。
③エアコン用延長コードはホームセンターに売っている?
カインズやコーナン、ホーマック(DCM)などのホームセンターでは、エアコン用延長コードを取り扱っていることが多いです。電気用品売り場や配線用品コーナーなどで見つけられます。ただし、家電量販店と同じく「エアコン用」と書いてあるわけではないため、お使いのエアコンに合ったものを選んでください。
また、200V用の特殊な延長コードなどは取り扱いがない場合もあります。特殊な仕様が必要な場合は、事前に在庫状況を問い合わせると良いでしょう。
まとめ
エアコンと延長コードの組み合わせは基本的には避けるべきです。まずはエアコンの位置変更やコンセントの増設工事をしてください。
どうしても必要な場合は、エアコン用延長コードを使えば比較的安全に使用できます。エアコン用延長コードを選ぶ際には、エアコンの電圧(100Vか200V)と必要な電流値(15Aか20A)を確認し、それに適したものを選びましょう。
エアコンの消費電力を超える出力をもつ「Jackeryポータブル電源」を使えば、専用コンセントなしでもエアコンが使えます。また、あわせて停電対策も可能です。Jackeryポータブル電源で安全にエアコンを使いつつ、大きな災害にも備えておきましょう。
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