停電で被害を受けたら賠償請求できる?実際の事例・判例と3つの備えを紹介

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突然の停電で冷蔵庫の食材がだめになった、大事な電子機器が壊れてしまった……こんなとき、電力会社に賠償請求はできるのでしょうか?

 

停電による損害賠償は「停電の原因がなんだったのか」によって対応が変わります。この記事では、はじめに大まかな「賠償・補償がある/ないケース」をそれぞれ紹介。そのあと、実際の判例や事例も紹介します。また、賠償請求がないケースを想定した3つの対策も見ていきましょう。

目次
1.停電で電力会社の賠償・補償がないケース
2.停電で電力会社の賠償・補償があるケース
3.実際に起きた停電による損害賠償の事例・判例
4.停電による賠償請求ができないときへの備え3選
5.停電でも家電が使える!ポータブル電源で“安心”を備えよう
6.停電の賠償請求に関するよくある質問
まとめ

1.停電で電力会社の賠償・補償がないケース

 

電力会社は、すべての停電に対して賠償・補償をしてくれるわけではありません。東京電力をはじめとした多くの電力会社では「自社に責任がない理由による停電は免責」と定めており、以下のようなケースでは賠償や補償はないでしょう。 

自然災害(地震、台風、落雷、大雨など)による停電の場合

電力会社に責任のない外部原因による発電・送電施設の事故の場合

参考:東京電力「約款について」 

たとえば台風で電柱が倒れた場合や、地震で送電設備が損傷した場合などは、電力会社側の「不可抗力」として扱われることがほとんどです。もし、冷蔵庫の食材の腐敗や電化製品の故障のような停電による二次被害が発生しても、基本的には自己負担となります。

2.停電で電力会社の賠償・補償があるケース

 

停電で電力会社の賠償・補償があるケース

電力会社の内部原因(発電・送電設備の不具合など)による停電では、賠償請求をしたり、補償を受けたりできる可能性があります。たとえば以下のようなケースです。 

電力会社の設備の保守・点検が不十分だった

作業ミスによる設備破損が原因だった 

しかし、実際には停電の原因究明が難しく、責任の所在がはっきりしないケースも少なくありません。また、電力会社の責任が認められた場合でも、多くは電気料金の割引や一定額の補償にとどまることが多いです。そのため、停電による家電の損害を完全に補償してもらうことは、実際にはかなり難しいといえます。

参考:有限会社国大協サービス

3.実際に起きた停電による損害賠償の事例・判例

 

停電による損害賠償の事例や裁判所の判例を確認することで、具体的にどのような場合に賠償請求が認められるのか、または認められないのかが分かります。 

ここでは、いくつかの事例・判例を通して、停電時の損害賠償の実情を見ていきましょう。

北海道胆振東部地震における大規模停電の事例・判例

2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、北海道全域で大規模停電(ブラックアウト)が発生しました。この停電により、ホテル経営者が北海道電力に対して損害賠償請求を行った訴訟があります。 

この裁判では、ホテル経営者は「北海道電力が苫東厚真発電所に発電量を一極集中させたことや、適切な負荷遮断量を設定していなかったこと」などを問題視し、停電による宿泊キャンセルの損失について賠償を求めました。 

しかし、札幌地方裁判所は2020年に出した判決で、以下の判断を示しています。 

北海道電力の発電所運用は適切であり、過失はない

自然災害に起因する停電であり、電力会社の責任を問うことはできない

大規模地震と送電線事故が同時に発生する事態は予見するのが困難であった 

結果として、ホテル経営者の請求は棄却されました。この判例からは、自然災害に起因する停電では、電力会社の賠償責任を問うことが難しいことが分かります。 

参考:裁判所

停電により太陽光発電システムが停止した事例・判例

東京地裁の2009年の判例は、停電そのものへの賠償ではなく「停電時に機能すると説明されていた、太陽光発電システムの自立運転機能」が実際には機能しなかったことによる賠償請求が認められた事例です。 

太陽光発電システムのパンフレットには以下のような記載があったため、「実際の性能と異なる、ウソの説明をした」として原告の請求が認められています。 

安心の無停電システム

電力会社が停電となった場合(中略)停電時も運転を停止しません 

ただし、これはあくまで「太陽光発電システムの販売者への賠償請求」です。停電そのものに対する電力会社側の非はなく、あくまで「販売者と購入者」の間での紛争となっています。「停電によってトラブルが起きた」からといって、電力会社からの補償があるわけではありません。 

参考:日経クロステック

船が送電線に接触し大規模停電を起こした事例・判例

2006年に東京都・千葉県の県境、旧江戸川で、クレーン船が東京電力の高圧送電線に接触し、約140万世帯が停電しました。この際、クレーン船を所有する会社は、停電により影響があった多くの事業者や個人から損害賠償を請求されています。しかし、以下のような「間接的な被害」の請求はすべて棄却されました。 

テーマパークの入場者減少

イベントの中止

家庭や店舗での冷凍庫の食品腐敗

パソコンやエアコンの故障 

民法416条には「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」と記載があります。つまり、「予測できるのに、対策しなかった場合」には賠償請求の権利が生まれるわけです。 

しかしこのクレーン船の事故、そして停電による二次的な被害は「予見できなかったもの」と判断されたため、賠償の必要性が認められませんでした。 

この判例から、電力会社ではない第三者を原因とする停電で起きた二次被害についても、賠償の対象になりにくいことが分かります。 

参考:e-Gov法令検索「民法」

参考:文部科学省「いわゆる『間接被害』に関する判決の例」

4.停電による賠償請求ができないときへの備え3選

 

これまで見てきたとおり、停電による損害は多くの場合で自己負担となります。ただし、以下3つの備えがあれば、一部の被害は補償を受けられるかもしれません。 

火災保険に加入する

地震保険に加入する

停電費用保険に加入する 

ここでは、3つの備えを詳しく解説します。

①火災保険に加入する

火災保険には、実は落雷やショート、もしくは回路のトラブルなどが原因の停電による機器の故障を補償する「電気的・機械的事故担保特約」が用意されています。以下のような「家に固定された機器」が対象です。 

エアコン

床暖房

給湯器

エコキュート

太陽光発電 

残念ながら「冷蔵庫」や「洗濯機」のように取り外しが可能な家電は対象外です。また、あくまで特約のため、保険加入時に「電気的・機械的事故担保特約」を追加していない場合には補償の対象とはなりません。 

補償額はいずれの保険会社も「損害額ー契約時に設定した自己負担額」に設定されており、多くのケースで損害の大半が補償されます。保険料が月数百円程度上がりますが、不安ならつけておいたほうが良いでしょう。

②地震保険に加入する

地震・津波・火山噴火による停電被害の一部は「地震保険」で補償されるケースがあります。ただし、一般的な地震保険で補償されるのは「停電からの復旧時に電気系統がショートし、火災やボヤが発生した場合」のみです。つまり、停電が原因で冷蔵庫の中身が腐った場合など、二次的な被害はすべて補償されません。 

とはいえ、大地震のあとに万が一火災が発生した場合、まだ混乱しているなか消防を呼ぶにも時間がかかります。万が一に備えて検討しておくと良いでしょう。

③停電費用保険に加入する

最近では、停電による損害に特化した「停電費用保険」も登場しています。関西電力や中国電力など、一部の電力会社が提供するサービスです。以下のような「5時間以上の停電」によりかかった費用を、最大10,000円まで補償してくれます。 

冷蔵庫・冷凍庫内の食品買い替え(※2,000円まで)

ポータブル電源・モバイルバッテリーの購入

非常用照明(懐中電灯など)の購入

避難先への移動

乾電池の購入

簡易トイレの購入

故障した家電の修理 

わずか月100円の保険料で、火災保険や地震保険では補償されない範囲をカバーできるのがポイントです。契約中の電力会社で同様の保険を用意していないか確認してみてください。 

参考資料:関西電力「停電費用保険」

参考資料:中国電力「停電費用保険」

5.停電でも家電が使える!ポータブル電源で“安心”を備えよう

 

ポータブル電源とは、家庭用コンセントと同じ「AC100V出力」が搭載された大容量バッテリー。突然の停電時にも、スマホの充電から家電の使用まで可能にする安心のアイテムです。以下に、停電中のポータブル電源の使い方の例をまとめました。 

冷蔵庫を稼働させて食品が腐るのを防止

スマホやタブレットを充電して情報収集や家族と連絡

照明を確保して夜間の行動をサポート

扇風機で真夏の熱中症対策

電気毛布で真冬の低体温症対策

テレビやラジオで災害情報を入手 

さらにソーラーパネルとセットで使えば、太陽光で何度でも繰り返し充電可能。長時間の停電でも、いつもと変わらない日常を過ごせます。当社の「Jackery Solar Generator」シリーズなら、ポータブル電源とソーラーパネルのセットをお得に手に入れることも可能です。 

Jackery(ジャクリ)は全世界で500万台以上の販売実績を持つポータブル電源ブランドで、高い安全性と信頼性、そして使いやすさに定評があります。いつ起きるか予測できない停電に備えて、Jackeryのポータブル電源で自分や家族の命と生活を守りましょう。

停電時におすすめのポータブル電源製品一覧 

ソーラーパネルの正面と背面 CTB技術
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6.停電の賠償請求に関するよくある質問

 

停電による損害賠償についてのよくある質問は以下の3つです 

停電でテレビ(冷蔵庫)が壊れたら補償の対象になる?

停電で電化製品が壊れた場合は何の保険が適用される?

停電費用保険への加入は必要?いらない? 

気になるものがあればチェックして、疑問を解消しておきましょう。

停電でテレビ(冷蔵庫)が壊れたら補償の対象になる?

停電でテレビや冷蔵庫が壊れた場合、電力会社の「停電費用保険」に加入していれば、10,000円まで修理や買い換えの補償される可能性があります。 

一方で火災保険や地震保険、およびその特約では基本的に補償の対象となりません。停電費用保険は月々100円程度から加入できるので、不安な方は契約中の電力会社に確認してみてください。

停電で電化製品が壊れた場合は何の保険が適用される?

停電による電化製品の故障に適用される可能性のある保険は、主に以下の3つです。 

火災保険:落雷やショートなど、一部の原因で発生した停電の場合に補償(ただし、電気的・機械的事故担保特約への加入が必要)

地震保険:地震による停電後、通電した際に発生した火災・ボヤが原因の場合に補償の対象となる可能性あり

停電費用保険:停電が原因なら、停電の理由を問わず基本的に補償 

火災保険や地震保険は、補償の条件や範囲がかなり限定されます。停電費用保険なら、停電による電化製品の故障が補償対象です。補償金額の上限は10,000円と限られますが、月100円程度で加入でき補償の回数も限定されないので、準備しておいて損はないでしょう。

停電費用保険への加入は必要?いらない?

以下のような停電による被害に備えたいなら、停電費用保険への加入をおすすめします。 

冷蔵庫内の食品が腐ってしまう

スマホの充電ができず、連絡手段が失われる

熱中症や体調不良で避難が必要になる

停電復旧時の電圧変動で家電製品が故障する

携帯トイレなど防災グッズの購入が必要になる 

停電費用保険は、月額100円程度で最大10,000円までの補償が受けられるサービス。火災保険や地震保険では補償されない「停電そのもの」による被害をカバーできるのがメリットです。 

補償金額の上限は高くありませんが、月額保険料も安価なため、万が一の備えとして検討する価値はあるでしょう。これまでに何度も停電を経験している人は、停電費用保険があれば安心を手に入れられます。

まとめ

 

停電による損害賠償は、停電の原因によって大きく対応が変わります。自然災害による停電では、電力会社への賠償請求は難しいです。電力会社の過失による停電でも、電気料金の割引のみなど、賠償が受けられる範囲や金額は限られています。自分で「停電費用保険」など、停電による被害を補償してくれる保険に加入しておくのが良いでしょう。 

停電はいつ、どこで発生するか予測が難しいですが、事前の備えでダメージを最小限に抑えられます。Jackeryの「ポータブル電源」があれば、停電中もいつもどおりに電気を使うことが可能です。いつでも快適に生活できる安心感を手に入れたい人は、Jackeryのポータブル電源を備えてみてください。

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