1.災害時の水の必要量目安は「1日3リットル」
災害時に1人あたりに必要な水の量は、一般的に「1日3リットル」といわれています。この量は、以下のように使用する想定です。
・飲料水:1リットル
・調理用水:1リットル
・手洗い・歯磨き:1リットル
洗濯や食品パウチの湯煎などを含めた生活用水を考えると、1人あたり1日10〜20リットルは必要といわれています。とはいえ、そこまで大量の水の確保は難しいため、まずは最低限の生活に必要な量を確保しましょう。
備蓄量としては「1日3リットル×3日分=9リットル」が最低限といわれていますが、大規模災害時は救援物資の到着が遅れることも考えられます。できれば余裕をもって7日分(21リットル)を備えておくと安心です。
参考:農林水産省「発災当日から1週間分の備えについて基本的な考え方」
続いて、大人や子ども・ペットに必要な水の備蓄量をそれぞれ確認していきましょう。
●大人1人あたりに必要な水の備蓄量
大人1人あたりに必要な水の備蓄量は、以下のとおりです。
・1日あたり:3リットル
・最低備蓄期間:3日分(9リットル)
・推奨備蓄期間:7日分(21リットル)
ペットボトル(2リットル)で換算すると、最低でも5本、できれば11本は用意するのがおすすめです。
とくに広い範囲に被害が及ぶ可能性が高い「南海トラフ巨大地震」では、1週間以上の備蓄が望ましいとの指摘もあります。これは、道路の寸断や支援物資の輸送能力の限界から、被災地に物資が届くまで時間がかかる可能性があるためです。「最低3日分、できれば1週間以上」と押さえておきましょう。
参考:内閣府防災情報のページ「できることから始めよう!防災対策 第3回」
●子供1人あたりに必要な水の備蓄量
子どもも基本的には大人と同じく1日3リットルが目安です。「子どもは体が小さいので水の必要量も少ないのでは?」と思われるかもしれませんが、子どもは大人よりも脱水症状になりやすいため、必要な水分量は大人とあまり変わりません。
なお、乳幼児の場合は「1日に飲むミルクの量」から逆算して備蓄量を決めると良いでしょう。
●災害時ペットに必要な水の備蓄量目安
ペットも家族の一員です。災害時には、ペットの水も忘れずに備蓄しておかなければいけません。一般的なペットに必要な水の備蓄量の目安は以下のとおりです。
・小型犬(5kg程度):1日約0.5リットル
・中型犬(10kg程度):1日約1リットル
・大型犬(20kg以上):1日約2リットル
・猫:1日約0.2〜0.3リットル
体重1㎏あたり、犬は0.1リットル、猫は0.05リットルが必要といわれています。ただし、これはあくまで飲料水としての量で、シャンプーやトイレ掃除などに使う水は別に必要です。ペットの水も人間と同じく最低3日分、できれば7日分を備蓄しておきましょう。
関連人気記事:【災害対策】水の備蓄目安は?水の選び方や賢く揃えるためのアイデアも紹介
2.災害時に水がない場合は?水の確保方法3つ
災害時に水道が止まってしまった場合、どのように水を確保すればよいのでしょうか。ここでは、災害時の水の確保する3つの方法を解説します。
①給水所で水をもらう
災害時には自治体が給水所を設置し、場所を防災無線や自治体のウェブサイト、SNSなどで告知します。給水所には、水を入れる容器(ポリタンクやペットボトルなど)を持って行きましょう。
ただし、給水所は混雑することが多く、自宅から遠い場合もあります。また、大規模災害時には給水所の開設が遅れる可能性もあるため、あくまで「備蓄水がなくなった後の水の確保手段」と考えておくのが無難です。
②ペットボトルろ過装置を作る

身近な材料でペットボトルを使った簡易的な水のろ過装置を作れます。ろ過装置を使えば大きなゴミや濁りが取り除かれ、雨水や井戸水・米のとぎ汁などを生活用水として使用可能です。作り方は以下のとおり。
1.500mlペットボトルを2本用意する
2.一方のペットボトル(以下、A)を、注ぎ口からを10~15cmあたりで切り取る
3.もう一方のペットボトル(以下、B)を底から2~3cmあたりで切り取る
4.Bの注ぎ口にガーゼをかぶせ、輪ゴムで止める
5.Bの注ぎ口を下にし、「小石3cmほど⇒綿⇒活性炭3cmほど⇒綿⇒砂5~10cmほど」の順で詰める
6.Aを受け皿にする格好で、Bの注ぎ口を差し込んで完成
注意点として、ろ過しても細菌やウイルスは除去できません。飲料水としては使えないため、洗濯や湯煎用など生活用水としてのみ使用してください。どうしても飲用水を確保したいときは、ろ過した後に煮沸消毒しましょう。
③水を使わなくて済むような工夫をする
水の確保が難しい状況では、以下のような水の使用量を減らす工夫も取り入れると良いでしょう。
・サランラップを使って食器を包み、洗い物を減らす
・水を使わない非常食(常温レトルト食品や缶詰・ビスケットなど)を活用する
・ウェットティッシュで手を拭く
・ドライシャンプーで髪を清潔に保つ
・使った水を再利用する(手洗いの水でトイレを流すなど)
こうした工夫を組み合わせることで、限られた水をより長く使えます。水道が復旧するまで持ちこたえましょう。
関連人気記事:災害時にお風呂の水を使ってもいい?正しい備えで水不足を解消しよう
3.災害時の備蓄水を選ぶ3つのポイント

災害時の水の確保手段は限られているので、やはり自分で水を備蓄しておく必要があります。そうなると、気になるのが「どの水を備蓄するのか」という点。ここでは、備蓄水を選ぶ3つのポイントを解説します。
①長期保存できる水を選ぶ
災害はいつ起こるかわかりません。そのため、備蓄水は長期保存が可能なものを選びましょう。以下に、水の賞味期限の目安をまとめました。
・水道水:常温で3日、冷蔵で1週間程度
・ミネラルウォーター:1〜2年程度
・保存水:5~10年程度
災害時の備蓄のために製造されている「保存水」は賞味期限が長いものの、値段が高めなうえにホームセンター以外ではあまり売っていません。まずは、身近で常飲にも向いている市販のミネラルウォーターを備蓄すると良いでしょう。
ちなみに賞味期限が切れた水でも、キャップを空けていなければ飲料以外の用途に使えます。スペースがあれば、捨てずにとっておくのがおすすめです。
②常飲できるおいしい水を選ぶ
災害時のような精神的に不安定な状況では、普段飲み慣れているおいしい水を飲むことがリラックスにつながります。多めに備蓄し、普段から古いものを飲んで新しいものを買い足す「ローリングストック法」を活用すると良いでしょう。
なお赤ちゃんがいる家庭では、硬度の低い軟水を選ぶのがおすすめです。軟水なら、ミルクや離乳食作りにも使えます。
③ペットボトルが頑丈な水を選ぶ
災害時には、水を保管している場所が揺れたり、物が落ちてきてペットボトルに当たったりするかもしれません。
最近のエコの観点から、非常に薄くてやわらかい丸型ボトルを採用しているミネラルウォーターが多いです。このようなボトルは衝撃が加わったり、長時間重いものが乗ったりすると破損してしまう可能性があります。
「災害時の備蓄」の観点から見ると、なるべく厚みがある角型ボトルの水を選んだほうが良いでしょう。
4.水の備蓄が大変?無理なく備える4つのアイデア
「7日分の水を備蓄するなんて、場所もお金も大変そう…」と思われるかもしれません。しかし、少しの工夫で無理なく水を備蓄できます。ここでは、4つのアイデアを紹介します。
参考資料:https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/imadoki/imadoki02_10.html
①備蓄水は500ml・2Lどっちも少しずつ買い揃えよう
備蓄水は、500mlのペットボトルと2リットルのペットボトルを組み合わせて購入するのがおすすめです。500mlボトルは持ち運びやすく、避難時にリュックに入れて持ち出せます。一方、2リットルボトルはコスパが良く、自宅避難時に便利です。
必要量をすべて一度に購入する必要はありません。例として週に2本ずつ買い足していけば、1ヶ月で2人分の最低限の備蓄量(20リットル)に到達します。
②ローリングストックで保管しよう
「ローリングストック法」とは、備蓄品を定期的に消費し、消費した分を新しく補充する方法です。水の場合、次のようにローリングストックを実践できます。
・ミネラルウォーターを多めに購入する
・古いものから順に日常的に飲む
・飲んだ分を新しく購入して補充する
このサイクルを繰り返せば賞味期限切れの心配なく、常に一定量の水を備蓄できるでしょう。
③ウォーターサーバーを導入しよう
お金はかかりますが、便利なウォーターサーバーの導入が水の備蓄にもつながります。多くのウォーターサーバー用の水ボトルは、未開封であれば6ヶ月〜1年程度保存可能。また、停電時でも冷却・加温機能がストップするだけで、水を出すことは可能です。
ウォーターサーバーの水を飲み慣れておけば、いざ被災したときにもストレスなく過ごせるでしょう。多くは赤ちゃんのミルクにも使える軟水のため、とくに子育て世帯におすすめします。
④水道水をくみ置きしよう
台風のように災害の予兆がある場合や警報が出た場合は、きれいでフタのできるポリタンクなどに水道水をくみ置きしておくと良いでしょう。水道水は塩素による消毒効果があるため、くみ置きして3日程度(冷蔵保存なら7日程度)は飲料水として使えます。
注意点として、浄水器を通してしまうと塩素による消毒効果が失われてしまいます。浄水器をつけている方は、くみ置き用の水は必ず「蛇口から直接」とるようにしてください。
参考:和歌山県橋本市「災害に備えた水道水のくみ置きについて」
5.災害に向けて備蓄水を保管するポイント

せっかく備蓄水を用意しても、肝心の災害時に飲めなければ意味がありません。以下のポイントを押さえて、正しく備蓄水を保管しましょう。
・直射日光を避け、涼しい場所に保管する
・家の中の複数の場所に分散して保管する
・一部は非常用持ち出し袋に入れるか、すぐに持ち出せる場所に保管する
・床から少し高い場所に置いて、水害時の浸水対策をする
・転倒防止策を講じて、地震時に倒れて割れることを防ぐ
・定期的に賞味期限をチェックし、期限が近いものから消費する
たとえば家の中に分散して保管しておけば、万が一「自宅が半壊した」など甚大な被害を受けても、備蓄水の一部が使える可能性があります。ミネラルウォーターを多めに備えておき、古いものから飲むことで賞味期限を更新していくのも良いでしょう。
6.災害時に必要なのは水だけじゃない!ポータブル電源で「電気」も確保しよう
災害時に最も必要なのが「水」ですが、もう一つ忘れてはならないのが「電気」です。停電時には情報収集やスマホの充電ができなくなり、さらには夜間の照明も失われます。真っ暗な中、余震の恐怖におびえて過ごさなければならない……そんな不安を解消してくれるのが「ポータブル電源」です。
ポータブル電源とは持ち運び可能な大容量バッテリーのことで、コンセントが必要な家電も使える優れモノ。災害時にポータブル電源があれば、以下のようなことができます。
・スマホやタブレットを充電して連絡手段を確保する
・LEDライトなどの照明で夜間も安心して過ごせる
・テレビやラジオで情報収集して避難情報を入手する
・扇風機や電気毛布などで熱中症・低体温症対策する
・炊飯器や電子レンジであたたかい食事を作る
・電気ケトルで赤ちゃんのミルク用のお湯を作る
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まとめ
災害時に必要な水の量は、1人1日あたり3リットルが目安です。すぐに給水所が使えるようになるとは限らないので、最低でも3日分(9リットル)、できれば7日分(21リットル)を備蓄しましょう。また、災害時の水備蓄のポイントは以下のとおりです。
・長期保存可能な水を選ぶ(ミネラルウォーターなら1~2年)
・なるべく常飲しているおいしい水を選ぶ
・500mlと2Lの水を組み合わせて備蓄する
・ローリングストック法で常に新鮮な水を備蓄する
・台風など予期できる災害のときは水道水をくみ置きする
また、断水だけでなく停電の備えとして「ポータブル電源」も用意しておくと安心して過ごせます。日頃から「もしも」の備えをしておけば、いざという時の不安を減らせるはずです。この記事を参考に、水やポータブル電源の備蓄をはじめましょう。