防災頭巾は意味ない?ヘルメットとどっちがいい?学校防災の「今」を解説

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台風や地震など自然災害が多い日本。防災対策は欠かせません。

 

そして、学校でよく使われている防災対策グッズといえば「防災頭巾」です。しかし「防災頭巾なんて、本当に意味があるの?」と疑問を持つ声も増えてきました。この記事では、防災頭巾の効果やヘルメットとの違いを徹底解説します。

目次

1.防災頭巾は意外と「意味がある」

 

実は、防災頭巾は意外にもしっかりと効果が見込めます。さっそく、効果について詳しく見ていきましょう。

防災頭巾は厚手の布を2枚張り合わせて作られている

防災頭巾は、綿などの緩衝材を中に入れた厚手の布を2枚張り合わせた構造です。一般的には座布団のような形状で、頭からかぶることで頭部だけでなく、首や肩までカバーできるようになっています。意外と強度が高く、頭に受けた衝撃の50%程度を軽減する効果が期待できます。

とくにアルミ加工の防災頭巾は「火の粉への対策」に効果あり

とくにアルミ加工された防災頭巾は、火の粉から頭を守る効果があります。炎や熱から頭部を保護する防炎性に優れており、火災対策として効果的です。 

災害時には地震だけでなく、火災の発生も考えられます。火の粉や熱から頭部や肩を守れるのは、防災頭巾ならではの大きな利点といえるでしょう。

しかし、やはり衝撃への強度には疑問も…

防災頭巾は電球や本などの軽い落下物からの保護には役立ちますが、「硬くて重いもの」から頭を守る効果には限界があります。とくに大きな地震では、瓦やブロック塀などの重いものが落下する可能性も。防災頭巾だけでは頭を十分に守れないことも考えられるでしょう。「頭への衝撃をカバーする」面では、やはりヘルメットに分があります。

タオルなどで手作りした防災頭巾は危険

インターネット上には「タオルで防災頭巾を手作りする方法」も紹介されていますが、これには注意が必要です。一般的なタオルは防炎加工されていないため、火災時はむしろ火の手を広げてしまったり、引火してやけどをしてしまったりするリスクがあります。 

また、衝撃吸収性も市販の防災頭巾に比べて低く、落下物から頭を守る効果も期待できません。安全性を考えるなら、日本防炎協会の認定を受けた製品を選ぶことをおすすめします。

2.実は、防災頭巾は「日本だけの防災用品」

 

実は、防災頭巾は「日本だけの防災用品」

防災頭巾は世界的に見ると珍しい防災用品で、日本でしか使われていません。なぜ日本で防災頭巾が使われるようになったのか、その背景を見ていきましょう。

太平洋戦争中の「防空頭巾」が起源

防災頭巾の起源は、太平洋戦争中に使われていた「防空頭巾」にさかのぼります。当時は空襲から身を守るために、女性や子どもが頭を保護する目的で使用されていました。 

男性は鉄製のヘルメットを使用していましたが、女性や子どもはふとんの綿とはぎれ布を合わせて作った防空頭巾で頭を守っていたのです。この名残が、現在の防災頭巾に受け継がれています。

1970年代に「東海地震」の備えとして広まった

現代の防災頭巾が広まったのは1970年代からです。とくに1978年の宮城県沖地震の翌年、東海地震への備えが叫ばれるようになり、学校での防災対策として防災頭巾が導入されるようになりました。広がり始めてから50年近くが経過しており、今では学校防災を支えるひとつのアイテムとして定着しています。

3.防災頭巾vsヘルメット、学校防災ではどちらを採用?

 

防災頭巾とヘルメット、どちらが学校防災に適しているのでしょうか。現在の学校現場での状況を見てみましょう。

そもそも、防災頭巾やヘルメットを備蓄しているのは42.3%にとどまる

「防災頭巾やヘルメットは、どの学校にも置いている」ようなイメージがあるかもしれません。しかし文部科学省の調査によると、「ヘルメットや防災頭巾を備蓄している学校」は全体の42.3%にとどまりました。半数以上の学校では、児童・生徒の頭を守る備えが十分でない状況です。 

地域によっても差があり、東京や神奈川では83.4%の学校が備蓄しているのに対し、大阪や兵庫では30~50%程度という「東高西低」の傾向が見られます。全国的に見ても、まだまだ改善の余地がある状況です。 

参考:文部科学省「学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査〔令和5年度実績〕」

「防災頭巾」派の学校もまだまだ多い|普段は座布団として使える

現在でも多くの学校では、以下のメリットから防災頭巾を採用しています。 

普段は座布団や椅子の背もたれクッションとして使える

コンパクトに収納でき、場所を取らない

子どもでも簡単にかぶることができる

火災時に火の粉から頭部を守れる

避難生活時には枕やクッションとして活用できる 

とくに小学校では今でも防災頭巾を選択し、普段は椅子用のクッションとして活用する傾向があるようです。

「衝撃から頭を守る」ことを重視しヘルメットに変える動きも

一方で、「本当に子どもの命を守れるのか」という観点から、防災頭巾からヘルメットへの切り替えを進める学校も増えています。やはり、やわらかい布でできた防災頭巾には、強い衝撃に耐えられない不安があるためです。今後は「ヘルメット派」の学校が増えてくると予想できるでしょう。

「ランドセルで頭を守れば、防災頭巾もヘルメットも不要」論も登場

最近では「防災頭巾もヘルメットも不要」という新たな考え方も出てきています。その代わりに「ランドセルで頭を守る」という方法です。 

この方法は、小学生が持っているランドセルのカバーを開け、頭を覆うように持つことで、落下物から頭を守るというもの。ランドセルは頑丈な作りで、防災頭巾より衝撃を吸収する効果が期待できます。 

また、すでに持っているものを活用するため、新たな費用がかからないメリットもあります。ただし、この方法を使えるのはランドセルを持つ小学生に限られるのがデメリット。幼稚園児や中学生以上には、従来どおり別の対策が必要となるでしょう。

4.結局、防災頭巾とヘルメット、今から買うならどっちがいい?

 

防災頭巾とヘルメット、どちらを選ぶべきか悩む方も多いでしょう。災害のタイプや使用者の年齢、使用シーンなどによってベストな選択は変わってきます。以下にメリット・デメリットとおすすめのケースをまとめました。 

項目

防災頭巾

ヘルメット

メリット

・軽量で簡単に装着できる

・コンパクトに収納できる

・頭だけでなく首や肩も保護できる

・火災時の火の粉から守れる

・枕やクッションとしても使える

・強い衝撃・重い落下物から頭を保護できる

・耳が塞がれず周囲の音がはっきり聞こえる

・長期保管しても劣化しにくい

デメリット

・重い落下物が頭に当たると危険

・耳が覆われるタイプは周囲の音が聞きづらい

・経年劣化のリスクが高い

・重い

・収納スペースを取る

・装着に手間がかかる

・頭部のみの保護で首や肩は守れない

おすすめなケース

・小さな子どもや高齢者

・木造住宅が多いなど火災リスクが高い

・収納スペースが限られている

・普段は枕やクッションの代わりにしたい

・地震や台風など落下物・飛来物のリスクが高い地域に住んでいる

・屋外活動が多い

・収納スペースに余裕がある

・中学生以上の学生や大人

衝撃からの保護を重視するならヘルメット、火災対策や収納性を重視するなら防災頭巾がおすすめです。理想的には両方用意するのがベストですが、予算などの都合でいずれか一方になるなら、さきほどの表を参考に選んでみてください。

5.防災頭巾選びのポイント

 

ポイントを押さえて防災頭巾を選ばないと、いざという時に命を守る機能を十分に発揮できない可能性があります。火災時に燃えやすかったり、衝撃吸収性が低かったりしたら危険です。以下のポイントをしっかりチェックしましょう。

衝撃吸収性・防炎性の高いものを選ぼう

防災頭巾のもっとも重要な機能は、衝撃吸収性と防炎性です。中綿がたっぷり入ったクッション性の高いものを選べば、落下物からの衝撃を和らげる効果が期待できます。 

また、火災時にも効果が高い防災頭巾を選ぶなら、防炎加工された素材を使用したものを選びましょう。とくに「アルミ加工」されているものは、火の粉から頭を守る効果が高いです。

「日本防炎協会」の認定を受けたものを使おう

安全性を重視するなら、日本防炎協会の認定を受けた製品を選ぶことをおすすめします。認定製品には認証マークがついており、生地の燃えにくさや洗濯後の性能低下の有無、衝撃吸収性など、さまざまな項目が検査されています。

 

引用:JFRA日本防炎協会 

2010年の国民生活センターの調査では、日本防炎協会の認定品でない市販の防災頭巾の多くが、カタログに記載の防炎性能を持たないことが分かりました。認証マークがある製品なら、一定の安全基準をクリアしているため安心です。 

参考:国民生活センター「平成22年度 独立行政法人国民生活センター 業務実績報告書」

サイズや形が合うものを選ぼう

防災頭巾は年齢によって適切なサイズが異なります。以下を参考に、使用する人のサイズに合ったものを選んでみてください。 

幼児用(3〜6歳):頭囲約47〜52cm

小学校低学年用(6〜9歳):頭囲約50〜54cm

小学校高学年用(10〜12歳):頭囲約53〜57cm

中学生以上・大人用:頭囲約56〜60cm 

また、耳穴があるタイプは、避難時に周囲の音を聞き取りやすくなります。ツバ付きタイプは顔も保護でき、首まですっぽり覆うタイプは首や肩も守れます。高機能なものほど値段が上がりがちなため、予算に合わせて選ぶと良いでしょう。

6.知っておきたい家庭と学校の防災対策|ポータブル電源で停電に備えよう

 

災害時に最も深刻な問題の一つが長期停電です。2011年の東日本大震災では、東北地方を中心に最大466万戸が停電し、完全復旧までに3か月以上かかりました。この間、多くの方が情報不足や生活必需品の不足に苦しんでいます。 

参考:内閣府防災情報のページ「3月11日の地震により東北電力で発生した広域停電の概要」 

長期間の停電は単に不便なだけでなく、命に関わる問題です。そこで、持ち運べる蓄電タイプのコンセント「ポータブル電源」を用意すれば、以下のような被災時のトラブルに対策できます。 

テレビやスマホを充電・使用して、避難指示や救援情報を入手

扇風機や電気毛布で体温調節し、熱中症・低体温症を予防

冷蔵庫で食料を保存し、炊飯器や電子レンジで温かい食事を確保 

Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は、容量や出力・ポート数などの性能に応じたモデルを幅広くラインナップ。全製品が防災安全協会の「防災製品等推奨品マーク」を取得しており、性能や安全性もお墨付きです。学校からご家庭まで幅広く災害対策としてお使いいただけるので、予算に合ったモデルを見つけてみてください。


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7.防災頭巾に関するよくある質問

 

防災頭巾に関するよくある質問や、その回答をまとめました。

「防災頭巾がない県」もあるって本当?

防災頭巾が一切ない県はありませんが、普及率には地域差があり「東高西低」の傾向が見られます。東京や神奈川など関東・東海地方では普及率が高い一方、西日本では普及率が低めです。西日本にお住まいの方は、防災頭巾になじみがないことも多いでしょう。

中学生に防災頭巾は必要ですか?

中学生でも防災頭巾を用意しておくべきですが、以下の理由でヘルメットへの切り替えもおすすめです。

ヘルメットの方が強い衝撃から頭を保護できる

中学生は身体が大きくなり、防災頭巾が合わなくなることもある

屋外での活動範囲が広がり、より危険な場所に行く可能性がある

地域や学校によって対応は異なるものの、中学校では災害時の安全性を考慮してヘルメットを採用する傾向が強くなってきました。もしご家庭で用意する場合も、ヘルメットを優先して準備したほうが良いかもしれません。

手作り防災頭巾の作り方を教えて!

手作り防災頭巾は、以下の手順で作ることができます。

綿等の中綿を用意する

難燃性の布を2枚用意する

布の間に中綿を入れて縫い合わせる

頭にかぶれるサイズに調整する

ただし、市販の防災頭巾に比べて防炎性や衝撃吸収性が劣ることがあります。本格的な防災用としては、日本防炎協会認定の製品を購入するのがおすすめです。

また、一般的な普段使い用のタオルには防炎性がほとんどありません。手作りする場合も、「キルティング生地」のような難燃性の素材を使いましょう

まとめ

 

防災頭巾は「意味がない」わけではなく、軽い落下物や火の粉から頭を守る効果があります。一方、ヘルメットは衝撃吸収性に優れており、重い落下物からも頭を守れるのがメリット。理想的には両方用意するのがベストですが、どちらか一つを選ぶなら、以下のポイントを参考にしてみてください。

衝撃からの保護を重視 → ヘルメット

火災対策や収納性を重視 → 防災頭巾

小さなお子さんや高齢者など、簡単に装着できることを重視 → 防災頭巾

屋外での活動が多い → ヘルメット

また、防災対策は頭を守ることだけではありません。とくに「停電」のようなライフラインの停止には、しっかりと対策をしておく必要があります。工事不要で手軽に停電対策できるJackery(ジャクリ)のポータブル電源で、お子さんやあなた自身の安全を確保しましょう。

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