1.【復旧前】停電後にネットが繋がらない原因
停電の発生後に、電源に接続しないモバイルルーターやスマートフォンであってもネットに繋げられない事態に陥ることがあります。停電の復旧前にネットが繋がらない主な原因は、以下のとおりです。
●回線が混雑している
地域一帯で停電が起きると、多くの人がネットにアクセスして情報を得ようとします。その結果、回線が混雑してネットに繋がらなくなる恐れがあるのです。データ通信が集中して回線が繋がりにくくなる現象は「輻輳」(ふくそう)と呼ばれます。
特に災害によって停電が起きている場合は、家族との安否確認や被害状況を調べるためにアクセスが集中します。アクセスが緩和するまではネットに繋がらない状態が続くと考えておきましょう。
●通信制限がかけられている
災害による停電が発生すると、携帯会社は輻輳を防ぐために意図的に通信制限をかける場合があります。大地震を例にとると、通話制限やデータ通信の流量制限などがかけられます。
総務省が発表した資料によると、2011年の東日本大震災において各通信事業者が実施した発信規制の状況は、以下の通りでした(※1)。
通信事業者 |
移動通信における最大発信規制値 |
|
音声 |
パケット |
|
NTTドコモ |
90% |
30%(宮城県内のみ) |
au |
95% |
0% |
ソフトバンク |
70% |
0% |
イーモバイル |
0% |
0% |
※1参考:総務省「東日本大震災における通信の被災・輻輳状況、復旧等に関する取組状況」
●基地局の設備が損傷している
災害による停電の場合、基地局の設備が損傷していると、電源を介さない通信機器でもネットは繋がらなくなります。基地局の設備が損傷すると、現地に出向いての修理が必要になり、復旧するまでに時間を要します。
2024年元旦に発生した能登半島地震では、発生から3日目にして約840局の基地局が機能を停止しました(※2)。
※2参考:読売新聞「石川県でなお停電2万戸、544の携帯基地局が機能停止」
2.【復旧後】停電後にネットが繋がらない原因
停電が無事に復旧し、停電が起きる前の状態に戻っているはずなのに、なぜかネットが繋がらないケースがあります。停電の復旧後にネットが繋がらない原因は、以下のとおりです。
●ルーターが故障している
災害によって停電が起きている場合は、ルーター自体が故障している可能性があります。落雷による停電では、ルーターに強い電流が流れ込み、故障する恐れがあります。
地震によってルーターが家具類の下敷きになった場合も、故障が考えられるでしょう。Wi-Fiルーターとモデムのどちらが壊れてもネットは繋がらなくなるため、まずは各機器が無事かどうかを確認してください。
●電源を入れる順番が誤っている
Wi-Fiルーターとモデムの電源を入れる順番を誤っている場合も、ネットは繋がりません。停電が起きると通信機器の電源は強制的に落ちます。そのため、停電が復旧したとしても、電源は手動で入れ直さなければなりません。各通信機器に給電された上で、正しい順序で再起動すれば、ネットは正常に繋がるでしょう。
●基地局の設備が損傷している
停電が復旧して自宅の家電は正常に動いているにも関わらず、ネットだけが繋がらない場合は、基地局の設備が損傷している可能性があります。
復旧前と同様に電波を送発信する基地局自体が損傷していると、停電有無に関わらず通信障害が発生します。通信障害の有無はプロバイダのホームページで確認できるので、自分と異なるプロバイダと契約していてネットが繋がる方に調べてもらいましょう。
3.停電後にルーターが繋がらない時の対処法
回線の混雑や通信制限、基地局の損傷などが原因の場合は、ネットが繋がるのを待つしかありません。停電後にルーターが繋がらない時は、以下の対処法を試してみてください。
●電源の抜き差しを行う
Wi-Fiルーターのファームウェアは、最新版でなければ停電から自動で復旧できない可能性があります。古いファームウェアを使っていた場合は、電源の抜き差しで復旧させましょう。詳しい復旧手順は、契約している通信事業者のホームページを確認してください。
●ルーターとモデムを再起動する
停電の復旧後には、Wi-Fiルーターとモデムを正しい順番で再起動する必要があります。契約している事業者によって再起動の手順は異なる場合があるので、事前に確認しておくとよいでしょう。Wi-Fiルーターとモデムを再起動させる手順の例は、以下のとおりです。
1.Wi-Fiルーターとモデムのコンセントを抜く
2.モデムのみをコンセントに挿して、電源ランプが点くまで待機する
3.Wi-Fiルーターの電源をコンセントに挿して、電源ランプが点くまで待機する
正しい手順で再起動を行ったにも関わらずネットが繋がらない場合は、本体が故障している可能性があります。専門業者への修理を依頼しましょう。
4.停電後にネットに繋げるための対策
停電が起きてもスムーズなネット接続を実現するためには、以下の対策を行っておく必要があります。災害による停電時には、避難指示が出ている場合があるため、迅速な情報収集が欠かせません。
●ファームウェアを常に最新化する
Wi-Fiルーターのファームウェアは、常に最新化するようにしてください。古いファームウェアを使っていて停電が発生した場合には、ネットが復旧するまでファームウェアの更新はできません。常に最新のファームウェアを導入していれば、通信時のバグを軽減でき、停電から自動で復旧できる場合があります。
●モバイルルーターを契約する
内部にバッテリーを搭載しているモバイルルーターであれば、コンセントからの電気供給が途絶えている状況でもネットに繋げられます。モバイルルーター自体の充電切れが心配な方は、ポータブル電源も用意しておくとよいでしょう。
ただし、モバイルルーターはスマホと同じように、最寄りの基地局の電波を使用しているため、基地局が被害を受けると接続できなくなります。
●ポータブル電源を準備する
災害による停電は、3日以上も続く恐れがあります。その間ネットが繋がらなければ、災害情報の収集や家族との連絡ができません。停電が起きている最中にルーターを稼働するには、ポータブル電源が必要です。
ポータブル電源とは、内部のバッテリーに大量の電気を蓄電し、停電が起きていても電化製品に給電できる機器を指します。停電中にポータブル電源があれば、ルーターの電気供給源になるだけでなく、以下のような場面でも活躍します。
・エアコンや扇風機などの冷暖房機器に給電して、快適な気温を保てる
・電子レンジや電気ケトルを使い、簡単に調理が行える
・冷蔵庫に給電して、食品の腐敗を防げる
・LEDライトに給電して、夜の暗闇を照らせる
・携帯ラジオを稼働し、災害情報を収集できる
ポータブル電源を準備して、大規模な停電に備えましょう。創業から12年間で世界販売台数400万台(2024年3月時点)を突破した実績を誇るJackery(ジャクリ)のポータブル電源は、最大24Kwh(並列接続)の大容量を備えた製品を販売しています。
自然放電が少ないため、100%充電後3ヶ月経過しても電気量の80%以上を保持することができますのでいざという時に安心して使えます。また、BMSとNCM制御機能搭載により、バッテリーの異常は見逃しません。リン酸鉄リチウムイオン電池搭載により、10年以上の長寿命を誇ります。
Jackery(ジャクリ)はポータブル電源とソーラーパネルのセットも販売しており、停電生活が長期化したとしても、太陽光発電で電気を自給自足できます。
5.停電中も通信機器に給電できるポータブル電源3選
停電中のネット接続を可能にするポータブル電源。停電が復旧するまでの間、自宅にあるあらゆる家電を使って快適な生活が送りたい方は、大容量のポータブル電源がおすすめです。
大規模な停電対策におすすめの製品は、以下のとおりです。
●Jackery Solar Generator 600 Plus 100W ポータブル電源 ソーラーパネル セット
Jackery Solar Generator 600 Plus 100W ポータブル電源 ソーラーパネル セットは、容量632Wh、定格出力800WのJackery ポータブル電源 600 Plusと出力100Wのソーラーパネルのセットです。本体とソーラーパネルは合わせて約10kgなので、屋外まで気軽に持ち運べます。1〜2人暮らしの停電対策におすすめの製品です。
●Jackery Solar Generator 1000 New 100W ポータブル電源 ソーラーパネル
Jackery Solar Generator 1000 New 100W ポータブル電源 ソーラーパネルは、大容量1070Wh、定格出力1500Wのポータブル電源 1000 Newと出力100Wのソーラーパネルのセットです。全体のサイズが約20%コンパクトになり、AC充電スロットが側面に配置されたので、収納の幅を取りません。3人家族以上の停電対策におすすめの製品です。
●Jackery Solar Generator 2000 New ポータブル電源 セット
Jackery Solar Generator 2000 New ポータブル電源 セットは、大容量2042Wh、定格出力2200Wのポータブル電源 2000 Newと出力200Wのソーラーパネルのセットです。40%の小型化と34%の軽量化を実現しています。3〜5人の家族で、3日間程度の停電生活を想定されている方におすすめの製品です。
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6.停電後にネットが繋がらない状況に関するよくある質問
最後に、停電後にネットが繋がらない状況に関するよくある質問を紹介します。停電後にネットが繋がらなくなった事態に備えて、ルーターの正しい対処法を把握しておきましょう。
●停電したらWi-Fiはどうなる?
停電が起きると、コンセントに接続しているホームルーターの電源も切れるため、Wi-Fiは繋がらなくなります。基地局が問題なく機能している場合は、スマホのモバイル通信を利用すると良いでしょう。
非常用電源であるポータブル電源を所有していれば、ホームルーターに給電してWi-Fiの接続を再開できます。基地局が被害を受けている場合を想定して、複数の通信手段を確立しておくと安心です。
●ルーターは停電後に初期化が必要?
停電の復旧後にWi-Fiルーターとモデムを正しい手順で再起動したにも関わらず、ネットが繋がらない場合は、Wi-FIルーターの初期化を試してみてください。初期化するとこれまでの設定値が全てリセットされるため、全ての対処法を試した後の最終手段です。
初期化しても接続不良が改善されない場合は、通信機器自体が故障している恐れがあるので、専門業者に修理を依頼しましょう。自然故障の場合は、メーカーで料金を保証してもらえるケースもあります。
●停電後にルーターが遅い時の対処法は?
回線にバグが生じて遅くなっている可能性があるので、まずはルーターの再起動を試してみてください。ルーターを再起動する手順は、以下のとおりです。
1.Wi-Fiルーターとモデムをコンセントから抜く
2.モデムをコンセントに挿して、電源ランプが点くまで待つ
3.Wi-Fiルーターをコンセントに挿して、電源ランプが点くまで待つ
それでも事象が改善しない場合は、多くの人が同時にアクセスして回線が遅くなっている恐れがあります。または、輻輳を避けるために通信事業者が意図的に通信制限をかけている場合もあるので、ホームページで確認しましょう。
まとめ|非常用電源で停電後の通信障害に備えよう
停電後にネットが繋がらない場合、まず最初に考えられるのが回線の混雑です。特に災害による停電の場合、災害情報の収集や家族の安否確認で多くの人が一斉にアクセスします。
停電が起きてもWi-Fiルーターへの給電を継続したい場合は、ポータブル電源を導入しましょう。ポータブル電源があれば、Wi-Fiルーター以外の自宅にある家電にも給電して、快適な生活が実現します。
この記事で紹介した停電後にネットを繋げるための対策を、ぜひ実践してみてください。