【オフィスの地震対策】地震に強いオフィスづくりと会社を守る事業継続計画

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地震大国の日本では突発的な災害への対策は不可欠。会社は事業の継続と、従業員の身の安全を両立しなければなりません。

 

この記事では、従業員の身の安全性を高めるための、地震に強いオフィスづくりを紹介。また、地震後の復旧を早める事業継続計画の重要なポイントも解説します。

 

地震による被害の30~50%は、家具類の転倒や落下が原因です。オフィス内の安全を確保し、会社と従業員を守りましょう。

 

参考:東京消防庁「してますか?家具類の転倒・落下・移動防止対策」

目次

1.オフィスの地震対策は会社と従業員を守るための必須事項

 

会社には、労働契約法によって労働者を守るための義務が課されています。同法に違反したとしても会社への罰則はありませんが、民事訴訟や損害賠償に発展するリスクがあります。 

また、従業員を守る義務を果たせなければ、従業員だけでなく社会からの信用も失うでしょう。会社と従業員を守り、事業を早期復旧して顧客に商品を供給することが、社会からの信用につながります。 

参考:厚生労働省「労働契約法」

2.【12の対策】地震に強いオフィスづくり

 

地震に強いオフィスづくりに役立つ12の対策をまとめました。 

デスク周りを整理する

キャビネットを金具で固定する

漏電対策で火災を防止する

パソコン本体とデータを保護する

出入口周りのスペースを広くする

窓周りには背が低い物を配置する

避難経路周辺から障害物をどける

エレベーター防災キャビネットを設置する

非常時の飲食物や医療品を7日分用意する

防災対策の役割を分担する

帰宅困難者の対策を周知する

付近のコミュニティと連携する 

対策には2種類あり、設備や道具類にかかわるハード面と、知識や訓練にかかわるソフト面があります。順番に見ていきましょう。

ハード面での設備にかかわる9の耐震対策

まずはハード面での耐震対策を解説します。

デスク周りを整理する

まずデスク周りを整理しましょう。デスク上の不要な書類やファイルが地震で散らばってしまえば、避難時に転倒するリスクがあります。ファイルスタンドを粘着マットで固定して保管すれば、書類などの飛散を避けられるでしょう。

キャビネットを金具で固定する

キャビネットの固定は、転倒事故や避難時の障害物になるリスクを抑えます。また、コンクリート製の壁や床にアンカーボルトで固定すると、より危険性を軽減できます。 

ただし、電源やケーブルが床下に敷設されているフリーアクセスフロアでは、アンカーボルトを打ち込むと設備を壊しかねません。アンカーボルトを使用する場合は、工務店や家具固定の専門業者、メーカーに相談しましょう。 

なお、キャビネットの転倒防止の基準は約120cmです。基準内のキャビネットはアンカーボルトで固定し、120cm以上の壁に固定し辛いものは、金具やベルトで連結して固定しましょう。 

参考:国土交通省「保全インフォメーションきんき 第133号」

漏電対策で火災を防止する

阪神・淡路大震災では、地震発生直後から翌日以降にかけて電気機器の漏電による火災が数多く発生しました。漏電対策による火災防止は、安全なオフィスづくりに欠かせません。主な漏電対策は次のとおりです。 

タコ足配線を避ける

ケーブル接続を点検する

漏電遮断器を設置する 

コンセントとプラグの間に隙間があるとほこりが溜まり、漏電火災につながります。電子機器の接続が緩んでいないか、従業員同士で日常的にチェックしましょう。

参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「漏電[安全衛生キーワード]」

パソコン本体とデータを保護する

パソコン本体とデータの保護は、オフィスの地震対策として重要です。パソコンの転倒事故は怪我の要因となり、加えて重要なデータが詰まったパソコンが壊れてしまえば、事業の復旧が遅れます。 

ベルトや粘着マットによるパソコンの固定以外にも、USBでのデータ保管やバックアップ専用のサーバーも活用しましょう。

出入口周りのスペースを広くする

地震時の避難をスムーズに進めるためには、出入口周りの広いスペースが必須です。狭い出入口に人が殺到すると転倒事故が起きるリスクがあり、避難効率も下がります。出入口周辺は傘立てやロッカーなど、最低限必要な物だけを置きましょう。

窓周りには背が低い物を配置する

窓周りに背が低い物を設置すると、地震による被害を軽減できます。背が高い棚やロッカーが倒れると窓ガラスが飛散し、避難の妨げになります。 

設置物が外に飛び出せば、オフィス周辺の人にも大怪我をさせかねません。窓周辺には背が低い物を採用し、地震の被害を抑えましょう。

避難経路周辺から障害物をどける

避難経路に障害物があると避難が遅れ、混雑・パニック・将棋倒しなどによって従業員の命を危険にさらします。 

2001年9月1日の新宿区歌舞伎町ビル火災では、避難経路に可燃物が放置されていました。障害物の放置は避難の妨げになるだけでなく、火災拡大の要因にもなり得ます。避難経路周辺には荷物を極力置かず、人が通りやすいスペースを確保しましょう。 

参考:総務省消防庁・国土交通省住宅局「新宿区歌舞伎町ビル火災を踏まえた対応について」

エレベーター防災キャビネットを設置する

エレベーターの地震対策として、簡易トイレや非常食を収納できる防災キャビネットが有効です。2018年6月18日、震度6の地震が起きた大阪では、停止したエレベーターからの救出まで最大5時間半かかりました。 

長時間エレベーターに閉じ込められると、空腹はまだしも衛生面のリスクを不安に思う方は多いでしょう。救出までの間、空腹や尿意に耐えるために防災キャビネットは欠かせません。 

参考:国土交通省「エレベーターの地震対策の実施について」

参考:近畿地方整備局「2018年(平成 30年)大阪北部地震」

非常時の飲食物や医療品を7日分用意する

行政機関の支援開始まで3日が目安ですが、地震の規模によっては3日以上かかる可能性もあります。従業員の身を守るためにも、最低3~7日分の飲食物や医療品を用意しましょう。 

大人3日分の非常食の目安をまとめたので参考にしてください。 

水3ℓ

乾パン1個

カップ麺1個

レトルト食品2パック

かつお節・煮干しなどの乾物

レトルト米・アルファ化米7パック

肉・魚・豆などのプルトップ型缶詰5缶 

非常食に加えて、消毒液・包帯・うがい薬などの医療品も必須です。火災や煙による火傷、喉の炎症の治療など、地震対策には医療品も欠かせません。 

参考:農林水産省「特集1 非常食(2)」

ソフト面での情報にかかわる3つの耐震対策

ソフト面では3つの耐震対策を押さえておきましょう。

防災対策の役割を分担する

防災対策の役割分担は、地震発生時の避難効率を左右します。揺れが収まったあとには、出入口の確保、消火活動、被災者の救出などの対応が必要です。役割分担を決めておけば発災後の行動がスムーズになり、従業員の安全性が高まります。

帰宅困難者の対策を周知する

東日本大震災が発生した際、帰宅困難者の数は約515万人に達しました。帰宅困難者の対策を周知しなければ、外出中の従業員の避難が遅れてしまいます。 

従業員が避難できる安全な避難場所として、以下の3種類の施設を周知しましょう。 

一時避難施設

災害時帰宅支援ステーション

避難所

● 集会場

● 庁舎やオフィスビ

● ルのエントランスホール

● ホテルの宴会場、学校など

● コンビニエンスストア

● ファミリーレストラン

● ガソリンスタンド

● 都立学校など

● 学校

● 公民館などの公共施設

 上記の施設は、非常食の提供やトイレの貸し出し、災害情報の伝達などが行われています。慣れない土地で営業回りをしている従業員でも、安全な避難が可能です。 

参考:東京都防災ホームページ「東京都帰宅困難者対策ハンドブック」

参考:内閣府(防災担当)「帰宅困難者対策の実態調査結果について」

付近のコミュニティと連携する

付近のコミュニティとの連携は、会社と従業員を守るために重要です。会社の非常食や医療品が足りない場合、周辺企業や住民との助け合いが欠かせません。 

阪神・淡路大震災のような巨大地震が起きた際には、さまざまなスキルを持つ従業員や資材を備蓄していた会社が、復旧・救助活動で活躍しました。地元の防災訓練に参加し、いざというときに助け合える関係を構築しましょう。

3.停電から従業員を守る!業務の停滞も防止する「ポータブル電源」を用意しよう

 

停電から従業員を守る!業務の停滞も防止する「ポータブル電源」を用意しよう

会社が従業員の安否を素早く確認して事業を復帰させるためには、パソコンを代表とする電子機器が不可欠。停電という厄介な問題に対しては、携帯可能なバッテリー装置として使えるポータブル電源が効果を発揮します。 

ポータブル電源は、スマホ・ルーター・タブレットなど業務に必須の機器に給電可能です。AC電源(コンセント)も接続できるため、扇風機や電子レンジなどUSB端子以外の機器も使用できます。ポータブル電源のおすすめとして、Jackery(ジャクリ)の製品を紹介します。 

最長10年の長寿命

日本での災害支援実績あり

最大5年の無料保証サービス

13年間で販売台数500万台を突破

防災製品等推奨品マーク取得済み

高速ソーラー充電も対応 

巨大地震が起きた能登半島や大雨に被災した山形県に、Jackery(ジャクリ)はポータブル電源を無償提供しました。パソコンでの避難者リスト作成、浸水した建築物周辺での電力供給など、災害支援の実績が豊富です。 

なお、携帯型の発電機も非常用電源として役立ちますが、こちらは屋内では使用できません。運転時に一酸化炭素を排出するため、密閉空間では一酸化炭素中毒を起こす恐れがあります。安全な電力供給を行うならポータブル電源がおすすめです。 

参考:消費者庁「災害時にも活躍する携帯発電機やポータブル電源の事故と停電復旧後の通電火災に注意!」

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4.オフィスの地震対策を従業員と共有する2つの方法

 

オフィスの地震対策を従業員と共有する2つの方法

オフィスの地震対策を従業員と共有するなら、2つの方法が有効です。 

eラーニングでオンライン講習を実施する

防災セミナーで企業ごとの地震対策を相談する 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

eラーニングでオンライン講習を実施する

従業員に地震対策を周知する方法として、eラーニングのオンライン講習をおすすめします。従業員が各自、好きな場所で防災教育を受けられるため、会議室の確保やスケジュール調整は不要です。 

地震や避難行動の実例を動画で視聴して、災害対策の重要性を学べます。講習内容を振り返る問題もあるため、対策の理解度をチェックすることも可能です。 

防災セミナーで企業ごとの地震対策を相談する

一口に地震対策といっても、オフィスの大きさや従業員数によって必要な対策は変わります。自社にあった対策を充実させたい方は、防災セミナーに参加しましょう。 

内閣府主導のセミナーは、地方自治体や民間企業などさまざまな対策事例を紹介しています。企業の規模に合った地震対策を参考にしたい方におすすめです。 

参考:内閣府「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」

5.地震など災害から会社を守る事業継続計画(BCP)の重要な3つのポイント

 

事業継続計画(BCP)とはBusiness Continuity Planの略称です。自然災害やテロ攻撃などの緊急事態から、企業の重要な事業を速やかに復旧させるための計画を意味します。BCPには3つの重要なポイントがあります。 

優先業務を選定する

復旧にかかる時間を設定する

復旧に必要なリソースを確保する 

一つずつ確実にこなしましょう。

優先業務を選定する

まずは最優先で復旧すべき業務を選定し、会社の収益源を迅速に回復させます。業務を効率的に選定するためには、次の観点が重要です。 

短納期の業務

顧客が必要とする業務

売上・利益が大きい業務 

パソコンの保護や業務データのバックアップ、電子機器を動かすためのポータブル電源の用意など、災害時に情報収集できる体制を整えましょう。 

参考:内閣府「企業の防災対策・ 事業継続強化に向けて」

復旧にかかる時間を設定する

次にすべきことは業務の復旧時間設定です。顧客の需要に対応するために必要な時間、取引先が許容できる時間などの情報を集め、優先業務をさらに絞り込みます。 

ただし、この時点での選定業務はあくまで案の一つです。設定時間内に業務を達成できるかは不明のため、復旧時間の浪費を避けるためにも、次の段階で最終的に決定しましょう。

復旧に必要なリソースを確保する

事業継続計画(BCP)の最終段階は、復旧に必要なリソースの確保です。人材・資材・設備・資金などの必要量を試算し、リソースを確保する手段を決定します。 

地震が発生すると工場の稼働停止や物流網の停滞、人手不足などさまざまな被害が想定されます。リソースを適切に配分するためにはBCPが必須です。 

BCPに不安を覚えている方は、基礎から学べるセミナーに参加しましょう。移動に時間をかけたくない方は、独立行政法人が開催しているオンラインセミナーなどがおすすめです。 

参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「ジギョケイオンラインセミナー」

6.オフィスの地震対策に関連するQ&A

 

オフィスの地震対策についてよくある質問にお答えします。 

オフィスですべき地震対策は?

オフィスで必要な防災用品は? 

万全の地震対策で従業員と会社を守りましょう。

オフィスですべき地震対策は?

オフィスですべき地震対策をチェックリストとしてまとめました。 

事業所の耐震化

人命の安全確保(避難経路/救命救助)

従業員の安否確認

役割・体制の取り決め

防災教育・訓練の実施

非常食・医療品・簡易トイレなどの用意

二次災害防止(出火/落下/飛散/浸水)

オフィスの家具・機器転倒防止 

地震対策を実施したことで、事業復旧までの時間が2カ月から2日に短縮した事例があります。地震対策をどれだけ充実させるかが、会社と従業員の安全を大きく左右します。

オフィスで必要な防災用品は?

オフィスで主に必要な防災用品は以下のとおりです。 

非常食

救助用機材

生活用品

医療品

● 乾パン

● アルファ化米

● 缶詰

● ミネラルウォーター

● 担架

● 投光器

● 大工道具

● 組み立て式リヤカー

● 間仕切りパネル

● 毛布

● 石鹸

● 食器

● タオル

● バケツ

● 簡易トイレ

● ブルーシート

● 包帯

● ガーゼ

● 消毒液

● うがい薬

また、上記の防災用品に加えてポータブル電源も用意しましょう。スマホやタブレットのバッテリー切れ対策、パソコンでの業務復帰に必要な情報収集など、ポータブル電源は地震対策に欠かせません。 

参考:内閣府「特集 災害の備え、何をしていますか」

まとめ

 

オフィスの地震対策は、会社と従業員を守るために重要な役割を果たします。オフィス内の家具固定・災害時の役割分担・非常食の用意など、ハードとソフト面両方での対策が必要です。 

また、自社だけでなく、社会を安定させる役割も企業は求められます。事業継続計画(BCP)を策定し、地震から会社をスムーズに立ち直らせなければなりません。 

会社の地震対策は多岐に渡るため、一度にすべてを始めると通常業務に支障をきたします。まずはポータブル電源や防災キャビネットなどを用意し、安全なオフィスづくりから始めましょう。

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