1.昆虫採集のやり方
昆虫採集にはいくつかの基本的な方法があります。採集したい昆虫の種類や行動時間、活動場所に応じて、適切な方法を選ぶことが成果につながるでしょう。
この章では初心者でも取り組みやすい代表的な3つの採集方法を紹介します。どれも道具と準備がそろえば、すぐに実践できます。
●スウィーピング
スウィーピングは、草むらや低木に網を左右に振って昆虫を捕まえる方法です。名前の通り、虫取り網を掃く(sweep)ように使います。特にバッタやカメムシ、ガなど、地表近くに潜んでいる昆虫を効率よく採集可能です。
方法はシンプルで、背の低い草が生い茂った場所に入り、網を足元の草に沿わせて左右にゆっくりと振ります。勢いよく振ると網が破れる可能性があるため、慎重に動かすことがポイントです。
昼間の晴れた時間帯は昆虫の活動が活発になり、採集のチャンスが広がります。ただし、草むらにはダニやハチが潜んでいることもあるため、長袖や長ズボンを着用し、肌の露出は控えましょう。
●バナナトラップ
バナナトラップは、甘い匂いを利用して昆虫を誘き寄せる方法です。自作できるうえに設置も簡単なため、子どもと一緒に楽しめる採集手段として人気があります。
作り方は、バナナをすり潰し、焼酎や黒砂糖を加えて密閉容器に入れ、2〜3日ほど発酵させるだけです。完成した発酵バナナ液は、木の幹に塗るか、小皿に入れて地面に置きます。これだけでラップの設置は完了です。
夕方から夜にかけて、カブトムシやクワガタ、カナブンなどが匂いを嗅ぎつけてやってきます。人通りの少ない静かな林や、公園の木陰が適した場所です。トラップを設置した場所は、夜に懐中電灯を使って観察すると良いでしょう。
●ライトトラップ
ライトトラップは、光に集まる昆虫の習性を利用した採集方法です。蛾やカブトムシ、コガネムシなどの夜行性昆虫に特に有効で、夏の夜に気温が高い時間帯に実施すると成功しやすくなります。
必要な道具は、懐中電灯や投光器などの強い光源と、白い布またはレジャーシートです。木や壁に布を張り、そこに光を当てることで、昆虫が集まりやすくなります。ライトの種類によって誘引力が異なるため、紫外線を含むLEDライトや水銀灯があるとより効果的です。
採集には、街灯の少ない山間部や林道沿いなど、暗い場所が適しています。そのような環境では人工の光に対する昆虫の反応が強くなり、集まりやすい傾向があるためです。
2.昆虫採集に必要な5つの道具
昆虫採集を安全かつ効率的に行うには、基本的な道具の準備が欠かせません。採集から観察までスムーズに進められるように初心者でも扱いやすく、基本的な採集に役立つ道具を5つ見ていきましょう。
①捕虫網
捕虫網は、昆虫採集に欠かせない基本アイテムです。柄の長さや網の大きさには種類がありますが、初心者には軽くて扱いやすい伸縮タイプがおすすめです。網が深めのものを選ぶと、昆虫が逃げにくくなります。
使い方はシンプルですが、勢いよく振り回すと網が破れたり、周囲の植物を傷つけたりする恐れがあります。スウィーピングや飛翔中の昆虫を狙う際には、周囲の状況に注意しながら丁寧に扱いましょう。
②飼育ケース
捕まえた昆虫を一時的に入れておくのが飼育ケースです。プラスチック製のものが一般的で、通気口があるタイプを選ぶと昆虫が長く生存できます。観察しやすい透明ケースが便利でしょう。
中には、小枝や葉を入れて自然環境に近づけるとともに、ゼリーやスポンジなど水分補給ができるものを設置するとより安心です。長時間持ち歩く際は、直射日光や高温を避けるようにしましょう。
③軍手
軍手は、安全のために必ず持っておきたいアイテムです。草むらや木の幹を触る場面では、トゲや虫刺されなどから手を守る役割を果たします。
特に毛虫やハチなどが潜んでいる可能性がある場所では、素手での接触は避けるべきです。厚手のものを選べば、枝や石に触れても手を傷つけにくくなり、より安心して活動できます。
④懐中電灯
ライトトラップや夜間の移動には懐中電灯が欠かせません。暗い場所で足元を照らすだけでなく、昆虫を光に引き寄せる用途にも使えます。両手が空くヘッドライトを使えば、作業がしやすくなるでしょう。
できれば防水性のある製品や予備の電池も携帯しておくと安心です。出発前には必ず点灯確認を行い、電池切れによる事故を防ぎましょう。
⑤毒ビン
昆虫を標本として保存する際には、毒ビンが必要になります。内部に酢酸エチルやピレスロイド系薬品を入れ、採集直後に昆虫を安定させてから保存することで、損傷を最小限に抑えた標本づくりが可能です。
ただし、毒ビンは薬品を使用するため取り扱いに注意が必要です。小さなお子さんがいる場合や観察目的のみであれば、使用を避けましょう。標本づくりに興味がある中学生以上は、大人の指導のもとで安全に使用しましょう。
3.昆虫採集におすすめの旅行先5選
昆虫採集は、旅行と組み合わせることでさらに楽しい体験になります。自然豊かな場所に泊まりながら昆虫とふれあうことで、忘れられない思い出を作れるでしょう。昆虫採集にぴったりな国内の宿泊施設やツアーを5つ紹介します。
①秋田|天然温泉 田沢湖レイクリゾート

出典:田沢湖レイクリゾート
田沢湖レイクリゾートは、秋田県仙北市の田沢湖近くにあるリゾートホテルです。周囲にはブナ林や湿地が広がり、夏にはトンボやカブトムシ、クワガタなどが見られます。自然体験を目的に訪れる家族連れも多く、湖畔での昆虫観察や採集が楽しむのに最適です。
ホテルには天然温泉やファミリー向けの客室も完備されています。周辺ではトレッキングや湖遊びもでき、アクティブな夏休みにぴったりです。
②東京|別荘旅館 錦江閣
出典: 別荘旅館 錦江閣
東京都あきる野市にある別荘旅館 錦江閣は、都内でありながら大自然に囲まれた隠れ家的な宿です。敷地内には広い庭園と小川があり、夏にはセミやトンボ、クワガタなどが生息しています。夜間は周囲が暗く、ライトトラップに最適といえるでしょう。
古民家風の建物は落ち着いた雰囲気で、プライベート感のある滞在が可能です。食事も地元の食材を活かした会席料理が提供され、家族旅行や自由研究の拠点としても人気があります。
③長野|ルグラン軽井沢ホテル&リゾート
ルグラン軽井沢ホテル&リゾートは、標高1,000メートルの森に囲まれた高原リゾートです。軽井沢の自然環境は昆虫の宝庫で、昼間はスウィーピングでチョウやバッタを、夜はライトトラップで蛾やカブトムシが観察可能です。
施設内には池や林が整備されており、自然観察に最適な環境が整っています。高級感のあるホテルながら、子ども連れも歓迎されており、ファミリープランも用意されています。早朝の森林浴とあわせて昆虫採集を楽しめば、心に残る体験になるでしょう。
④山梨|富士すばるランド
出典:富士すばるランド
富士すばるランドは、富士山の麓に広がる自然体験型のテーマパークです。園内には雑木林や芝生エリアがあり、昼夜を問わずさまざまな昆虫が生息しています。カブトムシの飼育・観察体験や虫取りイベントも定期的に開催されており、昆虫採集初心者でも安心して参加可能です。
アスレチックやドッグランなど、昆虫以外のアクティビティも充実しています。周辺にはキャンプ場や温泉施設も多いため、家族での滞在にも向いています。
⑤新潟|ネイチャーツアーガイドやまもり
「やまもり」は、新潟県妙高市に拠点を構える自然体験ガイドサービスです。昆虫採集に特化したツアーや、夜のライトトラップ体験などが人気です。妙高高原周辺は標高が高く、気温が安定しているため、夏でも多くの昆虫を観察できます。
地元の自然に詳しいインストラクターが案内してくれるため、初めての方でも安心して参加できます。親子での自由研究や、自然にふれたい都市部の子どもたちにとって、貴重な体験となるはずです。
4.昆虫採集に着ていく服装の選び方
昆虫採集は自然の中で行う活動のため、服装には動きやすさだけでなく、安全性や機能性も求められます。採集を快適に行うための基本的な服装のポイントを3つに分けて見ていきましょう。
●長袖・長ズボンを着用する
昆虫採集に行く際は必ず長袖・長ズボンを着用しましょう。草むらや林の中には、蚊やハチ、毛虫などの虫が多く潜んでいます。また、枝や葉が肌を傷つけることもあります。そのため、長袖・長ズボンを着用して肌の露出をできるだけ避けましょう。
通気性のよい素材や、速乾性のあるアウトドアウェアを選ぶと夏でも快適に過ごせます。夏場の黒い服は虫を引き寄せやすいため、白や明るい色の服を選ぶと虫除け効果が期待できるのでおすすめです。
●はき慣れた靴を履く
足元には、動きやすく滑りにくい靴を選ぶことが基本です。草むらや山道では、地面が不安定なことが多いため、スニーカーやトレッキングシューズが適しています。
反対に、サンダルやクロックスのような露出の多い靴は、ケガや虫刺されの原因となるため避けたほうがよいでしょう。長時間の移動が予想される場合は、クッション性に優れた靴を選ぶと疲労を軽減できます。
また、靴下は足首が隠れる長さのものを着用することで、ダニやヒルなどの侵入を防ぎやすくなります。
●帽子で直射日光を防ぐ
夏は直射日光が激しいため、日差しを防ぐための帽子を被るといいでしょう。夏の昆虫採集は、炎天下での活動になることが多いため、熱中症対策も重要です。つばの広い帽子をかぶることで、直射日光を防ぎつつ、顔や首元の日焼けを防ぐことができます。
メッシュ素材の帽子や、首元を覆う日よけ付きのものは、蒸れにくく快適です。さらに、風で飛ばされにくいあご紐付きの帽子であれば、野外でも安心して行動できるでしょう。
5.昆虫採集に役立つおすすめのポータブル電源
昆虫採集をより快適に楽しむために、ポータブル電源を持っていくのもおすすめです。ポータブル電源とは、内部のバッテリーに大量の電気を蓄え、コンセントがない場所でも電化製品に給電できる機器を指します。
特に山間部やキャンプ場では、スマートフォンの充電や虫よけ機器の使用に電源があると安心です。昆虫採集でポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。
・灯火採集に使うHIDライトを夜通し点灯させられる
・SNS発信のための撮影機材やスマホを充電しておける
・電子レンジやケトルを使い、その場で温かい軽食が食べられる
・夏場の昆虫採集でも、扇風機やポータブルエアコンで暑さ対策が行える
灯火採集に使うHIDライトはLEDライトより消費電力が高いですが、高出力のポータブル電源であれば稼働音を抑えて稼働し続けられます。ガソリン式発電機のように環境を汚染する心配もありません。昆虫採集している昼間に、ソーラーパネルからも充電が可能です。
昆虫採集で使うポータブル電源は、創業から13年間で世界販売台数500万台を突破した実績を誇るJackery(ジャクリ)製品がおすすめです。持ち運びに便利なコンパクト・軽量設計ながら、大容量のバッテリーを搭載しています。
LEDライトやUSBポートも備えており、夜の昆虫採集やキャンプにぴったりの製品と言えるでしょう。業界屈指の高速充電によって、使いたい時にすぐ使用できます。アウトドアシーンに1台あると非常に重宝するアイテムです。
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6.100均で手に入る!昆虫採集セット3選
昆虫採集を始めたいけれど、いきなり高価な道具をそろえるのは不安という方も多いでしょう。そんな初心者や親子連れにぴったりなのが、100円ショップでそろえられる便利な昆虫採集グッズです。ここでは、特におすすめのアイテムを3つご紹介します。
①伸縮虫とりあみ
持ち運びに便利な「伸縮虫とりあみ」は、100均の中でも人気の高いアイテムです。持ち手が伸び縮みするため、コンパクトに収納でき、子どもでも使いやすいのが特長です。長く伸ばせば、高い木の枝や遠くの草むらにも届くため、セミやトンボの採集にも活躍します。
網の部分はナイロン製が多く、軽量で扱いやすい点も魅力です。また、大型の昆虫を捕まえるときは、網の強度をあらかじめ確認しておくと安心です。
②虫かご(丸型)
採集した昆虫を安全に持ち帰るためには、虫かごが欠かせません。100均の丸型の虫かごは透明なプラスチック素材でできており、通気性もよく、中の様子を観察しやすくなっています。
持ち手付きで持ち運びがしやすく、軽くて丈夫なため、小さなお子さんでも安心して使えます。ふたの開け閉めが簡単なタイプを選ぶと、虫を逃がさず観察を続けられるでしょう。
③昆虫誘引ネット
「昆虫誘引ネット」は、特定の昆虫をおびき寄せるために使う便利グッズです。フルーツや蜜などのエサをネットの中に入れて木に吊るすだけで、カブトムシやクワガタが集まってくることがあります。
100均ではコンパクトなネットが手に入り、複数個を設置することで効果を高めることも可能です。使い終わった後は洗って再利用できるため、コストパフォーマンスにも優れています。
まとめ
昆虫採集は、自然とふれあいながら学びや発見を楽しめる貴重な体験です。必要な道具をそろえることで、初心者でも安全かつ快適に楽しむことができます。100円ショップで手に入る便利なアイテムも多く、気軽に始められるのも大きな魅力です。
この記事で紹介したアイテムやポイントを活用し、家族や友人と一緒に、充実した昆虫採集のひとときを過ごしてください。
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