ソーラーパネルの発電量とは?太陽光発電の仕組みと計算方法を解説

ソーラーパネルの発電量について解説

環境に優しい発電として注目される方法がソーラーパネルです。導入を検討していても、具体的にどの商品を選ぶべきか分からず、悩んでいるという方もいるでしょう。この記事では、ソーラーパネル発電量の目安や、ソーラーパネル発電量を増やす方法について詳しく解説します。また、家庭用のソーラーパネルのほか、アウトドアや非常時用に利用できる持ち運べるポータブルソーラー電池についても紹介しています。ソーラーパネルの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ソーラーパネルとは?

ソーラーパネル(太陽光パネル)は、太陽光から発電する板状の設備です。二酸化炭素を排出しないクリーンな発電を促進する手段として、近年急速に普及が進んでいます。ソーラーパネルの基礎知識として、発電の仕組みや、発電量の目安となる二つの単位であるW(kW)とWh(kWh)について詳しく解説します。

・太陽光で発電する仕組み

太陽光がソーラーパネルに当たると、ソーラーパネルに使われている半導体の中で電子が移動し、その結果電気エネルギーが発生します(光起電力効果)。

この仕組みを利用して、ソーラーパネルは電気を生み出しています。

この電気エネルギーは、その後パワーコンディショナーを経由し、自宅やオフィスで使える形に変換されます。

・発電量を表す単位

ソーラーパネルの発電量を表す単位には、以下の2種類があります。

W(ワット)、kW(キロワット)

Wh(ワットアワー)、kWh(キロワットアワー)

Wは、ソーラーパネルの電力を作り出す力の強さを表し、1000Wは1kWです。

たとえば、電球を購入する際に「30W」「60W」といった表示を明るさの目安にします。ソーラーパネルもこれと同じように、W・kW数の高い商品のほうが、発電能力に優れています。

もう一方のWhは、作られた電気の量のことを表します。こちらも、1000Whが1kWhです。たとえば、30Wの電球を2時間つけっぱなしにした場合、30W×2時間で60Wh。

電気代料金でも「今月の電気の消費量は300kWh」といった言い方をするため、目にした経験のある方も多いかもしれません。

ソーラーパネル発電量の計算方法

kW数の高いソーラーパネルを導入したとしても、常に表示されているkW数で発電されるわけではありません。

ソーラーパネル実際の発電量は、「1日あたりの平均日射量×kW数×損失係数」で計算可能です。

損失係数とは、ソーラーパネルが発電し、電力として利用されるまでに発生する電力のロスのことを指します。およそ15パーセント発生するものとして計算されます。

ソーラーパネル発電量に影響する要素・条件

ソーラーパネル発電量に影響する要素・条件

ソーラーパネル発電量を決める要素は以下の3種類です。

1日あたりの平均日射量
kW数
損失係数

このうち以下2種類が変動する要素や条件を見ていきましょう。

1日あたりの平均日射量
kW数

●変換効率

変換効率はkW数に影響を与える要素で、ソーラーパネルが太陽光エネルギーをどの程度電気エネルギー(kW)に変換できるかを表します。

現在住宅やオフィスに用いられるソーラーパネルは、太陽光エネルギーのうち約15〜20パーセントを電力に変換できる商品が主流です。このパーセンテージが上がるほど変換効率が高まり、より少ないパネル数で電力を生み出せます。

●素材による違い

変換効率は、ソーラーパネルの素材によって大きく変わります。住宅用のソーラーパネルで普及しているものには、以下の種類があります。

単結晶シリコン
多結晶シリコン
薄膜シリコン
化合物系(CIS系)

単結晶シリコンは、変換効率は20パーセント前後と非常に高い一方、製造コストがかかるため、販売価格は高くなります。狭い面積でも発電量を維持できるため、家庭用のソーラーパネルにしばしば使われています。

多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて安価で購入できるものの、変換効率は15パーセント前後とやや低まります。パネルを大量に並べられるような広い敷地を用意できる場合に選ばれやすい素材です。

薄膜シリコンは、素材が薄く、折り曲げられて軽いのが特徴です。さまざまな場所に取り付けられるのが特徴で、近年急速に開発が進められています。

現時点では、変換効率は10パーセント前後とやや低くなっているため、ソーラーパネルとしてはそこまで普及していません。化合物系(CIS太陽電池)は、近年になって生産量が急増しているソーラーパネルです。

シリコン系よりも低コストで生産できることが特徴で、産業用ソーラーパネルによく使用されています。変換効率は15パーセント前後で、多結晶シリコンと同程度です。

●地域による違い

ソーラーパネルの発電量を計算する要素の一つである平均日射量は、ソーラーパネルが設置される地域によっても変化することが特徴です。

日本全国の平均日照時間が1,897時間なのに対して、全国1位の山梨県は 2,183時間。全国平均よりも300時間近く多い日照時間を誇ります。

一方、日照時間が最も少ないのは秋田県の1,526時間。平均よりも約400時間近く少ないことが分かります。秋田県と山梨県の平均日照時間を比較すると、年間で657時間もの差が生まれています。

ただし、同じ地域でも、地形や方角、周囲の環境、屋根の形、ソーラーパネルの枚数などによって発電量は変化します。

取り付け方次第では、日照時間の少ない地域であっても、家庭やオフィスで使うために十分な発電量を確保できます。

●季節による違い

また、季節によっても日射量は変化します。1年で最も発電量が増えるのは、春先から初夏にかけての5月ごろです。そこから徐々に低くなり、毎年1月頃に最も発電量が低下します。

なお、日射量の多いイメージのある8月は、むしろ発電量は少なくなります。というのもソーラーパネルは、表面温度が25度以上になると変換効率が低下しやすいからです。

ソーラーパネルの発電量を増やす方法

ソーラーパネルの発電量は、ソーラーパネルのケアや設置方法を工夫することで抑えられます。適切な利用方法を理解して、ソーラーパネルを最大限に活用しましょう。

・ソーラーパネルを設置する向きを変える

まずは、太陽の光が当たりやすい向きにソーラーパネルを調整します。一般的には、南向きに設置することで、最も効率よく発電が可能といわれています。

ただし、設置する場所(屋根など)の形やパネルの大きさによっては、南向き以外の方向で発電量が増えるケースもあります。設置する際は事前によく検討しましょう。

・ソーラーパネルの大きさを変える

ソーラーパネルの発電出力が1kW大きくなるごとに、発電量は約1.2~1.3倍増加します。

面積の大きなソーラーパネルを利用したり、ソーラーパネルの数を増やしたりすることで、発電量は大きく高まります。

・ソーラーパネルのメンテナンス

ソーラーパネルの表面に汚れが付着していたり、落ち葉や雪が積もっていたりすると、発電量は下がってしまいます。定期的にソーラーパネルの表面をチェックし、発電の妨げになるものがないかを検査しましょう。

また、パワーモニターシステムを定期的にチェックすることも重要です。これは、ソーラーパネルの発電量や電力消費量などを表示するものです。

天気や季節、時間帯を考慮しても、明らかに発電量が落ちている場合、ソーラーパネルの状態を確認します。

太陽光発電に使われるソーラーパネルの種類

ソーラーパネルは、住宅用と産業用のほか、住宅用よりも小型で、持ち運びできるタイプの3種類があります。それぞれ、利用できる制度や、使用するシーンが変わります。違いを理解し、適したパネルを選択しましょう。

●住宅用

ソーラーパネルかパワーコンディショナーの容量のうち、いずれかが10kW未満のものを、住宅用のソーラーパネルと呼びます。

住宅用ソーラーパネルは、発電した電力を自家消費し、余った電力については売却できます。売却の際、買取価格が10年間変わらないことが特徴です。

●産業用

ソーラーパネルかパワーコンディショナーの容量のうち、いずれかが10kW以上のものは、産業用のソーラーパネルと呼ばれます。

産業用のソーラーパネルは、自家消費をしないことが特徴です。発電した電力は全て電力会社が買い取り、買取価格は20年間固定されます。

「産業用」という名称ではありますが、一般家庭に設置することも可能です。ただし、10kW以上のソーラーパネルを設置するには広い設置面積が必要なため、設置できる住宅は限定されます。

●アウトドア・持ち運び用

また、住宅用・産業用のソーラーパネルのように屋根に固定はせず、折りたたんで持ちはこべるポータブルソーラーパネルも存在します。

住宅用・産業用のソーラーパネルよりも安価で、利用にあたって工事が不要といったメリットがあります。ソーラーパネルで発生させた電気は、ポータブル電源などの電子機器に蓄電して利用します。

電源がない場所でも、パソコンやポータブル冷蔵庫などの電力消費が大きい家電を使えることから、キャンプなどのアウトドア、災害時の備えとして近年注目が集まっています。

発電効率の高いソーラーパネルおすすめ

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