1.大規模停電の主な原因と発生パターン
大規模停電の原因は大きく分けて3つのパターンがあります。それぞれの特徴と発生原因を理解し、適切な行動を心がけましょう。
●自然災害による停電
地震による送電設備の損壊は、もっともよくある停電原因のひとつです。震度6弱以上の強い揺れによって、以下のような事態が考えられます。
・発電所や変電所の設備が自動停止する
・送電鉄塔が倒壊する
・電柱が倒壊する
・道路が遮断する
台風や豪雨では、強風による電線の断線や土砂災害による送電設備の埋没が発生し、復旧には数週間を要する場合もあります。
雷による直撃や積雪の重みによる電線切断も、地域的な停電を引き起こす原因です。
●電力設備の故障・事故
以下のような変電所や送電線での設備故障や事故により停電が起きる場合があります。
・老朽化した変圧器の絶縁破壊
・送電線の地絡事故
・保守作業中の人為的ミス
・建設工事でのケーブル損傷
・電力インフラを狙ったサイバー攻撃
老朽化した変圧器や送電線事故で設備切り離しが増えると負荷が集中し、停電が相次ぐことがあります。保守作業ミスや工事中のケーブル損傷も原因です。
さらに、電力インフラへのサイバー攻撃リスクが高まり、発電所や変電所の運転妨害も懸念されています。
●電力需給バランスの崩れ
電力の需要と供給のバランスが崩れると電気の流れが不安定になり、最悪の場合は大規模停電が発生します。猛暑でエアコン需要が急増や冬場の寒波で暖房使用が集中し、発電能力の限界を超えることも原因のひとつです。
大型発電所の突然の停止や再生可能エネルギーの急激な出力変動により供給力が不足する場合もあります。
2021年のテキサス州大停電では、寒波により風力発電が停止し、同時に天然ガス供給も滞ったため需給バランスが大きく崩れ、400万戸以上が停電する事態となりました。
大規模停電を防ぐには、需給バランスの維持と電力供給体制の強化が不可欠です。
関連人気記事:地震で停電が起きるのはなぜ?停電時の正しい行動や5つの被害への対策も解説
2.過去の大規模停電事例から学ぶ教訓

過去の大規模停電事例を振り返ることで、停電の原因や対策について理解を深められます。日本の東日本大震災や北海道ブラックアウト、世界のイベリア半島やインドの大停電など、それぞれ異なる要因の事例から教訓を学べます。
各事例を詳しく確認し、大規模停電に備えましょう。
●日本の大規模停電事例
日本では過去に複数の大規模停電が発生し、異なる要因と特徴があります。重要な3つの事例から停電の原因や復旧過程、私たちの生活への影響について学んでいきましょう。
2011年3月11日に発生したM9.0の巨大地震で、東北電力管内で最大約450万戸、東京電力管内で最大約405万戸という史上最大規模の停電が発生しました。
停電の概要を確認しましょう。
停電規模 |
・東北電力エリア:約466万戸が停電 ・東京電力エリア:約405万戸が停電 |
停電解消状況 |
・東北電力エリア:8日以内に約94%が復旧、全復旧は6月18日 ・東京電力エリア:3月18日までに地震による停電が解消 |
停電原因 |
・地震と津波による発電所や送配電設備の被害 ・福島第一原子力発電所を含む複数の大規模発電所が停止 |
とくに深刻だったのは、電力の周波数の違いで(東日本:50Hz、西日本:60Hz)他の地域からの電力融通が難しかったことです。周波数変換装置の容量不足で送電量が足りず、復旧に時間がかかりました。
東日本大震災は、電力インフラの弱さと広域災害時の電力融通の重要性が浮き彫りになった歴史的な事例です。
参考:日本経済新聞|電力、なぜ西日本から東日本に融通難しいか
2018年9月6日の北海道胆振東部地震により、日本で初めてとなるエリア全域におよぶ大規模停電(ブラックアウト)が発生しました。停電の概要は以下のとおりです。
停電規模 |
北海道全域で約295万戸が停電 |
停電解消状況 |
・地震発生から約7時間後に一部地域で送電再開 ・全面復旧には約45時間を要した |
停電原因 |
・胆振東部地震による苫東厚真火力発電所の停止 ・電力供給と需要のバランスが崩れ、全道の発電所が停止 |
復旧作業は段階的に進められ、約2日で99%が復旧しました。この事例は電力システムのつながりと、大規模発電所への過度な依存リスクが明確になった災害です。
令和元年9月9日に千葉市付近に上陸した台風第15号により、最大約93万4,900戸の大規模な停電が発生しました。停電が発生し長期化した原因は、以下のとおりです。
停電規模 |
最大約93万戸が停電(千葉県内では最大64万戸) |
停電解消状況 |
最長で2週間程度の停電が続いた地域があった |
停電原因 |
・台風15号による強風で送電塔2基が倒壊 ・約2,000箇所の電柱が損傷 |
山間部では、倒木により復旧作業員がアクセスできない状況が続き、復旧が大幅に遅れました。台風の被害とインフラの弱さ、情報伝達体制の重要性を改めて痛感させられます。
●世界の大規模停電事例
世界各国でも大規模停電が発生しており、その規模や影響は日本の事例を上回るものもあります。注目すべき2つの事例から、電力システムの課題を学びましょう。
2012年7月30日から31日にかけて、インド北部・東部・北東部で史上最大規模の停電が発生し、延べ約6億7,000万人が影響を受けました。停電の概要は次のとおりです。
停電規模 |
延べ約6億7,000万人が影響 |
停電解消状況 |
・1回目:同日午後7時ごろまでに大部分が復旧 ・2回目:8月1日までに復旧 |
停電原因 |
・電力需要の急増(割り当て以上の電力使用) ・送電網の老朽化と管理不備 ・特定地域での過剰負担 |
この停電により列車の運行停止や信号機の停止など社会インフラが麻痺し、経済活動に深刻な影響を与えています。発展途上国における電力インフラ整備の重要性が世界に広まった事例です。
2025年4月28日、スペイン・ポルトガル・フランスの一部で欧州史上最大の大規模停電が発生し、約6000万人に影響しました。停電の概要は次のとおりです。
停電規模 |
・スペイン、ポルトガル全域 ・一部の南西フランス、アンドラも影響 |
停電解消状況 |
・ポルトガル:翌29日朝までにほぼ全域で復旧 ・スペイン:翌29日午前7時ごろに99%以上が復旧 |
停電原因 |
・調査中(低周波数振動・送電網の脆弱性・再生可能エネルギーの系統安定性不足が指摘) |
送電系統で急激な周波数低下が発生し、スペイン側で電力需要の6割、15ギガワット(GW)がわずか5秒で消失しています。電子決済の停止や交通機関の麻痺により現代社会の電力依存度の高さが浮き彫りになりました。
再エネ普及時代における電力系統安定の課題を考えさせられる大きな教訓です。
3.今日の大規模停電状況と復旧時間の確認方法
停電が発生している場合は状況を確認し、適切な情報源から最新の停電状況と復旧見込みを入手することが重要です。停電の原因によって復旧時間は大きく異なり、数時間から数か月におよぶ場合もあります。
停電の確認方法は以下のとおりです。
・周辺の状況を確認
・住まい地域を管轄する電力会社に確認
・自治体の防災無線
・スマートフォン・ラジオを使用して情報収集
まず近隣の建物や街灯の様子を確認し、広域停電か局所的な停電かを判断しましょう。広域停電の際は、お住まいの電力会社の公式サイトや専用ダイヤルで最新情報を確認できます。
自治体の防災無線やラジオのニュースからも復旧見込みに関する情報を得られます。停電時は情報収集手段が限られるため、携帯ラジオやスマートフォンで公式情報を確認し、安全を確保しましょう。
関連人気記事:【災害別】停電の復旧までにかかる時間は?停電前後の行動や対策も紹介
4.大規模停電が起きたらどうする?命を守る行動
大規模停電が発生した際は、落ち着いて行動することで安全を確保できます。停電時に適切な対応ができるように、命を守る行動を身につけておきましょう。
●停電発生直後の安全確認
停電が発生したら、家族の安否確認と周囲の状況把握を最優先に行いましょう。家族全員の居場所と怪我の有無を確認し、お互いの安全を確保します。
次に二次災害を防ぐために以下の確認も必要です。
・ガスの臭いがしないか
・倒れた電化製品がないか
・割れたガラスや落下物はないか
火災などの二次災害を防ぐため、ガスの臭いや倒れた電化製品がないかなどの確認が必要です。地震などが原因の場合は、割れたガラスや落下物による怪我を防ぐため、スリッパを履いて移動しましょう。
近隣住民との情報交換で、停電範囲や原因を把握し、助け合える体制を整えることも重要です。
●食料・水・スマホ充電の節約術
停電が続く場合は、資源の有効活用が必要です。冷蔵庫の扉をなるべく開けないことで、2~3時間冷気を維持し、食材の保存を少しでも長く保てます。傷みやすい食材から優先的に消費し、フードロスを防ぎ復旧まで乗り切りましょう。
スマートフォンは情報収集と連絡手段として不可欠なため、以下の設定に切り替えてバッテリー消費を抑えます。
・省電力モードに設定する
・Wi-Fi・Bluetooth・GPSをオフにする
・画面の明るさを最低レベルする
・不要なアプリケーションを終了させる
水道が停止する可能性も考慮し、浴槽やペットボトルに水を貯めておきます。限られた資源を有効活用し、停電時でも安心して生活を続けられるように備えましょう。
●避難判断のタイミング
火災や津波の危険がなく、建物に大きな損傷がない場合は、自宅にとどまる方が安全な場合もあります。
また、夜間は信号機や街灯が消えているため、屋外での移動は危険です。
一方で、以下のような状況ではすぐに避難を検討してください。
・建物の損傷が激しい場合
・ガス漏れなどの二次災害の危険がある場合
・医療機器が必要な家族がいる場合
避難する際は、再通電時の通電火災を防ぐため必ずブレーカーを落とし、最低限の持ち物(貴重品・懐中電灯・携帯ラジオなど)を準備します。移動ルートを複数確認し、安全な避難所や親戚宅への連絡先を家族間で共有しておきましょう。
5.家庭でできる大規模停電への事前対策

大規模停電に備えるためには、日頃からの準備が欠かせません。計画的な対策を行い、停電時も安心して過ごせる環境を整えましょう。
●食料・飲料水の備蓄
停電時は冷蔵庫が使用できず、店舗での買い物も困難になるため、非常食と飲料水の備蓄は必須です。水は1人1日3リットルを目安に、最低3日分(9リットル)を確保しましょう。
食料は缶詰やレトルト食品、乾麺など火を通さなくても食べられるものや、簡単に調理できるものを中心に準備します。
ローリングストック法(古いものから使って新しいものを補充する方法)を活用し、賞味期限切れを防ぎながら常に新鮮な備蓄品を維持することが大切です。
●衛生・医療用品の備蓄
停電により水道ポンプが停止すると断水が発生し、衛生環境の維持が困難になります。以下のものを準備して備えましょう。
・携帯トイレ(1人1日5回分を目安に最低3日分)
・ウェットティッシュ
・消毒用アルコール
・常備薬(処方箋のコピー)
・生理用品
・おむつ・ミルク
・医療用品(マスク・絆創膏など)
基本的な衛生・医療用品も常備しておくことで、停電中でも健康管理を維持できます。防水性のある容器に入れて保管し、定期的に使用期限をチェックしましょう。
●照明・暖房器具の準備
停電時の照明確保は、暗闇での転倒や割れたガラスを踏むなどの怪我を防ぐために重要です。LED懐中電灯は各部屋に1本ずつ配置し、ランタンタイプも含めて準備しましょう。電池も種類別に備蓄します。
電池式や手回し式ラジオは情報収集の生命線となるため、日頃から動作確認しましょう。冬季の停電に備えて、石油ストーブ(電気を使わないタイプ)や毛布、カイロなどの暖房対策も重要です。
懐中電灯に水入りペットボトルを乗せれば簡易ランタンとして使えるテクニックも覚えておくと便利です。
●非常用電源の準備
長期の停電を想定し、複数の電源を確保できるよう準備しましょう。電源確保にはコンセントで充電した電気をためて持ち運べる「ポータブル電源」がおすすめです。排気ガスを出さず、屋内で安全に使用できるため、スマートフォンの充電から小型家電まで幅広く対応できます。
容量は家電を複数使用し、防災用として長時間使用する場合は、最低でも400Wh以上の製品を選ぶのがおすすめです。定期的に充電状態も確認しましょう。発電機はガソリン式やガス式もありますが、一酸化炭素中毒の危険があるため必ず屋外で使用し、排気ガスが室内に入らないよう注意が必要です。
モバイルバッテリーも人数分用意し、車のシガーソケットから充電できるインバーターがあると、多様な電源確保が可能になります。
関連人気記事:停電への備えは必須!停電したら困ること6選と取るべき4つの対策を解説
6.大規模停電に備えるならJackery「ポータブル電源」がおすすめ!
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たとえば以下のような使い方が可能です。
・炊飯器でご飯を炊く
・電気ケトルでお湯を沸かす
・電気毛布で寒さをしのぐ
・スマートフォンやタブレットを充電する
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まとめ
大規模停電は突然発生し、復旧に時間がかかる深刻な災害です。過去の事例から見ても、事前の備えが被害軽減につながります。停電発生時は冷静な安全確認と節約術で乗り切り、食料・水の備蓄や非常用電源の確保で安心できる環境を整えましょう。
Jackery(ジャクリ)のポータブル電源なら大容量バッテリーで家電を長く動かせ、ソーラーパネルを組み合わせることで独立した電源システムが作れます。ご家庭で停電時も安心して暮らせるよう、日常の備えに取り入れてみましょう。