1.停電時にコンセントを抜くのはなぜ?4つの理由
停電時にコンセントを抜く理由は主に4つあります。電気が復旧した際の思わぬトラブルを防ぐため、それぞれの理由をしっかり理解しておきましょう。
①ブレーカーが落ちる原因になる
電化製品、とくに冷蔵庫やエアコンといった大型家電は、通常の動作時よりも起動時に大きな電流を必要とします。例えば、通常時に300Wの電力を使う冷蔵庫が、起動時には一瞬で900W近くの電力を消費するケースもあるのです。
家庭内のすべての電化製品が同時に起動すると、一時的に契約電力量を超える電流が流れ、ブレーカーが作動して再び停電状態になることがあります。これを防ぐには、停電時に使っていない電化製品のコンセントを抜いておき、復旧後は大型家電から順番に差し直していくといいでしょう。
②ヒューズが切れることがある
停電復旧直後は、電力会社の送電システムの状態によっては、一時的に通常より高い電圧(過電圧)や低い電圧(低電圧)が発生することがあります。この影響で電化製品に過負荷がかかってしまい、ヒューズ(※)が切れるリスクがあるのです。
※ヒューズ:過剰な電流が流れたときに溶けて回路を遮断し、機器を守る安全装置
ヒューズが切れた電化製品は修理に出さなければならないケースも。余計な時間とお金がかかってしまいます。停電時にコンセントを抜いておけば、トラブルを未然に防げるでしょう。
③通電火災が発生するリスクがある
停電復旧時にもっとも気をつけるべきなのが、停電から復旧した際に発生する「通電火災」です。日本火災学会地震火災専門委員会の調査によると、東日本大震災での火災原因のうち、電気を原因とする火災が全体の過半数を占めていました。とくに、復旧後の通電火災は全体の約13%にのぼります。
参考:日本火災学会地震火災専門委員会「東日本大震災における火災の発生状況」
通電火災のリスクを避けるためには、地震などの災害後の停電時にはいったんすべてのコンセントを抜いておきましょう。その後、コードがちぎれているなどの異常がないことを確認してからコンセントを差し直してください。
④電化製品の故障・データの消失が起きるリスクがある
停電復旧時の急な電圧変動は、電化製品の故障やデータ消失の原因になります。とくに精密機械のパソコンや、録画中のレコーダーなどは影響を受けやすいです。
しかも、こうした機器の修復は難しく、最悪の場合は大事なデータが完全に消えてしまいます。コンセントを抜いておき、復旧時の急激な電圧変動から機器を守りましょう。
関連人気記事:【災害別】停電の復旧までにかかる時間は?停電前後の行動や対策も紹介
2.停電時にコンセントを抜き忘れると壊れる・リスクがある電化製品

停電時にコンセントを抜き忘れると、以下の電化製品は壊れたりトラブルが起きたりするリスクがあります。
・パソコン
・冷蔵庫
・エアコン
・テレビ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
●パソコン:HDDが破損する
パソコンは停電時や復旧時の電圧変動に弱く、とくデータを保存するHDD(ハードディスクドライブ)が破損するリスクが高いです。電源の急な変動が起きると、ディスクやヘッドが物理的に壊れることがあります。
また、停電復旧時の電圧の乱れがマザーボードやCPUなどの電子部品にダメージを与え、不具合の原因になることも。最悪の場合、大事なデータが消えたり、修理が必要になったりします。パソコンを使わないときや、停電が発生したときはコンセントを抜くようにしましょう。
●冷蔵庫:コンプレッサーに負荷がかかる
冷蔵庫は停電復旧時に故障しやすい家電のひとつ。冷蔵庫内の「コンプレッサー」は、通常時より起動時に3~4倍もの電力を消費します。停電復旧時に一気に電力が流れると、コンプレッサーに過大な負荷がかかり、モーターが焼き付いたり電気回路が損傷したりするリスクがあります。
停電が起きたら冷蔵庫のコンセントを抜き、電気が復旧して数分待ってから差し直すと安全です。
●エアコン:複数機の復帰でブレーカーが落ちる
エアコンも起動時に大きな電力を必要とするため、複数台が同時に起動するとブレーカーが落ちる原因になります。
一般的な家庭用エアコン1台を起動すると「15アンペア」前後の電流が流れます。仮に電力会社のアンペア契約が「40アンペア」だったとすると、3台の同時稼働で簡単に上限を超えてしまうわけです。
ブレーカーが落ちると急激な電圧変動が起きるので、精密機器などが壊れるリスクがあります。停電時にはエアコンのコンセントを抜いておき、復旧後は1台ずつ時間をずらして電源を入れるといいでしょう。
●テレビ・DVDレコーダー:録画データが損なわれる
テレビやDVDレコーダーなどの映像機器も、停電時や復旧時の電圧変動に弱い家電です。見たい番組を録画した、大事な録画データが破損するリスクがあります。
停電が予測される場合は予めコンセントを抜いておくと安心です。停電復旧後もいきなり起動せず、テレビ→レコーダーの順で電源を入れましょう。
3.停電時にコンセントを使えるようにする4つの方法

停電時でもコンセントから電気を使えるようにする方法を4つ紹介します。それぞれの特徴やメリット・デメリットを確認して、自分の生活スタイルや予算に合った方法を選びましょう。
①ポータブル電源を備えておく
ポータブル電源とは、大容量バッテリーを内蔵した持ち運び可能な電源のことです。家庭用コンセントと同じAC100Vの電源を供給できるため、停電時でもいつもの電化製品を使用できます。
メリット |
デメリット |
・設置工事が不要で購入後すぐに使える ・維持費がかからない ・初期費用が安く済む ・持ち運びができるのでアウトドアやDIYにも便利 ・ソーラーパネルセットなら普段使いで節電も |
・バッテリー容量に限りがある ・充電しておく必要がある ・バッテリーの劣化がある |
ポータブル電源の弱点は容量が限られていること。しかし、たとえば600Wh程度の中型モデルでも以下のように使えるので、停電時には十分活躍します。
・スマホ充電(15W):約32回
・ノートパソコン充電(50W):約10回
・32型テレビ(50W):約10時間
・小型冷蔵庫(60W):約8時間
災害時のための備えとしてだけでなく、持ち出せばキャンプなどのアウトドアでも活用できるのがポイント。価格は安いモノなら2~3万円で買えるので、停電への備えとしては手軽な選択肢のひとつです。ソーラーパネルを追加すれば、小さな太陽光発電システムを作って長期間の停電にも対応できます。
②太陽光発電システムを導入する
太陽光発電システムを自宅に設置すれば、停電時でも太陽光から電気を作り出せます。ただし、通常の太陽光発電システムは停電時に「発電している間」しか使えないため、蓄電池をセットで用意するのが一般的です。
メリット |
デメリット |
・太陽光がある限り発電し続けられるので、長期の停電でも対応できる ・普段は売電収入を得たり、自家消費で電気代を削減したりできる |
・初期費用が高い(蓄電池とセットで100万円以上が普通) ・設置工事が必要 ・天候に左右される |
太陽光発電システムのネックは初期費用が高いこと。一般的に10年以上の長期にわたって使えるものの、長い目で見てコストメリットが出るかシミュレーションが必要になります。
③停電時専用コンセントがついたエネファームを導入する
エネファームとは家庭用燃料電池システムの商品名です。都市ガスやプロパンガスから水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電します。最新のタイプには「停電時専用コンセント」が付いているモデルがあり、これを使えば停電中もコンセントが使えます。
メリット |
デメリット |
・ガスさえあれば発電できる ・発電と同時に温水も作れる ・平時は電気代・ガス代の節約になる ・音が静か |
・初期費用が高い(200万円前後) ・設置工事が必要 ・ガス供給が止まると使えない ・使用できる電力量に制限がある ・専用コンセントがないモデルも多い |
エネファームは停電時に700W程度の電力を供給できるモデルが多く、冷蔵庫や照明、スマホの充電などに使えます。反対にいえば、700Wを超える電子レンジやヒーターなどは使えない点に注意が必要です。
また、エネファームはガスが止まってしまうと発電できません。ガス供給が停止するような地震などの大規模災害には対応できないことがあります。ポータブル電源のような、地震の影響を受けないコンセントの確保方法も備えておくと安心です。
④電動車に買い換える
最近の電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)には、家庭と同じ100Vコンセント備えたモデルが増えています。
メリット |
デメリット |
・大容量バッテリーで長時間給電可能 ・移動できるので避難先でも使える ・普段は車として使える |
・車両価格が高い ・充電するための設備が必要 ・車を家のそばに停められる環境が必要 |
電気自動車のバッテリー容量は20kWh~100kWhほどで、一般家庭の2~5日分の電力をまかなえる容量です。経済産業省も災害時の電力供給源として電気自動車の活用を推進しています。近々車の買い替えを検討している方は、防災対策の一環として電動車も選択肢に入れてみるといいでしょう。
参考:経済産業省「災害時に電動車は非常用電源として使えます」
関連人気記事:停電への備えは必須!停電したら困ること6選と取るべき4つの対策を解説
4.停電しても大丈夫!Jackeryポータブル電源で気軽に”いつものコンセント”を使おう
ポータブル電源とは大容量バッテリーを内蔵した移動可能な電源で、通常のコンセントと同じAC100Vの電気を供給できます。つまり、以下のようなイメージで、停電中も普段使っている電化製品をそのまま使える便利なアイテムです。
・スマホやタブレットを充電して情報収集や連絡手段を確保する
・LEDライトを点灯させて夜間の照明を確保する
・冷蔵庫を動かして庫内の生鮮食品や冷凍食品を守る
・扇風機や小型ファンを動かして熱中症対策する
・電気毛布やヒーターで低体温症対策する
Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は、防災安全協会の「防災製品等推奨品認証」を取得済み。第三者機関により性能が保証されているため、災害時に安心して使えます。
また、ソーラーパネルがセットになったおトクなシリーズ「Jackery Solar Generator」なら、停電が長引いても太陽光で繰り返し充電可能。停電が1週間以上に及ぶような大地震が来ても、いつもの生活を維持しながら安心して過ごせるでしょう。
日本は自然災害が多い国です。いつ起こるかわからない停電に備えて、Jackeryポータブル電源を「もしも」の備えに加えてみてはいかがでしょうか。
5.停電時のコンセントについてよくある質問
停電時のコンセントに関するよくある質問に答えていきます。
●停電時にコンセントが使えない!おすすめの自動点灯ライトは?
停電時におすすめの自動点灯ライトは「ヤザワコーポレーション 無接点充電式人感明暗ナイトライト」です。特徴は以下のとおり。
・停電を感知すると自動で点灯
・コンセントから外せば幅2センチのスリムな懐中電灯に返信
・充電式で繰り返し使用可能
・発光面が広くて明るさバツグン
価格は2,000円台と手頃で、家族それぞれの自室とリビングに1つずつ置いておけば安心です。暗闇での怪我や突然の災害でパニックになることを防ぐためにも、自動点灯ライトは用意しておくと良いでしょう。
●停電になったらブレーカーはどうするべき?
停電になっときのブレーカーの対応は、以下に従ってください。
・漏電やショートなど、停電の原因が家の中にある場合:ブレーカーを下げておく
・周辺の地域も停電している場合:ブレーカーはそのままでよい
・このあと避難または長期間家を空ける場合:ブレーカーを下げておく
・原因不明な場合:ブレーカーは下げたままで、契約している電力会社に相談する
ブレーカーを下げておけば、電力復旧時の「通電火災」などのリスクを減らせます。なお、あとでブレーカーを上げる時には、メインブレーカーを上げてから各回路のブレーカーを1つずつ上げていきましょう。もし漏電や異常が起きている回路があれば、電気がつかないので特定できます。
●計画停電のときに冷蔵庫のコンセントはどうしたらいい?
計画停電のように停電の予定が分かっているケースでは、冷蔵庫のコンセントは「差しっぱなし」でOKです。
ただし、冷蔵庫を製造するメーカー「パナソニック」の公式サイトでは、計画停電時は以下の対応を推奨しています。
・冷蔵室の食品は容量の7割程度を目安に減らし、保冷剤を入れておく
・冷凍室はきっちり詰めておく
・冷蔵庫の温度設定を強くして、あらかじめ庫内を冷やしておく
・停電中はドアの開閉を最小限にして、冷気を逃がさないようにする
参考:パナソニック「冷蔵庫の停電前の準備と停電時・停電復旧後の対処方法」
夏場など気温が高い時期は、短時間の停電でも庫内の食材がダメになるかもしれません。傷みやすい食品(生肉・生魚など)は、できれば計画停電前に使い切りましょう。もしくは、ポータブル電源などの外部電源を用意しておいて、停電中も冷蔵庫を動かせるようにしておくのがおすすめです。
まとめ
停電したらコンセントを抜くことで、ブレーカーダウンや家電の故障、通電火災などのリスクを大幅に減らせます。とくに冷蔵庫、エアコン、パソコン、テレビ・レコーダーは、壊れやすいので要注意です。
ポータブル電源や太陽光発電システム、エネファーム、電気自動車などを用意しておけば、停電中もコンセントが使えます。なかでもJackeryのような「ポータブル電源」は、初期投資が比較的安く済み、工事も必要ないためすぐに導入できるのがメリット。手軽な防災対策として、1台備えておくと良いでしょう