1.台風の右側と左側、風が強いのはどっち?答えは右側
台風の右側と左側とでは、風が強いのは右側とされています。
これは単なる偶然ではありません。台風の風向きと移動の仕組みによって生まれる物理的な理由があるためです。以下では、なぜ台風の右側の風が強くなるのか理由を解説します。
●台風の右側が強い理由は、風の向きと進行方向が重なり風速が強くなるから
台風は反時計回りに風が吹いています。進行方向に向かって右側の地域では風の向きと台風自体の移動方向が重なるため、風速がより強くなります。
この仕組みは「合成風速」と呼ばれ、右側では台風の中心付近よりも広範囲で強風が吹きやすくなるのが特徴です。また、台風の進行速度が速いほど、右側の風速もより強まる傾向があります。
●台風の左側では風向きと進行方向が逆になり、相殺されて弱くなる
台風の左側では、風の向きが台風の進行方向と逆向きになります。
たとえば台風が北上している場合は左側の地域に反時計回りの風が吹きこむため、台風の風速と移動速度が打ち消し合います。結果として、右側よりも合成風速が弱まるわけです。
この構造の違いにより、台風の右側と左側では風の強さに差が生まれやすくなっています。
2.自分の家は台風の右側?進行方向から判断する簡単な方法
台風が接近すると、自分の家が右側に入るのか左側なのか気になる方も多いでしょう。たしかに台風の右側は風が強く被害が出やすいといわれていますが、台風の右側とは具体的にどこを指しどうやって判断するのかは意外と知られていません。
台風の進行方向を判断するには、予測進路を台風経路図で確認しましょう。台風経路図とは台風の現在地と今後の進路予測を円で示したもので、気象庁のページなどで確認できます。

図では、台風第14号(ナンマドル)の進行方向が北〜北東寄りであることが分かります。この予報円(白の破線)を基準にすると右側が「危険半円」と呼ばれ、右側ほど風が強く被害も大きくなりやすいです。
なお、黄色や赤の円は風速別の「強風域」「暴風域」を示しており、どの範囲にどの程度の風が吹いているかの目安となります。
予報円の大きさは台風の進路に対する予測のブレ幅で、台風の物理的な大きさを示しているわけではありません。台風が接近した際は、自宅の位置が予報円のどちら側にあるかで判断しましょう。
たとえば、あなたが東京に住んでいる場合で考えてみます。先ほどの台風14号の場合、東京は予報円の右側に入っています。

風が強まるリスクが高いエリアに該当するため、注意しなければいけないと考えるべきです。
ただし台風の進路は、時間とともに変化しやすくなっています。最新情報をこまめにチェックすることも忘れないでください。
3.台風の右側に入るとどうなる?実際に起きやすい被害とリスク
台風の右側に自宅が入った場合、単に「風が強い」だけでは済まない深刻な被害が発生するおそれがあります。避難するかの判断は難しく、あらかじめどのような被害が発生するか知っておいたほうがよいでしょう。
以下では、台風の右側に入ったとき実際に起きやすい被害とリスクを解説します。
●強風・突風による建物被害や飛来物の危険が高まる
台風の右側では風速が合成されるため、非常に強い風が吹きます。強風で屋根の瓦が飛んだり、ベランダの物干しや植木鉢が飛ばされるなどの物的被害が発生しやすくなります。
とくに、突風や局地的な風の変化(ビル風や谷間風など)には注意が必要です。風に飛ばされたものが窓ガラスを割ったり通行人に当たったりするなど、二次被害も懸念されます。
下図は、昭和9年に発生した室戸台風の被害がわかるものです。台風の強風・突風で、ここまでの建物被害が起きてしまうこともあります。
このように台風の右側では風による直接的な被害だけでなく、飛来物などによる二次被害のリスクも高まります。事前の備えと警戒が不可欠です。
●高波や高潮の発生リスクが大きくなる
台風の右側では海から強い風が吹きつけるため、高波や高潮のリスクも高まります。下図は、2004年(平成16年)8月30日の台風16号による高潮被害がわかるものです。
引用:香川県「過去の水害実績」
一年を通じてもっとも潮位の高い季節の大潮の時期だったことに加えて、満潮の時間と重なったこともあり次のような浸水被害が発生しています。
・香川県:床上8,393棟、床下13,424棟
・岡山県:床上5,696棟、床下5,084棟
・広島県:床上1,386棟、床下6,139棟
参考:気象庁「高潮による災害」
台風が接近してきたら台風情報や高潮警報を確認し、安全に行動できるうちに避難しましょう。
●停電・断水・交通障害など生活インフラに影響が出やすい
強風や豪雨で電柱や送電線が倒れたり、水道施設が被害を受けたりすることで停電や断水が発生するケースもあります。また、鉄道の運休やバスの欠便など交通機関にも広く影響が及びます。
こうした状況の中では、避難するかの判断が難しくなるのが問題点のひとつです。外に出るのが危険なほどの風が吹いている中で避難を始めるのは、かえってリスクが高いケースもあります。
そのため台風の進路や接近時間を見ながら、早めに決断することが求められます。自宅が台風の右側に入ると分かった時点で、できるだけ早い段階で避難するか判断しましょう。
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4.台風の右側に入る可能性があったらどうする?家の中と外でできる対策リスト
台風が接近し自宅が右側に入ると分かった場合には、すぐに備えを始める必要があります。以下では、風の影響が大きくなる台風の右側に入る可能性があった場合の、家の中と外でできる対策リストを解説します。
●家の中でできる台風対策|停電・窓ガラス・非常用品の備え
家の中でできる台風対策は、次のとおりです。
・停電に備えて、懐中電灯・モバイルバッテリー・カセットコンロなどを準備しておく
・窓ガラスの破損を防ぐために、飛散防止フィルムや養生テープを窓に貼ったりカーテンも閉めておく
・少なくとも3日分の非常用品を確保しておく(飲料水や食料、医薬品など)
・トイレ用の水も浴槽などにためておく
とくに小さな子どもや高齢者がいる家庭では、日常的に使っているものをリスト化しておきましょう。不足のないように備えておくことが大切です。飲料水や食料は多めにストックしておき、古いものを普段使いで消費していく「ローリングストック」を活用するとよいでしょう。
●家の外でやっておくべき対策|ベランダ・庭・車まわりのチェック
屋外では、次のような強風による飛来物への対策が必要です。
・ベランダに置いてある物干し台や植木鉢、ガーデンチェアなどはすべて室内に移動させておく
・庭や玄関先もチェックし、物干し竿や脚立などが倒れないように固定する(または屋内に取り込む)
・排水溝や側溝のゴミを取り除いておき、雨水がスムーズに流れるようにしておく。
・車はできるだけ建物の影になる場所に移動させ、窓を閉めておく
暴風域に入ってからの外出は危険です。早めに点検と対策を済ませておきましょう。風で飛ばされやすいものは、思わぬ事故を招く可能性があります。
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5.台風の左側はどうなの?右側との違いと注意すべきポイント
台風が接近するとどうしても台風の右側に注目が集まりますが、台風の左側でも油断は禁物です。以下では、台風の左側に入った場合に起こりうるリスクや注意点について解説します。
●台風の進路や規模によっては左側でも大きな被害が出ることがある
たしかに台風の左側では、右側に比べて風速が弱まりやすい傾向にあります。それでも強い風が吹く場合はあり、台風の規模が大きい場合や左側に活発な雨雲がかかると局地的に激しい雨や突風が発生するおそれがあります。
下図は、2019年(令和元年)10月の台風19号の経路図です。東日本から東北地方を中心に、広い範囲で観測史上1位の記録を更新する大雨となりました。
参考:気象庁「令和元年台風第19号とそれに伴う大雨などの特徴・要因について(速報)」
この経路図からすると、大雨を降らせたのは台風の左側であることが推測できます。それでもさまざま要因が重なって大きな被害をもたらす可能性があります。
●【結論】右側・左側どちらにいても、台風への備えは欠かせない
台風の右側でも左側でも、台風が接近してきたら準備・対策を欠かさないようにしましょう。たしかに台風の右側が危険半円と呼ばれるのは事実ですが、それだけにとらわれて左側を軽視してしまうのは危険です。雨や地形の条件などさまざまな要因が重なれば、左側でも大きな被害は発生します。
自分の地域が右側か左側かにかかわらず、事前の備えと最新の気象情報のチェックを徹底することが被害の軽減につながるでしょう。
6.停電・災害に備えるなら「Jackery(ジャクリ)」のポータブル電源を
台風が接近すると停電のリスクが高まり、スマホや家電が使えなくなる事態も想定されます。
そんなときに役立つのが、コンセントのない場所でも電気が使えるポータブル電源です。中でも「Jackery(ジャクリ)のポータブル電源」は、全世界で500万台以上を販売する信頼のブランドです。災害時に備えて蓄電しておけるのはもちろん、ソーラーパネルと組み合わせれば台風接近前の晴れ間に自家発電しておくこともできます。
またJackery(ジャクリ)のポータブル電源は「防災製品等推奨品マーク」を取得しており、公的にも非常時の備えとして信頼できる製品です。スマホの充電や炊飯器・ポットなどの生活家電の動作もできて、停電時の暮らしを大きくサポートします。リュックに入る小型サイズのものや機内持ち込み可能なタイプもあり、高齢者や女性でも扱いやすいのも魅力です。
もしものときの備えとして、今のうちにJackery(ジャクリ)のポータブル電源をチェックしておきましょう。
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7.台風の右側・左側・風の強さに関するよくある質問
台風の右側・左側のこと、風の強さに関するよくある質問は以下の3つです。
●台風で一番風が強い場所はどこですか?
台風でもっとも風が強くなるのは、風速25m/s以上の風が吹く「暴風域」の中の、進行方向に向かって右側にあたる危険半円です。下図は、過去の台風の地上での風速分布を右半円と左半円に分けて示した図で、風が強いのは台風の右側の半円だとわかります。

「危険半円」内に入りそうなときは、事前に非常食や非常用電源などの準備をしておきましょう。
●台風が近づくと風の強さはどうなりますか?
台風が接近すると風は段階的に強くなっていき、暴風域に入ると急激に激しさを増します。台風の中心に近づくほど気圧の差が大きくなり、空気の流れが速くなります。
とくに進行方向の右側に入ったときに注意が必要です。風向きと台風の移動方向が一致することで、風速がさらに加算されます。
●台風が温帯低気圧(熱帯低気圧)に変わったらもう警戒しなくてもいい?
台風が温帯低気圧や熱帯低気圧に変わっても、暴風や大雨の影響が続くケースがあるため、すぐに安心してはいけません。
とくに温帯低気圧は前線を伴って広い範囲に強い雨を降らせる性質があり、台風以上に雨量が増える場合もあります。代表例が、2004年(平成16年)の台風第18号です。北海道の西の海上で温帯低気圧に性質を変えながら再び発達し、最大瞬間風速50m/sの猛烈な風を観測しています。
まとめ
台風の右側は風の向きと進行方向が重なるため、強風や高波による被害が起きやすくなります。ただし左側でも油断は禁物で、雨や地形の影響により被害が出る可能性があります。台風経路図で今後の進路を確認し、早めに備えることが重要です。
台風による停電対策は、非常時にもコンセントが使える「Jackeryのポータブル電源」のような備えも選択肢のひとつです。家族の安全を守るために、正しい知識と備えを整えておきましょう。