避難ハッチとは?設置基準から災害のとき役立つ製品の選び方まで紹介

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マンションやビルの高層階に住んでいる方にとって、火災などの災害時の避難手段の確保は命に関わる問題です。避難階段が使えなくなった場合、最後の脱出経路となるのが「避難ハッチ」となります。

 

この記事では、避難ハッチの基本的な知識から設置基準、選び方まで分かりやすく解説。避難ハッチの導入を考えている、マンションなどの建物の所有者・管理者の方は確認しておきましょう。

目次

1.避難ハッチとは災害時の避難に使う昇降口のこと

 

避難ハッチは災害時、とくに火災発生時に安全に避難するための道具。通常は金属製のふたで覆われており、緊急時にこのふたを開けると、はしごが展開され下の階へ降りることができます。避難経路の確保が困難な建物における、命を守るために必須の設備です。 

まずは、避難ハッチの基本を詳しく見ていきましょう。

マンションをはじめとする高階層建築物のベランダ・バルコニーに設置する

避難ハッチの設置場所は、住民や建物の使用者がすぐに使える位置が前提です。同時に、避難器具の操作に必要なスペースも確保されていなければなりません。避難経路として活用しやすいため、多くの避難ハッチはベランダやバルコニーに設置されています。

「避難はしご」との違い

避難ハッチと避難はしごは、どちらも避難のための設備です。 

避難ハッチ:金属製避難はしごや救助袋を収納するふた付きの設備

避難はしご:実際に人が降りるための器具。避難ハッチに収納されたはしごを「避難はしご」と呼ぶこともある。ただし、避難はしごは独立した移動可能なはしごも指す 。

避難ハッチは上の階から下の階へ避難するための「脱出口」の役割を果たす開口部です。通常は金属製のふたで覆われており、緊急時に開けて使用します。 

一方、避難はしごには、避難ハッチのような固定式と持ち運べる携帯型があります。携帯型は収納しておいて、非常時に窓などから吊るして使用するタイプです。

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2.避難ハッチの設置基準を解説

 

避難ハッチの設置基準を解説

避難ハッチには安全に避難するための、消防法などの法律に基づいた設置基準があります。設置位置から材質に至るまで細かく規定されているので、詳しく見ていきましょう。

設置基準は消防法などで規定されている

総務省消防庁が出している「避難器具用ハッチの基準について(通知)」によると、避難ハッチの構造に関する主な規定は以下のとおりです。 

本体、ふた、取付金具などで構成されること

アンカーで取り付ける場合は、固定箇所を4か所以上とすること

上ぶたは、90度の開放状態で固定でき、何らかの操作をしなければ閉まらない構造であること

屋外設置の場合は下ぶたも取り付けること

足掛けに滑り止めがあること

ボルト・ナットはゆるみ止めされ、使用者がケガをしないような措置をしていること

3動作以内ではしごを展開できること

参考:総務省消防庁「避難器具用ハッチの基準について(通知)」 

避難ハッチの材質については、ステンレス鋼板(SUS304~316)などの耐食性に優れた不燃材料を使用することが求められています。特に屋外に設置されることが多いため、錆びにくい素材であることが必須です。 

基準を満たさない避難ハッチは、緊急時に動作不良を起こすおそれがあります。必ず認定された製品を選ぶようにしましょう。

設置位置やサイズの基準|納まり図で全てわかる

避難ハッチの設置位置やサイズには、安全性と使いやすさを確保するための詳細な基準があります。東京消防庁の「第16避難器具」によると、設置位置には以下のような規定があります。 

はしごを伸ばしたときの床との距離が0.5m以下

はしごの上端部分と電線との距離が2.0m以上

はしごの降りる部分と電線との距離が1.2m以上

開口部が床面にある場合は、直径0.5m以上の円が内接できるようなスペースがある

※このほかにも細かい規定が数多くあります。

参考:東京消防庁「第16避難器具」

避難ハッチの寸法や設置すべき位置は、メーカーの納まり図(いわゆる図面)を見ればわかります。ただし、解説したとおり避難ハッチの設置は、規定を守って設置しなければいけません。そのため、専門業者による施工が必要です。

避難ハッチの基本的な使い方と管理方法

基本的な使い方は、ハッチの上ぶたを開けて中の避難器具を取り出し、指示に従って展開するだけです。避難ハッチは緊急時でも簡単に操作できるよう、3動作以内ではしごを展開できる設計になっています。 

なお、避難ハッチは消防法17条3の3にもとづき、半年に1回の機器点検と年1回の総合点検が必要です。点検には消防設備士などの資格が必要なため、基本的には専門業者に依頼することになるでしょう。とはいえ、安全に使うために、普段から以下の点は確認しておくべきです。 

定期的に開閉操作をチェックし、スムーズに動くことを確認する

ハッチの上に物を置かない(緊急時の開閉の妨げになります)

周囲の操作スペースを常に確保しておく

錆や腐食がないか定期的に点検する

表示や標識が見やすい状態に保つ 

とくに、避難ハッチの上に物を置くのは厳禁です。日頃からの管理で、いざというときに避難ハッチが確実に機能し命を守れます。定期的な確認を習慣にしましょう。

3.避難ハッチの種類と建物に適した選び方4選

 

避難ハッチにはさまざまな種類があり、建物の構造や用途によって最適なものが異なります。安全性を確保するためには、建物に合った避難ハッチを選びましょう。ここでは、避難ハッチの選び方のポイントを4つ紹介します。

建物の構造に適合した避難ハッチを選ぶ

建物の構造によって、適合する避難ハッチのタイプが異なります。 

床設置型:バルコニーやベランダの床に設置するタイプ。スペースを有効活用できる

壁設置型:壁面に取り付けるタイプ:操作しやすく避難時の動線も確保しやすい 

とくにに後付けで避難ハッチを設置する場合は、床設置型が使えないケースもあります。専門業者に相談しながら慎重に進めましょう。

価格や使いやすさから選ぶ

一般的に避難ハッチは1基10万円~の価格帯で、高いものだと60万円以上することもあります。価格が高いものは、より耐久性が高い材質が使われていたり、より高低差に対応できるようはしごの段数が多くなっているたりすることが多いです。 

もしマンションの階ごとの高低差が大きい場合には、段数が多い避難ハッチを選ばなければいけません。単に価格だけで選べないことは覚えておきましょう。

安全性・耐久性の高いメーカー・製品を選ぶ

避難ハッチは命を守る設備です。以下のポイントに注意して、安全性と耐久性に優れた製品を選びましょう。 

認証・適合性:消防法に適合した認証マーク付きの製品であること

材質:ステンレス(SUS304〜316)などの耐久性が高い素材を使用していること

メーカーの信頼性:実績のあるメーカーの製品を選ぶこと

認証マークは「認」と書かれた以下のようなマークです。

全国避難設備工業会「避難器具用ハッチの登録認定等業務について」

引用:全国避難設備工業会「避難器具用ハッチの登録認定等業務について」 

屋外に設置されることが多いため、耐久性のないハッチは早く壊れてしまい、結果として余計なコストがかかってしまうことも。もちろん予算の都合などもあるかと思いますが、なるべく長期的な視点で選ぶことをおすすめします。

緊急時に使いやすい製品を選ぶ

災害時のパニック状態でも確実に操作できるよう、使いやすさに配慮された製品を選びましょう。

シンプルに操作できること

暗闇や煙の中でも見つけやすい蓄光材や目立つ色が使われていること

ピクトグラム(絵文字)や簡単な説明書きがあること 

これらの要素が備わっている避難ハッチは、緊急時でも直感的に操作できます。とくに子どもや高齢者がいる建物では、わかりやすさと・使いやすさを重視した製品選びが必要です。

4.避難ハッチと併せて準備しておくべき防災用品5選

 

避難ハッチと併せて準備しておくべき防災用品

避難ハッチは災害時の避難経路として非常に役立ちますが、それだけでは十分ではありません。いざというときの安全を確保するためには、以下のような防災用品も一緒に準備しておきましょう。

防災マニュアル・避難経路図

いざという時に慌てず行動するためには、避難計画を立てた「防災マニュアル」や、避難経路がすぐにわかる「避難経路図」が必要です。 

防災マニュアルには、火災や地震などの災害時の行動手順、避難経路、集合場所などを記載します。なるべく、図表などを用いてわかりやすく作るのがポイントです。完成したら、住民や建物の使用者が確認できる形で設置しましょう。

ポータブル電源

地震などの災害時には停電を伴うことも。大容量でコンセントも使える、持ち運び式の非常用電源「ポータブル電源」があれば、停電中も以下のように家電が使えます。 

スマホを充電して連絡が取れるようにしておく

LEDライト・ランタンで暗闇を照らす

扇風機や電気毛布で暑さ・寒さ対策する

炊飯器でご飯を炊く

電子レンジで食品を温める 

さらにソーラーパネルと組み合わせれば、停電が長引いても太陽光で充電可能。被災の不安を大きく軽減してくれます。避難ハッチとあわせて、各階に1~2台備えておけば安心です。

食料・水

建物内での避難生活が長引く場合に備えて、最低3日分、できれば1週間分の食料と水を備蓄しておきましょう。 

食料は調理不要で賞味期限が長い、レトルト食品や缶詰、乾パンなどがおすすめです。水は一人1日あたり3リットルが目安。飲料水としてだけでなく、調理用や簡単な手洗いにも必要になります。1~2年程度の長期保存が可能なペットボトルのミネラルウォーターや、5年以上保存できる「保存水」がおすすめです。

ライト・懐中電灯

災害時、とくに夜間の停電時には、室内や避難経路を照らすライトが必須です。避難ハッチを使用する際にも、暗闇では操作が難しいため、以下のいずれかの方法で明かりを確保できるようにしましょう。 

懐中電灯

ヘッドライト

ランタン 

中でも両手が空くヘッドライトや、明るさの強いランタンは避難時に役立ちます。懐中電灯よりコストはかかりますが、できればヘッドライトやランタンを用意してみてください。

非常用持ち出しバッグ

避難後の生活が長引くことも想定して、以下のような必要最低限の物資をまとめた「非常用持ち出しバッグ」を用意しておくと安心です。 

飲料水(500mlペットボトル数本)

非常食(カロリーバーなど軽くて高カロリーなもの)

救急セット(絆創膏、消毒液、常備薬など)

懐中電灯(予備電池も)

ヘルメットや防災ずきん

軍手・ホイッスル

携帯ラジオ

使い捨てカイロ

マスク、除菌シート

携帯トイレ

モバイルバッテリー 

バッグ自体は背負いやすいリュックサックタイプがおすすめです。重さは女性でも持ち運べるよう、5kg程度に抑えることをおすすめします。避難時にすぐ持ち出せるよう、避難ハッチの近くに置いておきましょう。

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5.Jackeryポータブル電源があれば災害の停電時も安心!

 

Jackery(ジャクリ)は、全世界累計500万台以上が使われている信頼のポータブル電源ブランド。防災安全協会の認定も受けており、非常用電源として高い評価を得ています。そのほか、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源が防災に向いている理由をまとめました。 

1年間放置しても5%しか充電が減らないので、災害時しか使わなくても安心

10年以上の長寿命で、買い替えのコストを軽減

最長5年の長期保証で、万が一の製品不具合にも対応

「電源を入れてケーブルをつなぐだけ」の簡単操作で誰でも使用可能

おトクなソーラーパネルセット「Jackery Solar Generator」シリーズも用意 

避難ハッチで素早く安全に避難できる環境を整えると同時に、万が一の建物内での長期避難に備えて、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源を用意してみてはいかがでしょうか。 

防災におすすめのポータブル電源製品一覧


6.避難ハッチに関するよくある質問

 

避難ハッチに関するよくある質問と、その回答をまとめています。

避難ハッチの使い方は?

一般的な避難ハッチは、以下の3ステップで使えます。 

1.ハッチのふたを開ける

2.下に人がいないことを確認して、レバーを押す(製品によっては引く)

3.はしごが伸び切ったことを確認し、避難する

避難ハッチの使い方

引用:ヤマトプロテック株式会社

製品によっては、1と2の間に「チャイルドロック」の解除が必要です。ただし、緊急時に迷わず使えるように、避難ハッチは必ず3ステップ以内の動作ではしごを展開できるようになっています。

避難ハッチの上に物を乗せてもいい?

避難ハッチの上に物を置くことは絶対にやめてください。総務省消防庁の点検基準でも、避難ハッチの周囲には操作の妨げとなる物を置かないよう明記されています。 

ベランダやバルコニーはスペースが限られているため、物置として使いたくなる気持ちは理解できます。しかし、避難ハッチ上は常に空けておき、緊急時にすぐに使える状態を保ちましょう。

まとめ

 

避難ハッチは、いざというときに命を守る最後の砦となります。消防法などで定められた基準にもとづいて正しく設置し、定期的な点検でいざというときに使えるようにしておきましょう。 

災害はいつ起こるかわかりません。避難ハッチの準備はもちろん、防災マニュアルの作成やポータブル電源のような非常用電源の準備も必要です。Jackeryのポータブル電源は、長寿命と長い保証期間でマンションをはじめとする建物の防災をしっかりサポートします。避難ハッチとあわせて、導入を考えてみてください。

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