家庭用蓄電池にはさまざまな種類と分類方法がある
家庭用蓄電池には、重視する機能によってさまざまな分類方法が使われています。この記事では、家庭用蓄電池を分類する4つの種類を取り上げます。以下の表でご確認ください。
種類 |
代表的な項目 |
内蔵するバッテリーの種類 |
リチウムイオン電池(三元系、リン酸鉄など)、鉛蓄電池、ニッケル水素電池 |
停電時に電気を供給できる範囲 |
全負荷、特定負荷 |
パワーコンディショナーの有無と接続方法 |
スタンドアロン型、単機能型、ハイブリッド型、多機能型 |
設置可能な場所 |
屋内専用、屋外専用、屋内・屋外兼用 |
ベストな蓄電池を手に入れるためには、重視する機能や特徴に注目して分類し、ご家庭での使用に適した種類の製品を選ぶことが重要です。これから4つの種類や分類方法を解説しますので、良い蓄電池を選ぶ参考にしてください。
蓄電池の種類①:内蔵するバッテリーの種類
家庭でよく使われる蓄電池は、3種類あります。それぞれの特徴を、以下の表にまとめました。
蓄電池の種類 |
主に使われている素材 |
特徴や用途 |
鉛蓄電池 |
正極:二酸化鉛 負極:鉛 電解液:希硫酸 |
衝撃に強く、大きな電力を安定して取り出せる 電極に絶縁性の硫酸鉛が付着しやすく(サルフェーション)、劣化の原因になる 自動車のバッテリーなどに使われる |
ニッケル水素電池 |
正極:オキシ水酸化ニッケル 負極:水素吸蔵合金 電解液:水酸化カリウム水溶液 |
安全で過充電にも強い 自己放電しやすい 電動車椅子や風力発電機などで使用 |
リチウムイオン電池 |
正極:リチウム含有金属酸化物 負極:黒鉛(グラファイト) 電解液:引火性有機溶媒(エチレンカーボネートなど) |
小型で大容量の電力を取り出せる 電解液は可燃性のため、衝撃や高温に要注意 蓄電池やポータブル電源、電気自動車など、さまざまな機器で使われる |
それぞれの特徴を把握したうえで、蓄電池を選ぶことが重要です。以下の記事も参考にしてください。
関連人気記事:太陽光発電のソーラーパネル・蓄電池の種類を解剖!選び方のポイントも紹介
蓄電池に使われるリチウムイオン電池には複数の種類がある
最近の蓄電池やポータブル電源には、以下に挙げる2種類のリチウムイオン電池がよく使われています。
・三元系リチウムイオン電池
・リン酸鉄リチウムイオン電池
それぞれの特徴を、以下の表にまとめました。
蓄電池の種類 |
正極に使われる素材 |
特徴 |
三元系リチウムイオン電池 |
コバルト、ニッケル、マンガン、リチウム |
小型で大容量のパワーを詰め込める レアメタルの使用量が多く、産出国の事情による影響を受けやすい 高温に弱い |
リン酸鉄リチウムイオン電池 |
リン酸鉄リチウム |
高温に強く、発火しにくい 三元系よりも繰り返しの充電に強い レアメタルの使用量が少ないため、カントリーリスクの影響を受けにくい 三元系よりもエネルギー密度が低い |
コンパクトさやパワーを選ぶなら三元系、繰り返し充電の強さやより高い安全性をお求めならリン酸鉄のリチウムイオン電池が向いています。以下の記事もあわせてご参照ください。
関連人気記事:進化したリン酸鉄リチウムイオン電池!ポータブル電源におすすめの理由とは?
蓄電池の種類②:停電時に電気を供給できる範囲
蓄電池は停電時に電気を供給できる範囲という観点で、「全負荷」と「特定負荷」の2つに分けられます。「全負荷」の蓄電池を選べば、停電しても自宅のすべての部屋に給電可能です。日常生活を送れるだけの電池容量が必要ですから、備えるべき蓄電池の容量も大きくなります。
一方で「特定負荷」の蓄電池は、家屋の限られた部屋にのみ電気を供給可能です。冷蔵庫など電源を切ると不都合が生じる家電のみ使える一方で、生活には不便を感じるケースも多いでしょう。一方で必要な電力が減るため、電池容量も少なく済むことはメリットに挙げられます。
蓄電池の種類③:パワーコンディショナーの有無と接続方法
パワーコンディショナーは、蓄電池とともに使われることの多い重要な機器です。一方で蓄電池の種類によっては、パワーコンディショナーがいらないタイプもあります。また蓄電池とパワーコンディショナーのつなぎ方は、大きく3つに分かれます。それぞれのタイプがどのような特徴を持つのか、解説していきましょう。
スタンドアロン型
スタンドアロン型は、パワーコンディショナーを使いません。電気を蓄電池に貯め、使いたいときは蓄電池に備え付けのコンセントにつないで家電を使う方法です。
「蓄電池につなげば家電を使える」という、わかりやすさと使いやすさは魅力です。ポータブル電源は、代表的な機器に挙げられます。容量は2kWh前後など、比較的小さい製品が多いですが、なかには蓄電池並みの10kWh以上まで拡張できる製品もあります。
Jackeryが提供するポータブル電源も、このタイプです。100Wh前後から最大24kWhまで拡張できる製品など、さまざまなタイプから選べます。
単機能型
蓄電池専用のパワーコンディショナーを使って、家庭用の交流100V回線につなぐ方法です。設置後に以下の作業を行う場合は、設置する機器専用のパワーコンディショナーを別途設置する必要があります。
・他の蓄電池を設置する
・ソーラーパネルを設置する
設置する機器ごとにパワーコンディショナーが必要ですから、広い場所が必要です。また直流と交流の変換回数が増えることによる変換ロスや、騒音の発生も気になります。一方で単機能型には、以下のメリットがあります。
・パワーコンディショナーが故障しても、他の機器には影響しない
・ソーラーパネルのメーカーと蓄電池メーカーが異なる場合でも、設置できる
ソーラーパネルと蓄電池の選択肢が広がること、運用の柔軟性が広がることは、大きなメリットといえるでしょう。
ハイブリッド型
ハイブリッド型は、蓄電池とソーラーパネルを同一のパワーコンディショナーにつないで運用する方法です。ソーラーパネルで発電した直流の電気を、直流のまま蓄電池に貯められるため、直流と交流との変換ロスが発生しません。設置スペースを抑えられることも、メリットに挙げられます。
多機能型(トライブリッド型)
多機能型(トライブリッド型)は、ハイブリッド型に電気自動車用のパワーコンディショナーの機能を加えた製品です。1台で3役を担えるため、電気自動車のバッテリーも蓄電池として使いたい、蓄電池やソーラーパネルから電気自動車に充電したい方に向いています。
一方で対応するパワーコンディショナーの少なさ、故障した際の影響が大きいことはデメリットに挙げられます。
蓄電池の種類④:設置可能な場所
設置可能な場所も、蓄電池を選ぶ重要なポイントです。市販されている蓄電池は、大きく以下の3タイプに分かれます。
・屋内型(屋内専用)
・屋外型(屋外専用)
・屋内・屋外両方に対応するタイプ
それぞれの特徴を、順に確認していきましょう。
屋内型
ご自宅の内部に設置できる蓄電池です。小型化されており、重量も抑えられていることが特徴です。エアコンの室外機を置ける空間があれば、設置可能な蓄電池は多いでしょう。地面に固定する作業がいらないなど、設置の手間は屋外型よりもかかりません。
一方で容量は比較的少なく、6kWh未満の製品が多くなっています。パワーコンディショナーが必須の製品では、音が気になるかもしれません。使用中は、水がかからないよう注意が必要です。
Jackeryのポータブル電源は、屋内型です。エアコン室外機よりもはるかにコンパクトなことは、メリットに挙げられます。また拡張バッテリーの活用により、容量を24kWhまで増やせる製品も発売されています。
屋外型
建物の外に設置するタイプの蓄電池で、屋内型よりも大容量の製品が多いです。防水対応がなされており、室内からは稼働音が気にならないこともメリットに挙げられます。
一方で設置の際は倒れないよう、地面に固定しなければなりません。設置場所を選ぶ際には、直射日光を受けない場所や通行の妨げにならない場所を選ぶ必要があります。また塩害地域にお住まいの場合は、塩害に対応した製品を選ばなければなりません。
屋内・屋外両方に対応するタイプ
蓄電池によっては、屋内・屋外どちらでも設置できるタイプがあります。家庭の事情によって、設置場所を選べることは魅力的です。
なお蓄電池の重量は、100kg以上におよぶ場合があります。屋内に設置する場合は床が耐えられるか、事前にチェックしておくとよいでしょう。
家庭用蓄電池を選ぶ5つのポイント
あなたに合った家庭用蓄電池を選ぶためには、ここまで解説した4つの項目以外にも、チェックしておきたいポイントがあります。納得できる1台を選ぶためにも、これから解説する内容をよく確認しておきましょう。
日常生活を送れるだけのバッテリー容量がある
家庭用蓄電池で日常生活を送れるだけの電気を貯められると、心強いでしょう。その量は、どのくらいなのでしょうか?東京都が2023年3月に発行した「家庭の省エネハンドブック」によると、省エネ家庭で消費する日々の電力量は以下のとおりとなっています。
世帯人員 |
5月(中間期) |
8月(冷房期) |
1月(暖房期) |
1名 |
2.5kWh |
3.1kWh |
3.4kWh |
2名 |
3.7kWh |
4.3kWh |
5.7kWh |
3名 |
4.2kWh |
5.4kWh |
6.6kWh |
4名以上 |
3.8kWh |
6.0kWh |
7.3kWh |
出典:東京都「家庭の省エネハンドブック 令和5年3月発行」:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/home/publishing.files/web_2023_handbook.pdf
日々の生活で必要な電力量は、世帯人員や季節により異なります。このため、とにかく大きな蓄電池を選べばよいわけではありません。将来の世帯構成も踏まえつつ、過剰投資にならないよう適切なサイズの蓄電池を選ぶことが重要です。
消費電力の大きな家電も使える定格出力の高さ
家庭では調理家電や冷暖房家電など、消費電力が高い家電もしばしば使われます。実際に消費電力が1400WのIHクッキングヒーターやホットプレート、消費電力1300Wのヒーターが市販されています。快適に暮らすためには、これらの家電を無理なく使えなければなりません。
ご自宅でどのような家電を使うのか、ライフスタイルも踏まえて製品を選びましょう。例えば「調理家電を使っている間は暖房を止めても良い」ならば、定格出力2000Wの蓄電池を選べば十分です。一方で「寒い日は調理家電も暖房も使いたい」場合は、定格出力3000W以上の蓄電池がおすすめです。
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充電方法を選べることと充電時間の短さ
日本では、毎年どこかで災害が発生しています。家庭用蓄電池を使う際は、停電になっても蓄電できる手段を確保することがおすすめです。家庭用コンセントに加えて、ソーラーパネルでも蓄電できる機種を選ぶとよいでしょう。Jackeryが提供する「Solar Generator」なら、ポータブル電源とソーラーパネルで蓄電可能です。
短時間で充電できる蓄電池を選ぶことも、充電までの待ち時間が少なくなるためおすすめです。Jackeryでは家庭用コンセントを使って、1264Whの容量を1.7時間で充電できる「ポータブル電源 1000 Plus」を提供しています。
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出力ポートの数と種類が多く、多種多様な機器を使えること
家電に電力を供給する手段は、多様化しています。コンセントを使う家庭用のAC100V電源だけでなく、USB-AやUSB-Cポートから電源を得る機器も増えてきました。出力ポートがAC100Vコンセントしかない場合、USBを使った出力には市販の充電器が必要です。はじめからUSBの出力ポートがあれば、手間なくすばやく機器に充電できます。
また出力ポートの数が多い蓄電池は、同時に多数の家電へ充電できます。便利な生活を後押ししてくれるでしょう。ふだん使う家電をリストアップしたうえで、必要なポートの種類と数を搭載した蓄電池を選びましょう。
設置する場所に応じて種類や機種を決める
家庭用蓄電池は、設置する場所に適した種類を選びましょう。屋外型の製品を屋内に設置すると、重さで床を傷めるかもしれません。一方で屋内型の製品を屋外に設置すると、水分や塩分、ほこりなどによる故障が起きやすくなります。
設置スペースのチェックも重要です。直射日光が当たらず日常的な通行を妨げない範囲で、蓄電池を置けるスペースを確保しなければなりません。もし設置スペースが狭い場合は、その範囲内で設置できる製品を探す必要があります。例えば幅が50cmしかなければ、50cmのスペースでも置ける機種から選ぶことになります。
家庭にはJackery Solar Generatorをおすすめ
これからご自宅用の蓄電池をお求めなら、Jackeryが提供する「Solar Generator」をおすすめします。性能別におすすめする3つの製品を通して、Jackery製品の魅力をご確認ください。
Jackery Solar Generatorをおすすめする理由とメリット
Jackery Solar Generatorを選ぶことで、以下に挙げるさまざまなメリットが得られます。
・設置工事は不要。購入すればすぐに使える。家屋を傷つける心配もいらない
・持ち運び可能で3kWhや5kWh、12kWhなど、家庭用蓄電池並みの容量を確保できる
・Plusシリーズは後で容量を増やせる。本体と拡張バッテリーを別に置けるため、床への負担も軽くできる
・持ち運びしやすいハンドルがある。25kg以上の機種には、キャスターも備わっている
・発電効率が24%~25%を誇る、高い性能のソーラーパネルで充電できる
・家庭用電源を使えば、およそ2~3時間で満充電にできる
据置型の蓄電池よりも優れた機能が揃っていることに、魅力を感じる方も多いでしょう。ここからは蓄電池として使える3つの製品を紹介し、それぞれの魅力を解説していきます。
おすすめ製品①:Solar Generator 2000 Plus
Solar Generator 2000 Plusは、「ポータブル電源 2000 Plus」とソーラーパネル「SolarSaga 200W」のセットです。ポータブル電源 2000 Plusは定格出力が3000Wと高く、リン酸鉄リチウムイオン電池を使っているため4,000サイクルもの充放電が可能です。1日1回使っても、10年以上利用可能。家庭用電源での充電は2時間で済むスピードも魅力です。
SolarSaga 200Wは最大25%の変換効率を誇り、太陽光を効率よく電気に変えられるソーラーパネルです。出力は200Wと大きく、1枚ならポータブル電源を14時間で、6枚あれば2時間で満充電にできます。防塵・防水性能を示す値もIP67と、高い防塵・防水性能を持つことは強みです。
ポータブル電源 2000 Plusは「Battery Pack 2000 Plus」を活用して、容量を拡張できる特徴も見逃せません。本体だけの容量は2042Whですが、Battery Packを5台つなぐと12kWhまで拡張可能。並列接続を行えば、最大24kWhと豊富な容量を用意できます。家庭で大容量の蓄電池を用意したい場合にも、対応できる製品です。
おすすめ製品②:Solar Generator 1000 Plus
Solar Generator 1000 Plusは、「ポータブル電源 1000 Plus」にソーラーパネル「SolarSaga 100W」をセットした製品です。ポータブル電源 1000 Plusの定格出力は2000Wですから、出力の大きい家電を同時に使うことは難しいかもしれません。一方でリン酸鉄リチウム電池を使っているため、4,000サイクルの充放電が可能な寿命の長さは魅力的です。家庭用電源で充電すれば、わずか1.7時間で充電を完了できます。
セットされたSolarSaga 100Wは、24%もの高い変換効率を備えています。防塵・防水性能はIP65。ソーラーパネルの出力は100W。1枚でポータブル電源を充電すると18時間、4枚使うと4.5時間かかります。急ぐ場合はソーラーパネルを「SolarSaga 200W」に変更することで、充電時間を半分にできます。
ポータブル電源 1000 Plusにも、拡張バッテリー「Battery Pack 1000 Plus」が用意されています。本体だけの容量は1264Whですが、Battery Packを3台つないで5kWhまで拡張可能です。室内用の蓄電池なら、Solar Generator 1000 Plusで代替可能なケースも多いでしょう。
おすすめ製品③:Solar Generator 3000 Pro
Solar Generator 3000 Proは、三元系リチウムイオン電池を使った「ポータブル電源 3000 Pro」に、ソーラーパネル「SolarSaga 200W」を組み合わせたセット製品です。ポータブル電源の定格出力は3000W、容量は3024Whを誇ります。小型の蓄電池に匹敵する容量を備えるポータブル電源です。但しBattery Packによる拡張はできません。
大容量のポータブル電源ですが、充電スピードは遅くありません。家庭用電源で充電すれば、2.8時間で満充電にできます。またSolarSaga 200Wを1枚使うと19時間、6枚使えば3時間で充電を完了できます。オールインワンで高い性能を持つ製品を使いたい方におすすめです。
蓄電池の代わりにポータブル電源の活用も検討を
ご家庭にとってベストな蓄電池は、必要な容量やご自宅の環境、世帯人員などにより変わります。蓄電池に求める要件をリストアップしたうえで、適切な機種を選びましょう。
また蓄電池を選ぶ際は、据置型にこだわる必要はありません。大容量のポータブル電源も、蓄電池として活用できます。蓄電池をお求めの際は、ポータブル電源もぜひご検討ください。
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