1.電子レンジはポータブル電源で使えるか?
ポータブル電源から給電し電子レンジを動かすことは可能です。一方で製品を選ぶ際には、注意しておきたいポイントが4つあります。どのような項目をチェックする必要があるのか、順に確認していきましょう。
●電子レンジは起動電力の高さに要注意
電子レンジを動かす方式は、以下の2つに分かれます。
・高圧トランス式
・インバーター式
高圧トランス式の電子レンジは、起動する際に必要な「起動電力」の大きさに注意が必要です。そもそも電子レンジの定格消費電力は大きく、1000W~1500Wを要する機器も少なくありません。起動電力は定格消費電力の2倍から3倍に達する場合があること、メーカーに問い合わせても正確な数値が開示されない場合があることに注意が必要です。
製品本体に「高圧トランス式」と書かれている機器はほとんどありませんが、見分け方はあります。本体に「50ヘルツ専用」「60ヘルツ専用」と書かれている、あるいはセールでもないのに価格が1万円を切るような電子レンジは、高圧トランス式と考え取扱いに注意しましょう。
一方でインバーター式の電子レンジは、起動時の電力が極端に大きくなりません。このためポータブル電源の定格出力が電子レンジの定格消費電力を上回れば、給電が可能です。
なお電子レンジには目立つところに「500W」「600W」「700W」などのボタンやつまみがありますが、これは庫内の食品を温めるエネルギーを示す「定格高周波出力」です。定格消費電力は取扱説明書などでご確認ください。
●ポータブル電源は定格出力と最大瞬間出力を要チェック
電子レンジは大きな電力を要する家電です。とりわけ高圧トランス式の場合は、起動時に大きな電力を要求することに注意が必要です。このためポータブル電源を選ぶ際には定格出力に加えて、最大瞬間出力もチェックしましょう。以下の要件を満たす機器を選んでください。
・電子レンジの定格消費電力が、ポータブル電源の定格出力を下回ること
・電子レンジの起動電力が、ポータブル電源の最大瞬間出力を下回ること
ポータブル電源の最大瞬間出力は、少なくとも電子レンジの定格消費電力の2倍以上ある製品を選んでください。より確実さをお求めの方は、3倍以上の最大瞬間出力の値が記されたポータブル電源を選びましょう。
●60ヘルツ専用のポータブル電源で50ヘルツの電子レンジは使えない
日本で供給されている電力の周波数は、地域により以下の2種類に分かれています。
周波数 |
電力会社 |
50ヘルツ |
北海道電力、東北電力、東京電力 |
60ヘルツ |
中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力 |
多くの家電は50ヘルツ・60ヘルツどちらの地域でも使えますが、電子レンジの場合は50ヘルツ専用と60ヘルツ専用の製品が多いことに注意が必要です。例えば東京や新潟で60ヘルツの、名古屋や長野で50ヘルツの電子レンジを使うことはできません。
加えてポータブル電源のなかには、60ヘルツ専用の製品もあります。この場合、50ヘルツ専用の電子レンジをつないで使うことはできません。ポータブル電源製品を購入する際には、お互いの周波数が同じかどうか確認する必要があります。
●災害に遭う前に、使えるかどうか早めに試すことをおすすめ
ここまで解説したとおり、電子レンジをポータブル電源で使う際には注意しておきたいポイントがあります。災害に遭ったときに電子レンジが使えないと、がっかりするでしょう。今のうちに使えるかどうか、早めにチェックしておくことをおすすめします。
もしお手持ちのポータブル電源につないだところ電子レンジを使えなかったという場合は、電子レンジまたはポータブル電源の買い換えをご検討ください。
関連人気記事:ポータブル電源でどんな家電が使えるのか?
2.ポータブル電源で電子レンジに給電する必要性
ポータブル電源があれば、自宅のコンセントに依存せずに電子レンジを動かせます。ポータブル電源によって場所を選ばずに電子レンジを使用できるメリットは、以下のとおりです。
①アウトドアや車中泊でも使用できる
ポータブル電源があれば、電源のないキャンプや登山などのアウトドアや車中泊でも、電子レンジを使用できます。自力で火を起こす必要がなく、手軽に温かい料理が食べられるので、快適性が格段に向上するでしょう。
また、料理の加熱時間を短縮できるので、余った時間は他のアクティビティに回せます。ボタン一つで料理が完成するので、アウトドア初心者や子供連れにも最適です。
②災害による停電時に役立つ
地震や水害、台風などの自然災害によって停電が発生しても、ポータブル電源があれば電子レンジを使用し続けられます。地震や台風による停電が復旧するまでに要する期間は、3日〜1週間ほどです。
電気だけでなくガスも停止する可能性があるため、復旧までの期間、食材を加熱できないのは健康面に悪影響を及ぼしかねません。ポータブル電源から電子レンジが使えれば、手軽に食材を加熱し、除菌された安全な料理を口にできます。
③節電効果が期待できる
電子レンジは消費電力が比較的高いので、毎月の電気代に影響を及ぼしやすい家電と言えるでしょう。ポータブル電源を使い、以下のような方法で電子レンジを使用すれば、節電効果が期待できます。
- ・電気代が安い時間帯にポータブル電源に充電した電気を使う
- ・ソーラーパネルで太陽光発電した電気を使う
電力会社のプランによっては、夜間帯に電気代が安くなる場合があります。夜間帯にポータブル電源を充電しておき、日中帯にその電気で電子レンジを動かせば、電気代の節約になるでしょう。また、ソーラーパネルでポータブル電源に充電すれば、無料で電子レンジを動かせます。
関連記事:ポータブル電源で冷蔵庫を動かしたい!稼働できる時間・5つの注意点
3.電子レンジを安心して使えるポータブル電源の選び方
いざというときに電子レンジを安心して使うためには、ポータブル電源の選び方も重要です。4つのポイントを取り上げますから、どのような観点で選べばよいか確認していきましょう。
①波形が正弦波の製品を選ぶ
電子レンジにつなぐポータブル電源は、波形が正弦波の製品を選びましょう。正弦波は家庭用の交流電源と同じ波形ですので、安心して使えます。ポータブル電源のなかには矩形波や修正正弦波を出力する製品もありますが、電子レンジには適さないため使わないようにしましょう。
Jackeryが提供するポータブル電源の波形は正弦波ですから、安心して使えます。
②定格出力と最大瞬間出力が大きい製品を選ぶ
電子レンジの活用には、定格出力と最大瞬間出力が大きいポータブル電源を選ぶことも有効です。出力が大きければ大きいほど、電子レンジの選択肢が広がります。起動時の電力が大きくなりがちな高圧トランス式の電子レンジを動かす場合でも、最大瞬間出力が大きいポータブル電源なら安心です。
家庭やアウトドアでの使用に最適な人気電子レンジの消費電力一覧:
製品名 |
メーカー |
用途 |
消費電力 |
NE-FL1A-W |
パナソニック |
家庭 |
1,000W |
ER-S17Y |
東芝 |
家庭 |
900W |
RE-TM18 |
シャープ |
家庭 |
650W |
PMG-T179 |
アイリスオーヤマ |
家庭 |
600W |
KRD-1860/S |
コイズミ |
アウトドア |
1,050W |
K-DR1 |
Toffy |
アウトドア |
1,100W |
WBPTP660W |
WAVEBOX |
アウトドア |
425W |
③電池の容量はそれほど気にしなくてもよい
電子レンジをポータブル電源で使う場合、電池の容量はそれほど気にする必要はありません。大きな定格出力を要求する一方で稼働時間が短いため、消費する電力量は少なく済むためです。定格出力が大きい家電の代表であるエアコンと比べた場合、年間に消費する電力量や電気代は1割未満で済んでいます。
実際には定格出力が大きいポータブル電源は、電池容量も多くなるでしょう。価格は高くなりますが、安心して使えることは魅力です。
➃50ヘルツ、60ヘルツ両方に対応する製品を選ぶ
電子レンジを使うなら、50ヘルツと60ヘルツの両方に対応するポータブル電源をおすすめします。Jackeryポータブル電源のほとんどは、50ヘルツと60ヘルツに両方対応しています。
4.電子レンジの活用におすすめのポータブル電源6選
また資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2022年版」によると、電子レンジの年間電力消費量は60kWhから80kWhの製品が多くなっています。この数値をもとに、普段の使い方で電子レンジを使える日数も示しました。
●Jackery ポータブル電源 2000 Plus
Jackery ポータブル電源 2000 Plusは、Jackeryにおける最高性能を誇るポータブル電源です。定格出力は3000W、最大瞬間出力は6000Wです。これだけのパワーがあれば、高圧トランス式の電子レンジも使えるでしょう。AC100Vのコンセントが5個に加えてUSBの差込口もありますから、他の家電とあわせて同時に使うことも可能です。
容量は本体のみで2042.8Wh、最大12kWhまで増やせます。電子レンジを使える日数は、以下のとおりです。
容量 |
使用可能な日数 |
2048Wh |
9日~12日 |
|