1.一般家庭のコンセントのワット数は「1,500W」まで
日本の一般家庭のコンセントは、基本的に「1,500W」までの電力を供給できます。これは、多くの家庭用コンセントが「100V15A」という規格になっているためです。コンセントの仕組みを詳しく解説します。
●ワット数の基本:ボルト(V:電圧)×アンペア(A:電流)で計算できる
そもそもW(ワット)の数値は「電力」を表すものです。「コンセントから取り出せる電力(ワット数)」は、次の計算式で求められます。
・ワット(W)=電圧:ボルト(V)×電流:アンペア(A)
そして、日本の一般家庭のコンセントの「ボルト」と「アンペア」は以下のとおりです。
・電圧(V):100V
・許容電流(A):15A
これを先ほどの式にあてはめて計算すると「100V×15A=1,500W」となります。つまり、1つのコンセントから取り出せる最大の電力は1,500Wです。
●コンセントの「口数」は関係ない
1つのコンセントに2つや3つの差し込み口があっても、そのコンセント全体で使える最大電力は変わりません。2口あるコンセントで2つとも使っても、合計で1,500Wまでしか使えないのです。
たとえば1,000Wの電気ケトルと700Wの電子レンジを同時に使うと、合計1,700Wとなり、1,500Wを超えてしまいます。このような場合、ブレーカーが落ちる可能性が高いです。
●1,500Wってどのくらい?
1,500Wがどのくらいの電力か、実際の家電を例に見てみましょう。
〇1,500Wを超えてしまい、同時に使えないパターン
・ドライヤー(1,200W)+トースター(900W)=2,100W
・電気ケトル(800W)+電子レンジ(1,000W)=1,800W
・ホットプレート(1,300W)+炊飯器(500W)=1,800W
〇1,500W以内に収まり、同時に使えるパターン
・電気ケトル(800W)+冷蔵庫(150W)=950W
・電子レンジ(600W)+コーヒーメーカー(650W)=1,250W
・テレビ(150W)+ゲーム機(150W)+小型ヒーター(800W)=1,100W
ほとんどの家電には、本体や説明書・カタログに消費電力(W)が記載されています。家電の消費電力を確認して、1,500Wを超えない組み合わせで使ってください。
●1,500Wを超えるとどうなるの?
家電のラベルやメーカーカタログに記載の「W(消費電力)」の合計が1,500Wを超えると「ブレーカー」が作動して電気が遮断されます。これは、電線の発熱による火災などを防ぐための安全装置です。ブレーカーが落ちると、その回路に接続されている全ての家電の電源が切れてしまいます。
ブレーカーが落ちたら、使う家電を減らしてから復旧させましょう。一般にキッチンや浴室の壁の上部などにブレーカーが設置されているので、レバーが下がっている箇所を上げ直せばOKです。
ただし、ブレーカーの上げ下げを何度も繰り返すと、コンセントや電気回路に負担がかかります。火災の原因になるリスクもあるため、1,500Wを超えないようにコンセントを使いましょう。
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2.「同じブレーカー回路」のコンセントは合計で2,000Wまで
家庭内のコンセントは、いくつかの「ブレーカー回路」に分けられています。そして一般家庭では、回路ごとの上限許容電流は20A(アンペア)です。これをワット数の計算式に当てはめてみましょう。
・100V×20A=2,000W
つまり、同じブレーカー回路内のコンセントは、合計で2,000Wまでの電力しか使えません。
●「同じ部屋のコンセント」は同じブレーカー回路の可能性大
内部がどのように配線されているかによっても変わりますが、ブレーカー回路は「部屋ごと」に分かれているのが一般的です。たとえば、キッチン全体で1回路、リビング1室で1回路のようなイメージで分けられています。
「基本的に、部屋内のコンセントは合計で2,000Wまで」と覚えておくと良いでしょう。
●「他の部屋から延長コードを引く」などで対策しよう
同じ部屋で多くの電力を使いたい場合は、ほかの部屋のコンセント(異なるブレーカー回路)から延長コードを引けば対策できます。たとえば、キッチンのブレーカー回路がいっぱいなら、リビングから延長コードを引いて電気ケトルを使うイメージです。
ただし延長コードを引く場合は、以下の点に注意しましょう。
・延長コードの定格(許容電流)を確認する
・長すぎる延長コードは避ける
・コードを人が頻繁に通る場所に這わせない
長すぎる延長コードは電力のロスを発生させるほか、引っかかって転倒するリスクも引き起こします。「ちょうどいい長さのコード」を、壁などを這わせて配線するのがポイントです。
3.200Vのコンセントは「3,000W」または「4,000W」まで
以下のような「縦線が2つ並んだ普通のコンセントと形状が違うコンセント」は、200Vの電圧に対応しています。

200Vのコンセントは、主にエアコンやIHクッキングヒーターなどの大型家電に使われるものです。通常のコンセントよりも多くの電力を供給できます。家電が破損したり火災の原因になったりすることを防ぐため、異なる形状となっているのが特徴です。
そして、200Vのコンセントには、許容電流が「15A」と「20A」の2パターンがあります。詳しく見ていきましょう。
●「200V15A」なら3,000W
200Vで15Aのコンセントは、一般的にパワーが弱めのエアコンや小型の電気温水器などで使用されています。電力量を計算すると「200V×15A=3,000W」です。単純計算で、標準的な100Vコンセント(1,500W)の2倍の電力供給能力があります。
●「200V20A」なら4,000W
200Vで20Aのコンセントは、大型のエアコンやIHクッキングヒーター、大型の電気温水器などに使用される高出力タイプです。電力量を計算すると「200V×20A=4,000W」となります。
いずれの200Vコンセントも、設置するには専門の電気工事会社による工事が必要です。費用も目安として3~10程度かかるため、必要な場合のみ設置しましょう。
4.家電の消費電力(ワット数)一覧表
家電ごとの平均的な消費電力を知っておけば、どの組み合わせなら同時に使えるか判断できます。以下に、主な家電の消費電力をまとめました。
家電製品 |
平均的な消費電力 |
LED電球 |
5~10W |
扇風機 |
30~50W |
テレビ(40型) |
80~150W |
冷蔵庫 |
150~300W |
パソコン |
80~150W |
炊飯器(保温時) |
30~50W |
炊飯器(炊飯時) |
700~1,000W |
電子レンジ |
500~1,500W |
電気ケトル |
1,000~1,500W |
コーヒーメーカー |
600~900W |
ドライヤー |
1,000~1,500W |
アイロン |
800~1,200W |
掃除機 |
800~1,200W |
オーブントースター |
800~1,300W |
ホットプレート |
1,000~1,500W |
エアコン(冷房) |
600~1,500W |
エアコン(暖房) |
800~2,000W |
ただし、消費電力はメーカー・機種や使用状況によって変わります。実際の消費電力は、家電本体またはカタログ・取扱説明書などの表示を確認しましょう。
5.コンセントのワット数を上げる方法は?

コンセントから取り出せる電力が1,500Wでは足りない場合、以下の方法でワット数を上げることができます。
●「20A」のコンセントに切り替える
標準的な家庭用コンセントは15Aですが、電気工事士に依頼して20Aのコンセントに切り替えると、取り出せる電力が1,500Wから2,000Wに増えます。主な工事内容は以下のとおりです。
・コンセント自体の交換(15A→20A)
・配線の交換(より太い電線への交換が必要な場合もある)
・ブレーカーの交換(15A→20A)
この工事の費用は、一般的に8,000円~15,000円程度です。工事は、「第二種電気工事士」以上の資格を持つ電気工事業者に依頼しなければいけません。大手の電気店や電気工事専門会社、ホームセンターの電気工事サービスなどで相談できます。
20Aへの切替工事は、とくにキッチンで消費電力大きい家電(電子レンジと電気ケトルなど)を使いたい場合や、頻繁にブレーカーが落ちてしまい困っているお宅におすすめです。
●「200V」のコンセントに切り替える
エアコン、IHクッキングヒーター、電気温水器などの大型家電を使いたいなら、その箇所のコンセントを200Vに切り替えましょう。200Vのコンセント工事には、大手の電気店や電気工事専門会社に依頼して以下のような作業が必要です。
・専用の200Vコンセントの設置
・分電盤への200V用ブレーカーの設置
・専用配線の工事
・必要に応じてアース工事
新規で200V回路を設置する場合、費用は目安として30,000円~100,000円程度かかります。ただし、もし既存の電源が単相3線式配線(200V対応)なら、コンセント設置のみの対応となり8,000円~15,000円程度で済むことも。費用を抑えたいなら、複数の業者から見積もりを取ってみると良いでしょう。
●注意:「タコ足配線」は危険!全体で使えるワット数は増えない
テーブルタップを使ってコンセントの差し込み口を増やしても、そのコンセントから取り出せる最大電力(1,500W)は変わりません。たとえば、1つの1,500Wコンセントで3口のテーブルタップを使って「700W」「600W」「400W」の3つの家電をつないだ場合、合計は「1,700W」となりブレーカーが落ちてしまいます。
このような、いわゆる「タコ足配線」の使い方は危険です。過負荷によりテーブルタップの配線が発熱し、最悪の場合火災の原因になることもあります。接続する家電の合計消費電力が1,500W以内になるよう注意してください。より安全に多くの家電を使いたい場合は「20Aコンセントへの切り替え」や「200Vコンセントの設置」を検討しましょう。
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6.「Jackeryポータブル電源」なら好きな場所にコンセントが作れる
ポータブル電源とは、いわば「持ち運べるコンセント」。電気工事不要で好きな場所に電源を作れるのが便利な蓄電池です。ポータブル電源があれば、以下のようなコンセント問題が簡単に解決できます。
・コンセントの出力が足りなくて家電が動かない
・コンセントの口数が足りない
・壁のコンセントから離れた場所で家電を使いたい
・ときどき特定の部屋のブレーカーが落ちてしまう
・屋外やベランダなど電源のない場所で家電を使いたい
・停電時にもコンセントで動く家電を使いたい
Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は、タコ足配線のようなリスクを心配する必要がありません。過充電保護、過放電保護、温度管理システムなどの安全機能をいくつも搭載し、発熱・発火のリスクを最小限に抑えています。使いたい家電の消費電力や利用シーンに応じた豊富なラインナップがあるため、気になった方は製品ページで詳細をご確認ください。
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7.コンセントのワット数に関するよくある質問
コンセントのワット数に関するよくある質問と、その回答をまとめています。
●冷蔵庫の消費電力は何ワット?
一般的な冷蔵庫の消費電力は「300~800W」程度です。ただし、常に最大出力で冷却しているわけではないため、実際には多くの機種が「100~200W」程度の消費電力に収まります。
ただし「停電後に復旧するとき」「引っ越しなどで電源を切り、再起動するとき」には表示どおりの消費電力がかかるため、コンセントの消費電力合計が1,500Wを超えないように注意してください。
●コンセントのアンペア数・ワット数はどこかに表示されている?
一般的に200Vの特殊なコンセントを除き、コンセント自体にアンペア数やワット数の表示はありません。逆にいえば、何も書いていないコンセントは「100V・15A・1,500W」のケースがほとんどです。
まとめ
一般的な家庭用コンセントは、1,500W(100V・15A)までの電力を供給できます。同じブレーカー回路内のコンセントは、合計で2,000Wまでの電力しか使えません。コンセントから取り出せる電力が足りない場合は、他の部屋から延長コードを引く、20Aのコンセントに切り替える、200Vのコンセントを設置するなどの方法で対処しましょう。
また、Jackery(ジャクリ)ポータブル電源を使えば、好きな場所にコンセントを作ることもできます。防災やキャンプなどでも活躍する便利なアイテムです。「コンセント問題」を解決しながら、生活の「安心」と「快適」をゲットしてみてください。
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