防災にかかわる資格一覧!国家・民間の資格8種を取得手順から難易度・費用まで詳しく徹底解説

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地震や津波、台風といった自然災害はいつ発生するか分かりません。防災の知識や技術を身につけることは、自分自身や家族、地域の安全を守るために役立ちます。防災にかかわる資格を取得すれば、より専門的な知識や技術を習得できるでしょう。 

この記事では、防災にかかわる国家資格と民間資格を合わせて8種類紹介します。それぞれの防災資格の概要や難易度、取得方法などを詳しく解説するので、自分に合った資格を探してみましょう。

目次

1.【国家資格編】防災にかかわる資格一覧


【国家資格編】防災にかかわる資格一覧

防災にかかわる国家資格には、以下のようなものがあります。 

● 救急救命士|急病人・ケガ人の応急処置を担う

● 消防設備士|消防設備の点検・整備を担う

● 防火対象物点検資格者|防火対象物の「ソフト面」の点検を担う

● 防災管理者|建物の防災計画・管理を担う

● 防火管理者|火災予防の取り組みを担う

それぞれの防災資格の取得するにかかる時間や費用、難易度、取得流れについて、詳しく見ていきましょう。

①救急救命士|急病人・ケガ人の応急処置を担う

難易度

やや難

取得にかかる時間の目安

最低2年

取得にかかる費用の目安

救急救命学科の学費:100~300万円程度

受験手数料:30,300円

救急救命士は医師の指示のもとで、救急現場や救急車内で心肺蘇生や応急処置などの救急救命処置を行う医療系の国家防災資格です。地震や津波などの災害時に、けが人や急病人の命を救う重要な役割を担います。

●救急救命士の資格を取得する流れ:

救急救命士の資格を取得する方法は2通りです。

1. 救急救命士養成課程がある大学や専門学校を卒業し、国家試験を受ける

2. 一般の高校や大学等を卒業後、消防官として5年以上または2,000時間以上の救急業務を経験し、救急救命士養成所で6ヶ月以上の講習を受け、国家試験を受ける

実際に救急救命士として活動するためには、消防署などに就職して救急隊員となるケースが一般的です。一部の民間救急や医療機関でも活躍の場があります。

●救急救命士の難易度|やや難

厚生労働省によれば、救急救命士の国家試験の合格率は例年90%前後と高めに推移しています。2025年3月実施分の合格率は94.4%でした。

参考:厚生労働省「第48回救急救命士国家試験の合格発表」

しかし、人体の構造や生理学・薬理学といった医学的な知識から、救急救命処置の技術まで幅広い内容を習得しなければいけません。合格率が高めなのは、大学等での養成課程・養成所での学習期間があるからと考えられます。決して簡単な資格ではないでしょう。

②消防設備士|消防設備の点検・整備を担う

難易度

普通

取得にかかる時間の目安

1日1時間の勉強で1~6ヶ月程度

取得にかかる費用

受験料:4,400円~6,600円(種類による)

消防設備士は、スプリンクラーや消火器などの消防設備の点検・整備を行う国家の防災資格です。消防設備の設置工事や点検は消防設備士の資格がなければ行えず、防災面で重要な役割を担っています。

資格は種類別に分かれており、甲種と乙種があります。甲種は設計・工事・整備すべてに関わる資格、乙種は整備・点検に関わる資格です。とくに乙種は比較的取得しやすいため、防災関連の資格として人気があります。

●消防設備士の資格を取得する流れ:

消防設備士は「乙種」の場合、とくに受験資格はありません。試験に申し込み、合格すれば資格が取得できます。

一方で「甲種」の場合は、以下のような条件をひとつ満たさなければなりません。

・甲種消防設備士・電気工事士・電気主任技術者・教員免許状・無線従事者・建築士・ガス主任技術者・給水技術者・旧制度の消防設備士のいずれかの資格を持っている

・中学校・高校・大学・短大・専門学校のいずれかで、機械・電気・工業化学・土木または建築に関する学科を卒業している

・乙種合格後、2年以上の実務経験がある

・消防用設備の工事補助を5年以上行っている

※このほかにも細かい受験資格条件があります。

参考:消防試験研究センター「消防設備士試験 甲種について」

関連学科のある学校を卒業していない場合は、特定の資格取得または実務経験が必要になります。

●消防設備士の難易度|普通

消防設備士の試験の難易度は種類によって異なりますが、全体的には「普通」程度と言えます。合格率は甲種で20~40%、乙種で40~80%程度。低く見えますが、受験資格のハードルが低いため、相対的に合格率が下がっています。実際には20~100時間程度の勉強で、十分に合格が狙える資格です。

③防火対象物点検資格者|防火対象物の「ソフト面」の点検を担う

難易度

やや難

※講習受講のみで取れるが実務経験必須

取得にかかる時間の目安

講習:2日間

取得にかかる費用

講習料:実務経験の状況により約32,600円~40,300円

防火対象物点検資格者は、ホテルやデパートなどの防火対象物について、避難経路の確保や防火管理の状況など「ソフト面」の点検を行う防災資格です。消防設備士が「ハード面」の点検を担当するのに対し、こちらは防火管理体制などの運用面をチェックします。

この防災資格を取得するには、一定の実務経験と講習の受講が必要です。資格を持つことで、防火対象物定期点検の実施が可能になります。

●防火対象物点検資格者の資格を取得する流れ:

防火対象物点検資格者になるためのステップは以下の通りです。

1. 実務経験を積む:防火管理者など、防火に関する実務経験が3~5年必要

2. 講習の申込み:一般財団法人日本消防設備安全センターが実施する講習を申し込む

3. 講習の受講:4日間の講習を受講する

4. 修了考査:講習最終日の修了考査に合格すると、防火対象物点検資格者証が交付される

防火対象物点検資格者の講習は、実務経験がないと受講できない点に注意が必要です。実務経験がない場合、消防設備士などほかの資格を目指したほうが良いかもしれません。

●防火対象物点検資格者の難易度|やや難(講習受講のみで取れるが実務経験必須)

講習自体の難易度はそれほど高くなく、修了考査の合格率も90%以上と高いです。しかし、実務経験必須の前提条件があるため、消防や防災の分野で働いていない人にとっては取得のハードルが高い資格といえるでしょう。

なお、この資格は更新制で、5年ごとに更新講習を受ける必要があります。

④防災管理者資格|建物の防災計画・管理を担う

難易度

簡単(講習受講のみ)

取得にかかる時間の目安

講習:1~2日間

取得にかかる費用

講習料:3,000円~10,000円程度

※機関により異なる

防災管理者の資格は、地震や津波などの災害に対して、建物の防災計画の作成や避難訓練の実施など、建物全体の防災管理を担当する資格です。延べ面積が10,000平方メートル以上の建物では、防災管理者の選任が義務付けられています。

防火管理者の資格が火災に特化しているのに対し、防災管理者は地震や津波などの自然災害に備えるための管理者です。

●防災管理者の資格を取得する流れ:

防災管理者の資格を取得するには、各都道府県消防庁や日本防火・防災協会などで「防災管理講習」を受けるのみでOKです。多くの消防庁では、対面・オンラインの2種類から選べます。

●防災管理者の難易度|簡単(講習受講のみ)

防災管理者の資格は特別な実務経験や試験がなく、講習を受講するだけで取得できます。講習も1~2日間と短期間です。防災関連の仕事に就きたいなら、とりあえず取得しておくのも良いでしょう。

⑤防火管理者資格|火災予防の取り組みを担う

難易度

簡単(講習受講のみ)

取得にかかる時間の目安

講習:1~2日間

取得にかかる費用

講習料:3,000円~10,000円程度

※機関により異なる

防火管理者は、火災の予防や火災時の対応を担当する管理者です。消防法により、一定規模以上の建物(収容人員30人以上の施設など)では、防火管理者の選任が義務付けられています。

防火管理者の主な業務は、消防計画の作成・実施、消防訓練の実施、消防設備の点検・整備の管理などです。防災管理者の資格が自然災害全般を対象とするのに対し、防火管理者の資格は火災に特化しています。

●防火管理者の資格を取得する流れ:

防火管理者の資格は、防災管理者と同じく講習を受けるのみで取得可能です。各都道府県消防庁や日本防火・防災協会などで「防火管理者講習」を受けましょう。

●防火管理者の難易度|簡単(講習受講のみ)

防火管理者資格の取得難易度は「簡単」といえます。特別な実務経験や試験がなく、講習を受講するだけで資格を取得できるためです。なお、資格は「乙種」と「甲種」に分かれており、甲種のほうが学習範囲が広く、内容も難しくなっています。

甲種防火管理者は乙種の業務も行えますが、乙種防火管理者は甲種の業務は行えない点には注意が必要です。

2.【民間資格編】防災にかかわる資格一覧


【民間資格編】防災にかかわる資格一覧

防災にかかわる民間資格には、以下のようなものがあります。

● 防災士資格|家族・地域の防災活動を支える

● 防災危機管理者|組織における人命救助や避難誘導・復興活動のリーダーを担う

● 危機管理士|非常時に指揮をとる

それぞれの資格について、詳しく見ていきましょう。

①防災士資格|家族・地域の防災活動を支える

難易度

比較的簡単

取得にかかる時間の目安

研修:2日間

取得にかかる費用

5~7万円程度(研修料+受験料+登録料)

防災士は、NPO法人日本防災士機構が認証する民間資格で、「自助・共助・協働」を原則として地域の防災力向上に貢献する人材を育成するための資格です。個人の防災意識を高めるだけでなく、地域や職場での防災リーダーとして活躍することが期待されています。

なお、これから来るかもしれない大災害に向けて自治体などでも取得を推奨しており、2024年11月時点で防災士資格取得者は30万人を突破しました。

参考:日本防災士機構

●防災士の資格を取得する流れ:

防災士の資格を取得するためには、以下3つの条件を満たさなければいけません。

1. 日本防災士機構が認証した研修機関により実施される「防災士養成研修講座」を受講する

2. 自治体や消防署などが主催する「救急救命講習」を受ける

3. 日本防災士機構が実施する資格試験を受け、合格する

なお、警察官や消防署員、自衛官などに従事した経験があり、一定の要件を満たしている人は、特例としていくつかのステップを省略できます。上の階級に従事していた(している)人は、3つのステップすべてが免除され、申請のみで防災士資格を取得できることもあります。

関連記事:防災士が役に立たないとされる理由を徹底解剖!役割や取得のメリットを解説

●防災士の難易度|比較的簡単

防災士資格の取得難易度は比較的簡単です。具体的な合格率はされていませんが、ほとんどの人が合格しており、合格率は90%以上といわれています。研修でしっかり学べば、特別な予備知識がなくても合格できるでしょう。

②防災危機管理者|組織における人命救助や避難誘導・復興活動のリーダーを担う

難易度

簡単(講習受講のみ)

取得にかかる時間の目安

講習:最短1週間程度

取得にかかる費用

50,000円~80,000万円程度

※団体割引あり

防災危機管理者という資格は、一般社団法人教育システム支援機構が認定する民間資格です。組織における災害対応の専門家として、防災計画の策定や避難誘導、復興活動などのリーダーシップを発揮することが期待されています。取得のハードルが低く、実務に役立つ知識を習得できるため、企業の防災担当者に人気の防災資格です。

●防災危機管理者の資格を取得する流れ:

防災危機管理者になるには、日本防災管理協会主催の「防災危機管理者養成講座」を受ける必要があります。パソコンやスマホを使った在宅学習が基本です。試験はなく、早ければ1週間程度、ゆっくり受講しても半年程度で「受講証明書」が取得できます。その後、「一般社団法人教育システム支援機構」に申請し、防災危機管理者としての登録を受けましょう。

●防災危機管理者の難易度|簡単

防災危機管理者の資格は講習のみで簡単に取得できる資格です。オンラインで在宅学習も可能なため、スキマ時間を使って取得できます。ただし、受講料の高さがネックとなっているので、「とりあえず防災関連の資格が取りたい」なら、同じく講習のみで取れる「防災管理者」「防火管理者」の国家資格を優先して取ったほうが良いでしょう。

④危機管理士|非常時に指揮をとる

難易度

簡単

取得にかかる時間の目安

1ヶ月

取得にかかる費用

5万円

※「自然災害」と「社会リスク」の2講座に分かれており、両方取得の場合は10万円が必要

危機管理士は、一般社団法人日本危機管理士機構が認定する民間の防災資格です。自然災害をはじめ、テロや事故などさまざまな危機に対応するための知識と技能を持つ専門家を育成します。

●危機管理士の資格を取得する流れ:

危機管理士の資格を取得するためのステップは以下の通りです。

1. 日本危機管理士機構に入会する

2. 危機管理士講座に申し込み、対面講座を3日間、またはオンライン講座を約1ヶ月間受講する(※)

3. 最終日に試験を受験し、合格すれば資格が付与される

※:オンライン講座は動画配信のため、期間内なら自由なタイミングで視聴可能

講座は「自然災害」と「社会リスク」に分かれています。オンラインの場合のみ、両方を取得するには個別の講座受講が必要です。ただし、同時に資格取得を進められるように、講座の配信期間や動画視聴期間は1週間ずらして設定されています。

なお、危機管理士資格の有効期限は3年間となっています。更新には、フォローアップ講座を受講しなければいけません。

●危機管理士の難易度|簡単

危機管理士の資格合格率は公開されていませんが、講座を受ければほぼ確実に合格できる難易度となっているようです。80問のうち、70%にあたる56問を正答すれば合格となります。

費用の高さはネックとなるものの、「自然災害」と「社会リスク」の両方を合格後には、上級資格である「一級危機管理士」の資格取得も目指せます。大企業における防災関連部署への就職に役立つこともあるので、取得を目指してみるのも良いでしょう。

3.防災にかかわる資格を取るのに向いている人は?


防災にかかわる資格を取るのに向いている人は?

とくに以下のような人には、防災資格の取得がおすすめです。

●企業・団体で防災担当に就いている人

企業や学校、病院などの組織で防災・危機管理を担当している人は、防災関連の資格取得がおすすめです。避難訓練の実施方法や防災計画の策定など、具体的な業務のノウハウを学べるだけでなく、同じ立場の人とのネットワークも広がります。

法的に義務付けられている防火管理者や防災管理者はもちろん、防災士や防災危機管理者などの資格を取得すれば、組織の防災力向上に貢献できるでしょう。

●防災知識を身に着けて家族や近隣住民の安全を守りたい人

大規模災害が発生した際、行政による支援が全ての被災者に行き渡るまでには時間がかかります。そのため、「自助」と「共助」の力が重要になります。

地域の防災リーダーとなることで、家族や近隣住民の安全を守るための知識と技能を身につけられるでしょう。とくに防災士は一般の方でも取得しやすく、地域防災の担い手として活躍できる資格です。

●災害時に活躍する職業に就きたい人

消防士や警察官、自衛隊員など、災害時に最前線で活躍する職業を目指している人も、防災関連の資格取得が有利に働くことがあります。特に救急救命士や消防設備士などの国家資格は、専門性が高く評価されるためです。

また、近年では民間の防災コンサルタントや、企業のBCP策定を支援する専門家なども増えています。危機管理士や防災危機管理者などの資格は、こうした職業への就職・転職の際にアピールポイントとなるでしょう。

4.企業や家庭の防災に!非常用電源として活躍する「Jackeryポータブル電源」


企業や家庭の防災に!非常用電源として活躍する「Jackeryポータブル電源」

災害時に最も困るのが「電気が使えないこと」。特に大規模災害では、停電が数日から数週間続くこともあります。大容量バッテリーポータブル電源」をはじめとした非常用電源の備えは災害対策の基本といえるでしょう。

全世界で500万台以上を販売しているJackeryのポータブル電源は、企業から家庭まで幅広い範囲で非常用電源として活用されています。防災安全協会の「防災製品認証制度」にも認定されており、災害時に有効な製品であることはお墨付き。そして、圧倒的な軽さと持ち運びやすさで、あらゆる防災のシーンで活躍します。


5.防災資格に関するよくある質問(Q&A)


防災資格に関するよくある質問とその回答をまとめました。

①「防災アドバイザー」は資格なの?

「防災アドバイザー」という名称の、国や一般社団法人などが認定する資格はありません。一部の自治体が独自に「防災アドバイザー」という名称で、防災の専門知識を持った人材を認定するケースがあります。この防災アドバイザーは、本記事で紹介した「防災士」や「防災危機管理者」などの資格取得者であることが多いです。

②簡単に取れる防災資格はどれ?

もっとも簡単に取得できる防災資格は「防火管理者」と「防災管理者」です。どちらも講習を受講するだけで取得でき、試験がありません。講習期間も2~3日間と短く、費用も比較的安価です。将来的に防災関連の仕事に就きたいなら、とりあえず取っておいて損はないでしょう。

③防災危機管理者と防災士のd違いって何?

防災士は地域防災リーダーとして、防災危機管理者は企業・組織内の防災担当者として活躍することを想定した資格です。どちらも防災に関する基礎知識を身につけることができますが、活躍するフィールドが違います。

ただし両方とも国家資格ではないので、就職に役立てるのが目的なら、先に「防火管理者」「防災管理者」のような国家資格を取得するのがおすすめです。

6.まとめ


本記事では、救急救命士や消防設備士、防火管理者などの国家資格と、防災士、防災危機管理者などの民間資格を紹介しました。

防災関連の資格は、企業の防災担当者、地域の防災リーダー、そして災害時に活躍する職業を目指す人にとって役立ちます。自分の目的に合った資格を選び、防災知識を深めていきましょう。

また、自宅や地域・組織の防災対策の一環として、Jackeryポータブル電源のような非常用電源の備えもポイントです。災害時の電源確保は、情報収集や通信手段の維持など、命を守るために欠かせません。防災関連の資格を取得するとともに、1台備えてみてはいかがでしょうか。 

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