【事業者向け】ホテルの「停電対策」は十分?停電しないホテルをつくる方法

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ホテル運営で停電が起きたらどう対応すべきか」「お客様への影響を最小限に抑えるには」と悩んでいませんか。

 

ホテルの信頼と顧客満足を保つためには、停電時の適切な対応が欠かせません。

 

この記事では、停電対策の必要性から初動対応など、ホテル事業者が知っておくべき停電対策を詳しく解説します。

 

実際の災害事例も交えながら、お客様の安全と信頼を守る停電対策のポイントを確認していきましょう。

目次
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1.ホテルは「停電対策」が必須

ホテルを運営するうえで、停電対策は重要な取り組みです。自然災害の多い日本では、停電がお客様の滞在に影響を及ぼすため、事前の備えと的確な対応が求められます。

日本は災害大国で「地震」や「台風」「落雷」による停電リスクが高い

日本の停電回数と停電時間の統計を見てみると、日本の停電状況は改善しており、2015年度には年間の停電回数が0.13回、停電時間も21分でした。自然災害による広域停電のリスクは依然として無視できません。 

日本で発生した大規模停電の事例は以下のとおりです。 

項目

2019年 台風15号

2018年 北海道胆振東部地震

停電発生地域

関東地方(主に千葉県)

北海道全域

停電戸数(最大)

約93万戸

約295万戸

停電期間

約2週間

約2日間

備考

大規模停電、復旧に長期間を要した

北海道全域で「ブラックアウト」発生

台風等の強風で飛ばされたものや地震の衝撃で電線が傷つくと、停電が発生する恐れがあります。ホテルは多くのお客様を預かる施設として、停電リスクを十分認識し、備える必要があるでしょう。 

参考:

NTTファシリティーズ|企業を脅かす停電リスクの現状

経済産業省|台風15号に伴う停電復旧プロセス等に係る検証について

総務省|通信・放送の被害状況

点検時の「計画停電」でもお客様に不便をかけてしまう

法令に基づく電気設備の定期点検や消防設備点検では、計画的な停電が避けられません。

法令(建築基準法・消防法など)で定められた安全点検のため、以下の設備の一時停止が求められます。

エレベーター

照明

空調設備

停電は事前にスケジュールが決まっているものの、滞在中のお客様には大きな不便をかけることになります。とくに高層階に宿泊されているお客様にとって、エレベーター停止は深刻な問題です。

夏季の空調停止や給湯設備の停止は、お客様の快適性を著しく損ないます。たとえ短時間の計画停電であっても、ホテルのサービス品質に直結する課題といえるでしょう。

停電時の対応ひとつでホテルの信用失墜もあり得る

停電発生時のスタッフ対応は、ホテルの信用や評価に大きく関わる重要なポイントです。お客様は停電により不安を感じやすく、適切な説明や案内がなければ強い不満を抱く可能性があります。

暗闇の中で状況がわからない場合、お客様のパニックや怒りにつながりかねません。迅速で丁寧な対応ができれば「非常時でもしっかりしたホテル」として評価が向上する機会になるでしょう。

トラブル時の適切な対応は、ブランドイメージをさらに高めるチャンスにもなります。

料金返金・補償などの対応をしなければいけない場合も

突発的な停電は、宿泊料金の返金や補償を求められるケースが発生します。長時間にわたる停電で空調や給湯が使用できない場合、お客様から正当な理由での減額要求が出る可能性もあるでしょう。

また、停電により予定していたサービスが提供できない場合や、早期チェックアウトを余儀なくされた場合も補償の対象となるケースもあります。

トラブル防止のため、返金の可否は必ず責任者に確認し、独断で対応しないよう注意しましょう。事前に返金・補償に関するガイドラインを整備しておき、統一した対応ができるようにしてください。

補償を適切に行うことで、顧客の信頼を維持でき、リピートしてもらえる可能性が高まります。

2.ホテルで停電したらどうなる?

ホテルで停電したらどうなる?

停電が発生すると、ホテルの主要設備が一斉に停止し、通常営業が困難になります。電力に依存する現代のホテル運営では、影響はさまざまです。

あらゆる設備が動かなくなり、通常のサービス提供が困難になる

停電が発生すると、ホテル内の電力を必要とする設備がすべて停止します。サービス提供ができなくなるものは以下のとおりです。

フロント業務(チェックイン・チェックアウト手動となり混乱を招く)

エレベーターの使用停止(高層階の宿泊者は階段移動を余儀なくされる)

食事提供の制限(冷蔵・冷凍庫の停止、電気調理器具が使用不可)

リネン交換が不可(洗濯機・乾燥機が使用不可)

施設管理への影響(自動ドア・館内放送・セキュリティシステム不可)

停電の影響により、ホテルが提供する基本的サービスの大部分が制限されます。ホテルの業務全体に影響を及ぼす可能性があるため、停電への対策は欠かせません。

客室にいるお客様と電話で連絡が取れなくなる

停電時には館内電話システムが停止するため、フロントから客室への連絡手段が失われます。連絡が取れなくなることで、以下のような問題が発生します。

停電状況や復旧見込みを各部屋に訪問して、口頭での案内が必要になる

お客様とフロント間の電話連絡が取れないため、緊急対応がスムーズにできない

エレベーター停止でスタッフの移動も制限される(迅速な情報伝達が不可)

Wi-Fiルーターも電源を失うため、お客様の外部連絡にも支障が出る

高層階や離れた場所にある客室では、スタッフが徒歩で移動しなければならず、全室への連絡に相当な時間を要します。

エレベーターが停止している状況では、スタッフの移動も制限され、迅速な情報伝達ができません。通信手段の遮断は、お客様の不安を増大させる要因となるでしょう。

空調や照明が使えなくなってしまう

停電により空調設備と照明が停止すると、お客様の快適性と安全性に深刻な影響を与えます。空調や照明の機能停止によって、以下のような問題が発生します。

夏は冷房が使えず、客室が高温となり熱中症のリスクが高くなる

冬は暖房が使えず、寒冷地では低体温などの健康リスクが高くなる

館内が暗闇になり、転倒や衝突などの事故が起こりやすくなる

客室のアメニティが使用できなくなり、滞在の満足度が大きく下がる

階段や廊下での移動が危険になり、とくに高齢者や小さなお子様連れのお客様には深刻な安全上の問題となるでしょう。非常灯は作動しますが、照度が限られるため、お客様が不安を感じやすくなります。

関連人気記事:【災害別】停電の復旧までにかかる時間は?停電前後の行動や対策も紹介

3.「停電しないホテル」をつくる方法

停電時のリスクを軽減するには、さまざまな電源対策を組み合わせておくことが大切です。各電源対策を理解し、状況に応じた備えを整えましょう。

ガスなどを燃料とする自家発電機(非常用発電機)を導入する

自家発電機は停電時に最低限必要な主要設備の補える大容量電源として、多くのホテルで採用されています。ガスや軽油を燃料とするタイプが一般的で、長時間の安定した電力供給が可能です。

エレベーターや空調設備など、ホテル運営に欠かせない主要設備を継続稼働できるメリットがあります。ただし、導入には数百万円から数千万円の初期投資が必要で、設置スペースの確保も課題となるでしょう。

定期的なメンテナンスや燃料の補給が必要で、運用コストも継続的に発生します。デメリットの改善案として、より手軽で柔軟な電源確保手段となる、ポータブル電源の併用を検討する施設が増えています。

太陽光発電システムを導入する

太陽光発電は環境にやさしく、電気代の節約も期待できる方法です。日中は発電した電力を直接使用し、余剰電力は蓄電池に貯めて夜間や停電時に活用できます。

燃料代が不要で手間も少なく、国や自治体の補助金で初期投資の負担も減らせます。しかし、天候の影響で発電量が安定せず、ホテル全体をカバーするには多くの設備が必要です。

初期投資は数百万円規模となり、投資回収に10年以上かかる場合もあります。発電が不安定な場合は、即時使用できるポータブル電源との併用が適しています。

ポータブル電源を導入する

ポータブル電源は、手軽に導入できて停電時の備えにも役立つ選択肢です。工事不要で設置でき、必要な場所に簡単に移動して使用できるため、導入ハードルが低いのが大きなメリットです。

優先度の高い設備から段階的に電力供給が可能で、複数台組み合わせることでホテルの規模に応じた柔軟な運用ができます。メンテナンスは充電管理程度で済み、専門知識も不要です。ただし、電力の持続時間や供給量には限界があるため、状況に応じた使い方をしましょう。

災害時に避難所での使用も想定できるポータブル電源は、地域の助けにもなる頼もしい選択肢です。自家発電機や太陽光発電の補完電源としておすすめです。

停電時も安心の電源はこちら

事前に停電を想定した防災訓練を行っておく

実際の停電時にスムーズな対応には、事前の防災訓練が不可欠です。訓練は、以下の項目を想定して行うとよいでしょう。

自家発電機の起動手順やポータブル電源の配置・接続方法の確認

電源を遮断し、暗闇での避難誘導を体験(懐中電灯・非常灯のみ使用)

手動でのチェックイン対応・現金決済の方法の確認

階段を使った荷物運搬や電気を使わないサービスの代替手段を習得

停電発生から復旧までの行動を時系列で整理したマニュアルを作成・確認

また、お客様への状況説明や案内の文言も事前に準備しておくことで、パニックを防ぎ信頼感を保てます。緊急時に慌てず対応できるよう、普段から意識的に訓練を実施してください。

関連人気記事:停電対策は何をするべき?被害を最小限にするために必要な10の備え

4.ホテルの停電対策用ポータブル電源は「Jackery」がおすすめ

ホテルの停電対策用ポータブル電源は「Jackery」がおすすめ

ホテルの非常電源を選ぶなら、「Jackery(ジャクリ)」のポータブル電源がおすすめです。ポータブル電源とは、大容量バッテリーを内蔵した、コンセントが使える電源を好きな場所に設置できる持ち運び式蓄電池です。

Jackery(ジャクリ)は13年間の販売実績を持つ業界のパイオニアで、全世界500万台以上の販売実績があります。最大5年の無料保証と充実した日本語サポート、防災製品等推奨品マーク取得済みの安全性で多くの信頼を得ています。

停電時のフロント業務継続やお客様のスマホ充電ステーション設置など、ホテル運営に必要な電力供給が可能です。ホテルの信頼性とお客様の安心を守るために、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源を導入しましょう。

5.もしホテルが停電してしまったら?スタッフの行動まとめ

停電発生時は、落ち着いて以下の手順で対応します。

1.ホテル内の停電の状況を確認する

2.お客様に停電が発生していること・原因・復旧の見込みを伝える

3.並行して、自家発電機やポータブル電源があれば稼働を始める

4.事前に決めた役割分担に沿って復旧作業やお客様対応を進める

順番に見ていきましょう。

①ホテル内の停電の状況を確認する

停電発生時は、まず自分と周囲の安全を確保したうえで、以下の内容で停電範囲をチェックします。

館内全体が停電しているのか

特定フロアのみなのか

エレベーターや非常灯が作動しているか

近隣施設も停電しているかどうか(地域全体か施設単体かを判断)

同時に、上司や管理責任者へ報告し、停電の原因が設備故障なのか外部要因なのかを推測します。初期確認によって、その後の対応方針や復旧見込み時間の判断材料となるでしょう。

焦らず冷静に状況を整理することで、適切な行動につながります。

②お客様に停電が発生していること・原因・復旧の見込みを伝える

お客様への情報提供は、不安軽減と信頼関係維持のために欠かせません。館内放送が使用できない場合は、スタッフが各フロアを巡回してください。

「現在、停電が発生しており、復旧作業を進めております」など、落ち着いたトーンで状況を簡潔に説明します。原因が判明している場合は「台風の影響による停電」など具体的に伝え、復旧見込み時間も可能な範囲で知らせます。

不明な点については「確認中」として、推測での発言は避けてください。質問には丁寧に対応し、安全確保のための協力もお客様へお願いします。

③並行して、自家発電機やポータブル電源があれば稼働を始める

ホテルの機能をできるだけ早く復旧させるためにも、非常用電源の対応は大切です。自家発電機がある場合は、事前に決められた手順に従って起動作業を開始し、切り替えスイッチの操作を行います。

ポータブル電源は優先度の高い設備から順次接続し、フロントのシステムや照明、お客様の充電ステーションなどに電力供給を開始します。

複数のポータブル電源がある場合は、事前に決めた配置計画に基づいて各部署に設置しましょう。電源の稼働確認後は、供給できる電力と使用可能時間を把握し、業務やお客様対応に必要な機能を優先して維持します。

④事前に決めた役割分担に沿って復旧作業やお客様対応を進める

連携の取れた対応をすれば、復旧作業やお客様対応をスムーズに進められます。以下のように役割分担するとスムーズに対応可能です。

フロントスタッフ(手動でのチェックイン・チェックアウト業務と電話対応)

客室係(階段での荷物運搬とルームサービス代替手段の提供)

設備担当(電気系統の点検と外部業者との連絡調整)

各責任者は定期的に状況報告を行い、全体の進捗状況を共有します。お客様への追加説明が必要な場合は、統一された内容で情報提供してください。

長時間の停電が予想される場合は、宿泊継続の可否やキャンセル対応についても迅速に判断します。事前の役割分担により、混乱を最小限に抑えながら組織的に対応が可能です。

6.ホテルの停電に関するよくある質問

ここでは、停電対策についてのよくあるご質問を紹介します。

ホテルにオートロックを採用しています。停電するとどうなるのでしょうか?

停電時ホテルのオートロックはシステムの仕様により、以下のような動作をします。

タイプ

停電時の動作

解錠・施錠方法

自動で解錠されるタイプ

・電力が止まると自動的に解錠され、手動でドアの開閉が可能

・外へも手で開けて通行できる

手動で開閉可能

施錠を維持するタイプ

停電後もロックが掛かったまま維持される

外側:物理鍵/内側:サムターンやハンドルで解錠

停電直前の状態を保持するタイプ

・停電前が解錠ならそのまま解錠

・施錠ならそのまま施錠状態を維持

停電前の状態に依存

トラブルを防ぐためにも、各オートロックの仕様を把握し、適切なマニュアルや対応体制を整えましょう。

ホテルの「断水」の場合も返金対応はすべきですか?

断水の場合も停電と同様に、状況に応じて返金対応の検討が必要です。旅館業法では宿泊者が安全・安心に過ごせるよう、換気や照明、清潔の確保など衛生面の対策を施設側に義務づけています。

営業者は、旅館業の施設について、換気、採光、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならない。

引用:旅館業法|第四条

断水により客室の洗面所やトイレ、浴室が使用できない状況は、宿泊に支障をきたす重大な問題です。ホテル・旅館側に落ち度があるかどうかを確認し、適切な対応を取ります。

事前告知していた場合と突発的な断水では対応が異なりますが、お客様に影響が大きい場合は減額や返金など誠意ある対応が必要です。

客室のブレーカーが落ちるトラブルが頻発します。対策はありますか?

ブレーカーが落ちる主な原因は電力の使いすぎで、対策には使用量の見直しと設備点検が有効です。客室の電力が20Aを超えるとブレーカーが落ちるため、電気容量を事前に確認します。

ブレーカー自体の交換推奨時期は13年~15年程度といわれており、長く使用することで経年劣化により誤作動するケースもあります。

繰り返しブレーカーが落ちる場合は、配線の増設やブレーカーの交換を含め、専門の電気工事業者に相談してください。お客様に対しては、複数の電化製品を一度に使わないよう注意喚起も必要です。

参考:東京電力|ブレーカーが落ちる3つの原因と復旧と対策

まとめ

ホテルの停電対策は、自然災害や計画停電に備える重要な取り組みです。停電が発生すると主要設備が停止し、お客様の安全と満足度に大きな影響を与えるため、事前の準備が欠かせません。

自家発電機や太陽光発電に加え、工事不要で導入できるポータブル電源の活用が効果的です。Jackery(ジャクリ)のポータブル電源なら、フロント業務の継続やお客様用の充電ステーション設置など、ホテル運営に必要な電力を確実に供給できます。

お客様の安心と信頼を守るため、早急に停電対策を始めましょう。

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