沖縄に津波は来ないって本当?過去の事例や今からできる対策方法を紹介

更新日:
シェア

沖縄は地震が比較的少ない地域のため「津波は来ないのではないか?」と考えている方は少なくありません。しかし、過去には沖縄へ最大30m以上の津波が来た事例もあります。

 

この記事では、沖縄で過去に発生した津波の事例や今後の備えに役立つ対策方法を紹介します。沖縄在住の方、旅行や仕事でよく行く方は、津波の発生に備えて知識を蓄えましょう。

目次
もっと見る

1.沖縄に津波が「来ない」とは限らない!過去の事例も紹介

沖縄は「津波が来ない」と思われがちですが、過去100年間において3件の大きな津波が発生しています。過去に沖縄で発生した地震、津波警報の事例をそれぞれ解説します。

過去に沖縄で発生した地震の事例

過去100年間において沖縄で発生した地震は、下記などがあります。 

地震名

発生年

エリア

津波の影響

明和大津波(八重山地震津波)

1771年

八重山諸島(石垣島・宮古島など)

最大遡上高30mの大津波が発生

チリ地震津波

1960年

沖縄本島・宮古島・八重山諸島

最大高3.3mの津波が発生し、死者3名を含む大きな被害が発生

石垣島南方沖地震

1998年

石垣島・宮古島・八重山諸島

石垣島南方沖でマグニチュード最大7.7の大地震が発生(沖縄県で観測された津波はわずか10cm未満)

参考:気象庁「過去の顕著な津波の特徴」 

1771年に沖縄を襲った明和大津波(八重山地震津波)では、最大遡上高30mの大津波が発生しました。比較的地震や津波が少ない沖縄でも、今後大きな津波が発生する可能性は否定できません。

過去に沖縄で発表された津波警報・注意報事例

過去に沖縄で発表された津波警報・注意報事例は、下記などがあります。 

1984年3月24日:北海道東方沖の地震による津波注意報

1998年5月4日:石垣島南方沖地震による津波警報

2024年4月3日:台湾近海で発生した地震による津波注意報

参考:験震時報第50巻「1980年〜1985年に日本で観測された津波

参考:「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会報告

参考:験震時報第55巻「1986年〜1990年に日本で観測された津波 

直近では、2024年4月3日に台湾近海で発生した地震により沖縄県の沿岸(18区)に津波注意報が発令されています。

2.南海トラフの沖縄津波被災予想

南海トラフの沖縄津波被災予想

南海トラフ地震とは、静岡県沖から九州東方沖へかけて存在する「南海トラフ」という海溝沿いで発生が予想されている大地震です。想定震度はマグニチュード8〜9クラスで、今後30年以内に70〜80%の確率で発生するといわれています。 

参考:南海トラフ地震防災対策推進基本計画本文 

南海トラフ地震が発生した場合、沖縄県では最大高さ5mの津波の発生が予想されています。エリアごとの影響は、それぞれ下記のとおりです。 

エリア名

津波の最大高さ(予想)

名護市

最大5m

国頭村

最大5m

糸満市

最大4m

宮古島市

最大4m

那覇市

最大3m

参考:沖縄News Web「沖縄 最大5メートルの津波想定」 

津波による被害は最大死者20人、負傷者20人となっています。建物についても40棟の全壊や焼失、1,100棟以上の半壊が予想される大きな災害です。 

避難者は9,300人にものぼり、地震発生から1ヶ月後もおおよそ1,900人が避難生活を強いられる可能性があると報道されています。

関連人気記事:南海トラフ地震が沖縄に与える影響|震度予想や津波高さは?備えたい防災対策

3.トカラ列島に強い地震が来たら?沖縄津波被災予想

トカラ列島(吐噶喇列島)は、鹿児島県十島村に属する島々の総称です。地震が比較的多いエリアとして知られており、2025年6月下旬以降も震度6弱を含む群発地震が1,700回以上発生しています。

※群発地震:ある地域で前震や本震、余震といった区別なく集中して発生し続ける地震 

参考:サイエンスポータル トカラ列島で最大震度6弱含む1700回超の群発地震 

現時点では、トカラ列島に強い地震が来ても沖縄へ津波が到達する可能性は低いとされています。しかし、発生の多い群発地震とは異なるマグニチュード7レベルの大地震が発生した場合、津波が発生する可能性も否定できません。

4.沖縄に津波が来たらどうする?逃げ場はどこ?対処方法を解説

沖縄に津波が来たらどうする?逃げ場はどこ?対処方法を解説

沖縄に津波がきたら、慌てず下記の方法を実行する必要があります。 

海岸から離れる

揺れがおさまったら安全な場所へ避難する

津波警報解除まで避難場所で留まる 

万が一津波が発生しても慌てないよう、対処方法をスマホや地図にメモしておきましょう。

海岸から離れる

地震が発生したら、一刻も早く岸から離れることが大切です。地震発生から数分で第一波が到達するケースもあるため、逃げ遅れると飲み込まれてしまうリスクがあります。 

特に海辺や港など海岸近くにいた場合、揺れの強さにかかわらず直ちに安全な場所へ避難しましょう。津波は第一波よりも後から来る波の方が大きくなりやすいため、海の様子を見に行くのは大変危険です。

揺れがおさまったら安全な場所へ避難する

地震発生後に海沿いから避難したあとは、揺れが完全におさまったことを確認し、安全な場所へ避難しましょう。避難場所はできるだけ標高が高く、津波浸水想定区域の外にある場所が望ましいです。 

沖縄県では、一部の地域に「津波避難ビル」や「津波避難タワー」が整備されています。海の近くへ行くことが多い方は、地震発生時にすぐ避難できる場所を事前に把握しておきましょう。 

地震からの避難には、事前準備とその場に応じた臨機応変な判断が欠かせません。津波発生に備えて行うべき対策方法については、下記段落にて解説します。

津波警報解除まで避難場所で留まる

避難場所に到着した後は、津波警報や注意報が解除されるまでその場を離れないでください。津波は複数回にわたって発生するほか、第一波より後の波が高くなる傾向にあります。 

さらに津波は、第一波の発生から数時間にわたって続くことも珍しくありません。長時間の避難も想定し、自宅に防災グッズを用意しておきましょう。避難時の情報収集に備えて、すぐに最新情報を調べられる体制を整えておくのも大切です。

5.沖縄の津波に備えて今からできる対策

沖縄の津波対策は、早く行うに越したことはありません。「何から始めたらよいのかわからない」と心配な方は、下記5つの対策を講じましょう。 

ハザードマップを確認する

台風や津波の情報をチェックできるアプリを入れる

居住地付近の避難場所を知っておく

家族との連絡手段を複数用意する

必要な道具を揃えておく 

突然津波が発生しても臨機応変に対処できるよう「何のためにどのアイテムを準備しておくか」を解説します。

ハザードマップを確認する

いつ沖縄に津波が来ても対応できるよう、ハザードマップを確認する体制を整えましょう。沖縄県内では市町村ごとに津波ハザードマップが公開されており、下記の情報を確認できます。 

津波の到達範囲

避難経路

高台の位置 

まずはハザードマップを使い、自宅や職場、学校がどの浸水区域に含まれるのかを把握しましょう。沖縄県のハザードマップを確認するには、ハザードマップポータルサイトがおすすめです。お住まいの地域の住所を入力したり「現在地から探す」ボタンをクリックすることで、避難に必要な情報を確認できます。 

スマホのブラウザにハザードマップポータルサイトをブックマークしておき、急な地震に対応する準備をしましょう。

台風や津波の情報をチェックできるアプリを入れる

台風や津波の情報をチェックするには、スマホアプリが欠かせません。アプリの通知をオンにしておけば、最初のわずかな揺れに気づかなかったときでも通知によって地震の発生に気付けます。 

また津波は国内の地震や台風だけでなく、海外や海底を震源地とした高潮や地震によっても発生します。台風や津波の情報をチェックするには、下記のアプリがおすすめです。 

Yahoo! 防災速報|現在地や登録地点ごとに災害情報を即時通知

特務機関NERV防災|気象庁など公的機関のデータをもとに災害情報を掲載 

それぞれの特徴に目をとおし、地震対策に使えそうなものを選んでインストールしておきましょう。

居住地付近の避難場所を知っておく

沖縄の急な台風にも冷静に対処するためには、居住地付近の避難場所を知っておく必要があります。自治体ごとに公開されている資料を参照し、お家から安全な場所へ避難する方法を調べてメモしておきましょう。 

沖縄の避難場所や避難施設を調べるには、沖縄県の公式サイトに掲載されている防災マップがおすすめです。より具体的な情報を調べたい方は、お住まいの市区町村のウェブサイトで防災マップや避難場所情報を確認してください。

家族との連絡手段を複数用意する

津波の発生に備えて、家族との連絡手段を複数用意しておくことも大切です。地震や津波発生時は電波が繋がりにくくなり、スマホの電波が届かず使えないこともあります。 

近年では家族間でもLINEしか連絡先を共有しておらず、インターネットが使えないと連絡が取れないケースも少なくありません。津波発生時の電波障害に備えて、電話や災害用伝言ダイヤル(171)などの連絡手段を確保しておきましょう。

必要な道具を揃えておく

いつ来るかわからない地震や津波に備えるためには、防災用バッグの中身をあらかじめ用意しておく必要があります。特に下記8つのアイテムは必須と言っても過言ではありません。 

水・食料|人数×2日分が理想

防雨グッズ|急な天候変化にも対応

懐中電灯|夜間の避難における危険性を軽減

救急箱|急な怪我や病気に備える

ポータブル電源バッテリー|コンセントが使えない環境でもスマホを充電

スマホの充電コード|ポータブル電源と組み合わせて使用

着替え|雨に濡れたり大汗をかいた時のため

現金|電子マネーが使えない売店や自動販売機で買い物をするため 

上記のアイテムが入った防災バッグを、急な地震でもすぐに持ち出せるところに置いておくのが大切です。

関連人気記事:津波注意報発令!命を守るために取るべき行動と防災対策を徹底解説

津波などの非常時に備えるポータブル電源はこちら

6.避難時の負担軽減にはJackery(ジャクリ)のポータブル電源がおすすめ!

避難時の負担軽減にはJackery(ジャクリ)のポータブル電源がおすすめ!

津波や地震発生時の避難には、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源がおすすめ。ポータブル電源とは、持ち運び可能な電源バッテリーのことです。 

ポータブル電源は、避難用の防災バッグに入れて持ち運びできます。コンセントのない避難所でスマホを充電したり、冷房器具を稼働させて暑さを凌ぐのに便利です。 

Jackery(ジャクリ)では「Jackery ポータブル電源 500 New」など10kg未満で持ち運びしやすいモデルを多数取り揃えています。長い停電や避難生活も想定し、いつでもどこでも生活に必要な電気を使える体制を整えるのにおすすめなアイテムです。

7.沖縄の津波に関してよくある質問

最後に、沖縄の津波に関してよくある下記4つの質問へ回答します。 

沖縄で津波以外に発生しやすい災害は?

沖縄では最大何mの津波が発生した?

南海トラフ地震が起きたら沖縄はどうなる?

沖縄に120メートルの津波が来たら、首里に逃げれば助かりますか? 

沖縄に住んでいる方、仕事や旅行でよく訪れる方は、地震や津波発生時の対応におけるヒントを見つけましょう。

沖縄で津波以外に発生しやすい災害は?

沖縄は津波や地震の被害こそ少ない反面、台風が直撃しやすい地域です。台風以外にも、下記の被害が発生しやすい傾向にあります。 

防風

豪雨

高潮による浸水被害など 

台風による天候変化の影響を受けて発生するものが多く、場合によっては停電や土砂崩れなどの二次災害が出る危険性もあります。津波や地震以外の災害にも対策できるよう、あらゆる場面を想定して避難の方法を調べておきましょう。

沖縄では最大何mの津波が発生した?

1771年の八重山地震の際、沖縄ではマグニチュード最大7.4の揺れが観測されました。震源地は沖縄県石垣島南東沖約50km(北緯24.0度、東経124.3度)で、石垣島では最大遡上高30mの大津波が発生したのです。 

八重山地震により、八重山群島では9,313人、宮古群島では2,548人の死者・行方不明者が発生しました。この悲劇を繰り返さないためにも、住民には徹底した地震・津波対策が求められます。 

参考:ScienceDirect「Source of high tsunamis along the southernmost Ryukyu trench inferred from tsunami stratigraphy

参考:防災システム研究所「1771年・八重山地震・明和の大津波」

南海トラフ地震が起きたら沖縄はどうなる?

南海トラフ地震とは、今後30年以内に発生が予想される巨大地震です。静岡県から宮崎県沖の南海トラフと呼ばれる海溝で発生し、関東地方から九州地方にかけて太平洋沿岸の広いエリアで10mを超える大津波の襲来が危惧されています。 

南海トラフ地震が発生した場合、沖縄は震源から離れているため揺れは比較的小さいと予想されています。しかし、1〜2m程度の津波が押し寄せる危険性があるため、発生に備えて最新の災害情報を受け取れるようにしておくことが大切です。 

また、沖縄では南海トラフ地震の影響で物流や交通インフラに影響が出るリスクがあります。申告度によっては食料が品薄になったり、飛行機が運休になったりする可能性も否定できません。 

参考:気象庁「南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ」

関連人気記事:地震から津波までの時間は?過去の事例とシミュレーションで学ぶ防災対策

沖縄に120メートルの津波が来たら、首里に逃げれば助かりますか?

首里は海抜160mの高さがあるため、120mの津波が来ても助かる可能性が高いです。しかし、120m級の津波は過去100年において沖縄で発生していないため、絶対安全とは言い切れません。 

参考:防災システム研究所「1771年・八重山地震・明和の大津波」

参考:首里振興会 

また津波がきたときは、急な強風や天候の変化に気を付けることが大切です。状況次第では、風に吹き飛ばされたり飛来物によって怪我したりといったリスクがあります。 

「津波が来ても高いところに行けば安全」と安易に考えず、避難に備えて必要な情報・道具を揃えておきましょう。

まとめ

沖縄に津波は来ないと考えている方は多いものの、1771年の八重山地震では最大30mにのぼる大津波が発生しています。最新の津波注意報も2024年4月3日に発生しており、今後いつ津波が発生してもおかしくない状況です。 

急に発生する津波や地震に備えるためには、情報を取得する体制と避難グッズの準備が欠かせません。「今はまだ大丈夫」と安易に考えず、災害情報検索アプリや防災バッグの中身を準備しておきましょう。

関連人気記事