リン酸鉄リチウムイオンバッテリーとは?メリット・デメリットや採用した最新のポータブル電源を紹介

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リン酸鉄リチウムイオンバッテリーとは?メリット・デメリットや採用した最新のポータブル電源を紹介
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーって何?今までのリチウムイオンバッテリーと何が違うの?」最近、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを用いた製品が徐々に増えてきています。しかし従来製品との違いがよく分からない方も多いのではないでしょうか。そこで今回はリン酸鉄リチウムイオンバッテリーのメリット・デメリットや、従来の「三元系リチウムイオンバッテリー」との違いを詳しく解説し、採用した最新のポータブル電源も紹介します。
目次

1.初心者必見!リン酸鉄リチウムイオンバッテリーとは?仕組みや採用した製品を解説

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーとは、下記3つを主な材料として作られたバッテリーです。

・リチウム(Li)

・鉄(Fe)

・リン(P)

リチウムイオンバッテリーの多くはコバルト・ニッケル・マンガンといった、いわゆる「レアメタル」と呼ばれる元素を用いています。しかしレアメタルのコスト削減やバッテリー化した際の安全性の向上など多数のメリットがあるため、最近ではリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載した機器が続々と登場し始めました。

●リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの仕組み

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、リチウムイオンが電解液の中で正極・負極の間を移動する際に発生する電流を用いる仕組みです。正極から負極に移動した際には充電、逆の場合には放電が行われます。

基本的な仕組みは、他のリチウムイオンバッテリーとまったく違いはありません。違いは、正極にコバルトやニッケルのようなレアメタルではなく、リン酸を用いている点。性質の違いから、リチウムイオンバッテリーの長時間利用で起こりうる過放電や過充電による熱暴走のリスクを抑えているのです。

●リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用した主な製品

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、主に下記のような製品に採用されています。

・EV車

・農業・工業機械

・充電式LED機器

・モバイルバッテリー

ポータブル電源

後ほど詳しく解説しますが、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは耐熱性(熱安定性)が高いため、高温環境でも安全に動作するのが強みです。そのため消費電力が大きく、使用環境からも高温になりやすい車や農業・工業機械には特に採用される傾向があります。

最近ではモバイルバッテリーやポータブル電源などにも採用されているため、コバルトなどを使用した従来の三元系リチウムイオンバッテリーとともに、私たちの日常生活でも使われる場面が増えてきました。

2. リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの6つのメリット

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのメリット

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーには、従来のリチウムイオンバッテリーと比較して主に以下の6つのメリットがあります。

・寿命が長い

・自己放電率が低い

・安全性が高い

・耐久温度が高い

・環境にやさしい

・原材料価格が安い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

メリット①:寿命が長い

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、従来のリチウムイオンバッテリーと比較して圧倒的な長寿命を実現しています。バッテリーの寿命を表す「サイクル回数(フル充電して繰り返し使える回数)」で、もっともメジャーな三元系リチウムイオンバッテリーと比較してみましょう。

種類

サイクル回数※

リン酸鉄リチウムイオンバッテリー

2000回~4,000回

三元系リチウムイオンバッテリー

500回~2,000回

参考:Jackeryのポータブル電源

※繰り返しフル充電して使って70%以上の最大容量を維持できる回数

三元系リチウムイオンバッテリーの倍以上のサイクル回数となっており、繰り返し使える回数がはるかに多いです。つまり「長寿命により長く使えるため、買い替えの頻度が低くなりコストを抑えられる」のが使用者にとってのメリットといえます。

メリット②:自己放電率が低い

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、放置していると勝手に放電してしまう電力量の割合を示す「自己放電率」が従来製品よりはるかに低いです。例えば、自動車などに搭載されている「鉛バッテリ」の場合、1ヶ月放置すると約20%の電力が減ってしまう場合があります。

しかしリン酸鉄リチウムイオンバッテリーなら、同じ条件でも1パーセントほどしか電力が減りません。そのためオフシーズンにまったく使わない農業機械や、防災のために放置しているポータブル電源でも「使いたい」と思ったときにすぐ取り出して使えます。

メリット③:安全性が高い

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは安全性の高さが大きなメリットです。従来のリチウムイオンバッテリーに使用されているコバルト・ニッケル・マンガンは、220℃以上で熱分解を起こしてしまうため、極端な高温環境や想定外の長時間利用はおすすめしません。

しかしリン酸鉄リチウムイオンバッテリーに使われるリン酸は、リン・酸素間の結合が非常に強いため、600℃に到達するまでほとんど熱分解が起こりません。高温環境でも安定して動作し、安全に利用できるというわけです。

メリット④:耐久温度が幅広い

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、耐久温度が幅広い点も大きなメリットです。先述したように高温環境での安定性が高いのはもちろん、低温環境への強さも備えています。

従来の三元系リチウムイオンバッテリーは氷点下で保存できても-10℃ほどまでが限界でした。しかしリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、-20℃の低温環境でも保存できます。寒冷地で今まで以上に活躍するでしょう。

メリット⑤:環境にやさしい

環境にやさしい点もリン酸鉄リチウムイオンバッテリーのメリットです。実は従来のリチウムイオンバッテリーに使われるコバルト・ニッケルなどのレアメタルの採掘には、土・空気・水などの環境汚染を伴います。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーにもレアメタルであるリチウムを使用するので、環境汚染は0ではありませんが、多数のレアメタルを使用する従来の製品よりは、圧倒的に環境汚染のリスクを軽減できるでしょう。

メリット⑥:原材料価格が安い

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは原材料価格が安い点もメリットです。レアメタルは「レア」というだけあり、希少性が高く価格も相応に高いものとなっています。それに対してリン酸鉄は普遍的な原材料のみで生成できるので、圧倒的にコストを抑えられるのです。

ただし現時点では、バッテリー化する工程にコストがかかっているため、最終的に消費者の手に渡る製品価格は少し高め。今後、技術の進歩によるさらなる低コスト化が期待されます。

関連記事:Jackeryから10年以上使えるリン酸鉄リチウムイオンポータブル電源が登場!

3. リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのデメリット

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのデメリット

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーには、現時点で明確なデメリットが2あります。

・エネルギー密度が低い

・製品価格が高め

メリットだけでなく、デメリットについてもぜひ知っておきましょう。

デメリット①:エネルギー密度が低い

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、エネルギー密度が低い(=容量あたりの体積が大きい)という欠点があります。難解な化学的根拠は割愛しますが、大まかにいうと「これ以上に圧縮できない」からです。エネルギー密度が低いので、最終的な製品のサイズがどうしても大きくなります。

デメリット②:製品価格が高め

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使用した製品は、価格が高めです。先述したように原材料は大きく抑えられますが、最終的なバッテリー化の工程に大きなコストがかかってしまいます。

もうひとつの価格を上げている要因が特許料です。現在、リン酸鉄リチウムの基本特許をアメリカのテキサス大学が有しており、さらに製造の過程でカーボンコーティングする工程の特許はあるカナダ人が持っています。製造のための安くはない特許料が、最終的な製品価格を押し上げる原因となっています。

4. リン酸鉄リチウムイオンバッテリーと三元系リチウムイオンバッテリーの違いは?

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーと三元系リチウムイオンバッテリーの違いは?

改めて、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーと、従来の三元系リチウムイオンバッテリーの主な3つの違いを見てみましょう。

・バッテリーの密度

・寿命

・耐熱性

製品の性能だけを見ると、多くの点でリン酸鉄リチウムイオンバッテリーに軍配が上がります。しかし現状はコストの問題があるので、三元系リチウムイオンバッテリーを買っても損をすることはありません。それでは、それぞれの違いについて解説します。

違い①:バッテリーの密度

バッテリーの密度は、従来の三元系リチウムイオンバッテリーの方が大きいです。つまり、従来三元系リチウムイオンバッテリー製品の方がコンパクトに設計できます。「小型で持ち運びやすい製品が良い」という場合は、三元系リチウムイオンバッテリーを選んだほうが良いかもしれません。

違い②:寿命

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、圧倒的な長寿命化を実現しています。従来の三元系リチウムイオンバッテリーと比較し、サイクル回数は倍以上です。ひとつの製品を長く使いたいなら、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを選ぶと良いでしょう。

違い③:耐熱性

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、リン酸鉄の性質により高い耐熱性を誇っているため、動作温度の幅が従来製品より広くなりますが、極端な環境以外での日常使用には大きな影響を与えないでしょう。

また、理論上、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは600℃までほとんど熱分解しないため、220℃で熱分解するコバルトなどを用いた三元系リチウムイオンバッテリーよりも安全です。

とはいえ実際に消費者の手に渡るポータブル電源などの製品は「バッテリーマネジメントシステム」など技術の搭載により熱暴走のリスクを抑えているため、安全性に大きな差はないでしょう

5. リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用した「Jackeryポータブル電源2000Plus」

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーと三元系リチウムイオンバッテリーの違いは?

Jackery(ジャクリ)」は11年以上・世界で300万台以上のポータブル電源を製造・販売しています。従来は三元系リチウムイオンバッテリーを用いた製品を製造していましたが、今回ついにリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載したポータブル電源「Jackeryポータブル電源2000Plus」を発売しました。従来製品と比較した強みを紹介します。

●Jackeryポータブル電源2000Plusの強み①:毎日使っても10年間保つ長寿命

Jackeryポータブル電源2000Plusは、毎日使っても10年間保つほどの長寿命を実現しました。サイクル回数に直すとおよそ4,000回となっており、10年間使っても70%以上の最大容量をキープできます。

従来製品のサイクル回数がおよそ2,000回となっているため、単純計算で倍以上も活用可能。一度買ってしまえば長期にわたって使用できる、消費者にとって非常に嬉しいポイントです。

●Jackeryポータブル電源2000Plusの強み②:定格出力3,000Wでほとんどの家電が動作

Jackeryポータブル電源2000Plusの強み②:定格出力3,000Wでほとんどの家電が動作

Jackeryポータブル電源2000Plus定格出力3,000Wとなっており、電気自動車の充電から大型乾燥機の使用など、あらゆる電子機器に活用できます最大出力も6,000Wとなっているため、瞬間的に高電圧がかかる機器の使用も問題ありません

従来製品が最大でも定格出力2,200Wとなっているため、大幅に進化したと分かるでしょう。これまで定格出力がネックでポータブル電源に手を出せないでいた方は、ぜひ今回の「2000Plus」を購入してみてください。

●Jackeryポータブル電源2000Plusの強み③:最大12,000Whの大容量に拡張可能

Jackeryポータブル電源2000Plusの強み③:最大12,000Whの大容量に拡張可能

Jackeryポータブル電源2000Plusの基本容量は2,048Whですが、5つのバッテリーを追加して最大12,000Whにまで拡張できます。単純に容量が大きくなったおかげで、連泊キャンプや車中泊でこれまで以上に大活躍するでしょう。

さらに自己放電率が非常に低く、長期間放置しても容量がほとんど減らないため、普段使いしなくとも防災対策として置いておくのもおすすめです。昨今頻発している地震への対策を考えている方は、ぜひ「2000Plus」を充電して置いておきましょう。

●Jackeryポータブル電源2000Plusの強み④:アプリ搭載、指先でスマートに遠隔操作できる

Jackeryポータブル電源2000Plusの強み④:アプリ搭載、指先でスマートに遠隔操作できる

Jackeryポータブル電源2000Plusは専用のアプリを搭載しており、Wi-FiやBluetoothで接続すればスマホで遠隔操作ができます。具体的にできることは下記のとおりです。

・バッテリー残量の監視

・残り使用可能時間のチェック

・入出力ステータスの確認

・バッテリーモードの切り替え

「あと何時間使えるか?」「どの機器にどれだけ電力を使っているか?」が、スマホから詳細に分かります。適宜バッテリーモードの切り替えをすれば、省エネ効果を得ながらバッテリーの寿命を延ばせるでしょう。ぜひ次世代的なハイテク感を体感しつつ、効果的に活用してみてください。

6. リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使ったポータブル電源3選

リン酸鉄リチウムイオン電池を使ったポータブル電源は、大容量のJackeryポータブル電源2000Plus以外に、下記3つの製品もおすすめします。小容量から中容量まで使用用途に合わせてあなたに合ったものを選んでください。

●Jackeryポータブル電源1000Plus

●Jackeryポータブル電源300Plus

●Jackeryポータブル電源1000Plus

 関連記事:【最新版】ポータブル電源を普段使いする方法は多彩!製品を選ぶコツも紹介

 7. リン酸鉄リチウムイオンバッテリーに関するよくある質問 

①リン酸鉄リチウムイオン電池は何年使えますか?

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの寿命は、サイクル数で2,000回~4,000回が多いです。利用頻度にもよりますが、一日1回充放電するとして、約5年~10年は使えます。Jackeryポータブル電源の場合、寿命のサイクル数を使い切った後でも出荷時の70%以上の容量を維持できるので、10年以上もご利用いただけます。

②リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを長持ちする方法は?

 リン酸鉄リチウムイオン電池を長持ちするには、適切な保管と使用を行う必要があります。

・過放電させないこと:バッテリー残量が20%になった段階で充電すること。0%の状態のままにしておくとバッテリーの劣化を招きます。

・過充電しないこと:リン酸鉄リチウム電池が満充電になったら、コンセントを抜くように。フル充電した後もコンセントを挿しっぱなしにする場合、過充電が引き起こし、電池の劣化につながります。

・高温環境での保管と利用を避けること。

国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センターが2020年3月に公表した調査報告書「リチウムイオン電池の劣化挙動調査」では、リン酸鉄リチウムイオン電池を保存した場合の劣化試験を行った結果、温度が25℃で保管する場合400日でも100%の容量を維持でき、劣化が進みにくいが、温度が40度だと400日で94%、60℃だと80%以下と劣化が徐々に進みやすくなります。

・充電しながら給電しないこと。パススルー充電を対応できないリン酸鉄リチウムイオンバッテリー製品では、本体に充電しながら機器に給電することはやめてください。

関連記事:【最新版】ポータブル電源を普段使いする方法は多彩!製品を選ぶコツも紹介

まとめ

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、三元系リチウムイオンバッテリーに代わる新たなリチウムイオンバッテリーとして徐々に活用され始めています。寿命の長さや事故放電率の低さ、安全性の高さなどが大きなメリットです。

Jackery(ジャクリ) もこれまでは三元系リチウムイオンバッテリーを採用していましたが、新たにリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを用いたポータブル電源を発売しました。従来製品の倍以上の寿命や、最大12kWh(直列)の大容量まで拡張できる点が魅力なので、これからポータブル電源の購入を考えている方はぜひ検討してみてください。

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