1.エアコンのコンセントを毎日抜いたら電気代節約できる?
実は、毎日エアコンのコンセントを抜くことは節電になるものの、効果はわずかな金額にすぎません。
以下では、エアコンが消費する待機電力の目安と電気代にどのように影響するかについて解説します。
●待機電力の目安は「年間7.6kWh」
エアコンの電源を切っていても、リモコンの信号を受け取るセンサーや内部時計などは動作しています。そのため「待機電力」と呼ばれる微量の電力を消費しています。
資源エネルギー庁のデータによると、冷暖房兼用エアコンの待機時消費電力量の削減効果は、1.74Wです。
参考:資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」
1日12時間だけコンセントを抜くと仮定した場合、待機電力の目安は「年間7.6kWh」と計算できます。
※計算式:待機時消費電力量(W)×待機時間(時)×365日÷1000
●年間の節電効果は「235円」程度
電力単価を31円/kWhと仮定した場合、年間の電気代に換算してもわずか235円程度の節約効果に留まります。たとえ毎日コンセントを抜いたとしても、年間でこの金額しか変わりません。
家庭のエネルギー消費全体における待機電力の比率を見てみると、総消費電力量4,432kWhのうち、待機消費電力量は228kWh(約5.1%)です。エアコンの待機電力はこの中でも一部なので、節電インパクトはさらに限定されます。
参考:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問 Q&A」
参考:資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」
●「使わない時期」だけエアコンのコンセントを抜いたら電気代はどうなる?
エアコンを使わない春や秋など、オフシーズンだけコンセントを抜くとどうなるか考えてみましょう。
たとえば「4月・5月・6月・10月・11月」の計5か月で計算しても、年間7.6kWhのうちの約42%(約3.2kWh)の削減にしかなりません。金額に直すと、約99円です。
●結論:エアコンのコンセントを抜いても節電効果はかなり限定的!
以上のことから、エアコンのコンセントを抜いても、年間で数百円程度しか節電効果がないと分かりました。
しかも近年発売されている最新機種の中には、待機電力が0.1W以下に抑えられているモデルがあります。年間の待機電力は「0.1W×24時間×365日=約0.88kWh」となり、節電効果は年間100円未満しか期待できません。
エアコンのコンセントを毎日抜くのは、節電効果のわりに手間とリスクが大きい行為といえます。費用対効果が低いため、省エネ性能の高い機種を選んだり、エアコン以外の待機電力が大きい家電への対策を練ったりした方が効果的です。
関連人気記事:エアコン用コンセントの増設は必要?工事内容から費用相場まで解説
2.故障につながる?エアコンのコンセントを抜くときの注意点

エアコンのコンセントを抜くことで多少の節電ができるとわかっても、故障の原因にならないか不安に感じている声も少なくありません。とくに古い機種を使用している場合、電源の抜き差しが故障や不具合につながりやすいです。
以下では、エアコンのコンセントを安全に抜くための注意点を紹介します。
●運転中にコンセントを抜かない
運転中にコンセントを抜いて電源を突然遮断すると、コンプレッサー内部に高圧がかかったまま停止することがあります。再起動時に保護回路が作動したり、内部部品に負担がかかって故障の原因になったりする場合があるため注意が必要です。
電源を切る場合は、必ずリモコンの停止ボタンで運転を停止してください。そして、本体のファンが完全に止まってからコンセントを抜きましょう。取扱説明書で「電源プラグを抜いて、エアコンの停止をしない」と明記しているメーカーもあります。
●差し込む前にホコリと湿気を確認する
電源プラグやコンセントにホコリや湿気がたまっていると、トラッキング現象による火災のリスクが高まります。総務省消防庁のデータによると、住宅火災のうち電気が原因のものは全体の18.8%を占めています。
このような事故を防ぐためにも、コンセントの抜き差しを行う前に乾いた布でプラグを軽く拭いておきましょう。ホコリや水分を取り除くことが大切です。とくに梅雨時やキッチン・洗面所付近など、湿気がこもりやすい場所ではさらに注意が必要です。
●抜いたあとは数分待ってから再接続する
エアコンを一度抜いたあと、すぐに再接続するのは避けましょう。
多くの家庭用エアコンには、保護回路が搭載されています。電源を入れた直後にコンプレッサーへ過度な負荷がかからないよう、一定時間の待機が必要です。
この保護機能は「リスタートタイマー」と呼ばれることがあります。コンプレッサーを高圧状態から安全に再起動させるほか、突入電流による回路の損傷を防ぐ役割もあります。
目安として、コンセントを抜いたあとは3分程度待ってから再接続するのがおすすめです。多くのエアコンメーカーの取扱説明書に、時間の目安が明記されています。再接続の際は、説明書を一度確認しておくと安心です。
●子どもや高齢者が触れないよう対策する
コンセントの抜き差しは、感電や火傷のリスクがあります。
小さな子どもや高齢者のいる家庭ではとくに注意が必要です。エアコンのプラグが床付近にある場合、誤って引っ張ったり、湿った手で触れてしまったりする可能性もあります。チャイルドロック付きの電源タップや、プラグカバーを活用するのも一つの方法です。
参考:消費者庁「Vol.568 コンセントでの感電事故に注意!」
3.コンセントを抜くことで電気代節約が期待できるエアコン以外の家電製品
家庭内にはエアコン以外にも、コンセントを抜くだけで電気代の節約につながる家電があります。とくに待機電力が高い家電は、こまめにコンセントを抜くだけで年間数百円〜千円単位の節電が可能です。
以下では、節電が期待できる代表的な4つの家電を紹介します。
※なお消費電力の数値は、資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」を参照
※電力単価は、31円/kWhで換算
●テレビ
テレビの待機時消費電力は、高速起動設定を含む場合で約1.66Wです。
例:テレビを1日5時間視聴する場合
・年間の待機電力:約11.5kWh
・年間の節電効果:約357円
高速起動をオフに設定すれば、待機電力は約0.38Wまで下がります。同条件でも、節電効果は年間約102円に抑えられます。
設定ひとつで250円以上の差が出るため、節電意識が高い方は高速起動機能の見直しや使用後にコンセントを抜くことも検討するとよいでしょう。
●パソコン・プリンター
パソコンの待機時消費電力は約1.22W、プリンターは約1.48Wです。
(合計2.7W)
例:パソコン・プリンターを1日5時間使用する場合
・年間の待機電力:約18.72kWh
・年間の節電効果:約580円
使用していない時間が多い家庭では、コンセントを抜くか電源タップで遮断するだけでも、年間数百円の節電につながります。
●スマホ充電器・ACアダプター
スマホ充電器・ACアダプターの待機時消費電力は、約0.34Wです。
例:スマホ充電器・ACアダプターを1日2時間使用する場合
・年間の待機電力:約2.41kWh
・年間の節電効果:約75円
1台あたりの電気代は小さいものの、家庭内に複数台の充電器がある場合は年間数百円程度が無駄になります。使わないときはコンセントから抜く、またはスイッチ付きの電源タップを活用すると安全面・節電面で有効です。
●炊飯器
スマホ充電器・ACアダプターの待機時消費電力は、約0.63Wです。
例;炊飯器を1日2時間使用する場合
・年間の待機電力:約5.06kWh
・年間の節電効果:約157円
炊飯器は、調理以外の時間も予約タイマーや内部回路の維持のためにわずかな待機電力を消費しています。使わない期間や予約を使わない日は電源を抜くことで、積み重ねによる節電効果が期待できます。
関連人気記事:コンセントを抜くと節電になる家電はどれ?節電の4つのポイントや他の節電方法も紹介
4.コンセントを抜かないほうがいいエアコン以外の家電製品
電気代を節約したい気持ちから、使わないすべての家電のコンセントを抜こうと考える方も少なくありません。しかし、中にはコンセントを抜かないほうがいい家電製品もあります。
以下で紹介する家電は、抜くことで機能に支障が出たり思わぬトラブルの原因になったりすることもあるため注意が必要です。
●冷蔵庫・冷凍庫
冷蔵庫や冷凍庫は、食品の安全な保存を目的とした常時稼働が前提です。電源を切ると庫内温度が上昇し、食材の傷みや食中毒のリスクが高まります。
また、頻繁な抜き差しによってコンプレッサーに負荷がかかり、機器の寿命を縮める可能性があります。
●Wi-Fiルーター
Wi-Fiルーターは、インターネット通信を常時維持するための装置です。コンセントを抜くとネット環境が遮断され、おもに以下に該当するものが一斉に停止してしまいます。
・スマート家電
・IP電話
・クラウド同期機能
節電効果はごくわずかなため、利便性が下がる負担の方が大きいといえます。
●固定電話・FAX
固定電話やFAXは、電源がないと着信や受信ができません。とくにFAXは、受信不能時にデータが失われる場合もあり得ます。とくに業務用として使っている商店などでは致命的なトラブルになりかねないため、注意が必要です。
●空気清浄機
高性能な空気清浄機は空気センサーや自動運転機能が備わっていて、継続的な通電を前提とした設計になっています。電源を抜くことでセンサーの学習結果がリセットされたり、最適な運転ができなくなったりする場合があります。PM2.5対応機種や高性能モデルでは、とくに注意が必要です。
関連人気記事:コンセントを挿しっぱなしにすると電気代はどれくらい?上手な節電対策と注意点
5.Jackeryのポータブル電源&ソーラーパネルで電気代を大幅カット!

「ポータブル電源」とは、電気を蓄えて持ち運べるバッテリーのことです。コンセントのない場所でも電化製品が使えるため、防災グッズやアウトドア用品として注目を集めています。また、電気を蓄えておけば停電中でも使えます。
Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は、ソーラーパネルと組み合わせて使えば自宅で発電可能です。晴天時の発電量は1日あたり約2.0kWhなので、電気代に換算すると約63円、10日で630円の節約になります。電気料金の高騰が続く今、自家発電による節電対策としても有効です。
普段の節電対策だけではなく、停電時や災害時の備えとしても一台あると心強いのがJackery(ジャクリ)のポータブル電源の特徴です。以下のような家電製品にも、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は対応しています。
・扇風機やサーキュレーター
・冷蔵庫
・電気ポット
・炊飯器
・電子レンジ
・電気毛布
・照明器具
用途や家電に合わせて選べるモデルも豊富なので、チェックしてみてください。
6.エアコンのコンセントを抜くことに関するよくある質問
エアコンのコンセントを抜くことに関する、よくある3つの質問にお答えします。
●エアコンの調子が悪いとき、コンセントを抜くと治ることがあるのはなぜ?
コンセントを抜くことで、エアコン内部の制御基板やマイコンが一時的にリセットされるためです。エラーコードが残っていたり操作が効かなくなったりする不具合は、リセットで正常動作に戻ることがあります。
ただし頻繁に起きる場合は故障の可能性があるため、メーカーや業者に相談しましょう。
●エアコンを使わない時期、コンセントを抜いて少しでも節電したいです。管理で気を付けることはありますか?
長期間使わない場合はコンセントを抜いても問題ありませんが、抜く前にはクリーン機能を使って内部の湿気を飛ばしてから保管しましょう。
また、ホコリや湿気が差し込み口に溜まらないようにすることが大切です。抜いたプラグは、清潔で乾燥した場所に保管してください。
●節電のためにエアコンのコンセントを毎日抜くのは問題ない?
一般的に、毎日のコンセントの抜き差しは推奨されていません。故障リスクは低いものの、頻繁な抜き差しでプラグや差込口が劣化する恐れがあります。
節電効果も年間で数百円程度と限定的なので、抜くなら使わない期間だけに留める方が現実的です。
まとめ
エアコンのコンセントを抜くことで電気代の節約は可能ですが、効果は年間で数百円程度となっています。
また、毎日の抜き差しは機器やプラグの劣化を招くおそれもあるため注意が必要です。節電を目的とするなら、以下のような無理のない方法を選びましょう。
・使わない期間だけ抜く
・他の家電も見直す
・節電タップを導入する
さらに、Jackery(ジャクリ)のようなポータブル電源とソーラーパネルを活用すれば、節電しながら非常時の備えができます。本記事の内容を参考に、電気代を節約してみてください。
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