1.5mの津波はどれくらいの高さ?|視覚的に理解する
津波の高さを数値で聞いても、実際の危険性を把握するのは難しいものです。ここでは、5mの津波がどれほどの高さなのかを、身近なものに例えて確認していきましょう。
●5mの津波は「大津波警報」に相当する深刻な災害
気象庁は、津波の予想される高さに応じて、3段階の警報・注意報を発表しています。5mの津波は、もっとも深刻な「大津波警報」に該当する高さです。
・大津波警報:予想される津波の高さが3mを超える場合
・津波警報:予想される津波の高さが1mを超え、3m以下の場合
・津波注意報:予想される津波の高さが0.2m以上、1m以下の場合
大津波警報が発表されると、気象庁は「ただちに避難してください」と呼びかけます。これは、津波が到達すれば命に関わる危険があるという最高レベルの警告です。5mの津波は、単なる高波ではなく、沿岸部のあらゆるものを破壊し尽くす巨大な水の壁なのです。
参考:気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
●5mの津波はどれくらいの高さなのか|身近なものに例えてみよう
5mの高さを、私たちの身近にあるものに例えて考えてみましょう。
・2階建て住宅の屋根:一般的な2階建て住宅の高さは約6〜7m、5mは屋根の高さに相当
・マンションの2階の窓:1階あたり約2.5〜3mとすると、2階の窓の高さ程度
・電柱の約半分:標準的な電柱の高さは10〜12m、その半分程度
つまり、5mの津波が来ると、2階建ての家の1階部分は完全に水没し、2階の窓付近まで水が到達する可能性があるということです。しかも、津波は単なる「水」ではなく、車や木材、がれきなどを巻き込んだ巨大な破壊の塊として押し寄せてきます。
5mという数値だけを聞くと「2階に逃げれば大丈夫」と考えてしまうかもしれませんが、実際には津波の勢いで建物ごと倒壊する危険性が高いです。5mの津波に対しては、より高い場所、より頑丈な建物への避難が不可欠でしょう。
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2.5mの津波の威力と速度
津波の恐ろしさは、その高さだけではありません。5mの津波が持つ威力と速度について、データをもとに解説します。
●海岸付近で時速36kmが目安|車並みの速度

津波の速度は、水深によって大きく変化します。沖合の深い海では時速数百kmにも達しますが、海岸に近づくにつれて速度は落ちていきます。それでも、海岸付近での津波の速度は時速36km程度と、人が全力で走る速さを遥かに超えています。
・沖合:水深5,000mでは時速約800km(ジェット機並み)
・水深100m付近:時速約110km(高速道路を走る車やチーター並み)
・海岸付近:時速約36km(車並み)
時速36kmは100mを10秒で進む速さです。津波を目視してから逃げ始めても、間に合わない可能性が高いでしょう。また、津波は波が引いた後に次の波が押し寄せるため、一度目の波から逃げ切っても、次の波に巻き込まれる危険があります。
●50cm程度の津波でも人は流される|5mは「100%即死」のレベル
「津波50cmなら膝下だから大丈夫」と考えてしまうかもしれませんが、これは大きな誤解です。日本気象協会によると、わずか50cmの津波でも人は流されてしまい、1mを超えると立っていることさえできなくなります。
参考:tenki.jp(日本気象協会) Youtube「【津波体験】高さ50cmの津波を体験」
5mの津波に巻き込まれた場合、人体が受けるダメージは計り知れません。津波は水だけでなく、車や建物の破片、漂流物などを含んだ「がれきの濁流」です。この濁流に巻き込まれれば、打撲や窒息、溺死など、複合的な要因で命を落とす危険性が極めて高くなります。
「津波が来てから避難する」という考えは、命を落とす最大の要因です。津波警報が発表されたら、予想される高さに関わらず、ただちに高台や頑丈な建物の上の階へ避難しましょう。
3.5mの津波による建物被害の予測
5mの津波は、建物にも甚大な被害をもたらします。建物の構造別に、5mの津波による被害予測を見ていきましょう。
●木造家屋|津波高2m以上で全壊・5mではほぼ流失
気象庁の資料によると、木造住宅は津波の高さが2mを超えるとほぼ確実に全壊します。5mの津波ではほぼ確実に流失してしまうでしょう。木造住宅の基礎や柱は、津波の強大な水圧に耐えられないためです。東日本大震災では、津波の高さが4mを超えた地域で、木造住宅のほとんどが流失しました。

5mの津波に対して、木造住宅への避難は非常に危険です。津波警報が発表されたら、木造住宅にとどまらず、すぐに避難してください。
●鉄筋コンクリート住宅|津波高5m程度が耐えられる限界ライン
一般的なマンションなどの鉄筋コンクリート造の建物は、木造住宅よりも津波に対する耐性がありますが、5m程度の津波が限界ラインとされています。5mを超える津波では、鉄筋コンクリート住宅でも部分的な損壊や全壊の危険性が高いです。
つまりマンションの1~2階にいる場合、5mの津波では命の危険があります。津波警報が発表されたら、必ず3階以上の高い場所に避難しましょう。
●鉄筋コンクリートビル|5m以上で部分破壊が始まる可能性
鉄筋コンクリート造の中高層ビルは、津波に対して強い耐性のある建物です。しかし、5m以上の津波では、1階部分を中心に柱や壁が部分的に破壊される可能性があります。窓ガラスや壁が破壊され、柱に亀裂が入ることもあるでしょう。半壊や全壊のリスクが高まるのは津波高10mからとされています。
参考:気象庁「津波について」
5mの津波が来る場合、鉄筋コンクリート造の3階建て以上のビルの3階以上に避難すれば、比較的安全です。ただし、津波の勢いや大きな漂流物の影響で1階や2階が大きく損傷すれば、建物全体が不安定になる可能性もあります。可能な限り高い階に避難してください。
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4.5mの津波はどこまで浸水するのか|東日本大震災から学ぶ
5mの津波は、海岸線からどこまで内陸に浸水するのでしょうか。東日本大震災のデータをもとに、地形別の浸水範囲を見ていきましょう。ただし、津波の浸水範囲は地形や津波の勢いによって大きく変わるため、あくまで参考値としてご覧ください。
●平地|海岸線から4〜5km内陸まで浸水
5m程度の津波は、平地では海岸線から4〜5km程度内陸まで到達する可能性があります。平地での津波浸水の特徴は以下のとおりです。
・遮るものがないため、津波が減衰しにくい
・海岸線から数km離れていても油断できない
・河川沿いではさらに遠くまで浸水する可能性がある
「海から2〜3km離れているから大丈夫」という油断は禁物です。津波警報が発表されたら、海岸線から離れていても、すぐに高台や頑丈な建物の上階に避難しましょう。
●リアス式海岸|海岸線から数km先でもリスク大
リアス式海岸は、複雑に入り組んだ地形が特徴で、津波が集中して高くなる危険性があります。東日本大震災では、リアス式海岸の岩手県陸前高田市で、海岸線から3.6㎞先の竹駒町においても11.3mもの巨大な津波が襲いました。

引用:内閣府中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会報告(案)」
今回はあくまで東日本大震災クラスの巨大な津波を例に挙げていますが、リアス式海岸では5mの津波が10m以上に増幅されることもあり得ます。警報で「5m」と聞いても、実際にはそれ以上の高さになる可能性を想定して避難しましょう。
●河川沿い|最長50kmまで遡上のリスクあり
津波は河川を遡上して、内陸深くまで到達します。東日本大震災では、北上川などの大河川で、津波により河口から最長49kmの範囲で水位変化が確認されました。河川沿いに住んでいる方は、海から離れていても警戒が必要です。
津波警報が発表されたら、河川から離れた高台に避難してください。「海から遠いから安全」という思い込みが、命取りになる可能性があります。
5.5mの津波が来たら何階に避難すべき?
5mの津波が来る場合、何階以上に避難すれば安全なのでしょうか。東日本大震災のデータをもとに、適切な避難階数を考えていきましょう。
●東日本大震災の生存者|平均2.9階に避難
ウェザーニューズ社が東日本大震災の被災者1,881人を対象に行った調査によると、津波から生き延びた人々は平均して2.9階に避難していたことがわかりました。一方で、犠牲になった人は平均1.7階に避難していたことがわかっています。
つまり5mの津波に対しては、最低でも3階以上、できれば4階以上に避難することが推奨されます。
●より高い階・より高台への避難が基本原則
津波から命を守る基本原則は「より高い場所へ」です。5mの津波が予想される場合でも、3階で満足せず、可能な限り高い階に避難しましょう。また、安全な避難のためには以下の点にも注意が必要です。
・エレベーターは使わず、階段で避難する
・避難後は、津波警報が解除されるまで絶対に戻らない
・第一波だけでなく、第二波、第三波にも警戒する
・津波は数時間にわたって繰り返し押し寄せる
「5mの津波だから3階で十分」という考えは危険です。予想よりも高い津波が来る可能性や、建物の損壊リスクを考慮して、できる限り高い場所を目指しましょう。
6.5mの津波はインフラ崩壊必至|Jackery(ジャクリ)ポータブル電源で停電対策を

5mの津波が発生した場合、電力・水道・ガスなどのライフラインは広範囲で長期間停止します。東日本大震災では、停電が1週間以上続き、避難生活が長期化した地域も多くありました。もし停電が起きても、コンセント付きの持ち運べる蓄電池「Jackery(ジャクリ) ポータブル電源」があれば以下のように対策できて安心です。
・スマートフォンを充電して、家族の安否確認や最新の災害情報を入手できる
・テレビやラジオで避難情報や給水・物資配布の情報をリアルタイムで確認できる
・LEDランタンや懐中電灯を使って、夜間の避難所生活でも明かりを確保できる
・電気毛布やエアコンで寒さをしのぎ、体力の消耗を防げる
・電子レンジや電気ケトルで温かい飲みものや食べ物を作れる
・冷蔵庫の中身をキープできる
Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は30dB(深夜のささやき声)以下の静音設計のため、自宅はもちろん車内や避難所で使用しても周囲に迷惑をかけません。一台で照明も通信機器も暖房も、必要なものを同時に動かせます。
さらに、ソーラーパネルと組み合わせれば、停電が1週間以上続いても太陽光で繰り返し充電可能。津波被災後は物資の供給が長期間途絶えてしまうことがほとんどですが、ある程度の食料や水の備蓄とポータブル電源・ソーラーパネルがあれば、最低限の生活を維持できるでしょう。津波による長期停電と避難生活に備えて、今から1台準備しておくことをおすすめします。
7.5mの津波に関するよくある質問
5mの津波に関する、よくある質問とその回答をまとめました。
●津波警報で予想高さ5mと発表されたらどう行動すべき?
津波警報で「予想される津波の高さ5m」と発表された場合、ただちに高台や頑丈な建物の3階以上に避難してください。5mは大津波警報に該当する非常に危険な高さで、木造住宅は流失し、人が巻き込まれれば助かる見込みはほぼありません。
避難の際の注意点は以下です。
・津波警報が発表されたら、すぐに避難を開始する
・海や川を見に行かない
・車での避難は渋滞に巻き込まれる危険があるため、徒歩での避難が基本
・避難後は、津波警報が解除されるまで絶対に戻らない
「5m程度なら大丈夫」という油断が命取りになります。警報が発表されたら、予想される高さに関わらず、最大限の警戒をしてください。
●5mの津波は地震発生から何分くらいで到達する?
津波の到達時間は震源からの距離・震源の深さ等の条件によって大きく異なりますが、目安は以下のとおりです。
・近海(数十km以内):数分〜10分程度で到達
・沖合(100km程度):30分〜1時間程度で到達
・遠方(数百km以上):数時間後に到達
東日本大震災では、地震発生から最短で数分後に津波の第一波が到達した地域もありました。「警報を待ってから避難する」では間に合わない可能性があります。海岸近くで強い揺れや長い揺れを感じたら、津波警報を待たずにただちに高台に避難しましょう。
●津波の高さ5mと遡上高5mの違いは?
「津波の高さ5m」と「遡上高5m」の違いは以下です。
・津波の高さ5m:海岸線での津波の高さ(海面からの高さ)が5mある
・遡上高5m:津波が陸地を駆け上がって到達した最高地点の高さ(海面からの高さ)が5mに到達している
たとえば、海岸線での津波の高さが5mでも、津波が陸地を駆け上がることで、遡上高は10m以上に達することもあります。とくにリアス式海岸や斜面のある地形では、遡上高が津波の高さの2倍以上になることも珍しくありません。
気象庁の津波警報は「津波の高さ」を予報していますが、実際に津波が到達する高さ(遡上高)はそれより高くなる可能性があります。警報の数値を過信せず、余裕を持った避難を心がけましょう。
まとめ
5mの津波は、2階建て住宅の屋根に相当する高さで、大津波警報が発表される非常に危険なレベルです。木造住宅はほぼ確実に流失し、鉄筋コンクリート住宅でも構造的なダメージを受ける可能性があります。
また、津波の速度は海岸付近で時速36km程度と、人が逃げ切れる速さではありません。津波警報が発表されたら、すぐに高台や頑丈な建物の3階以上に避難してください。
また、津波後の長期停電に備えて、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源を準備しておくと安心です。津波の知識をしっかりと持ち、しっかりと備えることで、あなたと大切な人の命を守りましょう。