注意報と警報の違いとは?基準や警戒レベル・発表されるタイミングを解説

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災害が迫っているとき、テレビやスマホで「大雨注意報が発表されました」「暴風警報に切り替わりました」といった情報を目にすることがあります。注意報と警報の違いや発表基準を知っておくことは、私たちの安全を守るために必要なことです。

 

この記事では注意報・警報・特別警報の違い、発表される基準、警戒レベルとの関係などをわかりやすく解説します。いざというときに慌てないよう、しっかり確認しておきましょう。

目次

1.注意報・警報・特別警報の違い

 

気象庁が発表する防災気象情報には、危険度に応じて「注意報」「警報」「特別警報」の3種類があります。それぞれ、どのような違いがあるのか見ていきましょう。

注意報とは:災害の注意を呼びかけるもの

注意報は、災害が起こる可能性があるときに出される情報です。いわゆる「注意してください」という呼びかけで、普段の生活を送りながら気象の変化に気をつけてほしい意味があります。以下の表に、主な注意報の種類をまとめました。 

注意報の種類

発表される状況

大雨注意報

雨による土砂災害や浸水被害のおそれがある

洪水注意報

増水による洪水被害の恐れがある

強風注意報

強風による災害のおそれがある

風雪注意報

雪を伴う強風による視界不良や災害のおそれがある

大雪注意報

降雪・積雪による住居被害や交通障害のおそれがある

波浪注意報

高波による遭難や沿岸施設の被害のおそれがある

高潮注意報

台風や低気圧による異常な潮位の上昇がある

雷注意報

落雷や竜巻・突風、急な強い雨のおそれがある

参考:気象庁「気象警報・注意報の種類」

たとえば、「大雨注意報」が出たら「土砂崩れが起きるかもしれないから、山間部には近づかないようにしよう」と注意すべき段階です。このほかにも、濃霧注意報、乾燥注意報、なだれ注意報、低温注意報、霜注意報など、地域によってさまざまな種類の注意報が発表されます。

警報とは:重大な災害の警戒を呼びかけるもの

警報は、注意報よりも危険度が高く、重大な災害が起こる可能性が高いときに発表されます。「警戒してください」という強い呼びかけで、今やっていることを中断してでも安全を確保すべき段階です。警報の主な種類は以下のとおりです。 

警報の種類

発表される状況

大雨警報

土砂災害や浸水害により重大な被害が発生するおそれがある

雨が止んだ後も土砂災害のリスクが高いと、継続して発表される

洪水警報

河川の氾濫や堤防の損傷・決壊により重大な洪水害が発生するおそれがある

暴風警報

暴風による建物の損壊や電柱・樹木の倒壊、車両の横転などが発生するおそれがある

暴風雪警報

雪を伴う暴風により、視界不良による事故などが起きやすくなっている

大雪警報

大雪による交通網の麻痺や建物の倒壊リスクがある

波浪警報

高波による遭難や沿岸施設の被害のおそれがある

高潮警報

台風や低気圧による異常な潮位上昇で重大な災害のおそれがある

参考:気象庁「気象警報・注意報の種類」 

たとえば「大雨警報」が出たら「土砂崩れや浸水の危険があるので、危険な場所から離れ、必要に応じて避難の準備をしよう」という状態です。 

警報が発表されるような状況では、実際に災害が発生することもあります。例えば、2023年7月の九州での大雨警報発表時には、実際に土砂崩れによる死亡者や行方不明者が発生しました。このように警報は「かなり危険な状況」を知らせるものです。 

参考:毎日新聞「福岡・大分に大雨特別警報 土砂崩れ福岡1人死亡、佐賀3人不明」

特別警報とは:最大級の警戒を呼びかけるもの

特別警報は、警報よりさらに危険度が高く、数十年に一度の大災害が起こる可能性が高いときに発表されるものです。「命を守る行動をとってください」という非常に強い呼びかけで、ただちに命を守るための行動が必要になります。特別警報の主な種類は以下のとおりです。 

特別警報の種類

発表される状況と予想される破壊的な影響

大雨特別警報

台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる大雨が予想される

暴風特別警報

数十年に一度の猛烈な暴風が予想される

高潮特別警報

数十年に一度の台風や低気圧により記録的な高潮が予想される

波浪特別警報

数十年に一度の台風や低気圧により記録的な高波が予想される

暴風雪特別警報

数十年に一度の台風や低気圧により雪を伴う暴風が予想される

大雪特別警報

数十年に一度の降雪量となる大雪が予想される

参考:気象庁「気象警報・注意報の種類」 

特別警報は2013年8月30日に運用が開始され、最初の発表は同年9月の台風18号による京都府、滋賀県、福井県への大雨特別警報でした。この台風18号は、浸水約1,500件、土砂崩れ45ヶ所、負傷者2名など甚大な被害をもたらしています。 

参考:京都市消防局「平成25年9月15日~17日 台風18号」 

特別警報が出るような状況は非常に危険です。発表されたら、すでに避難するタイミングを逃している可能性もあります。その場でできる最善の安全確保行動をとりましょう。

関連人気記事:津波注意報発令!命を守るために取るべき行動と防災対策を徹底解説

2.注意報から警報に変わる基準・タイミング

 

気象庁では、重大な災害が発生するような警報級の気象が3〜6時間先に予想されるときに「注意報」から「警報」に切り替えます。たとえば、朝の時点では大雨による災害の危険性が低くても、昼過ぎから雨が強まりリスクが高まると予想される場合。この場合には朝の時点で「大雨注意報」を発表し、その後「大雨警報」に切り替えます。 

ただし、発表基準は地域によって異なります。同じ気象条件でも、たとえば山間部と都市部では予想される災害の種類や規模が異なるためです。一例として大雪警報の発令基準を比較すると、東京都江東区(東京23区東部)は「12時間降雪の深さ10cm」ですが、宮城県仙台市東部は「12時間降雪の深さ20cm」となっています。 

参考:気象庁「警報・注意報発表基準一覧表」 

さらに、もし「数十年に一度の降雨・大雪・強風など」が予想された場合には、警報が特別警報に引き上げられる仕組みです。 

気象庁「気象等に関する特別警報の発表基準」

引用:気象庁「気象等に関する特別警報の発表基準」 

なお、特別警報は「土壌雨量指数」「表面雨量指数」など、過去の災害事例に応じた発令基準が地域ごとに設定されています。

3.注意報や警報が出たら?警戒レベルごとに取るべき行動

 

内閣府防災情報のページ「避難情報に関するガイドラインの改定(令和3年5月)」

 引用:内閣府防災情報のページ「避難情報に関するガイドラインの改定(令和3年5月)」

注意報・警報と連動して、気象庁および市区町村が発令する5段階の「警戒レベル」という仕組みがあります。 

警戒レベル

気象庁の区分

発令元の機関

1

-

気象庁

2

注意報

3

警報

市区町村

4

5

特別警報

レベル1・2は気象庁が発令します。このうちレベル2が注意報に相当するものです。レベル3以降は、状況に応じて市区町村が発令します。レベル3・4が警報相当、レベル5が特別警報相当です。 

では、レベルごとにどのような避難行動を取るべきか確認しておきましょう。 

参考:気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」

警戒レベル1で取るべき行動

警戒レベル1は「災害への心構えを高める」段階です。これは、台風の接近などにより災害の発生が予想される場合に発表されます。レベル1では以下のような行動を取りましょう。 

最新の気象情報や河川情報などを調べる

自分が住んでいる地域のハザードマップを確認する

非常持ち出し袋の中身を点検する

避難場所や避難経路を家族で確認する

モバイルバッテリーやポータブル電源を充電しておく 

まだ実際に災害が迫っているわけではありませんが、「もしもの時」に備えておくことが大切です。レベル1の段階から防災意識を高めておくと、いざというときに落ち着いて行動できるでしょう。

警戒レベル2で取るべき行動

警戒レベル2は「取るべき避難行動を確認する」段階です。大雨・洪水などの「注意報」が発表されるときがレベル2に該当します。このレベルでは以下のような行動をとりましょう。 

ハザードマップで災害想定区域・避難場所、避難経路を確認する

災害時に必要な備蓄品に不足があれば速やかに調達する

防災気象情報を定期的にチェックする

家族との連絡方法を確認する 

この時点ではまだ避難の必要はありません。しかし、天気の変化に注意し、状況が悪化した場合に備えて準備をしておくことが必要です。とくに、万が一ライフラインが止まっても良いように、食料や飲料水をはじめとする備蓄品はこの時点で調達しておきましょう。

警戒レベル3で取るべき行動

警戒レベル3は、市区町村が「高齢者等避難」を発令する段階です。大雨警報や洪水警報、土砂災害警戒情報などが発表されるときがこれに該当します。レベル3では以下のような行動が必要です。 

高齢者や障がい者、子どもなど避難に時間がかかる人とその支援者は避難を開始する

その他の人も、いつでも避難できるよう準備を完了させる

避難場所までの道のりが危険と思われる場合は、早めに避難を開始する

避難の必要がない人も、屋内安全確保(自宅の2階など高い場所に移動)の準備を始める 

「自分はまだ大丈夫」と思っても、雨や風が強まれば避難すること自体が危険になります。とくに夜間の避難は視界が悪く危険なため、日が暮れる前に行動するのが良いでしょう。

警戒レベル4で取るべき行動

警戒レベル4は「危険な場所からは全員が避難すべき」段階です。自治体から避難指示が発令されます。このレベルでは以下のような行動が必要です。 

避難所や高台など安全な場所へ全員が避難する

避難場所への移動が危険な場合は、自宅や近くの頑丈な建物の高い場所に移動する

河川や用水路、がけ下などの危険な場所には絶対に近づかない

自主的な避難判断も必要となる 

2021年5月20日に「避難勧告」という言葉が使われなくなり、すべて「避難指示」に一本化されました。レベル4は「避難すべき」状況であるのに、「勧告」という単語が「避難したほうが良い」と異なる印象を与えていたためです。レベル4が出された時点で、すべての人が避難行動を取るべき状況だと覚えておきましょう。

警戒レベル5で取るべき行動

警戒レベル5は「命の危険が迫っており、直ちに安全を確保すべき」段階です。市区町村の特別警報や自治体からの緊急安全確保の発令がこれに該当します。レベル5では命を守るため、以下のような行動をとらなければいけません。 

自宅の少しでも安全な場所(2階以上や山からより離れた部屋など)に移動する

もし移動できる場合は、すぐ近くの頑丈な建物に急いで避難する

無理なら、災害がおさまるまでその場を動かない 

レベル5は「既に災害が発生している状況」を意味します。この段階で外出することはかえって危険です。そのときいる場所でできる、最善の安全確保の行動をとりましょう。間違っても大雨で増水する河川や、地震により起きた津波の様子を見に行ったりしてはいけません。

関連人気記事:地震が起きたらどこに逃げる?それぞれの場所の安全ゾーンと取るべき行動

4.警報級の災害発生!もしもの在宅避難に「ポータブル電源」を備えよう

 

避難が困難なほどの警報級の災害では、自宅で避難(在宅避難)するのも選択肢のひとつです。しかし、在宅避難の際に困るのが「電気」の問題です。もし停電が発生すると、スマホを充電することも、照明をつけることもできなくなってしまいます。そこで役立つのが、持ち運べる非常用電源「ポータブル電源」です。 

大容量でAC出力(コンセント)が使えるポータブル電源があれば、停電時でも以下のようなことができます。 

スマホやタブレットを充電して外部と連絡ができる

ラジオやテレビで最新の災害情報を入手できる

LEDライトなどの照明で夜間も安心して過ごせる

扇風機や電気毛布で熱中症や低体温症の対策ができる

長時間ゲームを充電して気を紛らわせる 

モバイルバッテリーではスマホを1~2回程度しか充電できませんが、ポータブル電源なら10回以上が普通。万が一身動きが取れなくなり救助が必要になっても、バッテリー切れで連絡が取れなくなる心配はありません。 

Jackery(ジャクリ)の最新ポータブル電源「Newシリーズ」なら、コンセントから最短1時間で充電できる「緊急充電モード」を搭載しています。停電のおそれがある台風や大雨が迫ってきていても、緊急充電モードで急いで充電しておけば安心です。Jackery(ジャクリ)のポータブル電源を1台用意して、警報級の災害が来ても命を守れるようにしておきましょう。

災害の停電時におすすめのポータブル電源一覧

5.注意報と警報の違いについてよくある質問

 

注意報と警報の違いについてのよくある質問と、その回答をまとめています。

強風・大雨注意報が発表される基準は?

強風・大雨注意報の発令基準の目安は以下のとおりです。 

強風注意報:平均風速がおおむね10m/sを超える

大雨注意報:予想される1時間雨量が30mm以上 

ただし、注意報の発令基準は地域により異なります。とくに大雨注意報の基準は、増水のリスクがある川や、土砂災害のおそれがある山が近くにあるかで大きく変わります。気象庁の「警報・注意報発表基準一覧表」を参照し、お住まいの地域の基準を確認してみてください。

暴風警報が発表される基準は?

地域により正確な基準は異なりますが、暴風警報は平均風速がおおむね20m/sを超える際に発令されます。20,/sは、以下のように「屋外での行動が危険になる」レベルの風速です。 

立っていられない

車が横転するリスクがある

樹木の幹が折れたり、電柱が倒れたりする可能性がある

屋根が飛ばされるなど、建物の損壊が発生する可能性がある 

台風の接近時などは、まず強風注意報が発表され、風が強まると予想されるタイミングで暴風警報に切り替わることが多いです。暴風警報が発表されたら外出は控え、窓や雨戸をしっかり閉めるなどの安全確保行動をとりましょう。

大雨・大雪警報の基準は何mm?

大雨警報は一般に「予想される1時間雨量が50mm以上」のときに発令されますが、正確な基準は地域により変わります。 

大雪警報はより地域差が大きく、たとえば東京都江東区(東京23区東部)は「12時間降雪の深さ10cm」ですが、宮城県仙台市東部は「12時間降雪の深さ20cm」です。都市部では10cm程度の積雪でも交通機関がマヒするなど大きな影響が出るため、多く雪が降る地域と比べて警報の基準値が低く設定されています。

津波注意報と警報の違いは?

津波に関する情報は、予想される津波の高さによって「津波注意報」「津波警報」「大津波警報」の3段階に分けられています。 

種類

予想される津波の高さ

想定される被害と取るべき行動

津波注意報

0.2m以上1m以下

海から出て海岸から離れる

津波警報

1mを超え3m以下

沿岸部や川沿いにいる場合、高台やビルの上層階など安全な場所へすぐに避難する

大津波警報

3mを超える

沿岸部や川沿いにいる場合、高台やビルの上層階など安全な場所へすぐに避難する

参考:気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」 

津波は最初は小さな波でも、その後に大きな波が来ることがあります。津波注意報でも油断せず、海岸には近づかないようにしましょう。 

津波警報や大津波警報が発表されたら、ただちに高台や津波避難ビルなど安全な場所に避難してください。2011年の東日本大震災では「高さ3m」の津波警報が発令されましたが、実際には高さ8m以上の津波が各地を襲いました。8mにおよぶ津波は、一般的な木造住宅では耐えられずほぼ確実に全壊するレベルです。 

参考:気象庁「津波警報改善に向けた取り組み」 

「少しくらいなら大丈夫」という油断が命取りになります。津波警報が出たら最悪の事態を想定して、速やかに避難してください。

まとめ

 

注意報、警報、特別警報はそれぞれ危険度が異なります。大まかにいえば、注意報は「注意してください」、警報は「警戒してください」、特別警報は「命を守る行動をとってください」という意味が込められたものです。 

警報級の災害になると、自宅または避難場所での避難行動が必要になります。万が一電気やガスなどのライフラインが止まっても耐えられるように、食料や飲料・非常用電源などの備蓄品を準備しておきましょう。 

Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は、停電をともなう警報級の災害時の非常用電源に最適。最新の「Newシリーズ」は最短1時間~の緊急充電モードを搭載し、台風や大雨が迫ってきているシーンでもすぐにフル充電できます。いつ災害に襲われても安心できるように、1台備えてみてはいかがでしょうか。

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