1.降水量の基本知識|定義や警報・注意報の基準・測定方法
まずは降水量の基本的な知識を押さえておきましょう。気象庁が定める降水量の定義や測定方法、警報・注意報の基準について解説します。
●降水量とは1時間あたりの雨量を示す指標
降水量とは「降った雨や雪などが地面にたまった深さ」のことです。通常は1時間あたりの降水量を「mm」で表し、これを「1時間雨量」と呼びます。たとえば「1時間に30mmの雨」とは、1時間で地面に深さ30mmの水がたまる量ということです。
降水量の基本的な考え方は以下のとおりです。
・降水量1mmは、1平方メートルあたり1リットルの雨が降ったことを意味する
・雪の場合は、溶かして水にした状態で測定する
・霧雨や霧、露は降水量に含まれない
・天気予報では通常、1時間あたりの降水量を予報する
気象庁の観測では、雨量計という機器を使って正確に降水量を測定しています。この数値をもとに、天気予報や警報・注意報が発表されるのです。
参考:気象庁「雨・雪について」
●1時間雨量と1日の総雨量の違い
天気予報では「1時間雨量」と「総雨量」という2つの表現が使われます。1時間雨量と総雨量の違いは以下です。
・1時間雨量:特定の1時間に降った雨の量(雨の強さを表す)
・総雨量:ある期間(1日、3日間など)に降った雨の合計(雨の総量を表す)
たとえば、1時間に10mmの雨が6時間続いた場合、1時間雨量は10mmですが、6時間の総雨量は60mmになります。土砂災害などの危険性を判断する際は、1時間雨量だけでなく総雨量も重要な指標です。
なお気象庁では、大雨による災害の危険性を判断する際に、以下の両方を考慮しています。
・短時間に大量に降る雨(1時間雨量が多い):河川の急な増水や都市型水害の危険
・長時間降り続く雨(総雨量が多い):土砂災害や地盤の緩みの危険
つまり「1時間雨量が小さくても、総雨量が大きければ土砂災害などの災害が起きるリスクが発生する」ということです。
●気象庁による雨の強さの分類と警報・注意報の基準
気象庁は、1時間雨量に基づいて雨の強さを以下のように分類しています。
|
1時間雨量 |
予報用語 |
人の受けるイメージ |
|
10mm以上20mm未満 |
やや強い雨 |
ザーザーと降る |
|
20mm以上30mm未満 |
強い雨 |
どしゃ降り |
|
30mm以上50mm未満 |
激しい雨 |
バケツをひっくり返したように降る |
|
50mm以上80mm未満 |
非常に激しい雨 |
滝のように降る |
|
80mm以上 |
猛烈な雨 |
息苦しくなるような圧迫感、恐怖を感じる |
気象庁は、これらの雨量を基準に大雨注意報や大雨警報を発表します。注意報や警報の基準は地域によって異なりますが、一般的には1時間雨量30mm以上で注意報、50mm以上で警報が発表される目安です。
●雨量計による測定の仕組み
気象庁では、全国約1,300箇所に設置された観測所で、「転倒ます型雨量計」という雨量計により降水量を観測しています。

引用:仙台管区気象台
転倒ます型雨量計は、中央の「転倒ます」により0.5mmごとに雨を測定できる仕組みとなっており、正確な雨量を測定可能です。
また、降水に関連する測定器として雨や雪の始まりと終わりを観測する「感雨器」があります。

引用:仙台管区気象台
感雨器は測定面に雨や雪がつくと降水現象を感知する仕組みです。雨量計と感雨器の組み合わせで、正確な降水量を測定しています。
2.雨量ごとの目安と体感|1mm〜80mm以上
ここでは、1時間雨量ごとの体感や周囲の状況を詳しく解説します。雨量の数値から実際の状況をイメージしてみましょう。
●1〜2mm|傘があれば問題ない弱い雨
1時間に1〜2mm程度の雨は、気象用語では「弱い雨」に分類されます。
1〜2mm程度の雨であれば、通常の外出や屋外活動にほとんど支障はありません。地面が濡れる程度で、水たまりはできにくいです。ただし、長時間屋外にいる場合は、傘やレインコートがあると快適でしょう。
●3〜10mm|本格的な雨・丈夫な傘が必要
1時間に3〜10mm程度の雨は、雨音がはっきりと聞こえる本格的な雨です。傘なしで外出すると、数分で濡れてしまうため、しっかりとした傘が必要になります。また、傘をさしても、風があると横から濡れることがあります。地面に小さな水たまりができ始めるのもこの3〜10mm程度の雨からで、長靴などで対策が必要です。
●10〜20mm|やや強い雨・地面から跳ね返る程度
1時間に10〜20mm程度の雨は、気象庁の分類で「やや強い雨」に該当します。「ザーザー」という表現がぴったりの雨で、地面からの跳ね返りで足元が濡れる程度の強さです。
雨音が大きく、会話の声が聞き取りにくいこともあります。また、雨の勢いが強いため、傘をさしていても足元や下半身が濡れやすいです。
●20〜30mm|強い雨・傘をさしていても濡れる
1時間に20〜30mm程度の雨は、気象庁の分類で「強い雨」に該当します。「どしゃ降り」と表現される雨で、傘をさしていても濡れてしまう強さです。雨音が大きく、会話をするのも難しくなります。また、側溝や下水から水があふれ始めることもあるでしょう。通勤・通学で外出する場合は、着替えを用意しておくと安心です。
●30〜50mm|激しい雨・道路が川のようになる
1時間に30〜50mm程度の雨は、気象庁の分類で「激しい雨」に該当します。「バケツをひっくり返したように降る」と表現される雨で、道路が川のようになる危険な状況です。
雨音が非常に大きく、外での会話はほとんど聞こえません。傘は役に立たず、レインコートを着ていても濡れてしまうでしょう。道路の冠水や土砂災害が起きやすくなるのも、この30~50mm程度の雨からです。
●50〜80mm|非常に激しい雨・外出が危険な可能性あり
1時間に50〜80mm程度の雨は、気象庁の分類で「非常に激しい雨」に該当します。「滝のように降る」と表現される雨で、外出は極めて危険です。雨音が轟音のように聞こえるため、もはや雨以外の音はほとんど聞こえなくなります。冠水などの水害に巻き込まれる危険があるため、もし外出していた場合は、最寄りの安全な建物に避難すべきです。
●80mm以上|猛烈な雨・土砂崩れなど災害発生の危険性が高い
1時間に80mm以上の雨は、気象庁の分類で「猛烈な雨」に該当します。「息苦しくなるような圧迫感」や「恐怖を感じる」と表現される、災害発生の危険性が非常に高い雨です。聞いているだけで恐怖を感じるほどの轟音が鳴り響き、視界はほぼゼロになります。大規模な土砂災害、河川の氾濫の危険性が極めて高いため、外出は絶対に避けてください。
3.雨量の目安による人への影響|外出や屋外活動の判断基準

ここまで、雨量ごとの体感を説明してきました。ここでは、実際の「雨量ごとの人への影響」をチェックし、行動判断の基準として落とし込んでいきましょう。
●10mm未満|傘があれば外出して問題ない
1時間に10mm未満の雨であれば、傘をさすことで通常の外出が可能です。通勤・通学、買い物など、日常的な活動に大きな支障はありません。長時間屋外にいる場合は、レインコートや長靴があるとより快適に過ごせます。ただし、雷雨の場合は雨量に関わらず屋内に避難しましょう。
●10〜30mm|屋外活動は中止を検討すべき
1時間に10〜30mm程度の雨になると、屋外での活動は中止を検討すべき雨量です。傘をさしていても濡れるレベルのため、屋外スポーツやイベントは中止が望ましいでしょう。また、山登りやハイキングなどのアウトドアレジャーは避けることをおすすめします。
どうしても外出する場合は、レインコートや長靴など、しっかりした雨具を用意してください。
●30mm以上|不要不急の外出は避けるべき
1時間に30mm以上の雨は道路の冠水や土砂災害の危険性が高まり、不要不急の外出は避けるべき雨量です。既に外出している場合は、冠水の心配がない安全な建物に避難することをおすすめします。自宅にいる場合も2階以上に避難し、非常用グッズを準備しておくと安心です。また、自治体等による避難指示が出たら速やかに従って避難します。
また、30mm以上の雨量では、通勤・通学も危険です。会社や学校に連絡して、在宅勤務や休校の措置を確認しましょう。自分の命を守ることを最優先に行動してください。
関連人気記事:大雨に備えよう!下水の逆流対策から身を守るための水害対策まで紹介
4.雨量の目安による車の運転への影響|安全運転の判断基準
雨の日の運転は、晴天時と比べて視界や路面状況が大きく変わります。ここでは、雨量ごとの運転への影響と、安全運転の判断基準を見ていきましょう。
●10mm未満|早めのブレーキを心がければ問題ない
1時間に10mm未満の雨であれば、通常の運転が可能です。
ただし、路面が濡れているため、晴天時よりも制動距離(ブレーキしてから止まるまでの距離)が長くなります。とくにすり減ったタイヤは要注意。JAFの雨天時ブレーキテストでは、8割ほど山がすり減ったタイヤで、時速100kmからブレーキをかけたときの制動距離が1.65倍となりました。
路面が濡れ始めた直後は、路面の油分が浮き上がって特に滑りやすくなります。降り始めの雨には特に注意して運転しましょう。
●10〜30mm|ワイパーを速くしても見づらい
1時間に10〜20mm程度の雨になると、ワイパーを最速にしても視界が悪くなります。フロントガラスに雨が激しく打ち付け、前方の車や信号が見えにくくなるためです。車間距離を十分に保ち、速度を落として普段よりも慎重に運転しましょう。
また、この雨量では歩行者や自転車も見えにくくなります。ヘッドライトを転倒して視界を確保しつつ、交差点や横断歩道ではとくに注意して徐行してください。
●30〜50mm|高速走行すると車輪と路面の間に水膜が発生して危険
1時間に30〜50mm程度の雨は道路が冠水するリスクが高く、高速走行すると「ハイドロプレーニング現象」が発生する危険性が高まります。
ハイドロプレーニング現象とは、タイヤと路面の間に水の膜ができて、タイヤが路面から浮いてしまう現象です。ブレーキもハンドルも効かなくなり、非常に危険な状態になります。不要不急の運転は避けるべきです。
どうしても運転する場合は大きな水たまりや冠水箇所は絶対に通過せず、常に時速40km以下を目安にゆっくりと走行してください。急ハンドル・急ブレーキはスリップ事故のリスクを高めるため、絶対に避けましょう。
●50mm以上|視界不良で運転を控えるべき
1時間に50mm以上の雨は視界がほとんどゼロになり、数メートル先も見えない状態になるため、運転は絶対に控えるべき雨量です。既に運転中の場合は、安全な場所に停車し、雨が弱まるまで車内で待機してください。
このレベルの雨になると、道路の冠水により車が水没する危険もあります。低地の道路はとくに危険です。もし低い位置にいる場合は、速やかに水没のリスクがない場所まで避難しましょう。
5.注意すべき危険な雨のタイプ|雨の強さだけでは測れないリスク

雨による災害のリスクは、1時間雨量や総雨量だけでは判断できません。「雨の強さ」以外にも注意すべき3つの危険なタイプの雨について解説します。
●短時間の集中豪雨による「急激な増水」
短時間に集中して降る豪雨は、河川や用水路の急激な増水を引き起こします。晴れていた場所でも、上流で降った雨により突然水位が上がる「鉄砲水」の危険があるためです。短時間の集中豪雨が起きたときに注意すべきポイントをまとめました。
・河川や用水路の近くにいる場合は、すぐに離れる
・上流で雨が降っていないか、気象情報を確認する
・キャンプ場では、川の近くにテントを張らない
・増水した川を見に行かない
気象庁の「雨雲の動き」を確認することで、自分がいる場所の上流で雨が降っているかを把握できます。川の近くにいる時は、こまめに気象情報をチェックしましょう。
●総雨量が多い場合の「土砂災害」
1時間雨量がそれほど多くなくても、長時間降り続いて総雨量が多くなると、土砂災害の危険性が高まります。地盤に水が染み込み、土砂崩れやがけ崩れが発生しやすくなるのです。弱い雨でも長時間続いており、総雨量が多いと感じた場合に注意すべきポイントは以下のとおり。
・気象庁の「土砂災害警戒情報」に注意する
・山や崖の近くに住んでいる場合は、早めに避難する
・斜面から小石が落ちてくる、水が湧き出るなどの前兆現象に注意する
・避難指示が出たら速やかに従う
土砂災害は雨が止んだ後も発生する可能性があります。大雨の後も、しばらくは警戒を続けましょう。
●過去の降雨で地盤が緩んでいる場合の「地盤沈下」
数日前に大雨が降った後に再び雨が降ると、地盤の緩みがさらに進んで危険性が高まります。過去の降雨により既に地盤が水を含んでおり、少しの雨でも土砂災害が発生しやすくなるためです。数日前に大雨があった場合に注意すべきポイントを以下にまとめています。
・数日前に大雨があった場合は、小雨でも警戒する
・気象庁の「土壌雨量指数」を確認する
・少しでも異変を感じたら早めに避難する
土壌雨量指数とは、降った雨が土壌中にどれだけ溜まっているかを示す指標です。気象庁のホームページで確認できるので、大雨の際はチェックしましょう。
参考:気象庁「土壌雨量指数」
関連人気記事:大雨による災害の種類とは?過去の事例から学ぶ家庭でできる対策も紹介
6.大雨では停電のリスクも!Jackery(ジャクリ)ポータブル電源で長期停電に対策しよう

大雨による災害では、停電が発生するリスクも高まります。倒木や土砂崩れによる電線の切断、変電所の浸水など、さまざまな原因で停電が起こるのです。とくに台風や集中豪雨の際は、停電が数日間続くことも。雨量30mm以上の激しい雨では外出が危険なため、自宅で待機することになりますが、停電すると以下のような問題が発生します。
・気象情報や避難情報が確認できなくなる
・夜間の停電で真っ暗になり、避難準備ができない
・冷蔵庫が止まって食品が傷み始める
・エアコンや扇風機が使えず、室内環境が悪化する
そこで用意しておきたいのが、コンセントを搭載する大容量の蓄電池「Jackery(ジャクリ)のポータブル電源」です。万が一コンセントが浸水してしまっても、ポータブル電源があれば安全な場所に移動して家電が使えます。たとえば、以下のようなイメージです。
・スマートフォンを充電して、リアルタイムで雨雲の動きや避難情報を確認できる
・LEDランタンや懐中電灯を使って、夜間でも避難の準備や移動ができる
・テレビ・ラジオで最新の気象情報や災害情報を入手できる
・電気ケトルでお湯を沸かして温かい飲み物を作り、雨で冷えた体を温められる
・電子レンジや炊飯器で、停電が長期化しても温かくて栄養のある食事が取れる
Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は地震をはじめとした大災害の支援活動にも使われている安心のメーカーです。大雨シーズンを迎える前に1台準備しておいて「いざという時の安心」を手に入れましょう。
まとめ
雨量の目安を理解することで、外出や運転の判断が適切にできるようになります。気象庁の分類と、私たちの行動判断の目安を改めてまとめました。
|
1時間雨量 |
予報用語 |
人の受けるイメージ |
人への影響 |
車の運転への影響 |
|
10mm未満 |
- ※「弱い雨」と表現されることが多い |
雨音が聞こえる程度 |
傘があれば外出して問題ない |
早めのブレーキを心がければ問題ない |
|
10mm以上20mm未満 |
やや強い雨 |
ザーザーと降る |
屋外活動は中止を検討すべき |
ワイパーを速くしても見づらい |
|
20mm以上30mm未満 |
強い雨 |
どしゃ降り |
||
|
30mm以上50mm未満 |
激しい雨 |
バケツをひっくり返したように降る |
不要不急の外出は避けるべき |
高速走行すると車輪と路面の間に水膜が発生して危険 |
|
50mm以上80mm未満 |
非常に激しい雨 |
滝のように降る |
視界不良で運転を控えるべき |
|
|
80mm以上 |
猛烈な雨 |
息苦しくなるような圧迫感、恐怖を感じる |
また、大雨による停電に備えて、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源を準備しておくと安心です。1台あるだけで、自分と家族の安心をしっかりと守れます。この機会に、自分に合った1台をチェックしておきましょう。