1.福岡に津波はこないと言われる主な理由
福岡は「津波がこない」といわれる地域ですが、理由は地形とプレート配置、地震の発生メカニズムにあります。ここでは、日本海側の津波リスクが太平洋側と異なる背景を確認しましょう。
●玄界灘の海底地形とプレート配置により津波が発生しにくい環境となっている
福岡が面する玄界灘には、太平洋側のようにプレートが沈み込む海溝型地震の震源域は存在しません。
太平洋側では、海側のプレートが陸側の下に沈み込むことで、海底が大きく動き、巨大津波を伴う地震が発生します。
一方、玄界灘(九州北西部に広がる海域)周辺では、主に内陸や沿岸の浅い場所で地震が発生する地域特性です。そのため、東日本大震災のような津波を引き起こすタイプの地震は起きにくいとされています。
参考
国土交通省|地震発生のしくみ
地震本部|福岡県の地震活動の特徴
●福岡周辺で巨大津波を引き起こす地震が発生しにくいとされている
福岡では過去1300年以上にわたり、巨大津波が観測された記録はありません。679年の筑紫国の地震(M7.0)や2005年の福岡県西方沖地震(M7.0)など、規模の大きな地震は発生していますが、いずれも津波被害は確認されていません。
福岡周辺で発生する地震は、警固断層や西山断層といった内陸型の活断層によるものが中心です。

これらは横ずれを主体とする断層であり、海底を急激に隆起させて津波を発生させるタイプとは異なります。
なお、2005年の福岡県西方沖地震では津波注意報が発表されましたが、観測された津波はゼロでした。このような地震の特徴から、福岡では大きな津波が起きにくいと考えられています。
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2.福岡で津波が発生する可能性と想定ケース

福岡は津波リスクが低いとされていますが、発生する可能性がゼロではありません。遠方の地震や日本海側特有の断層によるケースを確認しましょう。
●南海トラフ巨大地震による間接的な津波影響がある
南海トラフ地震は太平洋側が震源ですが、福岡でも津波の影響を受ける可能性があります。震源から遠く離れていても、津波は広範囲に伝わる性質を持つためです。
福岡県の被害想定は以下のとおりです。
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地域区分 |
対象エリア |
想定される津波 |
想定される影響 |
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瀬戸内海側 |
北九州市・苅田町など |
最大約4メートル |
浸水、建物被害のおそれがある |
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玄界灘側 |
福岡市周辺 |
発生しても比較的小さい |
大きな津波の可能性は低いが注意が必要 |
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豊前・豊後沿岸 |
福岡県東部沿岸 |
津波到達の可能性がある |
浸水や沿岸部の被害が想定される |
太平洋側ほど深刻ではないですが、影響がゼロとはいえません。津波の影響は限定的とされていますが、油断は禁物です。
ハザードマップの確認や避難経路の整理など、できる対策から少しずつ始めていきましょう。
●朝鮮半島沖・日本海側の逆断層地震で津波が到達するケース
日本海側には、海底を隆起させる逆断層型の地震が発生するリスクがあります。1983年の日本海中部地震では、秋田県沖を震源とするM7.7の地震により津波が発生し、日本海沿岸の広い範囲で被害が発生しました。
福岡県の想定では、対馬海峡東の断層や西山断層が動いた場合、玄界灘沿岸で津波が発生する可能性が指摘されています。
福岡市では、最大3.4メートルの津波が最短110分で到達するというシミュレーション結果も公表されています。日本海側であっても、逆断層型地震による津波への警戒が必要です。
3.福岡の津波想定を地域別に確認する(福岡市・糸島市・北九州)
福岡県内でも地域によって津波の危険度は異なります。福岡市・糸島市・北九州市の3つの地域で、想定される内容を確認しましょう。
●福岡市|想定される津波は最大3.4メートル・最短7分で影響がある
福岡市では、西山断層や対馬海峡東側の断層が活動した場合、以下のような被害が想定されています。
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項目 |
内容 |
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最大想定津波水位 |
約3.4メートル |
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津波水位が最も高い地域 |
東区 |
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影響開始時間 |
最短で地震発生から約7分 |
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影響 |
沿岸部の低地で浸水のおそれがある |
影響が出始めるまで約7分しかないため、揺れが収まってから動き出すのでは間に合わないおそれがあります。中央区や博多区でも、2メートル以上の津波が到達する可能性があり、海に近い低地では注意が必要です。
福岡は「津波が来ない地域」と油断せず、事前に避難場所と避難ルートを決めておきましょう。
●糸島市|想定される2〜5メートルの津波と浸水しやすい沿岸部
糸島市は玄界灘に面した長い海岸線を持ち、津波が到達しやすい地形です。福岡県の津波浸水想定では、糸島市沿岸部で最大5メートル程度の津波が想定されています。
糸島半島の北側は玄界灘に直接面しており、西山断層が動いた場合の影響を受けやすい位置にあります。また、平野部が広がっているため、津波が内陸まで遡上して浸水域が広がりやすい点が特徴です。
沿岸部に住宅や農地が広がる地域では、津波到達後の避難が困難になる可能性があるため、事前の備えが欠かせません。
●北九州市|想定される最大5メートル級の津波と危険区域の特徴
北九州市では、南海トラフ地震による津波の影響が想定されており、最大5メートル級の津波が到達する可能性があります。
関門海峡周辺は海峡の狭さから津波のエネルギーが集中しやすく、波高が高くなる傾向もあります。国の最新の被害想定では、従来の想定を上回る津波高が公表されており、警戒が必要です。
沿岸部の区では津波ハザードマップを確認し、避難経路を把握しておきましょう。
参考
北九州市|北九州市で想定されている地震や備えについて
公益社団法人西武海難防止協会|南海トラフの巨大地震に伴う津波シミュレーション結果
4.福岡の津波ハザードマップを使った危険度の確認方法

津波ハザードマップは、自分が住む地域の危険度を視覚的に把握できるツールです。浸水深や到達時間などを確認し、具体的な避難計画を立てましょう。
●浸水深・津波到達時間を色分けで確認する
津波ハザードマップでは、浸水深が色によって区分されており、危険度を一目で判断できます。青色系から赤色系へと色が濃くなるにつれて、浸水深が深くなるのが一般的です。
たとえば、福岡市のハザードマップでは、以下のように段階的に色分けされています。
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色分け |
想定される浸水深 |
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黄緑 |
0.3メートル未満 |
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黄色 |
0.3〜1メートル未満 |
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オレンジ |
1〜2メートル未満 |
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ピンク |
2〜5メートル未満 |
また、津波の到達時間も地域ごとに表示されており、地震発生から何分で津波の影響が始まるかを確認できます。色分けされた地図で、避難の緊急度を確認してください。
●自宅・職場・学校の津波危険度を地図で比較する
津波対策では、自宅だけでなく職場や学校など、日常で過ごす場所すべての危険度を確認する必要があります。自宅以外の行動範囲も含めて、以下のようなポイントを確認しましょう。
・職場が博多湾沿岸部にある場合は津波の影響を受ける可能性がある
・子どもが通う学校や保育園が、浸水想定区域に含まれていないかを確認する
・家族ごとに想定される被害を把握しておく
家族が日中に分散している場合、それぞれの場所での津波リスクが異なります。たとえば自宅が内陸の安全な場所でも、職場が博多湾沿岸部にあれば勤務中の津波リスクがあります。
自宅だけでなく、職場や学校周辺もハザードマップで確認しておくと安心です。避難場所と避難経路を事前に把握しておけば、家族全員が安全に行動できます。
●国土地理院「重ねるハザードマップ」で標高と浸水想定を確認する
国土地理院が提供する「重ねるハザードマップ」では、標高情報と津波浸水想定を重ね合わせて表示できます。ネット環境があれば無料で使え、スマホからもアクセス可能です。標高が低い場所ほど津波の影響を受けやすいため、両方の情報を同時に見ると危険度がより明確になるでしょう。
たとえば避難場所に指定されている施設でも、標高が低い位置にあれば津波が到達する可能性があります。低地や湾の奥など、津波が集まりやすい地形もひと目で把握でき、避難先の安全性を確認できます。
5.福岡の津波災害警戒区域と避難の考え方
福岡県では津波防災地域づくり法に基づき、沿岸部の市町を津波災害警戒区域に指定しています。警戒区域の意味と求められる避難行動を理解しましょう。
●福岡で津波災害警戒区域に指定されている市町一覧
福岡県では平成30年3月30日と7月31日の2回にわけて、県内19の市町を津波災害警戒区域に指定しました。指定されたのは以下の自治体です。
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指定日 |
対象市町村 |
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平成30年3月30日 |
新宮町・古賀市・福津市・宗像市・岡垣町・芦屋町・遠賀町・北九州市・苅田町・行橋市・築上町・豊前市・吉富町・大川市・柳川市・みやま市・大牟田市 |
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平成30年7月31日 |
糸島市・福岡市 |
福岡県の沿岸部に位置する自治体は原則すべて指定対象となっており、玄界灘側から有明海側まで広範囲におよんでいます。
各自治体で避難体制整備の進捗状況に差があるため、自分の住んでいる地域の状況を把握しておくことが大切です。
●津波災害警戒区域と津波浸水想定の違いを整理しておこう
津波災害警戒区域と津波浸水想定は混同されやすいですが、以下のように役割が異なります。
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項目 |
津波浸水想定 |
津波災害警戒区域 |
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性質 |
被害を想定した予測図 |
避難体制整備のための指定区域 |
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内容 |
最大クラスの津波による浸水範囲・浸水深を示す |
浸水想定をもとに設定される区域 |
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目的 |
被害規模を把握する |
避難体制の整備を進める |
津波浸水想定は最大クラスの津波が発生した場合に想定される浸水区域と浸水深を示した「被害の予測図」です。
一方、津波災害警戒区域は浸水想定をもとに、警戒避難体制を特に整備すべき区域として都道府県知事が指定するものです。
浸水想定は危険がおよぶ範囲を示し、警戒区域は避難対策を強化する場所を示しているといえます。
参考:国土交通省|津波防災地域づくりに関する法律における 津波浸水想定について
●福岡が指定する警戒区域で求められる避難行動
津波災害警戒区域内では、津波警報や注意報が発表された際、すみやかに高台または指定された津波避難ビルへ避難してください。区域指定により、各市町村で津波ハザードマップの配布や避難訓練の実施が進められています。
福岡市では影響開始時間が最短7分という地域があり、揺れを感じたら即座に避難を開始する必要があります。
行政による避難場所の整備だけでなく、住民自身が「どこへ逃げるか」「どのルートで向かうか」を事前に決めておく姿勢が命を守るために欠かせません。
警戒区域内に住む場合は、定期的に避難ルートを確認し、家族で共有しておきましょう。
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6.福岡で津波被害を防ぐために準備しておくべき対策

津波から命を守るには、日頃の防災意識と準備が大切です。福岡では津波の影響は比較的少ないとされていますが、災害は想定どおりに起こるとは限りません。ここでは、津波対策で押さえておきたい4つのポイントを解説します。
●津波避難ルートを実地で歩いて確認し到達時間を把握する
避難ルートは地図で確認するだけでなく、実際に歩いて所要時間を測っておきましょう。自宅から避難場所まで徒歩で何分かかるかを把握しておけば、津波が来るまでに逃げ切れるかを判断できます。
津波避難ルートを確認するときのポイントは以下のとおりです。
・夜間・雨天時も想定して歩いて確認する
・街灯の有無や暗い場所がないかをチェックする
・雨天時に路面が滑りやすくならないかを確認する
・道幅が狭い場所を確認する
・水路・側溝が近くにないかをチェックする
・ブロック塀や自動販売機など、倒壊の危険があるものを確認する
津波の被害で通行できなくなる可能性も考慮し、メインルートに加えて別ルートも2〜3本確保しておくと安心です。
●津波発生時に家族が離れている場合の連絡方法と集合場所を決めておく
日中に津波が発生した場合、家族が分散している状況が考えられます。携帯電話の通話は災害時に混雑して使えなくなるため、災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板の使い方を事前に確認しましょう。
集合場所は自宅周辺の避難場所だけでなく、職場や学校の近くにも設定しておきます。たとえば「自宅近くの○○小学校」と「会社近くの△△ビル」といった複数のパターンを決めておけば、状況に応じて柔軟に行動できます。
●津波避難に必要な非常用袋をすぐ持ち出せるよう準備する
津波避難では数分で家を出る必要があるため、非常用袋に以下のものを事前に準備しておきましょう。
・飲料水(500ml×2本程度)
・保存食
・懐中電灯
・モバイルバッテリー
・常備薬
・身分証明書
ただし、重すぎる荷物は避難の妨げになります。成人で10kg程度を目安に、走って運べる重さにまとめてください。
玄関や寝室など、すぐ手に取れる場所に配置しておけば、夜間の避難でも迷わず持ち出せます。
●津波で停電が長期化する場合に備えて電源と照明を準備する
津波による停電は、電力の復旧に時間がかかり数日から1週間以上続く可能性があります。スマホでの安否確認や情報収集、夜間の照明確保には電源が欠かせません。
家庭で必要な最低限の電力は、スマホ充電や照明で1日あたり50〜100Wh程度です。モバイルバッテリーだけではスマホ2〜3回分の充電しかできず、長期停電には対応できません。
ポータブル電源は大容量のバッテリーを内蔵した持ち運び可能な蓄電装置です。容量500Wh以上のポータブル電源があれば、照明や冷暖房器具が使用でき、避難所での生活が過ごしやすくなります。
ソーラーパネルと組み合わせれば、停電が長引いても充電できる点も魅力です。
7.津波発生後の避難生活には「Jackery(ジャクリ)のポータブル電源」が必携

津波発生後の長期停電に備える非常電源を選ぶなら、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源がおすすめです。
避難生活では、スマホの充電や照明の確保、冷暖房の使用など、電力が必要な場面が数多くあります。Jackery(ジャクリ)は全世界で600万台以上の販売実績を持つ信頼性の高いブランドで、軽量モデルなら女性でも片手で持ち運べ、避難時の負担になりません。
使い方も電源ボタンを押してコンセントを挿すだけとシンプルで、機械操作が苦手な方でも簡単に使用できます。
さらに、ポータブル電源とソーラーパネルのセットなら、停電が長期化しても太陽光で充電が可能。しかも、個別に購入するよりお得に揃えられます。
非常時に電源を確保できるよう、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源を備えておきましょう。
まとめ
福岡は津波リスクが低い地域とされていますが、南海トラフ地震や日本海側の逆断層地震により津波が発生する可能性はゼロではありません。
福岡市では最大3.4メートル、北九州市では最大5メートル級の津波が想定されており、油断は禁物です。
津波に備えるには、ハザードマップで危険度を把握し、家族との連絡手段や集合場所を決めるなどの対策をしておけば、いざというときに冷静に行動できます。
停電対策としてJackery(ジャクリ)のポータブル電源を用意し、避難生活でも電力を確保できる環境を整えましょう。