1.リチウムイオンバッテリーの寿命の確認方法
リチウムイオン電池は寿命が来ても、見た目に大きな変化が起きない場合も少なくありません。また寿命は、お使いの状況によっても大きく変わります。リチウムイオン電池はどのような状態になったら、寿命となるのでしょうか。寿命が来た後に行うべき方法も含めて、解説していきます。
●リチウムイオンバッテリーの寿命は「サイクル数」を確認する
リチウムイオン電池の寿命は、「サイクル数」で表されます。サイクル数とは、電池残量0%から100%までの充電を1回として数えた値です。例えば「サイクル数500回」の電池であれば、フル充電と完全放電のサイクルを500回繰り返すことができる性能を意味します。
リチウムイオンバッテリーの種類によって、寿命(サイクル数)は大きく異なります。
● 三元系:500回~2,000回
● リン酸鉄系:2,000回~6,000回
● コバルト系:500回~1,000回
● マンガン系:300回~700回
もっとも寿命が長いのは、リン酸鉄系リチウムイオンバッテリーです。「Jackery(ジャクリ)」のリチウムイオン電池(ポータブルバッテリー)の中でも、最新の「Newシリーズ」や「Plusシリーズ」はリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、最大6,000回の充放電サイクルを実現しています。つまり、充電⇒空になるまで使用を毎日1回ペースで繰り返したとしても、10年以上使うことが可能です。
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●容量が新品の5割~8割に落ちた状態が「寿命」
新品の容量と比べて、5割から8割に落ちた状態がリチウムイオン電池の寿命です。Jackeryポータブル電源の場合、バッテリー容量が新品の7割から8割になった段階を寿命としています。
実際には以下の現象が起きることで、リチウムイオン電池の寿命を知ることになるでしょう。
・充電しても、機器を使える時間が短くなった
・以前よりも充電時間が短くなった
リチウムイオン電池を採用したポータブル電源の寿命については、以下の記事もご覧ください。
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●寿命が来たリチウムイオン電池の容量以外の症状例
リチウムイオンバッテリーが寿命を迎えると、容量の低下以外にもいくつかの症状が現れることがあります。
①充電の進みが遅くなる、充電が完了しない、または急に満充電になる
②通常使用時や充電時に以前より熱くなる
③電池が膨らむ
④残量表示が十分でも突然電源が切れる
⑤機器の電源が入らない、または起動に時間がかかる
⑥電池残量の表示が急激に変動する
これらの症状がひとつでも見られたら、電池が寿命に近づいているサインかもしれません。とくに膨張は発火など事故のリスクが非常に高いです。膨張がみられたら、すぐに使用を中止しましょう。
●一度劣化した(寿命が来た)リチウムイオン電池は回復できない
リチウムイオン電池が一度劣化すると、元の性能に回復させることは基本的にできません。これは内部の化学反応や物理的な劣化が、不可逆的(元に戻せない)変化なためです。
なお、インターネット上では「冷凍庫で冷やす」「特殊な充電方法を使う」などの回復テクニックが紹介されていることがあります。しかし、これらの方法はいずれも科学的根拠に乏しく、むしろ電池の安全性を損なう恐れがあるものです。明らかに劣化してしまったリチウムイオン電池は、交換を検討しましょう。
●リチウムイオン電池の寿命を迎える年数は使用状況によって大きく変わる
リチウムイオン電池の寿命は、電池残量0%から100%まで充電する回数「サイクル数」で示されます。一般的なリチウムイオン電池の寿命とされる「サイクル数500回」は、電池を使い切った後に満充電にする作業を500回行える性能を意味します。もし1回の充電で電池残量を50%増やすだけで済ませるなら、1,000回充電できるというわけです。
このためリチウムイオン電池の寿命を迎える年数は、電池の使用状況に大きく左右されます。「サイクル数500回」の電池を購入して1年半経過した場合、寿命かどうかは日々の使い方により以下のように分かれます。
・毎日電池残量が0%になるまで使い、その都度満充電にしている場合は、寿命
・2~3日に1回充電している場合は、まだ寿命ではない
リチウムイオン電池は、電池残量0%付近と100%付近で劣化しやすいことが特徴です。電池残量が20%の段階で充電し、75%~85%になったら充電を止めることで、寿命を延ばすことが可能です。
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●寿命が来たリチウムイオン電池は交換や本体の買い換えが必要
寿命が来た電池は、交換しなければなりません。電池を簡単に取り外せる機器なら、新しい電池を入手して電池交換を行うことで対応できます。
一方で電池が本体に固定されている製品の場合、交換は簡単ではありません。店舗への持ち込みやメーカーへ送付して、専門の技術者による交換作業を受ける必要があるでしょう。ポータブル電源やモバイルバッテリーの場合は、機器まるごとの取り替えを要するケースも少なくありません。
2.寿命が来たリチウムイオン電池を使い続けるとどうなる?
寿命が来たリチウムイオン電池の処分は、もったいないと感じる方もいるのではないでしょうか?しかし電池を無理に使い続けると、さまざまな不都合が生じます。最悪の場合は発煙や火災などの事故や、ご自身がけがするなどの事態を招くかもしれません。
トラブルを防ぐためには、寿命の状態を知ることが有効です。寿命が到来したリチウムイオン電池を使うとどのような不都合があるか、3つに分けて確認していきましょう。
●充電してもすぐに容量が減り、家電を動かせなくなる
リチウムイオン電池は寿命が来ると、電池に貯められる容量が減ります。新品の電池と寿命が来た電池では、同じ100%でも使える電池残量が異なるわけです。
寿命が来た電池は、同じように家電を使ってもすぐに容量が減り家電を動かせなくなってしまいます。そればかりでなく残量が突然0%になり、電源が切れる場合があることにも注意が必要です。これでは安心して使うことができません。
●家庭用のコンセントなどで充電できない
寿命が来た電池は、いくら充電しても満充電にならないという現象も起こります。何日かけても100%にならない場合は、電池が消耗している可能性があります。
但し満充電にならない理由には、「80%の段階で充電を止める」などの設定がされている場合もよくあります。充電が進まない場合は電池の寿命を疑う前に、機器の設定もご確認ください。
●電池や家電本体が変形する場合もある
リチウムイオン電池は経年劣化により、内部で少しずつガスが発生します。発生したガスは逃げ場がないため電池の内部にたまり、電池の膨らみにつながります。過充電や過放電、高温や低温の環境下では、ガスが貯まりやすいことに注意が必要です。
またリチウムイオン電池を内蔵する機器では、電池の膨らみが本体の変形につながる場合があります。ノートパソコンではキーボードが変形する、電源ボタンを押せないといった故障につながるかもしれません。スマートフォンの場合は、画面や本体の破損につながるおそれもあります。
3.リチウムイオン電池の寿命を伸ばす6つのコツ
せっかく購入した機器は、できるだけ長く使いたいものです。ここからはリチウムイオン電池の寿命を伸ばすコツを、6つに分けて紹介します。
①寿命の長く、自然放電が低い製品やメーカーを選ぶ
長寿命を求めるなら、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用した製品がおすすめです。従来の「三元系リチウムイオン電池」と比較すると、以下のように寿命には大きな違いがあります。
● 三元系:充放電500~1000回程度(1~3年程度)
● リン酸鉄:2000~6000回程度(5~10年程度)
たとえば「Jackery ポータブル電源 500 New」は、6,000回という非常に長いサイクル寿命を実現しています。これは毎日使っても10年以上使える計算で、長期的に買い替えが必要ないことを考えれば非常にコスパのよい製品です。
また、長期保管時の「自然放電」の少なさも寿命に影響します。自然放電が少なければ、頻繁に充電する必要がなくなるためです。バッテリーへの負荷が減り、結果として寿命が延びます。
その点、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源では、業界トップクラスの低自然放電技術を採用。フル充電状態から約1年間放置しても95%の充電量を維持できます。リン酸鉄リチウムイオン電池も採用しているので、非常に長くお使いいただけるでしょう。
②満充電の状態を避ける
リチウムイオン電池の寿命を延ばすためには、満充電(充電100%)の状態を避けることが重要です。満充電の状態は電解液の分解などにより、電池を傷めてしまいます。
バッテリーやポータブル機器のなかには、80%~85%程度で充電を停止できる製品もあります。この機能が搭載されている場合は有効に活用し、電池の劣化を防ぎましょう。
③電池の容量がなくなる前に充電する
リチウムイオン電池では、電池の容量がなくなる前に充電しましょう。電池残量が20%になった段階で充電することをおすすめします。電池残量が0%の状態が続くと、電池を著しく劣化させることが理由です。
リチウムイオン電池は残量が0%になっても、さらに放電を続けます。この状態が続くと放電終止電圧を下回る「深放電」の状態になり、再度充電するとショートの原因となるおそれがあります。これを防ぐ目的で「0V充電禁止機能」を設けているバッテリーでは、深放電になると使えなくなってしまいます。容量が少なくなったら、早めに充電しましょう。
➃高温での保管や使用を避ける
高温での保管や使用を避けることも、寿命を延ばすコツです。リチウムイオン電池は40℃~45℃以上になると、バッテリーの劣化が始まるといわれています。内部にあるリチウムイオンの減少は、劣化の理由に挙げられています。
国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センターが2020年3月に公表した調査報告書「リチウムイオン電池の劣化挙動調査」では、リン酸鉄リチウムイオン電池を保存した場合の劣化試験を行った結果について、以下のように記しています。
温度が25℃の場合400日でも100%の容量を維持しており劣化が進みにくいが、温度が高くなって40度だと400日で94%、60℃だと80%以下と劣化が進みやすくなる。その主な理由として、負極にSEI(Solid Electrolyte Interface)と呼ばれる膜の形成が進み、SEI中にリチウムイオンが捕捉され、移動リチウムの量が減少するため、と考えられる。
引用:国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター「リチウムイオン電池の劣化挙動調査」 p4
高温での保管や使用は不都合な面が多いため、可能な限り常温で使うとよいでしょう。
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⑤パススルー充電非対応の機種では充電中に家電を使わない
これから使おうとする機種がパススルー充電に対応していない場合は、充電中に機器を使わないようにしましょう。充電中は電池が発熱しますが、機器を使う際にも発熱します。充電中に機器を使うと発熱する要因が2つ重なるため、電池の温度がより高くなり劣化を促進するためです。
一方でパススルー充電に対応する機種の場合は、設計により充電中に機器を使っても負荷がかからないようにできます。充電中でも気にせず使える点が強みです。
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⑥保管前には電池残量を60%~80%程度にする
長期保管する場合、電池残量を100%にして保管する、電池を使い切って保管する方法は、どちらも電池を傷めます。一方で電池残量が20%~80%の範囲内であれば、悪影響はありません。保管する際には、電池残量を60%~80%の状態にすることがおすすめです。
また保管中も自然放電により、少しずつ電池残量は減少します。ときどき残量をチェックして、充電し直すと安心です。Jackeryのポータブル電源では、6カ月ごとのチェックをおすすめしています。
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4.長寿命ポータブル電源ならJackery(ジャクリ)がおすすめ!

長く使えるリチウムイオン電池を使ったポータブル電源をお求めの方は、Jackery製品がおすすめです。Jackery(ジャクリ)では、ポータブル電源の寿命を示す「サイクル数」のアップに努めてきました。競合他社と比べても、より長く使えることは特長の一つです。
リン酸鉄リチウムイオン電池を使用するNew・Plusシリーズでは、最大6,000回の充放電サイクル数の長寿命となっています。1日1回使っても、10年以上使えることは魅力的です。
●Jackeryポータブル電源 500 New|約6000回の充放電サイクル数
●Jackeryポータブル電源 1000 New|約4000回の充放電サイクル数
まとめ:使い方と選び方を工夫し、電池を長持ちさせよう
リチウムイオン電池は、寿命の長い電池です。しかし満充電や電池切れの状態、高温での使用は、寿命を縮めることに注意しなければなりません。使い方の工夫で、リチウムイオン電池の寿命を延ばせます。電池残量を20%から85%の間に保つよう、早めの充電を心がけましょう。
またリチウムイオン電池を採用したポータブル電源を選ぶ際、必要な容量ぎりぎりの製品を選ぶと電池に負担がかかります。ゆとりを持ちワンランク上の製品を選ぶことで、電池の寿命を延ばせます。買い換え時期を先送りできれば、トータルコストも下がるでしょう。電池の使い方と選び方を工夫して、電池を長持ちさせましょう。
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