1.ソーラーパネルは台風で飛ぶことがある?耐えられる風速は?

実際に「台風でソーラーパネルが飛んだ」「破損した」といったニュースを目にすることもあります。ここでは、ソーラーパネルの耐風性能と実際の台風被害事例について紹介します。
●ソーラーパネルの耐風圧は「瞬間最大風速62メートル」まで
台風時に、太陽光パネルの耐風圧はJIS規格で定められており、瞬間最大風速62m/s程度の風圧にも耐えられるよう設計されています。
瞬間最大風速62m/sは、気象庁の台風カテゴリ分類で台風の「非常に強い(44~54m/s)」や「猛烈な(54m/s以上)」に該当するクラスにも対応する強度です。
ただし、あくまでソーラーパネル本体と架台が設計どおりに施工され、かつ定期的に点検・固定が前提条件となります。屋根材やボルトの劣化や施工不良があると、設計基準内の風速でも浮き上がったり、飛散したりする危険がある点に留意しておきましょう。
●2024年の台風10号でソーラーパネルに被害があった
2024年の台風10号では、九州・関西地方を中心にソーラーパネルの飛散や落下といった被害が発生しました。
参考:日経BP|台風10号で九州など、太陽光14件、風力2件が被災
多くの事例で共通していた原因は、経年劣化や設置不備、メンテナンス不足です。なかには、設置から10年以上が経過し、架台が腐食していたケースも確認されています。
また、ソーラーパネルの台風被害で、一部は強風によるものだけでなく、飛来物の衝突や屋根ごと剥がれるといった連鎖的な被害も含まれており、周辺住民への二次被害のリスクも無視できません。
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2.台風でソーラーパネルが被害を受けた事例と原因

台風が接近・上陸するたびに、ソーラーパネルの飛散や破損などの被害が報告されています。ここでは実際のソーラーパネルの台風による被害事例をもとに、なぜ台風でソーラーパネルが壊れるのか主な原因を見ていきましょう。
①設置時の施工不良が原因だった
多く報告されているのが、設置時の施工不良による被害です。例えば、ビスの締め付けが甘かったり、防水処理が不十分だったりすると、強風に煽られた際にソーラーパネルが外れるなどのトラブルが発生します。
ある事例では、架台の固定が不十分だったために、風速30m/s程度でもソーラーパネルが飛散しました。
②飛んできた物が直撃した
台風時に、ソーラーパネルが飛ぶのではなく、飛来物による衝突で破損するケースもあります。台風時には屋根材や枝などが空中を舞い、パネルにぶつかることでガラスが割れたり、配線が断線したりするのです。
このようなトラブルは事前に防ぎにくい被害のひとつであり、特に住宅密集地や落下物が多い環境では注意する必要があります。
③基礎に歪みが出た
地面設置型の太陽光発電施設では、架台を支える基礎部分にゆがみが生じて台風で倒壊するケースも報告されています。台風で地盤が緩んだり、水を含んで重さに耐えきれなくなったりすると、土台ごと崩れてしまうこともあるのです。
特に、施工から年数が経っている設備では、設置時に想定していた強度が保たれていない可能性があります。
④周辺機器が水没して使えなくなった
ソーラーパネル本体だけでなく、パワーコンディショナーや分電盤といった周辺機器の水没も大きな問題です。河川の氾濫により発電設備が完全に水没し、復旧に数ヶ月を要した例があります。
台風による浸水被害は感電や漏電にもつながるため、設置場所の地盤や排水計画も重要です。
⑤ソーラーパネルを支える架台が損傷した
ソーラーパネルを支える架台の破損も被害の要因となっています。台風時、ソーラーパネルは風圧をまともに受けやすい構造のため、経年劣化による腐食やネジのゆるみがあると、台風で倒壊するリスクが高まるのです。
金属疲労や錆によって強度が落ちていた状態が後から判明するケースもあり、定期的な点検・補強が不可欠といえるでしょう。
⑥メンテナンス不足が原因だった
台風でソーラーパネルの被害の多くは、メンテナンス不足が原因となっています。例えば、ソーラーパネルの取付金具が緩んでいた、架台が腐食していたといった点は、定期点検で確認・改善できるはずの項目です。
フィルターの目詰まりを確認したり、日々モニターをチェックして発電量に異常がないかチェックしたりなど、日常的にセルフチェックしておくと良いでしょう。
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3.台風でソーラーパネルが飛ばされた場合の対処法

台風によってソーラーパネルが飛ばされた場合、二次被害や感電のリスクもあるため、冷静かつ迅速に対応することが重要です。慌てて自分で復旧を試みるのではなく、安全を最優先に行動しましょう。ここでは、万が一、台風によりソーラーパネルの被害発生時にとるべき基本的な対策を紹介します。
①被害状況を把握する
台風でソーラーパネルが飛ばされた場合、まずは自宅や周辺にどのような被害が出ているかを目視で下記の点を確認しましょう。
● 屋根の上のパネルが落下していないか
● 架台が歪んでいないか
● 周辺に飛散物がないか
ただし、屋根に上ったり、ソーラーパネルに直接触れたりするのは非常に危険です。可能な限り地上から双眼鏡やカメラなどを使って状況を把握してください。
特に、夜間や雨天時は視界が悪く感電の危険もあるため、明るい時間に確認するのが基本です。
②漏電防止で電源をオフにする
台風で破損したソーラーパネルや配線に通電していると、漏電やショートによる火災や感電事故が発生する恐れがあります。被害が確認できた場合は、パワーコンディショナーの電源をオフにして、システム全体の電力供給を遮断しましょう。
万が一、どこが損傷しているか不明な場合でも、安全のために一時的に電源を切ることが推奨されています。
③業者に連絡する
台風でソーラーパネルが飛ばされた場合、自己判断で修理や撤去を行うのは危険です。被害が発生したら、施工業者や太陽光発電の保守点検業者へ直ちに連絡しましょう。
ソーラーパネルの状態や損傷レベルをプロの目で判断してもらい、必要に応じて修理や機器の交換を依頼してください。メーカー保証やアフターサービスを受けるためにも、記録用に写真を撮っておくとスムーズです。
④飛ばされたソーラーパネルを回収する
台風によってソーラーパネルが敷地外へ飛散した場合は、自分で回収に行くのではなく、業者や行政に連絡するようにしてください。破損したソーラーパネルには鋭利な破片が残っていることも多く、触れると怪我をする危険があります。
また、通電状態が続いていると感電の恐れもあるため、一般の方が安易に近づくのは厳禁です。敷地内に落ちている場合でも手袋を着用し、可能なら金属部分には触れずに保管してください。
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⑤補償や保険を確認する
ソーラーパネルの飛散や破損による損害は、加入している下記の保険で補償を受けられる場合があります。
● 火災保険
● 動産総合保険
● 住宅用太陽光保険
なかには、風災や飛来物による損害が対象となっている保険もあります。契約内容を確認し、必要に応じて保険会社に連絡しましょう。万が一第三者に被害を与えてしまった場合には、個人賠償責任保険の対象になるかどうかも確認しておくと安心です。
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4.ソーラーパネルが台風で飛ばされないための対策4選

近年、台風による住宅や施設に設置されたソーラーパネルの被害が目立っています。強風によるパネルの飛散は設備の損傷だけでなく、周囲への二次被害や火災の原因にもなりかねません。ここでは、台風でソーラーパネルが飛ばされないための具体的な対策を紹介します。
①台風シーズン前に点検する
まず重要なのが、台風シーズン前の点検です。6月~10月の台風発生シーズンに入る前にソーラーパネルや架台の固定状態、ボルトの緩み、錆や腐食の有無をチェックしておきましょう。
専門業者による目視点検とあわせて、ドローンや赤外線カメラによる診断も効果的です。点検を怠ると、風速が想定以下でも被害を受ける可能性がある点に留意しておきましょう。
②定期的なメンテナンスで状態を把握する
ソーラーパネルの日常的なメンテナンスの積み重ねが、台風の被害を未然に防ぐ最も効果的な手段です。架台の塗装剥がれやネジの緩み、設置角度のズレなどは一見わかりにくいですが、強風時の耐久性に大きな差が生まれます。
特に10年以上経過したシステムでは、素材劣化や設置精度の低下が見られるケースが少なくありません。半年から1年に一度はプロの業者の点検を受け、状態を把握しておくことが推奨されています。
③地域の災害リスクを調べておく
住んでいる地域の風害・洪水リスクを事前に把握しておくことも重要です。国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」や自治体が公開する防災マップを活用し、自宅のある地域が台風による暴風や浸水の危険性が高いかを確認しましょう。
高台や開けた場所にある場合は、強風対策も必須です。入手した情報を踏まえて設置時にソーラーパネルの向きや高さを調整すれば、トラブルのリスクを抑えられます。
④保険に加入する
万が一に備えて、自然災害による損害を補償する保険への加入も検討しておきましょう。住宅用太陽光発電システムには、火災保険や動産保険で風災・飛来物の被害をカバーできるプランがあります。
また、個人賠償責任保険と組み合わせることで、他者への損害も補償可能です。補償対象や上限金額、免責条件などを事前に確認し、自分に合った保険を選びましょう。
関連記事:ソーラーパネルの寿命は?少しでも長持ちさせる方法を解説
5.天気が良いときだけ外に出して使える「Jackery Solar Generator」の選択肢

台風でソーラーパネルが飛ばされるのが心配な場合には、据付型の太陽光パネル蓄電池と比べて持ち運びるできるソーラー発電機「Jackery Solar Generator」シリーズがおすすめです。
ポータブル電源と折りたたみ式ソーラーパネルがセットになっており、晴れた日中に外へ出して短時間で効率よく発電・蓄電できます。使用しないときは屋内に収納できるため、風雨や紫外線による劣化リスクを軽減できるのも魅力です。
持ち運びやすく移動も簡単で、アウトドアや非常時用にも活躍します。スマホやパソコンの充電がなくなったときや、夏場に扇風機や冷蔵庫を使いたいときにもあると便利なので、台風の備えとしての導入を検討してみてください。
6.ソーラーパネルの台風対策に関するQ&A
ここでは、ソーラーパネルの台風対策に関連した疑問についてQ&A形式で解説します。
①太陽光パネルの飛散防止対策はどこに相談できる?
施工業者やメーカー、または電気工事士資格をもつ保守点検業者に相談するのが基本です。特に設置から年数が経過している設備では、風に耐えうる状態かどうかを専門家に確認してもらうことが推奨されています。
②水上メガソーラーでも台風の被害を受ける?
2019年の台風15号では、千葉県の貯水池に設置された浮体式ソーラーが暴風により一部流出・炎上し、周辺住宅にも影響を及ぼしました。浮体構造や係留設備の強化、定期点検が重要である点が再確認できた事例です。
参考:日経BP|台風で損壊して出火した千葉・水上メガソーラーが復旧、アイランドを6分割
③台風時、太陽光パネルで火災が起きる原因・対策は?
台風時、ソーラーパネルで火災が発生する主な原因は、下記のとおりです。
● 配線の劣化
● 接続不良
● 漏電・ショート
特に、台風でガラスが割れたパネルに通電を続けると、発火リスクが高まります。防ぐには定期点検や雨天時の通電停止、アーク検知機器の導入などが有効です。
7.まとめ
ソーラーパネルは再生可能エネルギーとして注目される一方、台風による飛散や損傷といったリスクも伴います。被害の多くは、設置時の施工精度や定期点検・メンテナンスによって未然に防ぐことが可能です。
災害リスクの高まる現代だからこそ、設備の状態を常に把握し、保険や災害対策も含めて備えておくことが大切といえるでしょう。
万が一の備えとして、ポータブル電源と折りたたみ式ソーラーパネルがセットになった「Jackery Solar Generator」シリーズの導入もおすすめします。天候の良い日にだけ安全に電力を取り込めるため、必要なときに電化製品へ給電できるのがメリットです。設置工事も不要なので、台風対策として導入を検討してみてください。