地震火災を防ぐための対策は?事例から学ぶ教訓と発生時の逃げ方を解説

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地震が起きたとき「火災はどうやって防げばいいのか」「火災が発生したらどう逃げるべきか」と不安に感じていませんか。

 

地震火災の多くは電気が原因で発生しており、命を守るには事前の備えと正しい避難行動が必要です。

 

この記事では、消防庁データや過去の被災事例に基づき、地震火災の原因と防止策、発生時の避難方法を解説します。通電火災対策から避難時の行動まで、地震火災リスクに備えた知識を身につけましょう。

目次
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1.地震火災の原因ランキング|統計から見る実態

地震による火災は複数の要因が重なって発生します。統計データを基に、発生頻度の高い3つの原因を確認しましょう。

再通電のタイミングで発生する通電火災

東日本大震災では、地震による通電火災(電気機器含む)が多くの原因で発生しました。通電火災は停電復旧時に破損した電気機器や、配線に電気が流れると発生します。 

発火源は以下のとおりです。 

転倒した家具で圧迫された配線

損傷した延長コード

倒れたままのストーブ 

総務省消防庁の消防白書でも、電気火災が主な原因と報告されています。とくに強い地震が起きると、電気製品や配線が揺れによって破損するケースが多く見られます。 

避難中の住宅では消火活動が難しく、大きな火災に発展しやすいのが特徴です。

参考:総務省消防庁|令和2年版 消防白書

家具転倒や熱器具との接触で起こる火災

地震の揺れによって家具や家電が転倒し、電気ストーブやヒーターなどの熱器具に接触することで火災が発生するケースが多く報告されています。 

消防防災博物館の資料では、電気ストーブによる出火状況として家具の転倒や物品の落下が主な要因とされています。発火する原因は以下のとおりです。 

本棚から落下した書籍がストーブに接触して出火する

カーテンが倒れたヒーターに触れて着火する

衝撃で転倒したストーブが絨毯や布団など可燃物に触れて燃え広がる 

家具の固定や暖房器具周辺に可燃物を置かない習慣で、地震時の火災リスクを下げられるでしょう。 

参考

内閣府防災情報|地震時における出火防止対策のあり方に関する調査検討報告書について(平成10年7月:総務省消防庁)

消防防災博物館|表2.2.8 電気ストーブの出火状況

東京消防庁|地震時の危険

ガス漏れや調理中の油から起きる火災

地震の強い揺れでガス管が壊れると、漏れたガスに引火して火災が起こる恐れがあります。 

また調理中の天ぷら油がこぼれて発火したり、ガスコンロの火が近くの可燃物に燃え移るケースも多いです。 

炊事の時間帯に地震が発生すると、油鍋の炎上が重大な危険要因になると防災科学技術研究所は指摘しています。とくに冬には石油系暖房器具から火災が起こる危険も増加します。 

火災を防ぐには、ガス器具の安全装置のチェックと調理時の注意が欠かせません。

関連人気記事:地震による二次災害の一覧と対策とは?地震後の対応やペット対策も紹介

参考:国立研究開発法人 防災科学技術研究所|防災基礎講座 災害の危険性をどう評価するか

2.地震火災の過去事例から学ぶ教訓

地震火災の過去事例から学ぶ教訓

過去の大地震では火災が深刻な被害をもたらしました。3つの代表的な事例から、地震火災の特徴と対策のポイントを学びましょう。

能登半島地震で発生した輪島市の市街地火災

2024年1月1日の能登半島地震では、輪島市で約240棟が焼失する大規模な市街地火災が発生しました。電気配線の破損が原因と考えられる火災が、木造住宅の密集地で延焼した事例です。 

火災が延焼拡大した要因は以下のとおりです。 

狭い道路が多く消防車両の進入が困難だった

津波警報の影響で海水を取水できなかった

河川の水位が低下し、消防水利が不足した 

シミュレーション結果によれば、消防活動がなければ焼失面積が倍以上に拡大していた可能性があります。住宅密集地では、道路幅員の確保や消防水利の多重化など地域構造に応じた防火計画が欠かせません。 

参考:総務省消防庁|令和6年能登半島地震において発生した輪島市大規模火災における消防庁長官の火災原因調査

東日本大震災で多発した通電火災

2011年の東日本大震災では、住民が避難所にいる間に電力が復旧し、通電火災を初期消火できずに延焼する事例が多発しました。火災の原因が特定されたなかで、電気が原因のものが最も多く、全体の過半数を占めています。 

多発した通電火災を教訓に、避難時のブレーカー遮断の徹底と感震ブレーカーの導入が推進されています。感震ブレーカーは設定以上の揺れを感知して自動的に電気を遮断するため、不在時の通電火災防止に有効な対策です。 

感震ブレーカーは種類で費用や特徴が異なります。主な種類は以下のとおりです。 

タイプ

価格・特徴

簡易タイプ

・3,000~5,000円程度

・自分で取り付け可能

コンセントタイプ

・5,000円~20,000円程度

・特定のコンセントに設置

分電盤タイプ

・50,000円~80,000円程度

・電気工事が必要だが家全体をカバー

避難時のブレーカー遮断と感震ブレーカーの設置で、災害時の火災リスクを軽減できます。 

参考

内閣府防災情報|大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会

ALSOK|感震ブレーカーとは?後付け設置の必要性とデメリット、補助金制度を解説

内閣府防災情報|都道府県・市区町村における感震ブレーカーの支援制度一覧(令和6年度)

阪神淡路大震災での大規模火災

1995年の阪神淡路大震災では、建物倒壊と火災が重なり約7,000棟以上が焼失しました。神戸市長田区などで古い木造家屋が密集する地域を中心に大規模火災が発生し、延焼拡大しています。 

延焼拡大した原因は以下のとおりです。 

倒壊した建物が道路を塞ぎ、消防車両の進入を妨げた

消火栓の破損によって消防水利が不足した

ケミカルシューズ工場の可燃物が延焼拡大を助長した 

一方で耐火造建物や道路、空地が延焼阻止に効果を発揮した事例も確認されています。被害状況を踏まえ、個人や地域でできる火災対策は以下のとおりです。 

自宅の耐震診断を受け、必要に応じて耐震補強工事を実施する

地域の消防団や自主防災組織に参加し、初期消火訓練を受ける

家庭用消火器の設置と使用方法の習得する

家の周りに可燃物を置かないようにする

個人の備えと地域の連携で、大規模火災の被害を最小限に抑えられます。 

関連人気記事:最大震度の地震に備える!日本の震度の仕組みと過去の地震から学ぶ防災対策

参考:内閣府防災情報|阪神・淡路大震災教訓情報資料集【04】火災の発生と延焼拡大


3.地震火災が起きた時の逃げ方は?発生時の行動ガイド

地震で火災が発生した場合、行動順序と避難方法を知っておくと命を守れます。ここでは、冷静な判断と安全な避難のポイントを見ていきましょう。

火災時の行動の優先順位(初期消火・通報・避難)

地震火災が発生した際は以下の順序で行動するのが基本です。 

1.通報:119番通報と「火事だ」と大きい声で周囲に知らせる

2.初期消火:消火器や水バケツで消火をする

3.避難:消火できない場合は直ちに行う 

まず119番通報を行い、消防に火災発生を知らせます。同時に「火事だ」と大声で周囲の人に知らせてください。 

消火器や水バケツで初期消火を試みます。ただし消火活動は1〜2分程度に留め、効果が見られなければ直ちに避難に切り替えなければなりません。炎が大きくなってからの消火は困難で、逃げ遅れのリスクが高まります。 

消防への迅速な通報と無理のない初期消火の実施が、火災の広がりを防ぐポイントになります。

身の安全を優先すべきケースの判断ポイント

地震の強い揺れが続いている最中に火を消そうとする行動は、転倒や落下物によるケガのリスクが高く大変危険です。自分の身を守るために、以下の点に注意して行動しましょう。

揺れが収まってから火災対応を行う

炎や煙が天井に達した場合は、初期消火では対応できないため消火を諦める

初期消火が失敗した場合は、迷わず避難を優先する

火災の煙は数分で室内に充満するため、迅速に避難行動をとる

炎や煙が天井に達した場合は、初期消火の限界を超えており、一般的な消火器では対応できないため避難を優先します。火災による煙は数分で室内に充満し、一酸化炭素中毒の危険があります。

「まだ消せるかもしれない」という判断が命取りになりかねません。少しでも危険を感じたら消火活動を中断し、速やかに安全な場所へ避難してください。

避難時の基本行動と安全なルート選び

地震火災から避難する際は、次の基本行動を守りましょう。

煙を吸い込まないよう、姿勢を低くして移動する

口や鼻をハンカチやタオルで覆い、有毒ガスの吸入を防ぐ

足元を守るため、必ず靴を履いて避難する

煙は上に上がる性質があるため、床に近いほど比較的安全です。口や鼻をハンカチやタオルで覆い、有毒ガスの吸入を防ぎます。割れたガラスや瓦礫でケガをするリスクがあるため、靴を履いて避難します。

また、移動時はエレベーターの使用を避け、非常階段を利用してください。停電でエレベーターが停止し、閉じ込められる危険があるためです。

避難経路は事前に複数確認し、煙や炎で通れない場合に備えて別のルートも把握しておくと安心です。

4.地震火災に備えて保険は必要?

地震火災に備えて保険は必要?

地震による火災は一般的な火災保険では補償されないため、専用の保険加入が必要です。各保険の適用範囲と費用相場を理解し、火災に備えましょう。

地震保険と火災保険の違い

火災保険では「地震による火災」は原則として補償対象外となっています。地震保険と火災保険の違いは以下のとおりです。

比較項目

地震保険

火災保険

基本補償範囲

地震や噴火、津波による被害と、それに伴う火災・建物倒壊・流失など

火災・落雷・破裂・爆発・風災・雪災など

単独加入

不可(火災保険に付帯する形でのみ契約可)

できる

加入目的

地震・噴火・津波専用リスクへの備え

建物や家財の一般的な災害リスクへの備え

たとえば地震の揺れで倒れたストーブから出火して家が全焼した場合、火災保険だけでは保険金を受け取れません。地震保険は火災保険とセットでのみ契約可能で、地震・噴火・津波による火災・倒壊・流失などの損害をカバーします。

両者は補償の対象が明確に区分されているため、日本のような地震大国ではいずれも加入を考える価値があります。

火災保険につけられる「地震火災費用特約」もある

火災保険に付けられる「地震火災費用特約」という仕組みで、地震による火災の一部を補償可能です。

項目

内容

補償対象

地震・噴火・津波を直接原因とする火災で、建物や家財に損害が生じた場合

支払金額

火災保険金額×5%「30%・50%などのプランもある」

(会社により上限額や設定割合が異なる)

上限額

1事故あたり300万円など

(保険会社により異なる)

支払い条件には上限があり、建物が半焼以上または家財が全焼した場合などに限定されます。あくまで地震保険の補強策として位置づけられ、単独では十分な補償とはいえません。本格的な地震火災対策は地震保険への加入が基本となるでしょう。

参考:三井住友海上|【火災保険】地震火災費用特約は、地震保険と異なりますか?

地震保険と火災保険の費用相場|みんなはいくら払ってる?

地震保険料は建物の構造と所在地によって決まり、全国平均では年間約20,000〜40,000円程度です。

東京都の鉄骨造住宅(保険金額1,000万円)では年間約27,500円、木造住宅では41,100円となります。火災保険は補償内容により幅がありますが、基本的な補償で年間10,000円〜30,000円程度が一般的です。

地震保険の加入率は全国平均で約70%となっており、多くの世帯が地震火災リスクに備えて加入している状況です。地域や建物によって保険料は変動するため、見積もりを取って検討してください。

関連人気記事:火災保険は台風時におりない?請求フローや保険金がおりた事例・金額を紹介

参考

財務省|地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)

損害保険料率算出機構|火災保険契約のうち70.4%が地震保険を付帯(2024年度地震保険付帯率)

5.地震に備えてポータブル電源を選ぶならJackery(ジャクリ)がおすすめ!

地震に備えてポータブル電源を選ぶならJackery(ジャクリ)がおすすめ!

地震で停電が起きたときに備える非常電源を選ぶなら、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源がおすすめです。ポータブル電源とは、コンセントが使える持ち運び式の大容量蓄電池で、停電時でもスマホの充電から冷蔵庫の稼働まで幅広い用途に活用できます。

Jackery(ジャクリ)は防災製品等推奨品マークを取得しており、災害時の信頼性が公的に認められているポータブル電源です。自己放電率が非常に低く365日で5%程度しか減らないため、長期保管でもいざというときに確実に使えます。

ソーラーパネルとセットで使用すれば電力復旧が遅れる災害時でも継続して電力確保が可能です。地震に備える方法として、ぜひ取り入れてください。

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6.地震火災についてよくある質問

地震火災のよくある質問とその答えを確認して、防災対策に役立てましょう。

地震による火災が起きる確率はどれくらい?

地震による火災の出火率は1万世帯あたり0.2~3.0件程度です。これまでの大地震における出火率は、以下のとおりです。

地震名

出火率(1万世帯あたりの出火件数)

関東大震災

2.77

阪神淡路大震災

3.0

東日本大震災

0.44

熊本地震

0.24

近年は出火率が減少傾向にありますが、都市の拡大により世帯数が増加しているため、出火件数は増加する可能性があります。

参考:ナショナルジオグラフィック【解説】「いまだに高い地震火災リスク」、関東大震災から100年

国は地震火災対策でどのような取り組みをしてますか?

国が進めている地震火災対策の取り組みは、以下のとおりです。

感震ブレーカーの普及促進

住宅用火災警報器の設置推進

建物の耐震化・不燃化政策

消防庁では地震火災対策の映像資料やリーフレットを作成し、国民への啓発活動を行っています。地域では消防団や自主防災組織の活動支援や訓練を通じて、防災力向上を進めています。

まとめ

地震火災から身を守るには、通電火災対策と命を守る避難行動が欠かせません。電気が原因の火災が過半数を占めるため、感震ブレーカーの設置や避難時のブレーカー遮断を徹底します。

火災発生時は「通報・初期消火・避難」の順序で行動し、炎が天井に達したら迷わず避難を優先してください。煙を避けるため姿勢を低くし、靴を履いて安全なルートを選んで避難します。

震災時はJackery(ジャクリ)のポータブル電源で停電対策を行い、地震火災リスクに備えた安心の環境を整えましょう。

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