1.なぜ台風は日本に多く来るのか?理由と警戒すべき時期
台風が毎年のように日本にやってくるのはなぜなのでしょうか。背景には、日本列島の地理的な位置と台風の進路を決める気圧の流れが関係しています。
以下では、台風が日本に多く来る理由と警戒すべき時期を解説します。日本が「台風の通り道」になりやすい気象条件について見ていきましょう。
●偏西風と太平洋高気圧の影響で日本が台風の通り道になっているから
日本に台風が多くやってくるのは、日本列島が台風の通り道に位置しているためです。具体的には、「偏西風」と「太平洋高気圧」が台風の進路に大きな影響を与えています。
台風が日本に接近しやすくなる流れは、以下の順で整理できます。
1.北太平洋の暖かい海上で台風が発生する
2.発生初期は、赤道付近の東風に乗って西へ進む
3.北上するにつれて偏西風の流れにのり、進路を東寄りへ変化させる
4.太平洋高気圧の縁を回るように進むため、日本列島へ向かいやすくなる
以上、大気の流れと高気圧の位置関係により日本は台風の通り道となるのが特徴です。
とくに夏から秋にかけては太平洋高気圧の配置が台風の北上と一致しやすいため、日本が通過ルートとなりやすい傾向があります。
ちなみに、世界と比べると日本は台風が上陸しやすい国の3位にランクインしています。
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●毎年夏〜秋にかけて日本に接近し、とくに7〜10月に警戒が必要
台風の発生は1年を通じて起こりうるものの毎年夏〜秋にかけて日本に接近し、とくに7〜10月に警戒が必要です。下図は、月別の台風発生・接近・上陸数の平年値(1991年〜2020年)です。

太平洋高気圧と偏西風の影響が大きく、とくに8月と9月は海面水温が高く台風が発達しやすい環境が整いやすくなります。日本に影響を及ぼす台風が多くなるのは、このためです。
防災の観点からは、7月に入る前に家庭での備えを整えておくことが大切です。とくに小さな子どもや高齢者のいる家庭では、停電や断水時に必要な物資を見直しておきましょう。
●月別の台風発生数一覧|台風が多い時期をチェックしよう
1991年~2020年の月別の台風発生数は以下のとおりで、台風が集中するのは7月〜10月です。
・1月:0.3
・2月:0.3
・3月:0.3
・4月:0.6
・5月:1.0
・6月:1.7
・7月:3.7
・8月:5.7
・9月:5.0
・10月:3.4
・11月:2.2
・12月:1.0
参考:気象庁「台風の平年値」
とくに8月と9月に多く台風が発生します。台風の接近数や上陸数は年によって変動があるものの、7月〜10月に警戒が必要であることは変わりません。
2.日本の台風の特徴
日本の台風の特徴は、以下のような特徴があります。
・強風や豪雨による影響が広範囲に及ぶ
・山地や都市部など地形の違いによって被害の出方が異なる
・高精度な台風進路予測がされることで、進路の変化や勢力の強まりに応じて適切な備えができる
・偏西風や太平洋高気圧の影響により、毎年一定の時期に台風が集中してやってくる
以上のような特徴から、基本的に日本国民は台風に対する防災意識が高い傾向にあります。とくに都市部の公共交通機関は、台風接近に伴い前日から運休を決めることが増えてきました。
日本の台風は自然災害であると同時に、防災の知恵が積み重ねられてきた対象になっています。
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3.台風がよく来る地域と、あまり来ない地域はあるの?
日本国内でも、台風がよく来る地域とあまり来ない地域にわかれます。台風がよく来る地域は、以下のとおりです。
・沖縄地方
・九州南部・四国・紀伊半島などの太平洋側
・関東や東海の沿岸部
一方で、台風があまり来ない地域は以下のとおりです。
・東北地方の日本海側
・北海道の内陸部や道北エリア
・中部・近畿の山間部
ただし台風の勢力や進路によっては、台風があまり来ない地域といえども強風や豪雨の影響が及ぶことがあるため油断は禁物です。
過去のデータによると、年間でもっとも台風が接近するのは沖縄地方です。次いで「九州南部・四国・紀伊半島」の接近数が多くなっています。
参考:気象庁「台風の接近数」
とはいっても近年は異常気象や温暖化の影響もあり、従来台風が少なかった地域でも影響が出るケースも考えられます。今後は広い視野での防災対策が必要となるでしょう。
4.過去の日本に大きな被害をもたらした台風事例
過去の日本に大きな被害をもたらした台風事例は、以下の3つです。
●1959年台風第13号(伊勢湾台風)|5,000人超が死亡した史上最悪の台風
伊勢湾台風は、1959年9月26日に和歌山県潮岬付近へ上陸した昭和期最悪の台風です。最大瞬間風速は名古屋市で45.7m/s、伊良湖岬では55.3m/sを記録しています。高潮や堤防決壊によって、名古屋市や三重県桑名市など伊勢湾沿岸に大規模な浸水被害が発生しました。
死者・行方不明者は5,000人を超え、愛知県と三重県だけで4,500人以上の人的被害を出しています。この台風は日本の防災体制を大きく変えるきっかけとなり、災害対策基本法の整備などにつながりました。
参考:気象庁「伊勢湾台風」
●2018年台風21号|最大220万件への大規模停電をもたらした大型台風
2018年台風21号は9月4日に徳島県に上陸後、神戸市付近に再上陸しました。関西国際空港では最大瞬間風速58.1m/sを記録し、滑走路が高潮で浸水しています。連絡橋にはタンカーが衝突するなど甚大な被害が発生しました。
関西電力管内では220万件以上が停電し、鉄道や航空の欠航など交通網も麻痺しています。暴風や高潮による浸水で住家被害が多数発生し、死者11名を含む人的・物的被害をもたらしました。都市機能が大きく損なわれたことで、防災インフラの見直しが加速するきっかけにもなりました。
●2019年台風19号|9万件超への住宅被害をもたらした令和元年の台風
2019年台風19号は非常に強い勢力で伊豆半島に上陸し、関東・甲信・東北地方を中心に甚大な被害をもたらしました。神奈川県箱根町では総雨量が1,000ミリに達するなど、東日本の各地で観測史上1位を更新する大雨が相次いでいます。
この影響で、多摩川や千曲川の堤防が決壊するなど各地で河川の氾濫が発生しています。住宅被害は全国で9万棟以上に及びました。
東京都江戸川区では最大瞬間風速43.8m/sを記録し、大雨特別警報も1都12県に発令されています。電気・水道・交通インフラへの被害も深刻で、早めに避難することや事前の備えの重要性を改めて認識するきっかけとなりました。
参考:気象庁「令和元年東日本台風(台風第19号)による大雨、暴風等」
5.台風への備え方|家庭で取るべき台風対策とは?
台風による被害は突風や大雨だけでなく、停電・断水・交通マヒなど生活インフラ全体に及びます。とくに小さな子どもや高齢者がいる家庭では、事前の対策が被害の大きさに直結するため重要です。
以下では、台風への備えとして家庭でできる現実的な台風対策を紹介します。
●停電に備えてモバイルバッテリーやポータブル電源を用意する
停電に備えて、モバイルバッテリーやポータブル電源を用意しておきましょう。
停電が起きると、照明や冷蔵庫など生活必需品が使えなくなります。モバイルバッテリーは最低限の通信手段確保などに有効ですが、長時間の停電に備えるには大容量でコンセントも使えるポータブル電源が安心です。
ポータブル電源があれば電気ケトルや扇風機も使用可能となり、乳児のミルク作りや夏場の熱中症対策にも役立ちます。
●断水や食料不足に備えて備蓄を見直しておく
断水や食料不足に備えて、備蓄を見直しておきましょう。
台風の影響で断水が起こると、飲み水やトイレの利用に支障が出ます。飲料水は1人1日3リットルを目安に、最低3日分は確保しておくとよいでしょう。
また、カップ麺やレトルト食品など調理不要の食料も備蓄しておくと安心です。トイレ用に非常用簡易トイレを準備しておくと、万が一のときに役立ちます。
●避難場所や家族の連絡手段を事前に確認しておく
万が一自宅での生活が困難になった場合に備えて、避難所の場所や家族の連絡手段を事前に共有しておくことが重要です。
また携帯電話が不通になった場合に備えて、集合場所や安否確認の手段(LINE、災害用伝言板など)を事前に決めておきましょう。とくに小さな子どもや高齢者がいる家庭は、優先順位を決めておくと安心です。
●家財が吹き飛ばされないように補強する
台風による強風は、窓ガラスの破損や屋外設備の倒壊を引き起こします。強風対策として、以下のような対策が有効です。
・窓対策:飛散防止フィルムや養生テープで割れを防止
関連記事:【台風対策】窓ガラスの飛散を防ぐには?強風に強い窓ガラスの種類や必要な防災グッズも紹介
・カーポート:強風での倒壊リスクがあるため、固定具を再確認
関連記事:カーポートの台風対策5選!屋根・柱の補強やロープの結び方も徹底解説
・物干し竿:飛ばされる前に室内へ移動
関連記事:【台風】物干し竿の風対策は?しまい忘れた際の被害やストッパーの危険性とは
・ベランダや庭・家庭菜園:植木鉢やイスなどは片付ける
6.停電時でも安心。家庭の台風対策に「Jackeryのポータブル電源」を
台風による停電対策として注目されているのが、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源です。ポータブル電源はモバイルバッテリーの上位互換でもあり、停電時でも照明や冷蔵庫の電源として使用できます。
Jackery(ジャクリ)は世界累計500万台以上の販売実績を持つブランドで、日本国内でも「防災製品等推奨品マーク」を取得済みです。最大5年の無料保証や日本語サポートが充実していて、初めて導入する方でも安心して使用できます。
コンセントのない場所でも電源が確保できる「現実的な生活防衛策」として、家庭の防災準備に加えておきたいアイテムです。災害時も普段使いもできるJackery(ジャクリ)のポータブル電源で、安心できる備えを始めましょう。
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7.台風が日本に来る時期や来る理由に関するよくある質問
台風が日本に来る時期や来る理由に関するよくある質問は、以下の5つです。
●台風の進路はどうして途中で曲がるの?
台風が途中で進路を変えるのは、偏西風と太平洋高気圧の影響を受けるためです。
台風は発生直後、赤道付近の東風に乗って西へ進みます。しかし北上するにつれて上空の偏西風の流れに入り、進路が東寄りになります。
太平洋高気圧の位置や強さも進路に影響するポイントです。高気圧は台風の動きを遮るため、その縁を回り込むように台風は進みます。
高気圧の張り出しが強いと台風は西寄りの進路になり、弱まると東へ進みやすくなります。上空の風や高気圧の変化により、台風の進路は途中で大きく変わることがあるのが特徴です。
●台風は11月になっても発生するの?特徴は?
数は減るものの、台風は11月以降も発生する可能性があります。11月に日本へ来る台風には、以下のような特徴があるといわれています。
・偏西風が日本付近まで南下してくるため、他の月の台風と比較して速度が速い
・秋雨前線と重なると大雨になりやすい
・勢力を保ったまま上陸することがある
・進路の予測が難しい
台風シーズンは通常10月までとされますが、11月も油断せず気象情報のチェックを続けましょう。
●10月に日本で台風の発生確率は?その特徴は?
気象庁のデータによると、1951年〜2024年まで10月に台風が発生していない年はありません。
参考:気象庁「台風の発生数」
10月に日本へ来る台風には、以下のような特徴があるといわれています。
・偏西風の南下に伴い、比較的速度が速い
・太平洋高気圧の勢力が弱まるため本州付近で東に進路を変えやすくなり、直撃する可能性が高くなる
・秋雨前線が日本付近にある時期に台風が接近すると、大雨になる可能性が高くなる
10月・11月ともに秋の台風は似たような特徴があります。秋になっても油断せず、防災意識を維持することが重要です。
●日本の台風シーズンはいつまで?
日本の台風シーズンは、例年10月下旬〜11月上旬ごろまでが目安です。とくに台風の接近・上陸が多いのは7月〜10月で、8〜9月がピークとなります。
11月にも台風は発生しますが、日本に接近する確率は徐々に下がっていきます。過去30年間の平均でも、11月の発生数は2.2個程度です。
参考:気象庁「台風の平年値」
ただし11月の台風は動きが不規則になりやすく、秋雨前線との重なりで局地的な大雨や冷たい風雨をもたらすこともあります。台風シーズン終盤であっても、油断せずに備えを続けることが大切です。
●日本で台風が一番多い月は?
日本で台風が一番多い月は、8月です。過去30年間の平均で、8月の発生数は5.7個となっています。次いで9月が5.0個、7月が3.7個です。
参考:気象庁「台風の平年値」
8月は海面水温が高く、台風が発達しやすい時期にあたります。また太平洋高気圧が勢力を保ちつつ北に張り出しており、台風がその縁を回って日本に近づきやすくなるのも8月の特徴です。
つまり、8月は台風の発生数も日本への影響もピークになる台風シーズンの中心です。夏休みやお盆期間と重なるため、旅行や帰省の際には最新の進路情報をこまめに確認することが大切です。
まとめ
日本は台風が多く接近する国であり、とくに夏から秋にかけては十分な備えが欠かせません。停電や断水に備えて、家庭でも現実的な対策を進めておくことが大切です。
非常時にも電源がある安心感がほしいと思っている方には、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源がおすすめです。持ち運びができて、好きな場所にコンセントが作れます。防災対策の一環として、チェックしてみてください。