1.自然災害による避難所生活で発生した3つのトラブル事例
自然災害による避難所生活では、主に生活空間やプライバシー、感染症に関するトラブルが多くありました。その中から「平成16年新潟県中越地震」、「平成30年7月豪雨(岡山県)」、「令和6年能登半島地震」で発生したトラブル事例を3つ紹介します。
①生活空間のトラブル事例|平成16年新潟県中越地震
平成16年新潟県中越沖地震では、生活空間に関するトラブルがありました。避難所は、多くの人々が密集して一つの生活空間を共有します。そのため、プライベートの空間がないことに避難者は不満や不安を感じていました。
学校や地域の体育館・ホールなどの大人数が収容できるスペースを避難所として利用するため、以下の問題も浮き彫りになっています。
・避難所が寒い
・避難所のニオイ(特にトイレのニオイ)
・避難所が消灯後も明るい
10月に地震が発生したため、寒いなか避難所生活を過ごした人もいます。また避難所では、多くの人がトイレを利用するうえに定期的な掃除ができませんでした。そのため「トイレ発生するニオイが気になる」という不満の声も挙がっています。また消灯後でも避難所は真っ暗ではなかったため、寝つけなかったという意見もありました。
②プライバシーのトラブル事例|平成30年7月豪雨(岡山県)
平成30年7月に発生した豪雨の影響で岡山県のある避難所では、避難者約2,000人(※1)に対して生活するスペースに余裕がありませんでした。着替える場所や洗濯物を干す場所などのスペースの確保が困難で、「着替えるところを覗かれた」「下着が干せない」などのプライバシーに関するトラブルが発生しています。
プライバシーの空間を確保する間仕切り用の布カーテンを導入するのに、避難所開設から約1週間(※2)かかっています。ただ避難所を大人数で共有するため、プライバシーを完全に確保するのは難しいでしょう。
(※1)参考元:「SeRv|真如苑救援ボランティアサーブ」より
(※2)参考元:「毎日新聞|特集 西日本豪雨」より
③感染症まん延のトラブル事例|令和6年能登半島地震
令和6年能登半島地震では、インフルエンザやノロウイルス・ロタウイルス1などの感染症が避難所で発生しています。地震による断水で安全な水が確保できず、避難所の衛生状態を維持できなかったことが要因として考えられます。
また野外のがれき撤去作業中にケガをして、傷口から汚染された土壌などが原因で破傷風の感染症も報告されました。
参考元:「国立感染症研究所|令和6年能登半島地震による石川県における被害・感染症に関するリスクアセスメント表」より
2.避難所生活でよくある10のトラブル・困ることと対策

大地震や集中豪雨など自然災害で、避難所生活が1週間以上にわたることもあるでしょう。避難所生活が長引くと、さまざまなトラブルや困ったことが発生します。
ここでは避難所生活でよくあるトラブル・困ることを10項目にまとめ、対策も紹介します。
●食料の取り合い|食料をはじめから公平に配分する
避難所では、支給される食料の数は限られています。また、避難所生活が長期化する恐れがあるので、避難者全員に食料が配分されないことも。そのため、避難者のなかには支給時に食料を多く得ようとする人が現れ、避難者同士で食料配分によるトラブルが発生します。
このようなトラブルを防ぐ対策として、食料を公平に配分するルールを決めておくことが重要です。どうしても均等に配分できない場合は、高齢者や子供のような栄養不足のリスクが高い人に優先して食料を配分することで、トラブルを避けられるでしょう。
●救援物資の遅延による食料不足|非常食を用意する
救援物資の遅延による食料不足のトラブルも発生します。避難所に食料が備蓄されていても数に制限があるので、救援物資が遅れると食料不足のトラブルへ発展することもあり得ます。
避難所生活を想定し、常日頃から自宅に非常食を用意しておくと良いでしょう。なお、農林水産省では非常食として、以下の食料品の備蓄を推奨しています。
・レトルト食品(一人5食分)
・備蓄用パン・ビスケット
・板チョコなどの甘いもの
・フルーツ缶詰
非常食は、日常生活で食べるレトルト食品や備蓄用のパンなどを多めにストックしておくのがおすすめです。
参考元:「農林水産省|災害時に備えた食品ストックガイド」より
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●水道管の破裂などが原因の断水|飲料水を用意する
自然災害により、水道管の破裂などが原因で断水するトラブルが発生します。断水になると、避難所でトイレや洗濯・お風呂などの生活用水が使えなくなる場合があります。特に、生きていく上でもっとも必要な飲料水の確保も困難になります。
農林水産省では、目安として一人当たり1日3リットルの飲料水の備蓄を推奨しています。また飲料水の他に、お茶や清涼飲料水など普段から飲んでいる飲み物も一緒に用意してみてください。
参考元:「農林水産省|災害時に備えた食品ストックガイド」より
●電力ストップによる停電|非常用電源を用意する
台風や地震などの自然災害が原因で発電所が被害を受けたり、電線が切れたりなど電力のストップによる停電もあり得ます。停電になると避難所にある電化製品が使えません。そのため避難所の停電も想定して、以下の機器を非常用電源として備えておくと良いでしょう。
・モバイルバッテリー:スマホやタブレットなどの電子機器を充電できる携帯型充電器
・ポータブル電源:コンパクトサイズでラクに持ち運べる、AC電源付きの可搬型蓄電池
ほとんどのポータブル電源にはAC電源(家庭用コンセント)が備わっているので、電気毛布のような暖房器具や、電子ケトルのような調理器具をはじめとする電化製品が使えます。モバイルバッテリーよりはサイズが大きいものの、持ち運びに適したサイズ感で避難所への持ち込みも簡単です。自宅でも、避難所でも、停電になったときに安心して過ごせるでしょう。
当社Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は、「一般社団法人防災安全協会」が推奨する製品のみが認められる「防災製品等推奨品マーク」を取得。震度7の地震にも耐えられる圧倒的な堅牢性で、災害時の非常用電源として活躍します。避難所生活の停電に備えて、ポータブル電源の導入も検討してみてください。
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●話し声による騒音問題|会話の声量を抑える
避難所生活では、避難者の話し声による騒音問題があります。避難者ごとにスペースを分割して一つの空間を利用するため、話し声が原因でトラブルに発展することもあり得ます。対策として、他の避難者に迷惑が掛からないように声量を抑えて会話をしましょう。
●ペットによるトラブル|普段からペットのしつけと健康管理をしておく
避難所生活では「犬の鳴き声がうるさい」「ペットの排泄物が臭い」と、ペットが原因で避難者同士がケンカをするトラブルになり得ます。トラブルを避けるため、ペットの飼い主は普段から、以下のようなしつけと健康管理をすることが重要です。
・「おすわり」や「待て」などの掛け声に合わせてトレーニングする
・キャリーバッグに慣れさせる
・決められた場所で排泄させる
・予防接種をする
・ノミなどの外部寄生虫を駆除をする
・トリミングをする
「おすわり」などのトレーニングをしたり、常日頃からキャリーバッグに入ることに慣れさせておいたりなどをしておけば、むやみに吠えることがなくなり他の避難者に迷惑をかけません。また決められた場所で排泄させることにより、避難所内での糞尿によるニオイのトラブルも避けられます。
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●うつなど精神的な健康への影響|深呼吸・ストレッチ・瞑想でストレスを解消する
避難所生活は日常生活と大きく異なるため、不安や不満が溜まってストレスになります。慣れない生活が長期間にわたると、不安や騒音で睡眠がとれなかったり、食料不足で空腹が続いたりと避難所ではさまざまな精神的な不調が起こりかねません。さらに避難所生活のトラブルに悩まされ心身が不安定な状態になると、うつなどの病気に発展してしまうリスクもあります。
深呼吸・ストレッチ・瞑想でストレス解消をして、精神的な健康を維持することが大切です。また不安を抱え込まないように、友人や家族に相談することでストレスを軽減できるでしょう。
●強盗・クレクレ・性被害などの犯罪|定期的な見張り・巡回でパトロールする
避難所では、強盗や「クレクレ」行為、性被害などの犯罪トラブルが発生する可能性があるため、事前に十分な対策を講じることが重要です。貴重品を常に持ち歩いたり、避難者が共同で貴重品を監視したりと、強盗に遭わないよう対策を立てることが必要です。
また性犯罪の対策も重要ですが、被害に遭うのは女性とは限りません。子供や高齢者だけではなく、男性・障害者が被害にあう事例もあります。避難者が交代で避難所を定期的に見張り・巡回して、性犯罪が発生しにくい環境づくりをしましょう。
●避難所運営者への不満|過度な要求を控え、理解を持つ
避難所では、食料の配給や騒音など生活する上で不便なことが多くあります。避難者は、運営者に対して不満ばかり訴えていると両者の間で言い争いやケンカなどのトラブルが生じます。
トラブルを回避するため、避難所に対して不満があっても運営者に過度な要求は控えるようにしましょう。避難所の状況に理解を持ち、運営者とのトラブルを避けて全員で協力しあうことが重要です。
●コロナなどの感染症|手洗い、咳エチケットを徹底する
避難所はたくさんの人々が集まる空間なので、コロナなどの感染症が発生しやすくなります。そのため、ウイルスに感染して避難所でクラスターが発生しないように衛生環境を整えることが重要です。感染症にかからないように「こまめな手洗い」とマスクを着用するなど「咳エチケット」を徹底し、避難所で感染症がまん延しないように対策をしましょう。
参考元:「厚生労働省|災害時における避難所での感染症対策」より
3.避難所生活で活躍するJackery(ジャクリ)ポータブル電源
自然災害時の避難所生活に備えて、「Jackery(ジャクリ)」のポータブル電源がおすすめです。Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は世界で500万台以上の販売実績があり、たくさんのユーザーから支持されています。
ポータブル電源を使って電気ケトルでお湯を沸かしてカップラーメンを食べたり、電気毛布で暖を取ったりと避難所でも電化製品を動かすことが可能。女性がラクに持てるほど軽量で、家庭のキッチンにある電子レンジよりコンパクトサイズだから避難所へ手軽に持ち運べます。
作動音は就寝中に使っても睡眠の妨げにならないほど静かで、周囲の避難者を気にせず使うことが可能です。避難所で使うことを想定して、自宅に1台Jackery(ジャクリ)のポータブル電源を備えておいてみてください。
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4.女性が避難所生活で2つの困ったことと対策
避難所生活ではプライバシーや騒音などさまざまなトラブルがあるなか、女性が困ったこともありました。特に「生理用品が足らない」「下着の不足」など、女性特有の問題点があります。
ここでは、女性が避難所生活で困ったことを2つ取り上げており対策も詳しく解説しています。災害時は避難所生活になることもあり得るので、把握しておくと良いでしょう。
①生理用品が足らない|1周期分、余分にストックする
内閣府は、2022年度に全国1,700か所の自治体を対象にした生理用品の備蓄がある自治体を調査しています。その結果、全国で82.5%の自治体が生理用品を備蓄していました。
とはいえ、過去には支給された生理用品の数が足らなかったトラブル事例があります。また、個人に必要な数の生理用品が支給されるとは限りません。そのため、災害用に1周期分を余分にストックしておくことをおすすめします。また、デリケートゾーン用ウェットシートや携帯ビデ(携帯洗浄器)も一緒にストックしておくと下半身を清潔に保てるでしょう。
参考元:「内閣府男女共同参画局|10-1.市区町村における常備備蓄の状況」より
②下着の不足、洗濯しても干せない|レスキューランジェリーを備える
突然の災害で、替えの下着を準備できないまま避難所生活になることもあり得ます。また長期間にわたる生活で、避難所にある着替え用の下着が不足することも想定されます。
プライベートの空間がない避難所では、下着を干すことに抵抗がある女性もいました。そのため、災害用にレスキューランジェリーを備えておいてみてください。
レスキューランジェリーとは、周りから中身が見えない専用のバッグに下着と洗剤、少量の水を入れれば簡易的な洗濯と乾燥ができる非常用の下着です。他の避難者や男性の目を気にせずにバッグに入れたまま下着を干せるので、避難所生活でも下着不足に悩む心配はありません。
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5.避難所のトラブル事例に関するよくある質問
避難所のトラブル事例に関して、以下の4つの質問が挙げられます。
・自然災害時は避難所へ行かない方がいいですか?
・避難所生活で困ったことランキングを教えてください。
・避難所に持っていくべき防災グッズリストは?
・避難所のプライバシー問題の事例は何がありますか?
詳しく回答しているので、それぞれ見ていきましょう。
●自然災害時は避難所へ行かない方がいいですか?
自然災害時に、自宅やその周辺に危険がない場合は在宅避難で様子をみてください。ただし、市から警戒レベル3以上(高齢者等避難)が発令された場合は、避難所へ行った方がいいでしょう。
避難所生活には以下のメリット・デメリットがあるので、参考にしてみてください。
メリット |
デメリット |
● 建物が倒壊しにくく、安全を確保できる ● 国や自治体から避難生活のサポートがある ● 災害・復旧状況などの情報収集ができる |
● 集団生活のため、プライバシーの確保が難しい ● 避難者が密集するため、感染症のリスクがある ● 食事・消灯など避難所の時間制限やルールがある ● 強盗や性被害などに犯罪にあうリスクがある |
ただ、災害から身を守るために避難所へ行った方が安全であることは間違いありません。状況を確認し、命の危険を感じた場合は避難所へ避難しましょう。
●避難所生活で困ったことランキングを教えてください。
特定非営利活動法人日本トイレ研究所のアンケート調査によれば、平成28年熊本地震における避難所で困ったことランキングは以下のとおりです。
1.眠れる環境(66%)
2.トイレ(62%)
3.食事(50%)
4.プライバシー(40%)
5.飲みもの(37%)
6.寒さ(34%)
7.ペットの世話(17%)
8.介護(13%)
9.その他(20%)

引用元:「特定非営利活動法人日本トイレ研究所|平成28年熊本地震 「避難生活におけるトイレに関するアンケート」結果報告」より
困ったことで、一番多く回答に挙がったのは「眠れる環境」でした。避難所では集団生活になるため、会話や子供の泣き声、足音・就寝中の避難者のいびきが騒音として考えられます。就寝時は、騒音を軽減できるように耳栓をして対策をすると良いでしょう。
●避難所に持っていくべき防災グッズリストは?
避難所に持っていくべき防災グッズリストは以下のとおりです。
・飲料水(1日一人当たり3リットルを目安)
・非常食(レトルト食品や缶詰など)
・着替え用の衣類
・携帯トイレ
・歯ブラシ
・ウエットティッシュ・ボディーシート
・マスク・アルコール消毒液
また家族に高齢者・乳幼児がいる場合は、服用している薬や紙おむつなども備えておきましょう。
●避難所でプライバシー問題によるトラブルにはどのような事例がありますか?
避難所でプライバシー問題によるトラブルには、以下のような事例があります。
・貴重品の管理
・着替え場所や洗濯物の干し場所
・性暴力などの性被害
避難所では一つの空間を大人数で共有するため、プライベート空間の確保が難しいといえるでしょう。間仕切り板を設置したり、仮設テントやパーティション(※)を設置したりとプライバシーを確保するための対策が必要です。
※パーティション:空間を区切るための仕切りや壁・造作壁・スクリーンのこと
まとめ
避難所では、騒音問題や強盗・性犯罪、感染症などさまざまなトラブルが発生しています。避難所生活を安心して過ごせるように、過去に発生したトラブル事例を把握しておいてください。また食料不足や断水のトラブルの他に、災害による停電で電力がストップすることもあり得ます。
非常用電源としてポータブル電源があれば、避難所でも電気毛布や電気ケトルなどの電化製品が動かせて便利です。避難所生活を想定して、防災アイテムに「Jackery(ジャクリ)」のポータブル電源を自宅に1台備えておきましょう。