1.竜巻とは?仕組みと日本での発生状況|アメリカとの対策の違いも

竜巻は積乱雲から発生する激しい渦巻きで、強力なものは住宅を一瞬で倒壊させるほどの威力です。竜巻の基本的な仕組みと、日本での発生状況を確認していきましょう。
①竜巻が発生する仕組み|積乱雲が原因で渦が生まれる
竜巻は、発達した積乱雲の中で強い上昇気流と大気の回転が組み合わさることで発生する仕組みです。地上付近の暖かく湿った空気が急速に上昇し、上空の冷たい空気とぶつかることで積乱雲が急発達します。このとき、積乱雲がもつ強い上昇気流によって、地上付近にあった弱い渦巻きが上下に引き伸ばされると、細く強い渦となり竜巻が生まれます。

竜巻が発生しやすい気象条件は以下のとおりです。
● 低気圧・前線の通過時:冷気と暖気がぶつかり積乱雲が発達しやすい
● 台風接近時:台風進行方向の右前方で竜巻の発生が多い
● 夏から秋の午後:日射で地面が暖められ大気が不安定になりやすい
竜巻は局地的で短い時間のみ起きる現象です。発生から消滅まで数分以内のケースも多く、事前予測の難しい特徴があります。
関連記事:台風と熱帯低気圧・温帯低気圧の違いは?変化する理由から災害対策まで解説
②日本での竜巻発生件数|年間約20個発生している
気象庁によると、日本では2007〜2023年の平均で年に約20個の竜巻(海上竜巻を除く)が確認されています。市町村単位でみれば「100年に1度」レベルの極めてまれな災害ですが、もし発生すると短時間で大きな被害をもたらします。
参考:気象庁「竜巻による災害」
また、竜巻は平野部で発生しやすいものの「内陸だから安心」とはいえません。2012年のつくば市竜巻、2013年の越谷市竜巻など、都市部や住宅密集地での被害事例も複数あります。
③アメリカと日本の竜巻対策の違い|地下シェルターがない理由
竜巻の対策といえば「地下シェルター」を思い浮かべる方も多いでしょう。アメリカの竜巻多発地帯「トルネードアレー」では地下シェルターが広く普及しており、小学校の建物内にも設置されているケースがあります。一方、日本には地下シェルターはほとんどありません。その主な理由は以下のとおりです。
● 発生頻度の違い:アメリカが年間1,000個以上なのに対し、日本は年間約20個
● 地盤の違い:日本は地下水位が高い地域が多く、地下シェルターの設置が難しい
● 規模の違い:日本の竜巻はアメリカの大型竜巻より規模が小さい傾向がある
ただし「発生頻度が低い」イコール「対策不要」ではありません。いつどこで発生するか予測が難しいからこそ、日常的な備えと情報収集が自分の身を守ることにつながります。
2.竜巻の被害レベルはどれくらい?JEFスケールで知る被害の大きさ
竜巻の強さは「日本版改良藤田スケール(JEFスケール)」という6段階の指標で表されます。気象庁が2016年4月から使用しており、竜巻発生後の被害状況をもとに風速を評定する仕組みです。JEF0〜JEF5の各段階でどのような被害が起きるのか、過去の事例とあわせて確認していきましょう。
①JEF0|窓ガラスが割れる、屋根材が浮き上がる
|
項目 |
内容 |
|
推定風速 |
約25〜38m/s |
|
主な被害 |
目視でわかる程度の木造住宅の損傷が起きる 窓ガラスの損壊が発生する 屋根ふき材の浮き上がりが起きる |
JEF0は竜巻の中でもっとも弱い階級ですが、それでも窓ガラスが割れたり屋根材が飛んだりする被害が起きます。飛来した屋根材が人に当たれば大けがになります。「たいした規模ではない」と油断は禁物です。
②JEF1|屋根材が広範囲で剥がれる
|
項目 |
内容 |
|
推定風速 |
約39〜52m/s |
|
主な被害 |
屋根ふき材が広範囲で剥がれる 軒先・野地板の破損・飛散が起きる もろい非住家の倒壊が起きる |
JEF1になると住宅への被害が本格的になります。2025年9月に茨城県つくば市で発生した竜巻はJEF1に相当し、数件の倒壊・瓦屋根の崩壊など建物被害を引き起こしました。

引用:国土交通省国土技術政策総合研究所 国立研究開発法人建築研究所「令和 7 年 9 月 18 日に茨城県つくば市で発生した建築物等の竜巻被害現地調査報告」
③JEF2|壁が損傷し、小屋組が飛散する
|
項目 |
内容 |
|
推定風速 |
約53〜66m/s |
|
主な被害 |
木造住宅の屋根が浮き上がる 園芸・農業用のハウスが変形・倒壊する 軽自動車やコンパクトカーが横転する |
2019年(令和元年)の台風15号接近時に千葉県市原市で発生した竜巻はJEF2と評定されており、死者1名・負傷者9名、住家の全壊が12件・半壊が23件に上りました。

引用:国土交通省国土技術政策総合研究所 国立研究開発法人建築研究所「令和元年 10 月 12 日に千葉県市原市で発生した建築物等の竜巻被害現地調査報告 」
④JEF3〜5|住宅が倒壊する
|
階級 |
推定風速 |
主な被害 |
|
JEF3 |
約67〜80m/s |
木造住宅が損傷・倒壊する 鉄骨造倉庫の屋根材が浮き上がる 電柱が折れる |
|
JEF4 |
約81〜94m/s |
工場・倉庫レベルの建物の屋根はく離・脱落が発生する |
|
JEF5 |
約95m/s〜 |
低層鉄骨系プレハブ住宅や鉄骨造の倉庫ですら著しく変形・倒壊する |
2025年9月に静岡県牧之原周辺で発生した竜巻がJEF3と評定されており、国内観測史上最大級の竜巻のひとつとされています。この竜巻では牧之原市と吉田町で計2棟が全壊、計159棟が半壊しました。JEF3以上になると、木造住宅はほぼ倒壊し、逃げ遅れれば命に関わる被害が発生します。
なお、JEF4以上の竜巻は1961年の統計開始以降、国内で確認されていません。
参考:日経クロステック
3.気象庁の竜巻注意情報が出たらどうする?場所別の避難方法

気象庁は2008年3月から「竜巻注意情報」の発表を開始しています。竜巻などの激しい突風が発生しやすい気象状況になったと判断された際に、都道府県単位で地方気象台から発表される注意報で、有効期間は1時間です。竜巻注意情報が出たら、すぐに空の様子に注意しながら安全な場所へ移動してください。
なお、竜巻が近づいている可能性があるサインとして以下のような変化があります。
● 空が急に暗くなり、大粒の雨やひょうが降り出した
● 積乱雲(入道雲)の底から筒状・漏斗状の雲が垂れ下がっている
● ゴーッという音や、強い上昇気流を感じる
これらのサインが見えたら、すぐに以下で解説する場所別の行動に移りましょう。
①屋内にいるとき|窓から離れて低い場所へ
屋内にいる場合は、まず窓・ドアから離れるのが最優先です。窓ガラスが割れて飛散したり、飛来物が窓を突き破ったりすることで大きなけがにつながります。
● 窓から離れ、建物の1階中央に移動する
● 浴室・クローゼット・階段下など頑丈な空間に身を寄せる
● ヘルメットや厚い布団・クッションで頭を守る
● 状況が許せば、ガラスのない部屋のドアを閉めて飛散物を防ぐ
2階以上にいる場合は1階に降りてください。上層階ほど揺れと被害が大きくなります。
②屋外にいるとき|頑丈な建物に避難、なければ低い場所に伏せる
屋外はもっとも危険です。竜巻が近づいていると感じたら、迷わず頑丈な建物の中へ避難してください。
● 近くに建物がある場合:すぐに中へ入り、窓のない中央部または低い場所へ
● 近くに建物がない場合:側溝・窪地・低い場所に伏せて頭を守る
● 強風にさらされるリスクが高い橋の下・電柱の陰は絶対に避ける
竜巻は見えている方向に必ずしも進むわけではなく、突然向きを変えることがあります。「遠いから大丈夫」と思わず、できるだけ早く屋内に入ることを優先してください。
③車内にいるとき|車を降りて頑丈な建物へ
車は竜巻に対してほぼ無力です。軽自動車はもちろん、普通自動車でも竜巻に巻き込まれると吹き飛ばされるリスクがあります。
● 竜巻注意情報が出たら運転をやめ、頑丈な建物に避難する
● 建物がない場合は、シートを低くして座席の下にしゃがみ込み、頭を守る
● 橋の下に停車するのは危険なため避ける
なお、竜巻を見かけたからといって追いかけたり、窓を開けて観察したりするのは非常に危険です。必ず逃げることを優先してください。
④学校にいるとき|窓のない中央の部屋や廊下に避難
子どもが学校にいるときに竜巻が発生した場合、避難の基本は「窓から離れて建物の中央へ移動する」です。
● 教室にいる場合:窓から離れ、廊下側の壁際に移動する
● 体育館にいる場合:屋根が飛ばされやすいため、すぐに校舎内へ逃げる
● 運動場にいる場合:頑丈な校舎内へ速やかに避難する
竜巻は発生予測が難しいうえに移動速度が速く、短時間で狭い範囲に大きな被害をもたらす特徴があります。学校防災マニュアルの見直しと、教職員全員が対応を理解しておくことが必要です。保護者の方も、お子さんの学校の竜巻対策マニュアルを一度確認しておきましょう。
⑤マンションにいるとき|低層階の中央部に避難
マンションでは、階数によってとるべき避難行動が変わります。
|
状況 |
行動 |
|
高層階(5階以上)にいる |
1〜3階の廊下・エレベーターホールへ移動 |
|
中低層階にいる |
窓から離れ、部屋の中央または浴室・クローゼットに避難 |
|
エントランス付近にいる |
ガラス張りの出入り口から離れ、内側の柱近くへ |
窓だけでなく外壁ごと破損するケースもあります。上層階は揺れと被害が大きいため、時間の余裕があれば低層階へ移動しておくと安心です。
4.事前にできる竜巻対策
竜巻は突然やってきます。発生してからでは遅いため、ポイントを押さえて平時のうちに対策しておきましょう。
①窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る
竜巻や強風によるもっとも多い家の中での被害が、割れたガラスによるケガです。飛散防止フィルムを窓ガラスに貼っておくと、ガラスが割れても破片が飛び散りにくくなります。
● 100マイクロメートル以上の厚めのフィルムを選ぶと効果が高い
● 窓全面をカバーするように、すき間なく貼るのがポイント
完全に防げるわけではありませんが、被害を最小限に抑える効果が期待できます。
関連記事:窓ガラスに台風対策の養生テープは意味ない!?効果のある正しい貼り方を解説
②雨戸やシャッターを閉める
竜巻注意情報が発表されたら、雨戸やシャッターをすぐに閉めましょう。窓全体を覆うことで、飛来物が直接ガラスに当たるのを防げます。雨戸・シャッターがない窓は段ボールや厚手のカーテンで代用するのがおすすめです。
なお、平時にはわざわざ雨戸やシャッターを開け閉めする機会はあまりないかもしれません。ときどき開け閉めの方法を確認をしておくと、いざというときスムーズです。
③竜巻対策グッズを備えておく

竜巻被害は突然始まり、停電や建物損壊が同時に起きることがあります。以下の竜巻対策グッズをあらかじめ準備しておきましょう。
● ヘルメット:飛来物や落下物から頭を守る
● 防塵ゴーグル・マスク:砂埃や破片から目・気道を守る
● 厚手の手袋:割れたガラスや瓦礫から手を守る
● 毛布・クッション:逃げ遅れたとき頭や体を守るのに使える
● 懐中電灯:停電時の移動に不可欠
● 非常用電源(ポータブル電源):停電が長引いてもスマホの充電切れの心配がない
● 非常食・飲料水:避難生活が長引く場合の備えに
ヘルメットは自転車用の安価なものでもある程度の効果があります。家族全員分を用意しておきましょう。
関連記事:家にある材料で防災グッズ手作り!簡単に作れる防災グッズ18選|材料や道具・作り方
④屋外の物を固定する
竜巻や強風では外に置いてあるものが飛来物となって建物や人に被害を与えます。日頃から屋外の物を固定・片付けておく習慣をつけましょう。竜巻注意情報が出た場合に取り込み・固定すべきものの例をまとめました。
● 植木鉢・プランター
● 物干し竿・洗濯物
● 自転車・バイク
● ガーデン家具・傘立て
普段から収納できるものは片付けておく意識が、竜巻対策の基本です。
5.Jackeryポータブル電源で竜巻による停電に対策しよう!

竜巻が上空を通過すると、電線の切断や変電設備の損傷により停電が発生します。たとえば2013年の越谷市竜巻では、竜巻の影響で埼玉県を中心に約33,000世帯が停電しました。建物の損傷が大きい場合、電力の復旧には数日〜数週間かかることもあります。
参考:テレ朝NEWS「“竜巻”で約3万世帯停電 ガスなど被害報告なし」
停電が起きると、こんな困り事が一度に重なります。
● スマホの充電が切れ、大切な家族・親族・友人との連絡が取れなくなる
● テレビやラジオが使えず、最新の気象情報・避難情報を受け取れなくなる
● 夜間の照明が使えず、真っ暗で危険な中で移動することになる
● 夏場は扇風機・エアコンが止まり、熱中症のリスクが上がる
● 炊飯器や電子レンジが使えず、ご飯も食べられなくなる
こうした停電中に役立つのが、家庭用コンセントと同じAC出力を備えた「Jackeryポータブル電源」です。普段使っている家電をそのまま接続して使えます。排気ガスが出ないため、屋内でも安全に使用可能です。
7年連続で日本国内の売上高・販売台数1位を記録した実績があり、安心してお使いいただくことが可能です。
竜巻による停電は予告なく発生します。停電が長引く避難生活でも使い続けられる一台を、Jackery公式サイトをチェックして今のうちに選んでおきましょう。
まとめ
日本では年間約20個の竜巻が発生しており、都市部や住宅密集地での被害事例もあります。竜巻注意情報が出たら、屋内では窓を離れて建物の低層・中央部へ、屋外や車内では迷わず頑丈な建物の中へ移動するのが身を守る基本です。JEF1相当の竜巻でも建物に大きなダメージが出るため、「自分の地域は大丈夫」と過信するのは禁物です。
飛散防止フィルムの貼り付けや屋外の物の固定、防災グッズと非常用電源の準備は、竜巻が来てからでは間に合いません。今日のうちに一つずつ備えを見直しておきましょう