火山灰対策9選!国の取り組み事例や噴火の影響も紹介

シェア

日本には111の活火山があり、世界の活火山全体の約7%が集中しています。噴火はいつ、どの火山で起こるか分かりません。火山が噴火すると、火山灰が広い範囲に降り注ぎ、私たちの生活にさまざまな影響を与えます。

 

JICE「国土を知る / 意外と知らない日本の国土」 

引用:JICE「国土を知る / 意外と知らない日本の国土」 

 

この記事では、火山灰から身を守るための対策を、噴火前と噴火後に分けて詳しく解説。また、備えておきたい火山灰対策グッズや、国が取り組んでいる対策も紹介します。もしもの噴火に備えて確認しておきましょう。

目次

1.火山灰の危険性は?健康・建物・ライフラインへの悪影響

 

火山灰は見た目は灰や砂のように見えますが、実は小さなガラスの破片と同じです。そのため、人体や建物、電気や水道などのライフラインに多くの被害をおよぼします。どんな被害があるのか、具体的に見ていきましょう。

呼吸器や目・皮膚への健康被害

とくに呼吸器や目、皮膚は、火山灰による被害を受けやすいです。火山灰による健康被害の例を以下にまとめました。 

目の角膜が傷つく

喉の痛みや咳が出る

花が炎症を起こし鼻水が出る

呼吸が苦しくなる

気管支炎やぜんそくの症状が悪化する

皮膚の痛みや腫れが起きる

参考:防災科学技術研究所「火山灰の健康影響」 

とくに、コンタクトレンズを着けている人は、レンズと眼球の間に火山灰が入り込むと失明のリスクもあります。また、呼吸器系の持病がある人は、火山灰が肺に入ると悪化する可能性が高いです。火山灰が降っている時は、マスクや防護メガネで身を守りましょう。

屋根や建物の損傷・倒壊のリスク

火山灰は見た目以上に重く、1平方メートルあたり約10〜20kgの重さになるといわれています。これが屋根全体に積もると、数トンの重さになることも。建物には以下のような影響があります。 

とくに木造住宅の場合は倒壊の危険性がある

屋根の素材によっては、重みで歪みや破損が生じる

火山灰に含まれる成分が金属を腐食させる

雨どいが詰まり、排水不良を起こす 

特に古い木造の建物や、屋根の傾斜がゆるやかな建物は被害を受けやすいです。火山灰が降り続けているときは、定期的に屋根の灰を取り除く必要があります。

水道や電気などのライフラインの停止

火山灰はライフラインにも、以下のような深刻な被害を与える可能性があります。 

電力設備(電線や変圧器)に火山灰が付着し、停電が発生する

水道の浄水場に火山灰が混入し、水質悪化や断水につながる

下水管に大量の火山灰が流れ込み、排水不良や管の詰まりを起こす

通信設備のアンテナに火山灰が付着し、通信障害が発生する

道路や線路が火山灰で覆われ、交通網が麻痺する 

実際に、2016年に熊本県と大分県の県境にある「阿蘇山」が噴火した際には、噴火の20分後に約2万9,000戸におよぶ停電が発生しました。ライフラインの停止に備えて、飲料水や非常食、非常用電源などの備蓄をしておくことが必要です。 

参考:経済産業省「平成28年に発生した 事故・災害への対応等について」

関連人気記事:火山による災害を事例つきで解説!被害を抑えるための防災対策7選

2.噴火前にできる火山灰対策・取り組み5選

 

火山噴火は多くの場合に前兆現象があり、実際に噴火が起きる前に対策できる可能性があります。とはいえ、噴火までの時間は限られるので、普段から対策をしておくのがポイントです。そこで、まずは噴火前にできる対策を5つ紹介します。 

参考資料:https://www.ms-ins.com/special/bousai/taisaku/tips_07/

参考資料:https://www.tokiomarine-ichido.co.jp/world/egao/taio/volcano/measures.html

家の近くの活火山について知る

自分の住んでいる地域の近くにどんな火山があるのか、過去にどのような噴火があったのかを知っておきましょう。想定される被害の範囲や規模がわかります。 

近くの活火山を調べるには、産業技術総合研究所地質調査総合センターが公開する「活火山分布図」を確認するのがもっとも簡単です。日本地図から火山名をクリックすれば、その火山の詳細を確認できます。

 

産業技術総合研究所地質調査総合センター「活火山分布図」

引用:産業技術総合研究所地質調査総合センター「活火山分布図」 

ほかにも、自治体が公開する地域のハザードマップを確認すれば、より詳しい被害想定がわかります。家族と一緒に話し合い、噴火時の避難場所を決めておくと良いでしょう。

非常食や飲料をストックしておく

火山灰により交通網が麻痺して物流がストップしたり、お店が休業したりすることがあります。そのため最低でも3日分、できれば1週間分の食料や水を備蓄しておくのが望ましいです。 

備蓄しておくと便利な食料品や飲料の例を以下にまとめました。 

飲料水(1人1日3リットルが目安)

レトルト食品(カレー、ハンバーグなど)

缶詰(魚、肉、野菜など)

お米(水かお湯を入れるだけの「アルファ米」など非常食タイプもおすすめ)

野菜ジュースや栄養補助食品(サプリ)

お菓子やチョコレート(エネルギー補給に) 

食料品は定期的に消費し、新しいものと入れ替える「ローリングストック法」を活用すると良いでしょう。常に新鮮な備蓄品を確保できるうえ、非常時には慣れ親しんだものを食べられるのでストレスを感じません。

ドアのすき間や窓にテープを貼る

火山灰は小さいものだと100分の1ミリ以下のサイズで、わずかなすき間からも家の中に入ってきます。 

参考:日本火山学会「火山学者に聞いてみよう-トピック編-」 

噴火のおそれがあるときは、事前に以下の方法で窓やドアのすき間をふさいでおきましょう。 

ドアの下部のすき間にタオルを詰める

窓枠のすき間にガムテープを貼る

換気口にフィルターを取り付ける

使っていない部屋の窓やドアは完全に閉め切る

窓を目張りテープで補強する 

ちなみに、窓やドアのすき間をふさいでも、エアコンや換気扇を使うと火山灰を室内に取り込んでしまいます。火山灰が降っている間は使用を控えるのがおすすめです。

電化製品や車にカバーをつける

火山灰は細かい粒子で構成されており、電化製品や自動車などの精密機械に入り込むと故障の原因になります。外に置いている電化製品や車は、事前にカバーをかけておけば被害を軽減することが可能です。 

車には専用の「カーカバー」があります。しかしエアコンの室外機や給湯器は、ちょうどいいサイズのカバーが見つからなかったり、配管が邪魔でしっかりと覆えなかったりするかもしれません。屋外にある機器は、ラップを使ってすき間や吸気口をふさぐと良いでしょう。

噴火警報を確認する

気象庁は火山の状況に応じて、以下の区分に準じた噴火警報を発表しています。 

警報種別

警戒レベル

警戒が必要な事項・とるべき防災対応

特別警報

レベル5:避難

避難

レベル4:避難準備

高齢者等のような要配慮者の避難や、住民の避難準備

警報

レベル3:入山規制

登山禁止や入山規制など、危険な地域への立入規制

レベル2:火口周辺規制

火口周辺への立入規制

予報

レベル1:活火山であることに留意

状況に応じて火口内への立入規制

参考:防災アクションガイド 

噴火の危険性が高まると事前に警報が出されます。テレビやラジオ、気象庁の公式サイトなどで最新の情報を定期的に確認しましょう。地域によっては自治体のスマホアプリなどで噴火警報の情報を受け取れるので、設定しておくのがおすすめです。

関連人気記事:火山灰対策グッズまとめ!健康・住まい・車・避難の必須アイテムを紹介

3.噴火後にする火山灰対策・取り組み4選

 

噴火後にする火山灰対策・取り組み

噴火が発生し火山灰が降り始めたら、すぐに対策を取らないと間に合いません。火山灰による被害を防ぐため、噴火後にやるべき対策を事前に確認しておきましょう。

外出や車の運転を控える

火山灰が降っている最中の外出は、以下の危険があります。 

車線が見えなくなる

火山灰が道路に積もると滑りやすくなる

走行が困難になるほど視界が極端に悪くなることがある

参考:内閣府防災情報のページ「降灰による影響の閾値の考え方」 

緊急の用事がない限り、外出や車の運転は控えましょう。避難を要しないときは、降灰が落ち着くまで自宅で待機するのがベストな選択です。

防塵マスクを着用する

火山灰は非常に細かい粒子で、普通のマスクでは完全に防げません。外に出る必要がある場合は、「N95規格」や「DS2規格」に適合した高性能な防塵マスクを着用してください。 

注意点として、防塵マスクは顔にぴったりとフィットしていないと効果が低くなってしまいます。噴火が起きる前に装着してみて、顔にピッタリ合うものを用意しておきましょう。なお、どうしても顔に合うマスクが用意できない場合は、濡れたタオルを鼻や口に当てることで火山灰を吸わずに済みます。 

参考:国際火山災害健康リスク評価ネットワーク「火山灰から呼吸器を守るために」

防護メガネ・ゴーグルを着用する

火山灰は目に入ると角膜を傷つけます。外に出るなら、防護メガネやゴーグルを着用して目を保護しましょう。スイミングゴーグルや防塵ゴーグルのような、目の周りを密閉できるタイプが効果的です。 

なお、コンタクトレンズを使用している人は必ず外してください。レンズと角膜の間に火山灰が入り込むと、失明につながる角膜剥離を起こすおそれがあります。

屋根の火山灰を適切に処理する

とくに木造住宅では、屋根に火山灰が積もると倒壊のリスクがあります。以下の点を押さえて安全に配慮しながら、早めに除去しましょう。 

ヘルメットや滑り止め付きの靴を着用する

命綱や安全帯を使い転落を防止する

はしごはしっかり固定する

火山灰を落とす前に、周囲に人がいないことを確認する

乾いた火山灰は風で舞い上がりやすいので、軽く水をかけてから除去する 

作業が困難、危険と感じたら、無理をせず専門業者や地域の支援を求めましょう。また、火山灰の重みで屋根が変形していたり、異音がしたりする場合は倒壊の危険性があります。屋根の火山灰を除去するのは諦め、すぐに避難してください。

関連人気記事:富士山が噴火したらどうなる?どこまで影響があるのか想定被害を解説

4.火山灰対策に役立つ!備えるべきグッズ一覧

 

ここでは、火山灰対策に特に役立つグッズをまとめて紹介します。 

防護メガネ・ゴーグル

防塵マスク

ヘルメット

ガムテープ

ラップ

ラジオ

懐中電灯

電池

モバイルバッテリー

ポータブル電源

タオル

毛布・ブランケット

レインコート

手袋

長靴

救急箱

常備薬

掃除用具 

とくに防塵マスクやゴーグルなどの保護具は、火山灰が降り始めたらすぐに使用できるよう、すぐ手に取れる場所に置いておきましょう。また、停電に備えてモバイルバッテリーや、大容量の可搬型蓄電池「ポータブル電源」を用意しておくのがおすすめです。

5.火山灰の影響で停電も!「Jackeryポータブル電源」で対策しよう

 

2016年の阿蘇山噴火の例からも分かるとおり、火山灰の影響で広範囲におよぶ停電が発生するリスクがあります。電気のない生活は想像以上に不便なもの。そこで役立つのが、大容量で持ち運べる、コンセント(AC100V電源)がついた「Jackeryポータブル電源」です。 

Jackery(ジャクリ)ポータブル電源があれば、停電中でも以下のようにさまざまな家電が使えます。 

スマートフォンを充電して家族との連絡や最新の災害情報を確認する

タブレットを充電してゲームで子どもたちの不安を和らげる

ライトで夜間の安全な行動や読書を可能にする

ラジオやテレビで避難指示や降灰状況などの情報を収集する

小型の扇風機で暑い季節の熱中症に対策する

電気毛布で寒い季節の防寒対策をする 

さらに、ソーラーパネルと組み合わせることで、長期間の停電でも繰り返し充電して使うことが可能になります。Jackery(ジャクリ)のソーラーパネルは「IP68」という防水防塵規格に準拠しており、火山灰が内部に入り込んで壊れることはありません。火山灰・噴火対策の一環として、Jackeryポータブル電源を導入して安心を手に入れましょう。 

災害の停電時におすすめのポータブル電源一覧 

6.国が実際に取り組む火山灰対策

 

日本では、火山大国ならではの火山灰対策が国や自治体によって進められています。ここでは、実際に行われている火山灰対策の事例を見ていきましょう。

九州・鹿児島の取り組み事例

鹿児島県は、桜島をはじめとする活火山を抱え、日常的に火山灰と共存している地域です。長年の経験を生かした、以下のような火山灰対策が進められています。 

火山灰に強い瓦やサッシ・換気法の採用

衛星や無人調査ヘリなど調査技術の改良・開発

ヘリによる降灰状況の調査

火山を想定した緊急調査訓練

参考:国土交通省九州技術研究所「火山防災への取り組み内容」 

また鹿児島市では、ロードスイーパーや散水車を使って火山灰の降灰除去対策を実施しています。 

鹿児島市「降灰除去対策」

引用:鹿児島市「降灰除去対策」 

灰を捨てるために用意された「克灰袋(こくはいぶくろ)」という袋があるのも、鹿児島市ならではの特徴です。

富士山噴火に備えた取り組み事例

富士山は日本のシンボルですが、活火山でもあります。前回の大規模噴火(1707年の宝永噴火)では、関東一帯に大量の火山灰が降り注ぎました。現在、富士山の噴火に備えたさまざまな対策が進められています。 

砂防堤防や沈砂池の整備

緊急用コンクリートブロックの備蓄

富士山火山の監視体制強化(周辺市町村へ常に映像が配信されている)

降灰後の土石流の・溶岩流の監視・予測体制の強化

富士山の「リアルタイムハザードマップ」の作成と公開

参考:国土交通省中部地方整備局「富士山噴火に対する取り組み」 

堤防のようなハード面から、監視・情報共有体制のようなソフト面まで対策されているのが特徴。こうした取り組みは、火山噴火による被害を最小限に抑えるために欠かせないものです。

7.火山灰対策のよくある質問

 

火山灰対策に関して、多くの人が気になる質問にお答えします。

家の屋根や窓にできる火山灰対策は?

屋根については、定期的に火山灰を除去するのがもっとも効果的です。安全のためヘルメットと安全帯を装着し、必ず複数人で作業しましょう。窓については、火山灰の侵入を防ぐために以下の対策がおすすめです。 

ドアの下部のすき間にタオルを詰める

窓枠のすき間にガムテープを貼る

換気口にフィルターを取り付ける

使っていない部屋の窓やドアは完全に閉め切る

窓を目張りテープで補強する 

事前に対策して、火山灰による被害を軽減しましょう。

車にできる火山灰対策は?

車を火山灰から守るためには、次のような対策が効果的です。 

降灰が予想される場合は、カーポートやガレージに車を入れる

屋外に駐車する場合は、カーカバーで保護する

エアコンフィルターを事前に点検・清掃しておく

ワイパーゴムの状態を確認し、必要に応じて交換する

燃料タンクを満タンにしておく 

なお、噴火が落ち着き車に積もった火山灰を処理する際、乾いた布などで拭き取ると塗装面に傷がつきます。洗車する前にホースで水をかけて、火山灰を柔らかくしてから洗い流しましょう。

火山灰の処理方法を教えてください。

火山灰は安全のため防塵マスクやゴーグルをつけた状態で、以下の方法で処理しましょう。 

1.火山灰を軽く湿らせる

2.ショベルやほうきで集める

3.丈夫なビニール袋に入れる

4.袋の口をしっかり閉じる

5.自治体の指示に従って処分する

自治体ごとに火山灰の処分方法が指定されているので、お住まいの地域のホームページを確認しましょう。たとえば鹿児島市の場合は、専用の「克灰袋(こくはいぶくろ)」に入れて、専用の「灰ステーション」に捨てる必要があります。 

引用:鹿児島市「降灰除去対策」 

なお、下水管に火山灰を流すと詰まりの原因になります。絶対に下水には流さないでください。

まとめ

 

火山灰は私たちの健康や住まい、ライフラインにさまざまな影響をおよぼします。 

噴火前の対策としては、自分の住む地域の活火山について知り、非常食や飲料水を備蓄しておきましょう。また、ドアや窓のすき間をふさぐ準備や、電化製品・車のカバーの用意も忘れずに行ってください。噴火後は外出や車の運転を控え、やむを得ず外出する場合は防塵マスクや防護メガネを着用して身を守ることが必要です。 

また、火山灰の影響により停電するケースが非常に多いです。ポータブル電源のような非常用電源を用意して、停電中も家電が使えるようにしておくことをおすすめします。Jackeryポータブル電源で、突然の噴火から家族を守りましょう。

関連人気記事
サマーセール|Jackery Japan