1.福祉避難所とは

福祉避難所は、法律にもとづいて市区町村が指定・開設する避難施設です。
- 一般の指定避難所での生活が難しい「要配慮者」のために開設される避難施設
- 令和3年の法改正で「指定福祉避難所」制度ができ、対象者は一般の避難所を経由せず福祉避難所に直接避難できるようになった
制度の全体像を見ていきましょう。
①一般の指定避難所では生活が困難な要配慮者が対象の二次的な避難施設
福祉避難所は、高齢者・障害者・妊産婦・乳幼児など、災害対策基本法で「要配慮者」と定義された人たちを対象にした避難施設です。体育館のような一般の指定避難所では、段差やプライバシーの確保、医療的なケアの面で生活が難しい人がいます。こうした人たちを受け入れるために用意されたのが福祉避難所です。
運営の基準は内閣府の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」で定められています。災害発生直後にまず開設されるのは一般の指定避難所で、福祉避難所はそこから必要に応じて開設・利用される流れが基本です。
②指定福祉避難所は事前に公示され対象者が直接避難できる
令和3年の災害対策基本法改正により、「指定一般避難所」と「指定福祉避難所」が明確に区別されるようになりました。これは、あらかじめ受け入れ対象者を決めたうえで施設名を公示し、対象者が一般の避難所を経由せず直接避難できるようにする制度も新設されています。
それまでは、要配慮者もいったん一般の指定避難所に避難したうえで、市区町村が福祉避難所への移送を個別に調整する必要がありました。指定福祉避難所ができたことで、対象者として事前登録さえしておけば、災害発生時に直接その施設へ避難できるようになっています。
2.福祉避難所の対象者と入所の基準

福祉避難所には、誰でも入所できるわけではありません。
- 対象になるのは、要介護・障害・医療的ケアが必要な人とその家族
- 指定福祉避難所は、あらかじめ受け入れ対象者が決まっている
- 一般の福祉避難所は、市区町村が必要と判断した場合に開設され、入所には個別の調整が必要
対象者の細かい範囲を確認していきましょう。
①対象は要介護・障害・医療的ケアが必要な方とその家族
福祉避難所の対象になるのは、次のような要配慮者と、その支援に必要な家族です。
- 要介護認定を受けている高齢者
- 身体・知的・精神障害のある人
- 医療的なケアが必要な人
- 妊産婦、乳幼児、難病患者・けが人など
なお、対象者本人だけでなく、ふだんから介助や医療的ケアを行っている家族も一緒に避難できるケースが多くあります。ただし対象範囲は市区町村ごとに定められているため、詳しい基準は自治体の窓口やホームページで確認しておきましょう。
②指定福祉避難所は対象者が決まっており誰でも入れるわけではない
福祉避難所のうち「指定福祉避難所」は、避難行動要支援者名簿に登録されているなど、あらかじめ市区町村が定めた基準を満たす人だけが対象です。施設名や受け入れ対象者は事前に公示されているため、対象者以外が避難してきても原則として入所はできません。
これは限られた設備や人員を、本当に配慮が必要な人に確実に届けるための仕組みです。対象になるかどうか分からない場合は、災害が起きる前に自治体へ相談し、必要であれば名簿への登録手続きを済ませておきましょう。
③一般の福祉避難所は市区町村が必要と判断した場合に開設され個別調整が必要
指定福祉避難所以外にも、社会福祉施設などと市区町村が協定を結んで、災害時に福祉避難所として開設する「一般の福祉避難所」があります。
こちらは対象者があらかじめ公示されておらず、災害発生後に市区町村が被害状況や要配慮者の人数を見ながら開設を判断します。入所したい場合も、事前登録だけで直接避難できるわけではなく、一般の指定避難所に避難したうえで、市区町村による個別の調整を経て案内される流れです。
3.福祉避難所への避難の流れ

指定福祉避難所と一般の福祉避難所では、避難までの流れが異なります。
| 種類 | 避難の流れ |
| 指定福祉避難所 | 対象者として事前登録しておけば、災害発生時に直接避難できる |
| 一般の福祉避難所 | まず一般の指定避難所に避難し、市区町村の調整を経て移送される |
同じ「福祉避難所」でも、事前の準備次第で避難のスピードが大きく変わります。以下で詳しく見ていきましょう。
①指定福祉避難所は対象者として事前登録しておくと直接避難できる
指定福祉避難所を利用したい場合は、災害が起きる前に、対象者として自治体へ登録しておかなければいけません。多くの自治体では、避難行動要支援者名簿への登録とあわせて、指定福祉避難所の利用希望を確認しています。
登録が済んでいれば、災害発生時は一般の指定避難所を経由せず、そのまま指定福祉避難所へ避難できます。移動の負担や、慣れない環境で長時間過ごすストレスを減らせるのが、指定福祉避難所の大きなメリットです。
②一般の福祉避難所はまず指定避難所に移動してから市区町村の調整で移送される
一般の福祉避難所を利用する場合は、災害発生直後、まず自宅近くの一般の指定避難所に避難します。そのうえで、避難所の担当者や市区町村に要配慮者がいることを伝え、福祉避難所への移送が必要かどうかを判断してもらう流れです。
市区町村は、要配慮者の状態や各施設の受け入れ可能人数を見ながら、開設する福祉避難所と移送先を調整します。このため、指定福祉避難所と比べると、実際に福祉避難所へ移動できるまでに時間がかかることがあります。「明らかに配慮が必要」な場合は、指定福祉避難所の利用希望を登録しておくと安心です。
3.福祉避難所の課題と在宅避難時の備え

福祉避難所には、制度上の課題も残っています。
- 施設数や受け入れ人数が足りず、対象者全員が入所できるとは限らない
- 入所できない場合に備えて、自宅で電気や食料を確保しておくことが欠かせない
入所できないケースがなぜ起こるのか、その場合に何を準備しておけばよいのか見ていきましょう。
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①施設数・受入人数の不足により入所できないケースもある
福祉避難所として指定・確保されている施設の数は、要配慮者の人数に対して十分とはいえないのが実情です。特別支援学校や福祉施設が福祉避難所を兼ねているケースも多く、施設側の人員や設備にも限りがあります。
大規模な災害が起きると、対象者として登録していても、施設の被災や人員不足によってすぐには入所できないケースが起こり得ます。福祉避難所を「必ず入れる場所」と考えず、入所できない場合の備えもあわせて準備しておくことが欠かせません。
②入所できない場合に備えて在宅での電気や食料を確保しておこう
福祉避難所にすぐ入所できない場合、要配慮者は自宅での避難生活を余儀なくされます。以下のような備えが必須です。
- 水・食料は、要配慮者の食事形態(きざみ食・ミキサー食など)に合わせて備蓄しておく
- 医療的なケアが必要な人は、かかりつけの医療機関や訪問看護と、災害時の電源確保について事前に相談しておく
- スマホを使えるよう、日頃からポータブル電源などの予備の電源を用意しておく
水と食料・電気は、日常生活を維持するのに欠かせないライフラインです。事前に備えておかないと、もし避難できなかった時に後悔するかもしれません。
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4.在宅避難は「Jackeryポータブル電源」で電力を確保しよう

福祉避難所にすぐ入所できず、自宅で過ごすことになるケースは珍しくありません。そんなとき頼りになるのが、コンセント出力を搭載した持ち運び式蓄電池「ポータブル電源」です。ポータブル電源があれば、下記のように在宅避難生活の負担が大きく変わります。
- 照明をつけて、夜間の移動や介助が安全に行える
- スマホを繰り返し充電し、自治体や医療機関からの連絡を受け取れる
- 冷蔵庫を動かし、食事療法が必要な人の食べ物を守れる
- 扇風機や電気毛布を使い、体温調節が難しい人の熱中症・低体温症を予防できる
7年連続で日本国内のポータブル電源市場で売上・販売台数No.1の「Jackery(ジャクリ)」は、容量や出力・サイズの異なる幅広いモデルをラインナップ。業界トップクラスの軽量とコンパクトを実現できているので、自宅で使う据え置き用途にも、避難時に持ち出す用途にも対応します。福祉避難所に入れなかったときの備えとして、自分や家族の状況に合った1台を用意しておきましょう。
5.福祉避難所に関するよくある質問

福祉避難所に関するよくある質問と、その回答をまとめました。
①福祉避難所の場所はどこで確認できる?
福祉避難所の場所は、お住まいの市区町村のホームページや、配布されているハザードマップで確認できます。
指定福祉避難所は対象者が限られているため、一般向けの地図には掲載されず、事前登録した人だけに案内されるケースもあります。自分や家族が対象になるかどうかも含めて、災害が起きる前に自治体の福祉担当窓口へ問い合わせておきましょう。
②福祉避難所の開設期間はどれくらい?
福祉避難所の開設期間は法律で一律には定められておらず、被害の状況や自宅の復旧見込みによって市区町村ごとに判断されます。長期化するかどうかは災害の規模次第のため、短期間で自宅に戻れる場合もあれば、数週間から数か月におよぶ場合もあります。
③福祉避難所の備蓄品には何がありますか?
福祉避難所には、一般の避難所の備蓄品に加えて、以下のような要配慮者向けの物資が用意されています。
- 携帯トイレ・簡易トイレ、サイズ別の紙おむつ・おしり拭き
- 発電機・ランタン
- 感染症対策用品(マスク、消毒液など)
- 毛布・エアマット
ただし、備蓄の内容や量は施設によって差があり、個人の薬やきざみ食・アレルギー対応食といった個別の食事まですべてをまかなえるとは限りません。日頃使っている薬や特別な食品は、各自であらかじめ用意しておく必要があります。
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④日本財団による福祉避難所への補助金(助成)制度とは?
日本財団は、市区町村と協定を結んでいる「協定福祉避難所」を対象に、設備を充実させるための助成制度を実施しています。
助成の対象になるのは、バリアフリー対応の簡易トイレや、要配慮者の受け入れに必要な発電機・蓄電池などの設備です。補助率は80%以内で、設備の種類によって1施設あたり300万〜450万円が上限とされています。
まとめ
福祉避難所は、一般の指定避難所での生活が難しい要配慮者のための施設です。「指定福祉避難所」と「一般の福祉避難所」とでは、対象者の決め方も避難までの流れも異なります。施設数には限りがあり、必ず入所できるとは限らないからこそ、在宅避難への備えもあわせて必要です。停電時の電源確保手段として、Jackeryポータブル電源の用意をおすすめします。