1.東京を襲う可能性が高い南海トラフ地震とは?
南海トラフ地震は、日本の太平洋岸に広く被害をもたらすM8〜9クラスの巨大地震です。震源から約500km離れた東京でも、揺れ・津波・社会インフラへの影響が想定されています。まず地震の概要と発生の可能性を把握しておきましょう。
●駿河湾から九州沖まで続く海溝で発生するマグニチュード9クラスの巨大地震
そもそも南海トラフとは、静岡県の駿河湾から九州東岸の日向灘にかけて延びる海底の溝のことです。この溝ではフィリピン海プレートが陸のプレートの下に年間数cm沈み込み、長年かけてひずみが蓄積されています。

このひずみが限界に達したとき、M8〜9クラスの地震として一気に解放されます。過去1400年の記録を見ると、100〜150年間隔で大地震が繰り返し発生してきました。
2025年3月に内閣府が公表した被害想定では、最悪のケースで全国の死者数は約29万8千人、経済被害は約292兆円にのぼると試算されています。
参考:内閣府「南海トラフ巨大地震最大クラス地震における被害想定について」
日本の歴史上最大規模の自然災害になりうる地震であり、東京都民も他人事ではありません。
●30年以内の発生確率は60〜90%程度以上
政府の地震調査研究推進本部(2025年9月)によると、南海トラフ巨大地震が今後30年以内に発生する確率は「60〜90%程度以上」と評価されています。
同推進本部が設ける3段階の発生確率ランクのうち、もっとも高い「高い(地震発生確率26%以上)」に位置づけられる数値です。前回の昭和南海地震からすでに約80年が経過しており、「30年以内に必ず起きるとは言えないが、1年以内に起きてもおかしくない」状態が続いています。
参考:地震調査研究推進本部|「南海トラフの地震活動の長期評価」を一部改訂しました
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2.南海トラフ地震が起きたら東京はどうなる?被害想定を解説
東京の被害は、震源地に近い東海・近畿地方とは大きく異なります。揺れそのものによる直接被害は大きくありませんが、島しょ部の津波被害と社会インフラへの広域的な影響は深刻です。東京都が令和4年に公表した被害想定をもとに、エリア別に確認しておきましょう。
●都心部の震度はほとんどの地域で5強以下の想定
東京都心部では、南海トラフ巨大地震が発生しても震度5強以下にとどまる地域がほとんどです。区部の東部と多摩地域の東部では震度5強、ごく一部でのみ震度6弱が想定されており、都内の広い範囲で震度6以上の揺れは発生しないとされています。

引用:国土交通省 関東地方整備局|南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定について
揺れによる建物倒壊や火災の直接被害は、首都直下型地震と比べて極めて限定的な見込みです。
ただし、震度5弱程度の揺れでも鉄道は一斉に運転を見合わせます。震源地周辺での被害が大きければ、物流の停止や物資不足が東京でも発生し得ます。「揺れが小さいから安全」とは言い切れません。
●島しょ部は最大30.1mの津波|新島・神津島で甚大な被害
東京都でもっとも深刻な被害が想定されているのは、伊豆諸島・小笠原諸島などの島しょ部です。震源域に近い位置にあるため、巨大な津波が直撃する見込みとなっています。

引用:国土交通省 関東地方整備局|南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定について
島しょ部の津波被害による死者数は最大1,800人、建物被害は最大1,200棟と想定されています。ただし、迅速に避難できれば死者ゼロも可能とされており、津波到達前に高台へ逃げられるかどうかがすべてです。
●東京湾内の津波は最大2.48m|区部では浸水リスクあり
東京湾内に到達する津波は、島しょ部ほど高くはありません。ただし、最大で約2.48mが想定されており、東京湾に面した沿岸地域や河川沿いの低地では大規模な浸水の可能性があります。とくに海抜が低い江東区・江戸川区・墨田区などのゼロメートル地帯は要注意です。

引用:国土交通省 関東地方整備局|南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定について
震源が海上となるため、津波の高さは首都直下型地震よりも南海トラフ巨大地震の方が高くなる可能性があります。湾岸部にお住まいの方は、あらかじめハザードマップで自宅の浸水リスクを確認しておきましょう。
●建物の全壊被害は最大1,300棟の想定
東京都内の建物全壊は最大1,300棟と想定されており、その大部分が島しょ部の津波によるものです。

参考:国土交通省 関東地方整備局|南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定について
震度5強が続く高層階では、建物は倒れなくても「長周期地震動」と呼ばれる長くゆっくりした揺れが発生し、家具の転倒・落下で室内が大きなダメージを受けることがあります。
東日本大震災の際、東京の高層ビルでも什器が飛び交い使用不能になったフロアが相次ぎました。タワーマンションや高層オフィスに住んでいる・働いている人は、長周期地震動のリスクを特に意識して家具の固定などで対策しましょう。
●帰宅困難者が大量発生する見込み|物資不足や避難者受け入れも
都心部での直接的な揺れ被害が小さくても、東京が受ける間接的な打撃は深刻です。震度5弱程度の揺れでも鉄道は一斉に止まり、毎朝数百万人が流入する東京では帰宅困難者があふれかえります。
さらに厄介なのが物流の問題です。東海道新幹線・東名高速道路が長期間使えなくなれば、食料や燃料・医薬品の輸送ルートが遮断され、東京への物資供給が数週間にわたって滞るおそれがあります。近隣の茨城・千葉・神奈川からの避難者が流入し、東京の避難所がひっ迫する可能性も。「東京は直接の被災地ではないから大丈夫」という油断が、いちばんの危険です。
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3.首都直下地震との違いは?南海トラフ地震の方が被害は小さい想定
「南海トラフ地震」と「首都直下地震」は混同されがちですが、東京への影響はまったく異なります。どう備えるべきかを理解するために、2つの地震を比べてみましょう。
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項目 |
南海トラフ巨大地震 |
首都直下地震 |
|
規模 |
M9クラス |
M7.3 |
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震源域 |
駿河湾〜九州沖 |
東京湾北部直下 |
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都心部の最大震度 |
5強〜6弱 |
最大7 |
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都内の死者数 |
極めて限られる |
約6,148人 |
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区部の建物被害 |
極めて限られる |
約194,431棟 |
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島しょ部の津波 |
最大約30.1m |
極めて限られる |
|
帰宅困難者 |
大量発生 |
大量発生 |
2つの地震でもっとも大きな差は揺れの規模と被害の性質です。南海トラフ地震は震源が遠い分、東京での揺れは抑えられますが、首都直下地震は東京の真下で起きるため被害の規模がまったく異なります。それぞれの特徴を把握しておきましょう。
●首都直下地震|震度6強以上・死者約6,000人・建物被害約19万棟
首都直下地震では、区部のおよそ6割で震度6強以上の激しい揺れが想定されています。

東京都の令和4年被害想定によると、被害の内訳は以下のとおりです。
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項目 |
想定値 |
|
建物全壊・焼失 |
約194,431棟 |
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死者数 |
約6,148人 |
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うち揺れによる死者 |
約3,666人 |
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うち火災による死者 |
約2,482人 |
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負傷者数 |
約93,435人 |
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避難者数 |
約299万人 |
死者のうち4割近くが火災による点が特徴的です。木造密集地帯での延焼を防げるかどうかが、被害を左右する最大のポイントとなるでしょう。
●南海トラフ地震|震度5強が中心・直接被害は限定的
一方、南海トラフ巨大地震での東京都心部の震度はほとんどが5強以下です。揺れによる建物倒壊や火災の被害は首都直下地震と比べて大幅に少ない見込みです。
ただし、震源が遠いほど長周期地震動が伝わりやすく、タワーマンションや高層ビルでは家具の転倒・落下が起きやすくなります。家具の固定は南海トラフ地震対策でも欠かせません。
どちらの地震も東京に大きなダメージを与えることは確かです。2つの地震への備えを並行して進めることが求められます。
4.東京で危ない地域・安全な地域はどこ?
南海トラフ地震における東京のリスクは、エリアによって大きく異なります。自分が住む地域にどのようなリスクがあるかを知ることが、身を守る備えの出発点です。
●島しょ部|津波リスクが極めて高い
伊豆諸島・小笠原諸島の住民は、南海トラフ地震でもっとも大きなリスクを抱えています。新島村では最大30.1mもの津波が想定されており、揺れを感じた瞬間に高台へ逃げるのが命を守る唯一の行動です。
島ごとに津波の到達時間や高さが異なるため、自分の島のハザードマップを必ず確認しておきましょう。
●東京湾沿岸|液状化と津波に注意
江東区・江戸川区・墨田区・葛飾区といった東京湾に近い低地エリアでは、液状化と津波の2つのリスクがあります。海抜0メートル地帯では、最大2.48mの津波でも大規模に浸水する可能性大。沿岸部に住んでいる人は、国土交通省の「重ねるハザードマップ」で自宅の津波浸水想定を調べておきましょう。
●都心部・多摩地域|揺れの被害は少なめ・長周期地震動に注意
震源地から離れているため、都心部・多摩地域での揺れによる直接の被害は少ない見込みです。
ただし、高層マンションや高層ビルでは長周期地震動が問題になります。南海トラフのような遠方での大地震は、ゆっくりとした長い揺れを引き起こしやすく、高層階ほど大きく長く揺れ続けるためです。家具の固定が不十分だと、震度の数字以上に室内が荒れてしまうでしょう。
5.南海トラフ地震への備え|東京でやるべき対策
直接的な揺れ被害が少なくても、帰宅困難・停電・物資不足などの間接的な影響は都内全域に及びます。今すぐ取り組める対策を5つ確認しておきましょう。
●ハザードマップで自宅の津波リスクを確認する
国土交通省の「重ねるハザードマップ」を使うと、住所を入力するだけで自宅周辺の津波浸水想定区域・浸水深・避難場所を地図上で確認できます。
東京湾沿岸や島しょ部に住んでいる人は、津波到達時間の目安も各自治体のハザードマップで調べておきましょう。
●防災グッズと備蓄を準備する
南海トラフ地震では東京への物資供給が数週間にわたって滞る可能性があります。発生直後に商品が一気に売り切れるトラブルも過去の大規模地震で繰り返し起きており、「発生後に買い足せばいい」という発想は通用しません。
とくに東京都心部で帰宅困難者になることを想定すると、備えの中身も変わります。リュック一つで数時間〜半日以上外で過ごすことになりうるため、普段から職場・外出先に最低限の備えを置いておくことも有効です。
備蓄の目安は以下のとおりです。
・飲料水:1人1日3リットルを目安に、最低7日分を自宅に常備
・非常食:物資が届かない期間を7日以上と想定し、火を使わずに食べられるものを多めに用意
・常備薬・処方薬:薬局への在庫補充が遅れることを念頭に、2週間分の確保が望ましい
・経口補水塩・保冷剤:夏に発生した場合の熱中症対策に
・毛布など:冬に発生した場合の低体温症対策に
・モバイルバッテリー:連絡や情報収集用のスマホ充電維持に
・懐中電灯:ガラスの割れなどが発生しても安全に歩けるように
食料や水は一括で大量に購入するより、日頃から少し多めに買い置きし使いながら補充する「ローリングストック」がおすすめ。管理しやすく、賞味期限切れも防げます。
●家具の転倒防止対策をする
震度5強でも、固定されていない家具は倒れます。長周期地震動の影響を受けやすい高層階では、通常の震度より大きな揺れが長時間続くため、家具の転倒リスクはさらに高いです。
タンス・本棚・冷蔵庫には転倒防止ベルトやL字金具を取り付け、就寝スペースの頭上や足元に倒れやすい家具を置かないようにしましょう。
●避難場所と避難経路を確認する
自宅から最寄りの避難場所へのルートを、地図やハザードマップを広げながら事前に確認しておきましょう。あらかじめ確認しておいたかどうかで、被災時の避難のスピードは大きく変わります。
あわせて、家族がバラバラに被災する可能性も考えて、連絡手段と合流場所も事前に決めておいてください。携帯電話がつながりにくくなることを前提に、災害用伝言ダイヤル「171」の使い方も確認しておくと安心です。
●帰宅困難者になった時の行動を決めておく
都内には毎日大量の通勤・通学者が集まっており、南海トラフ地震発生時の帰宅困難者は数百万人規模に達する可能性があります。発災時に電車が使えなくなった場合の行動を、職場・学校ごとに事前に決めておきましょう。
・職場や学校での一時待機のルールを確認しておく
・徒歩帰宅が可能かどうかを距離で把握しておく
・帰宅困難者向けの「一時滞在施設」の場所を確認しておく
・スマホの地図アプリで自宅までの徒歩ルートを事前に確認しておく
一時滞在施設では飲食こそ提供されることがあるものの、長時間の滞在になることも想定されます。職場のロッカーや鞄の中に充電ケーブルと小型のモバイルバッテリーを常備しておくと、情報収集と家族への連絡が途切れません。
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6.東京も停電リスク大!Jackeryポータブル電源で電源確保
南海トラフ地震では、東京でも長期停電と物資不足が同時に起きる恐れがあります。物流が止まると電池や充電器は手に入りにくく、非常用電源は事前準備が欠かせません。
家庭用コンセントが使えるポータブル電源なら、停電中でも家電を動かせます。排気や騒音が出ないため賃貸でも使えます。想定される活用例は次のとおりです。
・帰宅困難時のスマホ充電と情報確保
・島しょ部での照明やラジオの電源
・在宅避難時に冷蔵庫を動かし食料を維持
・高層マンションで家族分の端末を充電
・炊飯や暑さ寒さ対策などに使う生活家電の使用
Jackeryは、国内ポータブル電源市場で7年連続No.1のブランドです。南海トラフ地震に限らず首都直下地震への対策としても共通して役立ちます。物資が不足する前に非常用品へ加えておきましょう。
7.まとめ
南海トラフ巨大地震が発生した場合、東京都心部での直接的な揺れ被害は首都直下地震よりも小さい見込みです。一方で、島しょ部では最大30.1mの津波が想定されています。
また、物流の寸断・帰宅困難者の大量発生・物資不足など、島しょ部以外の都民の生活への深刻な影響も覚悟しておかなければいけません。自分が住む地域のリスクを確認したうえで、ハザードマップの確認や備蓄・家具の固定などの対策を今のうちに進めましょう。
南海トラフ地震の30年以内の発生確率は60〜90%程度以上と評価されており、「いつ起きてもおかしくない」状態が続いています。Jackeryのポータブル電源のような非常用電源も含めて、日常の備えを今日からひとつずつ整えていきましょう。