1.雪害(せつがい)の種類と発生原因

雪害とは、積雪や降雪によって引き起こされる災害の総称です。建物の倒壊や交通の乱れ、停電など被害の種類は多岐にわたります。ここでは、雪害の5つの種類と特徴を詳しく解説します。
①積雪害|屋根や建物に積もった雪の重みで倒壊・損傷が発生
積雪害とは、屋根や建物の上に雪が積もり続けることで、重量に耐えきれず構造物が損壊・倒壊する災害です。とくに以下のような建物は、高い倒壊のリスクがあります。
● 老朽化した建物
● 軽量鉄骨造や木造の建物
● 平屋、平屋根の建物
● 古い倉庫、車庫
● 農業用ハウス
屋根の勾配が緩やかな場合や、除雪の間隔が空きすぎると雪が蓄積しやすくなります。降雪量が多い時期は数日おきに屋根の状態を確認しましょう。
計画的に雪下ろしすれば、建物への負担を軽減し、倒壊リスクを大幅に下げられます。
②雪崩害|斜面や山間部で発生し人命を奪う危険な雪の崩落
雪崩害は、山の斜面に積もった雪が不安定になり、一気に崩れ落ちることで発生する雪害です。主に以下のような原因で発生します。
● 気温の上昇や雨による雪のゆるみ
● 急斜面への短期間の大量降雪
● 積雪層の密度や性質の差
気温上昇や降雨によって雪の層がゆるんだり、30度以上の急斜面に短期間で大量の雪が積もったりしたときに、表層雪崩や全層雪崩が起きやすいです。
最大で時速200km以上のスピードで雪が流れ落ち、登山者やスキー客だけでなく、山間部の道路を通行中のドライバーも巻き込まれる危険性があります。
事前に自治体が作成するハザードマップで危険箇所を把握しておきましょう。雪崩注意報が発表されたら、該当エリアへの立ち入りを避けてください。
③着雪害|電線や樹木などに雪が張り付き破損・停電を引き起こす
着雪害は、水分を多く含んだ湿雪が電線や樹木に付着し、重みで電線が切れたり樹木が折れたりする被害です。
とくに気温が0度前後の日本海側で発生しやすく、北陸地方や東北南部では頻繁に報告されています。
電線が切断されると広範囲で停電が発生し、通信障害も同時に起こるケースが少なくありません。また、樹木が倒れると道路を塞いで交通がマヒする被害も懸念されます。
電力会社の耐雪電線への交換や定期点検、自治体による危険木の剪定などが有効な対策です。個人でも、庭木の枝をあらかじめ整えておくと被害を減らせます。
④雪圧害|積雪の圧力で壁やフェンス、ビニールハウスなどが損壊
雪圧害とは、積雪が建物や樹木、塀などに加わる重さや圧力で損壊を引き起こす被害です。屋根の重さに加え、雪や風による横からの力も要因となります。
雪は斜面を滑り落ちるだけでなく、風や重力の影響で横方向にも圧力をかけるため、物置や温室といった軽量構造物は損壊しやすいです。
また、風向きや地形によって雪が一箇所に集中すると、局所的に強い圧力がかかり被害が拡大します。雪止めフェンスの設置や雪が溜まりやすい場所の早めの除雪で、被害を最小限に抑えられます。
⑤風雪害|強風と雪が同時に発生し視界不良や停電・交通障害を引き起こす
風雪害は、猛吹雪によって視界がほぼゼロになるホワイトアウト現象や、強風で飛ばされた雪が電線や看板を破損させる雪害です。代表的な被害例は、以下のとおりです。
● 視界不良による交通事故
● 電線の断線・停電
● 屋根材・看板の飛散
● 公共交通機関の運休・欠航
● 物流の遅延・停止
吹雪のなかでは数メートル先も見えなくなり、車の運転中にスリップ事故や追突事故を起こすリスクが高まります。
路線バスや鉄道、空港などの交通機関では運休や欠航が発生し、物資の流通や人の移動に大きな影響がおよびます。
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2.雪害の原因別に見る対策のポイント

雪害の発生原因は多岐にわたるため、それぞれに適した対策が必要です。ここでは、3つの雪害を踏まえて実践できる対策方法を紹介します。
①短時間の大雪に備える|積雪量や降雪速度が原因となる雪害対策
短時間に集中して降る大雪は、屋根やカーポートが想定する耐荷重を急激に超えてしまい、倒壊のリスクが高まります。
気象庁が発表する降雪短時間予報や大雪注意報をこまめに確認し、積雪が予想される場合は早めに除雪計画を立てましょう。建物の設計積雪量を事前に把握しておき、必要に応じて補強工事を検討してください。
また、以下のような除雪道具を冬季の前に揃えておくと、いざというときに慌てずに済みます。
● スコップ
● 雪下ろし棒
● 融雪剤
雪害対策の取り組みで内閣府が公開する「市町村のための降雪対応の手引き」では、自治体向けの対応策が詳しく記載されています。
個人の備えにも応用できる内容なので、ぜひ目を通しておきましょう。
②安全に除雪をする|転倒・落下事故を防ぐ雪害対策
除雪作業中の事故は毎年多数発生しており、とくに屋根からの転落や雪に埋もれる事故が命に関わるケースも珍しくありません。作業を始める前に、以下の安全装備を必ず着用してください。
● 命綱
● ヘルメット
● 滑り止め付きの靴
一人での作業は発見が遅れる原因になるため、家族や近隣住民に声をかけてから除雪作業を始めるのが鉄則です。
高齢者や体力に自信がない方は無理をせず、自治体が提供する除雪支援サービスや地域の除雪ボランティアを積極的に活用してください。
また、作業中は携帯電話を携帯し、万が一の際にすぐ連絡が取れる体制を整えておくと安心です。
③雪の重みや凍結による被害を防ぐ|雪圧・着雪・氷結への備え方
電線や配管、屋根といった設備は、雪や氷の付着によって損傷し、凍結で使えなくなるリスクが高まります。
水道管や給湯器の凍結を防ぐには、凍結防止ヒーターや保温材を事前に設置しておくと効果的です。ビニールハウスや物置などの軽量構造物は、支柱を補強し、積雪時にはこまめな雪下ろしをしましょう。
また、冬季に入る前に設備全体を点検し、劣化や緩みがないか確認しておくと、突然の大雪にも備えられます。
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3.雪害の代表的な過去の被害事例

日本では過去に何度も豪雪による深刻な被害が発生してきました。3つの雪害事例を通して、対策のポイントを確認しましょう。
●北陸・東北地方の豪雪|高齢者の除雪事故が多発した「平成の豪雪」
平成18年(2006年)冬に日本海側を中心に記録的な豪雪が発生し、気象庁により「平成18年豪雪」と命名されています。被害の概要は以下のとおりです。
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項目 |
概要 |
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被害状況 |
・死者:151名 ・負傷者:2,137名 ・住家全壊18棟 ・住家半壊26棟 ・住家一部破損4,661棟 |
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特徴 |
・死者の約4分の3が除雪作業中の事故によるもの ・65歳以上の高齢者が全体の約3分の2を占める ・一人での除雪作業による発見の遅れが主な原因 |
とくに深刻だったのは、死者のうち約4分の3が屋根の雪下ろしなど除雪作業中の事故であり、65歳以上の高齢者が全体の約3分の2を占めた点です。
屋根からの転落や落雪に巻き込まれる事故が相次ぎ、一人作業による発見の遅れも被害を拡大させた要因です。
除雪作業時の安全装備着用と複数人での作業体制の必要性が改めて認識されるようになりました。
●関東甲信地方の記録的豪雪|都市部を直撃した想定外の雪害
平成26年(2014年)2月、関東甲信地方で観測史上最大級の積雪を記録する豪雪が発生し、都市部に想定外の被害をもたらしました。被害の概要は以下のとおりです。
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項目 |
概要 |
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被害状況 |
・死者:25名 ・負傷者:951名 ・山梨県甲府市で積雪114cm ・埼玉県秩父市で積雪98cm ・建物の倒壊が多数発生 ・一部の地域で44世帯69名が一時孤立 |
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特徴 |
・都市部で雪への備えが不十分だった ・除雪体制や建物の耐雪性能が不足していた ・道路・鉄道のマヒにより交通網が寸断した ・政府が非常災害対策本部を設置する事態に発展した |
山梨県甲府市では114cm、埼玉県秩父市では98cmもの積雪があり、地域の機能がマヒするほどの被害が発生しました。建物の倒壊が相次ぎ、死者25名、負傷者951名の人的被害が発生しています。
都市部では除雪体制や耐雪性能の不足が深刻で、政府が非常災害対策本部を設置する事態となりました。
●新潟・北陸地方の大雪|立ち往生・停電・物流停止が同時多発
令和3年(2021年)1月、北陸地方で大雪となり、以下のように交通や生活インフラに深刻な影響が出ました。被害の概要は以下のとおりです。
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項目 |
概要 |
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交通障害 |
・関越自動車道で約2,000台が立ち往生 ・国道8号でも250台以上が滞留 ・自衛隊が人力による除雪を実施 |
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特徴 |
・交通マヒによる物流停滞と生活物資の不足 ・電力供給の停止による暖房・通信への影響 |
関越自動車道では最大約2,000台の車両が立ち往生し、約2日間にわたり通行止めが続いています。国道8号でも250台以上の車両滞留が発生し、自衛隊が人力で除雪する事態となりました。
また、湿った雪が電線に付着する着雪害により、広範囲で停電が発生しています。雪害が交通・電力・物流という複数のライフラインを同時にマヒさせる危険性を示した事例です。
内閣府|令和3年版 防災白書|特集 第1章 第2節 2-6 令和2年12月~令和3年1月の大雪による災害
関連記事:大雪の備えは大丈夫?気になる食料備蓄の選び方とおすすめ食材5選
4.大雪予報が出た時の雪害への備えと行動

大雪が予想されるときは、被害を最小限に抑えるための準備が欠かせません。雪害に備えるための行動ポイントを解説します。
①最新の気象情報・交通情報を確認する
大雪による被害を避けるには、気象庁の公式サイトや防災アプリで大雪警報・注意報の発表状況をこまめに確認しましょう。
気象庁の「今後の雪」を活用すれば、6時間先までの降雪量が把握でき、外出や除雪のタイミングを判断しやすくなります。
また、国土交通省の「おしえて!雪ナビ」では、道路のライブカメラ映像や通行規制情報がリアルタイムで閲覧可能です。
自治体の公式SNSや地域のラジオ放送も、現地の最新状況を知る手段として活用しましょう。
参考:政府広報オンライン|雪予報の確認に!気象庁「今後の雪」で6時間先までの雪の予報をチェック!
②不要不急の外出を控える
大雪時は、ホワイトアウトによる視界不良や路面凍結が原因の交通事故が多発するため、外出を控えるのが最善の対策です。どうしても外出が必要な場合は、以下の点を考慮します。
● 家族や職場に行き先と帰宅予定時刻
● 防寒具を着用する
● 携帯電話を持っていく
学校や職場の休校・休業情報は、前日夜や当日早朝に発表されるケースが多いため、公式サイトやメールを早めにチェックして行動を判断してください。
③食料や水・非常用電源を確保する
大雪による停電や交通マヒに備え、以下のような防災グッズを備蓄します。
● レトルト食品
● 缶詰
● カップ麺
● 水
● ポータブル電源
● 毛布
● 使い捨てカイロ
● LEDランタン
●応急処置グッズ
食料や水は最低でも3日分は準備します。電気が使えなくなる可能性も考慮し、毛布や使い捨てカイロ、非常用電源を用意しておくと安心です。
屋根からの落雪に当たったり、凍結した道で滑ったりといった外傷を負った際には、応急処置グッズが必要です。道路閉鎖などで救急用品の入手が困難になると、傷の手当ができずに悪化する危険もあります。絆創膏や消毒液、包帯といった基本的な応急処置グッズは常備しておきましょう。
④車で外出せざるを得ない場合はチェーンなど雪対策をしておく
やむを得ず車で移動する際は、タイヤチェーンの装着が必須です。車内には、緊急時のために以下のような道具を準備しておきます。
● スコップ
● 牽引ロープ
● ブースターケーブル
● 毛布
燃料は常に半分以上を保ち、ガス欠による立ち往生を防いでください。万が一、雪で動けなくなった場合に備えて、車内に飲料水や非常食、防寒具を積んでおくと安心です。
長時間の待機が予想される状況では、エンジンを切って一酸化炭素中毒を防ぎます。防寒のために、エンジンをかける場合は定期的にマフラー周辺の雪を除去しましょう。
関連記事:今こそ家の大雪対策を!家のエリア別の雪対策4選|おすすめグッズや注意点も解説
⑤近隣の避難所を確認しておく
大雪の備えとして、大雪が発生した際の近隣の避難所の場所を事前に確認しておきましょう。大雪が降ると、通行止めにより外部からの支援物資を受け取る経路が絶たれ、自宅での待機が困難になる場合があります。
また、大雪が発生してから避難所を確認しようとしても、電気供給が断絶し、通信機器が使えない恐れもあるのです。闇雲に避難所へ向かおうとしても、離れた避難所を目指してしまうと、遭難や凍死の危険もあります。
近隣の避難所を確認するためには、次のような方法があります。
・お住まいの地域の「ハザードマップ」を入手する
・市町村のホームページを確認する
・市町村の役所で配布しているパンフレットを入手する
ハザードマップとは、自然災害による被災の想定区域や避難場所・避難経路などの位置を表示した地図のことです。避難場所だけでなく、避難経路も確認しておくと、安全に避難ができます。
5.雪害対策には「Jackery(ジャクリ)のポータブル電源」を活用しよう!

雪害による停電に備えるなら、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源をおすすめします。ポータブル電源は内部に電気を蓄えておき、コンセントがない場所でも家電製品を動かせる持ち運び式の蓄電池です。
豪雪時の停電対策では、ポータブル電源は以下のような活用方法があります。
● 電気ストーブや電気毛布を稼働させ、暖房を確保する
● 電気鍋やポットに給電してお湯を沸かす
● 照明器具を使い、夜間の安全を確保する
● スマホやラジオを充電し、最新の気象情報や避難情報を入手する
●炊飯器や電子レンジを稼働して暖かい料理を作れる
Jackery(ジャクリ)は全世界で500万台以上の販売実績を誇るアメリカ発の人気ブランドです。防災製品等推奨品マーク取得済みで安全性が高く、合計62個の保護システムと12重のBMS保護システムを搭載しています。
ソーラーパネルで発電できるので、長期停電も電力を気軽に確保できます。豪雪時の停電に備え、生活に必要な電力を確保できるようJackeryのポータブル電源を用意しておきましょう。
6.雪害に関するよくある質問(Q&A)
雪害対策に関する、多くの方が疑問に感じる質問に回答しました。
①雪害から暮らしを守る、国や自治体の取り組みを教えて。
国土交通省では「市町村のための降雪対応の手引き」を公開し、自治体向けに災害対応のノウハウを提供しています。
内閣府も雪害対策のガイドラインを整備し、地域防災計画での雪害対策強化を促している状況です。
自治体では、高齢者世帯や要配慮者向けの除雪支援制度を設けており、除雪ボランティアの派遣や除雪費用の一部助成が受けられる場合があります。
参考
②雪害対策として自分たちにできることは?
個人や家庭でできる雪害対策は、以下のような建物の補強と地域との連携が中心となります。
● 建物の耐雪性能を確認する
● 屋根形状を見直す
● 軽量構造物(カーポート・倉庫)を補強する
● 地域での協力体制を整える
建物の耐雪性能を確認し、必要に応じて屋根の補強や落雪防止柵の設置を検討しましょう。
屋根の形状が雪を溜めやすい構造であれば、勾配の見直しや雪止め金具の追加設置を専門業者に相談するのも有効です。
地域住民と除雪当番や協力体制を事前に話し合っておくと、高齢者世帯や一人暮らし世帯も安心です。
関連記事:雪下ろしで車を傷つけない方法は?おすすめ道具や傷の直し方を紹介
まとめ
雪害は5種類に分類され、それぞれ異なる原因と対策が求められます。過去の豪雪では除雪中の事故や交通マヒ、停電が相次ぎ、多くの犠牲者を出してきました。
大雪予報が出たら気象情報をこまめに確認し、不要不急の外出を控え、防災グッズを備蓄しておくのが基本です。建物の耐雪性能を点検し、必要に応じて補強工事や除雪方法を確認しておきます。
Jackeryのポータブル電源があれば停電時も暖房や照明、スマホ充電が維持でき、安心して過ごせます。豪雪に備えて、今から準備を始めましょう。